住野よるとは?作家の魅力
住野よるは、年齢や経歴を公表していない覆面作家として活動する日本の小説家です。2015年に小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿した『君の膵臓をたべたい』がデビュー作となり、300万部を超える大ベストセラーになりました。
住野よる作品の特徴は、10代や20代の若者を主人公にした青春小説が多く、繊細な心情描写とちょっとしたファンタジー要素を交えた独特の世界観が魅力です。多感な思春期の人間関係や生きにくさを抱えた登場人物が、物語を通して成長していく様子を丁寧に描写しています。
住野よるの小説おすすめランキング
第1位 君の膵臓をたべたい
住野よるのデビュー作であり、最も有名な代表作です。2016年の本屋大賞にノミネートされ、実写映画化・アニメ映画化・漫画化もされた人気作品です。
主人公の「僕」が病院で偶然見つけた「共病文庫」という文庫本は、クラスメイトの人気者・山内桜良の秘密の日記でした。膵臓の病気で余命わずかであることを知った「僕」は、秘密を共有するクラスメイトとして彼女と行動をともにするようになります。
正反対の性格を持つ2人が、秘密をきっかけに心を通わせていく日々を通して、「生きる」ことの大切さを教えてくれる感動作です。タイトルの意味が明かされるラストは、多くの読者の涙を誘うことでしょう。
第2位 また、同じ夢を見ていた
住野よるの2作目となる長編小説で、デビュー作とはまた違った魅力を持つ作品です。小学生の少女を主人公に据え、人との関わり方を見つめ直す物語として多くの読者から支持されています。
主人公の小柳奈ノ花は、ひねくれた性格で同級生を見下しており、クラスに友達が一人もいません。そんな彼女が、さまざまな過去を持つ女性たちと不思議な出会いを通して、他者との関わりや「幸せとは何か」について考えていきます。
奈ノ花の精神的な成長とともに、物語に散りばめられた巧みな仕掛けも見どころとなっています。10代だけでなく大人の読者にも深い余韻を残す名作です。
第3位 よるのばけもの
人間関係に翻弄される中学生の心情を繊細に描いた作品です。化け物になってしまう男子中学生と、その秘密を共有するクラスメイトの交流と葛藤を描いています。
主人公の安達は、気弱で他人の目を気にする中学3年生。しかし、深夜になると8つの目に6つの足を持つ化け物に変身してしまいます。ある日、忘れ物を取りに夜の学校へ行くと、クラスでいじめを受けているさつきと出会い、彼女に正体を見破られてしまいます。
昼と夜で姿を変えるというファンタジー設定が、いじめによって苦しむ2人の内面と現実社会の苦しさを象徴的に表現しています。「本当の自分とは何か」を考えさせられる、読者の心に深く刺さる作品です。
第4位 か「」く「」し「」ご「」と「
高校生の男女5人の甘酸っぱくも爽やかな日常を描いた青春ミステリー小説です。特殊な設定と繊細な心理描写が魅力の作品で、漫画化もされています。
クラスメイトの5人は、それぞれが人の心に関わる少し不思議な力を隠し持っています。5人の関係を揺るがす謎が、それぞれの「かくしごと」によって、もどかしい想いとともに明らかになっていきます。
高校生の複雑で繊細な心情を、不思議な力というファンタジー要素とともに巧みに描いた本作は、清涼感あふれる青春小説として多くの読者から支持されています。
第5位 青くて痛くて脆い
住野よる自身が「現時点での最高傑作」と表現した青春サスペンス小説です。初めて大学生を主人公にした作品で、2020年に映画化もされました。
「人に不用意に近づきすぎないこと」をモットーにしていた大学1年生の楓は、空気の読めない発言で周囲から浮いている秋好寿乃と出会います。彼女の理想と情熱に感化された楓は、秋好と2人で秘密結社「モアイ」を作りますが、3年後、秋好を失った楓は彼女がついた嘘の真相に向き合うことになります。
社会人になる直前の大学生が理想と現実の間で葛藤し、傷つく様子をリアルに描いた本作は、タイトルどおり「青くて痛くて脆い」青春の姿を鮮やかに切り取っています。
第6位 麦本三歩の好きなもの
住野よる初のシリーズ作品第1作目で、「住野よる史上一番キュートな主人公」と評される麦本三歩を主人公にした12編の短編からなる連作短編集です。
大学図書館で勤務する麦本三歩は、朝寝坊とチーズ蒸しパンと本が好きな20代女子。周囲からは「ぼうっとしている」「おっちょこちょい」などと言われており、少し抜けたところが魅力的な人物です。
自分の「好き」を大切にする三歩を通して、ありふれた日常に潜む幸せに気づかせてくれる作品です。忙しい日々の中で心が落ち着く、あたたかな日常小説として読者から愛されています。
第7位 腹を割ったら血が出るだけさ
住野よるが初めて手掛けた青春群像劇で、「住野よるが拓いた新境地」と評される作品です。
友達や恋人に囲まれ充実した日々を送っているように見える女子高生・茜寧は、誰かから「愛されたい」という感情に囚われ、偽りの自分を演じ続けていました。そんな彼女の心の拠り所は、自分そっくりの主人公が描かれた小説を読むこと。ある日、茜寧はその小説の登場人物「あい」にそっくりな風貌と性格の人物と出会います。
様々な立場の人々の人生が交差する本作は、住野よるの作家としての新たな挑戦を感じさせる作品として注目を集めています。
第8位 この気持ちもいつか忘れる
住野よるとロックバンド・THE BACK HORNがコラボした長編小説で、「小説×音楽の境界を超える、新感覚コラボ」と謳われる作品です。住野よる初の恋愛長編小説としても注目されました。
退屈な日常に飽き飽きと生きる高校生・カヤと、深夜のバス停で出会った爪と目だけしか見えない異世界の少女・チカの交流を描いています。作中に登場する曲が実際にリリースされているなど、小説と音楽の関連性を直に体感できるのが本作の魅力です。
普段あまり小説を読まない方にも、音楽を通して新しい物語体験ができる意欲作として推薦できます。
第9位 麦本三歩の好きなもの 第二集
「麦本三歩の好きなもの」シリーズの第二弾です。引き続き、大学図書館で働く麦本三歩の日常を描いた短編集となっています。
第一集に引き続き、三歩の「好き」を中心に物語が展開され、周囲の人々との関わりの中で見つける小さな幸せや発見が描かれています。三歩の少しずつの成長も垣間見ることができ、シリーズを通して読む楽しさもあります。
穏やかな日常に癒やされたい方におすすめの一冊です。
第10位 行きたくない
6人の作家によるオムニバス小説集の一つとして、住野よるが短編を寄稿した作品です。様々な「行きたくない」をテーマに、それぞれの作家が個性豊かな物語を描いています。
住野よるの筆による短編も、独特の世界観と心理描写で読者を引き込みます。「行きたくない」という言葉が持つネガティブな印象だけでなく、その言葉の奥にある感情や思いを丁寧に描き出しています。
複数の作家の作品を一度に楽しめるという点でも、住野よる作品の入門編としてもおすすめです。
おわりに
住野よるの小説は、思春期の繊細な心情やリアルな人間関係を描きながらも、ちょっとしたファンタジー要素を取り入れた独特の世界観が魅力です。デビュー作『君の膵臓をたべたい』から最新作まで、一貫して「人と人との繋がり」や「生きることの意味」を問いかける作品を生み出し続けています。
文体が平易で読みやすく、小説を読み慣れていない方でも入りやすいのも特徴です。初めて住野よる作品を読む方は、本ランキングを参考に自分の興味に合った作品から手に取ってみてください。