皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
【2025年最新】ハーパー・リーのおすすめ小説 全2作品を徹底解説
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目次
ハーパー・リーの小説を読む前に知っておきたいこと
アメリカ文学を代表する作家の一人、ハーパー・リー。彼女の名前を聞いたことがあるけれど、どんな作品を書いたのか詳しくは知らない、という方も多いかもしれません。
実は、ハーパー・リーが生涯で発表した小説は、たったの2作品なんです。しかし、そのうちの一冊『アラバマ物語』は1961年にピュリッツァー賞を受賞し、アメリカ文学の不朽の名作として今なお世界中で読み継がれています。彼女の作品は、自身の故郷であるアメリカ南部アラバマ州を舞台に、人種差別や社会の不正義といった普遍的なテーマを、少女の純粋な視点を通して描いているのが特徴です。
ハーパー・リーの小説 全2作品を紹介
それでは、ハーパー・リーが遺した珠玉の2作品を詳しく見ていきましょう。
1960年に発表されたデビュー作にして歴史的名作『ものまね鳥を殺すのは（旧題：アラバマ物語）』と、その55年後、2015年に出版され大きな話題を呼んだ『さあ、見張りを立てよ』。この2つの物語は、時代も設定も異なりますが、深く結びついています。それぞれのあらすじや魅力を、順番にご紹介します。
『ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕』
『ものまね鳥を殺すのは』は、1960年に発表されたハーパー・リーのデビュー作です。発表の翌年にはピュリッツァー賞を受賞し、アメリカ文学の古典として不動の地位を築きました。物語の舞台は1930年代、世界恐慌下のアメリカ南部アラバマ州にある架空の町メイコムです。
主人公は6歳のおてんばな少女スカウト（ジーン・ルイーズ・フィンチ）。彼女の視点を通して、弁護士である父アティカスが、無実の罪を着せられた黒人男性トム・ロビンソンの弁護に挑む姿が描かれます。町に根強く残る人種差別や偏見に、誠実かつ毅然と立ち向かう父の姿を通して、スカウトは人間の良心や勇気、そして社会の矛盾を学んでいきます。子どもから大人まで、誰もが深く考えさせられる不朽の名作です。
ふくちい父アティカスの言葉一つひとつが心に刺さるんだ。正義とは何かを、改めて考えさせられるよ。
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『さあ、見張りを立てよ』
『さあ、見張りを立てよ』は、2015年に発表され、世界中の文学ファンを驚かせた作品です。実はこの小説、『ものまね鳥を殺すのは』よりも前に書かれた草稿が元になっており、50年以上の時を経て発見・出版されました。
物語の舞台は『ものまね鳥を殺すのは』から約20年後。ニューヨークで暮らす26歳に成長した主人公スカウト（ジーン・ルイーズ）が故郷メイコムに帰省するところから始まります。そこで彼女は、正義の象徴であったはずの父アティカスが、人種差別的な思想を持つ一面を目の当たりにし、深い葛藤と幻滅を経験します。前作で描かれた理想的な父親像を覆す衝撃的な内容は、発表当時に大きな論争を巻き起こしました。
ふくちいえ、あのアティカスが…？わたし、ちょっとショックを隠せないんだけど…。
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ハーパー・リーの小説をさらに楽しむために
ハーパー・リーの2つの小説は、単独で読んでももちろん素晴らしい作品ですが、作者の人生や、小説から生まれた映画を知ることで、物語の世界をさらに深く、立体的に楽しむことができます。
ここからは、作家ハーパー・リーの人物像と、不朽の名作として知られる映画『アラバマ物語』についてご紹介します。これらの背景を知ることで、作品に込められたメッセージがより一層心に響くはずです。
作家ハーパー・リーとは？その生涯とトルーマン・カポーティとの関係
ハーパー・リーは1926年、小説の舞台と同じアラバマ州モンローヴィルで生まれました。父親は弁護士で、誠実な人柄だったと伝えられており、『ものまね鳥を殺すのは』の主人公の父アティカスのモデルの一人とされています。
彼女の人生を語る上で欠かせないのが、作家トルーマン・カポーティとの深い友情です。二人は幼馴染で、リーはカポーティの代表作『冷血』の取材にリサーチアシスタントとして同行し、多大な貢献をしました。また、『ものまね鳥を殺すのは』に登場する少年ディルはカポーティがモデルであり、カポーティの小説にもリーをモデルにした人物が登場すると言われています。『ものまね鳥を殺すのは』の大成功の後、リーは世間の注目を避けるように暮らし、2016年に89歳で亡くなるまで、多くを語ることはありませんでした。
不朽の名作、映画『アラバマ物語』もあわせて観たい
小説『ものまね鳥を殺すのは』は、1962年に『アラバマ物語』というタイトルで映画化されました。この映画は批評家から絶賛され、アカデミー賞では3部門を受賞しています。
特に、主人公の父アティカス・フィンチを演じたグレゴリー・ペックは、その卓越した演技でアカデミー主演男優賞に輝きました。彼の演じるアティカスは、アメリカ映画協会（AFI）が選んだ「アメリカ映画のヒーローベスト100」で第1位に選ばれるほど、誠実さと正義感の象徴として人々の心に刻まれています。原作の持つ感動を忠実に映像化した、まさに不朽の名作と言えるでしょう。小説を読んだ後に観ることで、物語の感動がさらに深まること間違いありません。
まとめ：ハーパー・リーのおすすめ小説を読んでみよう
ハーパー・リーが遺した2つの小説は、どちらもアメリカ社会の光と影を鋭く描き出した、読み応えのある作品です。生涯で発表された小説はわずか2冊ですが、その影響力は計り知れません。
まずは、不朽の名作『ものまね鳥を殺すのは』から手に取ってみることをおすすめします。少女の視点から描かれる感動的な物語は、きっとあなたの心に深く残るはずです。そして、その読書体験の後に『さあ、見張りを立てよ』を読めば、理想と現実、そして人間の多面性について、より深く考えるきっかけを与えてくれるでしょう。ぜひこの機会に、ハーパー・リーの世界に触れてみてください。