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インタービュー

vol.2 地域特化型電子書店ポータルサイト第1号『沖縄eBooks』

沖縄の歩みや観光情報誌には載っていない観光地など地元ならではの“本当の沖縄の魅力”を電子書籍で発信

沖縄eBooksラインナップ

「電子書籍を通じて沖縄の魅力を県外へ・海外へ」というコンセプトの下、沖縄県内で出版/印刷/広告代理業を行う近代美術は、沖縄特化型電子書店「沖縄eBooks」を運営中。
地方創生に取り組む全国の自治体、企業が注目する同プロジェクトを仕掛けたメンバーの増田さん、榎本さん。
お二人に沖縄におけるデジタルライブラリーの意義と沖縄eBooksの今後について伺いました。

沖縄eBooksとは

2011年5月に正式オープンした、沖縄特化型電子書籍ポータルサイト。
沖縄県内で出版されている、または沖縄にまつわる書籍・雑誌・観光情報・企業情報・郷土本・フリーペーパー等500冊以上のタイトルを電子書籍ライブラリー化して配信中です。
「沖縄県を、沖縄の企業を元気にしたい!」をコンセプトに、県外では流通しない地元のレアな書籍を中心に沖縄・琉球の魅力・情報を国内外に発信しています。
◇ 書店サイト http://okinawa-ebook.wook.jp/

沖縄eBooks発足メンバー

「沖縄eBooks」発足当時のプロジェクトメンバー。
左から宮良さん、榎本さん、小井土専務(現社長)、増田さん、冨名腰さん。

Interviewee Profile
□ 榎本伸司さん □
都内の大学を卒業後、印刷関連機器メーカー「写研」に入社。福岡営業所で沖縄地区を担当していたことから、沖縄の印刷会社に再就職。Web制作や議事録などのデータベース業務などを経験したのち、2010年より現在の株式会社近代美術に。主に電子書籍やWeb関連業務などを手掛ける。
□ 増田千尋さん □
2004年に株式会社近代美術へ入社。観光情報事業課へ配属され、観光系フリーペーパーの広告企画と販売を経験。「OKINAWA100シリーズ」の立ち上げメンバーとして出版企画や販売管理など、出版事業に携わり、「沖縄eBooks」の立ち上げにも参加。現在は営業部にて営業企画担当として従事しながら沖縄発県産マンガ雑誌「ファミマガ」の企画編集を担当。

~第一回 沖縄eBooksの立ち上げ、話題になった『オキナワグラフ』~

■ 県内にとどまっていた魅力的な書籍を低コスト・低リスクで広く発信する事に成功

――  沖縄eBooksを立ち上げられたキッカケは何でしょうか。
近代美術に入社してすぐに「OKINAWA100シリーズ」という本を数十冊も出版している事を知り、「これは県内だけで流通させているのはもったいない」と思ったのが始まりです。
しかし紙の本を県外で販売するには流通のコストや返品のリスクが高いので、当時話題に上りつつあった電子書籍化が最適と思いました。
スマホで見られるようになれば、沖縄観光のきっかけづくりにも、沖縄に来てからも使えますし。
――  なるほど。それで地域特化型電子書籍ポータルサイトの先駆けとなったわけですね。数々のプラットフォームの中から、なぜwookを採用されたのでしょうか。
Webや通販を経験していたので、当初は自社開発も検討しましたが、なかなか納得のいく仕様を出してくれるシステム会社がなかったんです。開発費用も高く、リスクが高過ぎる。
そんな時、ネットで調べていて出会ったのがwookでした。
正直、当時はいくつか物足りない部分があったのですが、試し読みやクレジット決済の機能をもっていて、電子書籍の専用言語ではなくPDFで良いという点が決め手となりました。そして「多くの書店が集まっているモールなかの1書店」という位置づけも集客面からプラスとなりました。
開発に資金や労力を使わず、書店としての特徴づくりに注力できて、良かったです。
――  その「書店としての特徴」とは、ずばり何でしょうか。
沖縄は、かつて琉球国という独立国から薩摩潘の支配下に置かれるようになってからも中国とは独立した国家として進貢貿易をつづけ、近代では沖縄戦終結後アメリカ統治下に入り、日本に復帰後も多くの基地とともに歩み続けています。こうした歴史的・地理的な背景が独特な芸能・文化を育んできました。
オキナワグラフ」では、1958年創刊から1985年までのバックナンバーをたどることで、戦後の復興・発展という光の部分と、基地があることによる暴力事件や墜落事件などの暗の部分が見えてくると思います。
普通、書店は本を「販売」しますが、沖縄eBooksでは、基地内でしか手に入らない「Japan UPDATE」(英字新聞)、地元ファッション誌「be-o」や「musu-b」、市町村が発行する地元観光情報誌など、無料の書籍も多く扱っていることも特徴の1つです。
県内外の沖縄に愛情をもった方々が本を提供してくださり、成り立っています。「観光地としての沖縄」では捉えきれない、いろいろな顔をもつ沖縄を扱っていることが大きな特徴ですので、沖縄eBooksを通じて沖縄に関心をもっていただければ幸いです。

■ 地元の方も県外の方も、沖縄の歴史を深く知ることが出来るように

オキナワグラフ 画像
【オキナワグラフ】
アメリカ統治下の1958年に創刊された新星出版の写真月刊誌。
1958年4月創刊号から本土復帰(1972年5月)、沖縄海洋博(1975年)を経て、1985年12月号「沖縄県ハワイ州姉妹都市提携記念」まで、285冊を公開。
当時の広告も一切カットせずそのまま掲載。その時代に生きた人々と街や村の様子が克明に描かれている。価格を見ると「B円」「セント」「円」と、その時々で沖縄が時代の波に翻弄されていた様子を伺い知ることができる。
―― 「オキナワグラフ」は沖縄eBooks立ち上げ時に話題になったそうですね。
オキナワグラフは1958年4月創刊の沖縄を代表する報道月刊誌です。報道写真というそのときの「現実」を追うことで、沖縄の戦後の発展過程とその裏の苦悩を感じることが出来る貴重な書籍です。しかし県外はもとより、現在のオキナワグラフを発行する新星出版も「バックナンバーの要望は多いが、保管用のもの以外ない」という状況でした。そのため、電子書籍化を快諾いただき、広く配信することができました。
そしてeBook USERを始め、地元新聞、テレビ、ラジオ、県外の大手新聞などでも取り上げていただきました。
電子書籍の可能性の1つを示すことができたと思います。
――  読者からはどんな声がありましたか。
年に数件ですが、ほぼ全冊買われる方がいらしたり、おばあちゃんが載っている、自分の若いころの写真がある、と復刻したことに電話やメールで感謝の意をいただいたり、こちらも感激しています。時には、「祖母が○年○月号に写っているのでプレゼントしたいがいつでるか」との問い合わせをいただきますが、すでに出版社にも控えさえない号もあり、申し訳なく思うこともあります。
――  特にここは見て欲しい、見逃せない!という号はありますか。
◎創刊号である1958年4月号…通貨は「B円(ビーエン)」でした。
◎1959年4月号…表紙と「表紙のことば」(最後のページ)。
◎1959年8月号・10月号…石川(宮森小学校)にZ機(ジェット機)墜落、宮森小学 校・ジェット機墜落事故合同慰霊祭。このころ通貨は「ドル、セント」。
◎1971年9月号…第二次毒ガス移送はじまる
◎1971年12月号…通貨確認(ドルから円に切り替える準備)
◎1972年5月号…本土復帰記念号、通貨も「円」に。
どの号も20ページ程度は試し読みができますので、ぜひ一読ください。

⇒ 第二回「オール沖縄コミック誌『ファミマガ』誕生」へ続く

沖縄eBooks書店サイト 画像

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