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インタービュー

vol.17 プライバシー保護を備えた広報資料のデジタルライブラリー『公益財団法人アイメイト協会』

プライバシー保護を備えた広報資料のデジタルライブラリー
歴史的な資料のアーカイブや、一般向けの情報発信にも活用

公益財団法人アイメイト協会

『公益財団法人アイメイト協会』は、1957年に日本初の国産盲導犬第1号「チャンピイ」を育てた塩屋賢一氏(前理事長)が創設した、日本一の実績と歴史を誇る盲導犬の育成団体です。
アイメイト協会は2015年12月、視覚障害者や盲導犬への理解を求め、正確で正しい情報を伝える広報活動の一環として報道関係者向けに限定したデジタルライブラリーを正式オープンしました。
マスコミから協会への問い合わせ内容や報道向け資料の多くは、盲導犬使用者である視覚障害者やボランティアなど個人に関わることもあるため、プライバシー保護のためにインターネット上に公開することができません。
wook(ウック)の閲覧制限機能(権限アカウント)を活用することでプライバシー保護を継続しつつ、よりスピーディーな広報対応を目指しています。

アイメイト協会代表理事 塩屋隆男さん
『公益財団法人アイメイト協会』とは?
1957年に日本初の国産盲導犬第1号「チャンピイ」を育てた塩屋賢一氏(前理事長)が創設した、日本一の実績と歴史を誇る盲導犬の育成団体。
アイメイト(盲導犬)育成、視覚障害者への歩行指導等を通じた視覚障害者支援事業を推進。
東京都内(練馬区)にありながら、全国の視覚障害者にアイメイト歩行を指導。指導の対象は海外の方にも広がり、その数は延べ1,283組にのぼる。
(2015.12.15現在。アイメイト使用者とアイメイトのペアを1組と数える。)
公益財団法人アイメイト協会
「アイメイト」に込められた意味
アイメイト協会では、同協会で訓練・指導をした犬のことを「盲導犬」ではなく、「アイメイト」と呼んでいます。
「盲導犬」という言葉からは、“利口な犬が盲人を導いている”と受け取られがちですが、実際には十分に歩行指導を受けた視覚障害者からの指示を受け、人と犬とが協同で安全な移動を実現するのです。
もちろん、その主体はあくまでも人にあります。
そのため、アイメイト協会では、「私の愛する目の仲間」という意味を込め、「アイメイト」と呼んでいます。

◇ 公益財団法人アイメイト協会 デジタルライブラリー http://eyemate.wook.jp/

プライバシー保護を継続

――  メディア向けに、広報資料をライブラリー化したきっかけは?
メディアの方からお問い合わせいただく際は、それぞれの問い合わせ、依頼内容に応じて、報道向け資料を各種用意して対応しております。その際、“ネットなどで事前に確認しておきたかった”といったご要望が出ることもありましたが、プライバシー保護のためインターネット上に公開できない情報がほとんどです。あくまでも個々の取材対応の中で情報をやりとりするしかなく、結果的に対応にはけっこうな時間を要することもままありました。お忙しい記者の方を、資料や情報の提供までお待たせすることになっていたと思います。
――  一般企業であれば、広報資料の多くはホームページに公開されていますよね。
社会福祉事業ならではの難しさというのはあると思います。アイメイト使用者の皆さん(卒業生)やボランティアさんへの取材を希望されることも多いのですが、そうした個人に関わる情報を公開の場に掲載することはできません。しかし、wookの閲覧制限はとてもしっかりしていると聞いたので、ライブラリー化を決めました。印刷の設定も、プライバシー保護のために「不可」としています。
――  記者の方とは、Eメールでやりとりしていたのですか?
面談や取材に至るまで、記者の方と何度も電話やメールを交わします。歴史的な話題であれば古い資料をスキャンして送ったり、説明用に写真を送ったり。データの容量が大きくなることも多いので、ファイル転送サービスなどをよく利用していました。
――  ライブラリーが出来てからはいかがですか?
現在でも事前のやり取りはありますが、何度もということは減りました。ライブラリーのURLをメールでお伝えしてIDとPWを発行する形ですので、多少容量が大きい場合でもスピーディーに対応できるようになりました。“必要な情報が常にライブラリーに保管してある”“そこに行けば必ずある”というのは、担当者としても安心感があります。“どこにしまったかな?”と探しまわったり、再度スキャンしたりといった余計な手間が無くなりました。対応の際の所要時間は、格段に短くなりました。

ニーズの高い情報をライブラリー化

――  ライブラリーにはどんな情報が入っていますか?
開設当初にライブラリーにアップしたのは、主に次の5分野です。
・アイメイトと社会(差別撤廃に向けて)
・これからアイメイトを応援したい人たちへ(ボランティアなど)
・アイメイト使用者へのインタビュー
・アイメイト協会の訓練と指導方法
・アイメイトの歴史
過去に作成した資料から、まずは広報ニーズの高い情報を中心に揃えました。2008年から発行しているニューズレター『あいめいと』(バックナンバーのすべて)をはじめ、アイメイト55周年記念誌『EYEMATE 視界を拓くパイオニア』(2012年9月発行)、機関誌『アイメイト』などなど。過去に発行した冊子や資料などは、多くが支援者向けに限定的に配付していたものですが、そうした情報なども随時追加していく予定です。また、新たに必要な情報が出てくればその都度追加していく予定です。
――  アイメイト協会には、歴史的な資料も残っているのですか?
当会の創設者である塩屋賢一によって、日本初の国産盲導犬第1号「チャンピイ」が誕生したのが1957年のことです。訓練方法が確立するまで、試行錯誤で取り組んでいた当時の様子(モノクロ写真)や手書きのノートなども保存しています。昔は、ハーネス(使用者とアイメイトを繋ぐ胴輪とハンドル)なども、今とは形状が違っていました。普段一般に公開しているものではありませんが、当時を知る貴重な資料として大切に保管しています。
――  盲導犬の歴史を知りたいと思ったら、アイメイト協会に尋ねればよいのですね。
はい、何でもお尋ねください。現在では、電車やバスなどの公共交通、そしてレストランやホテルなど、どこでも盲導犬を伴って利用できるようになりましたが、様々な“理屈”を出されて、なかなか理解が得られないという時代もありました。当時から協会としても、アイメイト使用者や支援者とともに粘り強く社会に理解を訴え続けることで、一歩ずつ進んできました。
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    アイメイト55周年記念誌『EYEMATE 視界を拓くパイオニア』

    2012年9月、アイメイト55周年を記念して制作された記念誌。この1冊に、アイメイトにまつわる情報が網羅されている。盲導犬の父 塩屋賢一とアイ メイトが歩んできた55年の歴史を当時の貴重な写真や資料で振り返るとともに、協会事業や多くのアイ メイト使用者へのインタビューなども掲載。

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    ニューズレター『あいめいと』

    2008年から報道向けに年4回発行しているニューズレター。協会職員、使用者、支援者、支援企業などへのインタビューを中心に、タイムリーな情報を掲載。

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    アイメイト協会機関誌『アイメイト No.47』

    支援者や支援企業などに向けて年1回発行している協会の機関誌。アイメイトやその使用者への正しい理解、アイメイト協会の取り組みについて紹介。

歴史的なモノクロ写真をデジタル化

――  古い写真などもデジタル化されているのですか?
モノクロ写真をはじめ、古いフィルムや紙焼きをそのまま保管していましたが、55周年を機に少しずつデジタル化を進めてきました。半世紀以上の歴史がありますので、膨大な量が残っています。すべてを完了させるまでまだまだ時間がかかると思いますが、貴重な歴史資産を次の世代にしっかりと残すため、同時に今の時代に使いやすい形にしようということで取り組み始めました。
――  それらもライブラリーに入っているのですか?
写真はそのままではデータ容量が大きいので、インデックスを作ってライブラリーに入れました。1ページに数十枚の小さな写真が張り付けてある、ミニアルバムのようなイメージですね。あくまで簡易的なものなので使いやすさを追求したものとは言えませんが、コストをかけないことも大事なことです。それでも、イメージをぱっと確認できるので十分便利に使えています。 ただ、実際の使用にあたっては、写っている方の許可が必要な写真もありますので、そうした点も徐々に整備を進めています。
――  閲覧制限の無い、一般向けのコンテンツもあるのですか?
協会の事業を紹介するリーフレット『We Love Eyemates』と、アイメイトを知る最もコンパクトなリーフレット『こんにちワン!』を、公式ホームページで公開しています。これらは、もともと広く一般に配付しているものですが、電子化したことで、全国どこでも、いつでも手軽にPCやスマホからも読んでいただけるようになりました。 また、この2015年10月から、ネットでのご寄付のお申し込みも可能になりました(公式ホームページから)。一歩ずつではありますが、デジタル時代にも対応していかねばと考えています。
――  もうすぐ60周年をお迎えすると聞きました。
2017年に、アイメイトは60周年を迎えます。2016年4月には、通称「障害者差別解消法」が施行され、共生社会の実現に向けて、日本としてもさらに強く前進していく状況にあります。当会としても、視覚障害者や盲導犬に関する正しい情報をこれからもお伝えしていきます。
――  ありがとうございました。
公益財団法人アイメイト協会サイト画像

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