皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
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皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
チャールズ・ロバート・マチューリン(1782-1824)は、アイルランド出身の牧師でありながら、文学史にその名を刻んだゴシック小説家です。彼の作品は、18世紀末から19世紀初頭にかけてイギリスで流行した「ゴシック小説」というジャンルを代表するものとして知られています。
ゴシック小説とは、中世の古城や廃墟を舞台に、超自然的な怪奇や神秘的な出来事を描く作風が特徴で、現代のホラー小説やSF小説の源流ともいわれています。マチューリンの代表作『放浪者メルモス』は、イギリスのゴシック小説ブームの最後を飾る傑作と名高く、人間の心理の奥深くに潜む闇を描き出しました。この記事では、その唯一無二の世界観に迫ります。
チャールズ・ロバート・マチューリンの作品は、現在、日本語で手軽に読めるものが限られています。そのため今回のランキングは、事実上、彼の名を不滅のものにした代表作1作をご紹介する形となります。
多くの作品を残した作家ではありませんが、たった一作で文学史に強烈なインパクトを与えました。ご紹介する小説は、ゴシック小説の到達点ともいえる作品であり、彼の文学的評価を決定づけた不朽の名作です。後世の多くの作家たちも、この作品から多大な影響を受けました。
ご紹介するのは、1820年に発表されたゴシック小説の金字塔『放浪者メルモス』です。悪魔に魂を売り150年の余命を得た学者メルモスが、自らの身代わりを探して時代や場所を超えてさまよい続ける物語が描かれます。
物語は、主人公の青年ジョン・メルモスが、一族に伝わる不気味な先祖の肖像画を発見するところから始まります。やがて彼は、その肖像画の人物「放浪者メルモス」が、絶望した人々の前に現れては魂の契約を持ちかけるという恐ろしい伝説を知るのです。本作は、様々な時代の登場人物たちの物語が入れ子構造で語られる、複雑な構成も特徴の一つです。
この小説は、単なる怪奇譚にとどまらず、善と悪、信仰、人間心理の深淵といったテーマを鋭くえぐり出しています。その圧倒的な世界観は、ボードレールやエドガー・アラン・ポー、オスカー・ワイルドといった後世の文豪たちから熱烈に称賛されました。
作品名 | 放浪者メルモス |
---|---|
著者 | チャールズ・ロバート・マチューリン |
発表年 | 1820年 |
ジャンル | ゴシック小説 |
悪魔との契約という主題を、複雑な入れ子構造で描く手腕には圧倒される。人間の根源的な恐怖と欲望が、この一作に凝縮されていると言えよう。
今回は、チャールズ・ロバート・マチューリンの代表作『放浪者メルモス』をご紹介しました。この作品を読むことは、ゴシック小説というジャンルの神髄に触れる貴重な体験になるはずです。
ゴシック小説の仄暗くも美しい幻想的な世界観や、じわじわと恐怖が迫りくる独特の雰囲気は、ほかのジャンルでは味わえない大きな魅力です。マチューリンが描く、善と悪が混沌と入り混じった重厚な物語は、きっとあなたを非日常の世界へと誘ってくれるでしょう。
現代のホラーやファンタジー作品のルーツを探る意味でも、文学史に輝くこの傑作をぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。