【2025年最新】ニコラ・マチューのおすすめ小説を紹介！邦訳作品と今後の注目作

2025年9月8日

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ふくちい

皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...続きを読む

皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。

はじめに：ゴンクール賞作家、ニコラ・マチューとは？

ニコラ・マチューは、現代フランスが抱える社会のひずみを鋭く描き出す、今、世界が最も注目する作家の一人です。1978年に生まれ、フランス東部のナンシーを拠点に活動しています。

大学で歴史や映画を学んだ後、ジャーナリストなど様々な職を経験したという異色の経歴の持ち主。その経験こそが、彼の作品に血の通ったリアリティを与えているのでしょう。2018年には、第二作『最果ての子供たち』で、フランスで最も権威ある文学賞、ゴンクール賞を受賞し、一躍その名を世界に轟かせました。

彼の作品の魅力は、なんといってもその社会性にあります。かつて産業で栄えながらも、今ではすっかり寂れてしまったフランスの地方都市を舞台に、そこに生きる若者たちの閉塞感や格差社会の現実を克明に描き出しています。

まず読むべき邦訳小説

2025年現在、日本で読むことができるニコラ・マチューの長編小説は、早川書房から刊行されている『最果ての子供たち』です。

この一冊だけでも、彼の作家としての凄みを存分に感じ取ることができます。現代フランス文学の最前線に触れるための、まさに必読書と言えるでしょう。

『最果ての子供たち』

『最果ての子供たち』は、2018年にフランスで最も権威のある文学賞、ゴンクール賞を受賞した傑作です。物語の舞台は、1992年から1998年にかけての東フランスの田舎町。かつては製鉄業で栄えたものの、今ではすっかり寂れてしまった「限界都市」で暮らす若者たちの姿を描いています。

主人公は14歳の少年アントニー。退屈な日常から抜け出したいと願う彼は、ある夏の日、有力者の娘ステファニーと運命的に出会います。ニルヴァーナの音楽が響き、ワールドカップに国中が熱狂した時代を背景に、恋や友情、そして大人との確執に悩みながら成長していく少年少女の姿が、鮮烈に描き出されています。

この小説の真髄は、単なる青春物語にとどまらない点にあります。産業が衰退し、社会から取り残されていく地方都市の閉塞感や、そこに住む人々の痛みがリアルに描かれており、現代社会が抱える問題を鋭くえぐり出しているのです。

ふくちい

切なくて、でもどこか懐かしい気持ちになるんだ。若さゆえのどうしようもなさが胸に刺さるよ…。

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邦訳が待ち遠しい！ニコラ・マチューの注目作

『最果ての子供たち』でニコラ・マチューの世界に魅了されたなら、次に気になるのはまだ日本語に翻訳されていない作品でしょう。

彼のデビュー作や最新作も、現代フランスのリアルを切り取った重要な作品ばかりです。ここでは、特に邦訳が期待される2つの小説をご紹介します。

Connemara (2022年)

『Connemara』は、2022年に発表されたニコラ・マチューの4作目の小説です。『最果ての子供たち』が10代の若者たちの物語だったのに対し、この作品では40代に差し掛かった大人たちの葛藤が描かれています。

主人公は、故郷の田舎町を離れて都会で成功を手に入れた女性エレーヌと、故郷に留まり続けた男性クリストフ。若い頃は交わることのなかった二人が20年ぶりに再会し、それぞれの人生を見つめ直します。「成功したはずなのに、なぜか満たされない」という中年期の危機や、階級による価値観の違いを鋭く描き出した作品です。