皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
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皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
エリザベス・ストラウトは、1956年1月6日生まれのアメリカを代表する小説家です。メイン州ポートランドで生まれ育ち、大学卒業後に作家としてのキャリアをスタートさせました。彼女の名が世界的に知られるきっかけとなったのが、2008年に発表された『オリーヴ・キタリッジの生活』です。この作品は2009年にピュリッツァー賞(小説部門)を受賞し、彼女の代表作となりました。
ストラウト作品の最大の魅力は、ごく普通の人々の日常や心の機微を、深く掘り下げて描く点にあります。特に、アメリカの小さな町を舞台に、そこに住む人々の喜びや悲しみ、孤独や希望をリアルに描き出す「スモールタウンもの」を得意としています。彼女の描く登場人物は、決して完璧ではなく、欠点や弱さを抱えていますが、その人間らしさが多くの読者の共感を呼んでいます。その文章は、人物の醜さや惨めさを淡々と描きながらも、どこかに必ず救いを感じさせる温かさを持っています。オバマ元大統領が読書リストに挙げたことでも知られ、現代アメリカ文学において確固たる地位を築いている作家です。
ここからは、エリザベス・ストラウトの数ある名作の中から、特におすすめしたい小説をランキング形式で7作品ご紹介します。「小説ヨミタイ」編集部が厳選した、心に深く残る物語ばかりです。
ピューリッツァー賞を受賞した不朽の名作から、ブッカー賞候補となった話題作、そして彼女の原点であるデビュー作まで、ストラウトの魅力を存分に味わえるラインナップとなっています。どの作品から読もうか迷っている方は、ぜひこのランキングを参考に、お気に入りの一冊を見つけてみてください。
エリザベス・ストラウトの代表作にして、2009年にピューリッツァー賞を受賞した不朽の名作です。物語の舞台は、アメリカ北東部の小さな港町クロズビー。主人公は、傍若無人で気分屋、でもどこか憎めない元数学教師の女性、オリーヴ・キタリッジです。
この小説は13の短編からなる連作短編集で、各話でオリーヴが主人公になったり、脇役として登場したりと、様々な視点から彼女の人生と町の人間模様が描かれます。彼女の辛辣な言葉や頑固な態度は、時に周囲との間に波風を立てますが、その奥には深い孤独や愛情、そして人間的な弱さが隠されています。人生の苦しみや喜び、後悔や希望を静かな筆致で描ききった、まさに珠玉の一冊。HBOによってドラマ化もされ、高い評価を得ています。
頑固で不器用なオリーヴが、だんだん愛おしくなってくるんだよね。人間の複雑さを見事に描いた傑作だよ。
のちに『何があってもおかしくない』『ああ、ウィリアム!』へと続いていく「ルーシー・バートン」シリーズの原点となる物語です。主人公は、作家のルーシー・バートン。彼女が入院生活を送る中で、長年疎遠だった母親との再会を果たすところから物語は始まります。
病室での母と娘の他愛ない会話を通じて、ルーシーが経験した貧しく過酷な子ども時代や、家族との複雑な関係性が少しずつ明らかになっていきます。静かで抑制の効いた文章の中に、言葉にできないほどの痛みや愛情、そして家族というものの不可解さが繊細に描き出されています。読み進めるうちに、ルーシーの心の奥深くに触れるような、静かな感動が胸に広がります。自分の過去と向き合い、赦し、そして自身の物語を紡ぎ始めるまでを描いた、魂の再生の物語です。
母と娘の会話が、もう…切なくてたまらないんだ。静かなのに、心がすごく揺さぶられる作品だよ。
ピューリッツァー賞を受賞した『オリーヴ・キタリッジの生活』から11年ぶりに刊行された、待望の続編です。物語は再びメイン州の港町クロズビーを舞台に、老境を迎えたオリーヴ・キタリッジのその後の人生を描きます。
前作同様、13の連作短編で構成され、夫に先立たれたオリーヴの新たな出会いや、疎遠だった息子との関係の変化、そして自身の老いや死との向き合い方が、町の隣人たちのエピソードを交えながら綴られていきます。年を重ねたことで、以前の頑固さに加えて、少しだけ丸みを帯びたオリーヴ。それでもやはり彼女らしい辛辣さとユーモアは健在で、その姿に勇気づけられます。人生の最終章に差し掛かったひとりの女性の生き様を通して、「老いること」そして「生きること」の意味を深く問いかける傑作です。
年を重ねたオリーヴもやっぱり最高!前作を読んだ人は絶対に読んでほしいな。
『私の名前はルーシー・バートン』から続くシリーズの3作目にあたり、2022年のブッカー賞最終候補にも選ばれた評価の高い一冊です。今回の物語は、ルーシーの最初の夫であったウィリアムに焦点が当てられます。語り手は引き続きルーシーが務め、彼女の視点からウィリアムという人物が深く掘り下げられていきます。
物語は、71歳になったウィリアムが自身の母親にまつわる秘密を知り、そのルーツを探るため、元妻であるルーシーに旅への同行を頼むところから始まります。離婚して長い年月が経ってもなお、友人として穏やかな関係を続ける二人。この旅を通して、彼らの結婚生活の記憶や、家族という不思議な縁、そして人を本当に理解することの難しさと愛おしさが、静かな筆致で描かれます。元夫婦の間に流れる、言葉では簡単に説明できない複雑で豊かな絆に、深く心を打たれる物語です。
離婚した元夫婦のロードムービーなんて、設定からしてもう面白いよね。大人の関係性の奥深さを感じたよ。
『私の名前はルーシー・バートン』の姉妹編ともいえる連作短編集で、卓越した短編集に贈られるストーリー賞を受賞した作品です。物語の舞台は、『私の名前はルーシー・バートン』で語られた、彼女の故郷であるイリノイ州の田舎町アムギャッシュ。
都会で作家として成功したルーシーが故郷に帰ってくるという出来事を軸に、町に住む人々の人生が9つの物語で描かれます。前作ではルーシーの口から名前が語られるだけだった人々が、この本ではそれぞれの物語の主人公として登場します。貧しさやトラウマを抱えながらも懸命に生きる人々の姿は、痛ましくも、どこか愛おしい。彼らの人生が交錯する様は、まさに「何があってもおかしくない」というタイトルを体現しています。前作を読んでから手に取ると、物語の繋がりや深みをより一層楽しむことができるでしょう。
『ルーシー・バートン』で気になってたあの人たちの話が読めるなんて!こういうシリーズの楽しみ方、最高だよね!
ニューヨークで成功した弁護士の兄ジムと、その弟ボブ。故郷のメイン州に残った妹のスーザン。疎遠になっていた3きょうだいの関係が、ある事件をきっかけに大きく揺らぎ始める様子を描いた家族小説です。
物語は、妹スーザンの息子がヘイトクライムともとれる事件を起こし、彼女が兄たちに助けを求めたことから動き出します。甥の弁護のために久しぶりに故郷に戻った兄弟は、事件の背景にある移民問題や、町の人々の偏見に直面します。そして、その過程で、幼い頃の父親の死をめぐる家族の秘密や、長年にわたる兄弟間の確執といった、心の奥底にしまい込んでいた問題と向き合わざるを得なくなります。家族という最も身近で、最も厄介な関係性を、深く鋭く描き出した重厚な一作です。
家族って、本当に複雑だよね…。重いテーマだけど、ぐいぐい引き込まれて一気に読んじゃったよ。
のちにピューリッツァー賞作家となるエリザベス・ストラウトの記念すべきデビュー長編小説です。1998年に発表され、その年のオレンジ賞やペン/フォークナー賞の候補となるなど、デビュー作にして既に高い評価を獲得していました。
物語の舞台は、夏のうだるような暑さが続くアメリカの小さな町。シングルマザーの母イザベルと、16歳の一人娘エイミーの間に漂う、息が詰まるような緊張感を描いています。娘が学校の数学教師と禁断の関係を持ったことをきっかけに、母と娘の間にあった脆い均衡が崩れ始めます。思春期の少女の性の目覚めと自立への渇望、そしてそれを見守る母親の孤独、嫉妬、そして過去の秘密。母と娘、それぞれの視点から語られることで、二人の間の複雑で繊細な感情が浮き彫りになります。ストラウトの原点ともいえる、濃密な人間ドラマが味わえる一冊です。
デビュー作でこの完成度はすごい…。母と娘のピリピリした関係が、読んでいてドキドキしたよ。
エリザベス・ストラウトの小説は、基本的にどの作品から読んでも楽しめますが、より深く物語の世界に浸りたい方には、シリーズごとに順番に読むことをおすすめします。特に主要なシリーズは2つあります。
初めて読むなら、まずは代表作である『オリーヴ・キタリッジの生活』から手に取ってみるのが良いでしょう。ストラウトの魅力が凝縮されたこの作品を読めば、きっと他の作品も読みたくなるはずです。
この順番で読むことで、主人公オリーヴの人生の歩みを時系列で追い、彼女の人間的な変化や成長をより深く感じ取ることができます。
このシリーズは、まず『私の名前はルーシー・バートン』で主人公の背景を知り、次に『何があってもおかしくない』で彼女の故郷の人々の物語に触れ、最後に『ああ、ウィリアム!』でその後の人間関係の深まりを追うことで、物語世界が立体的に立ち上がってきます。