皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
「クトゥルフ神話」という言葉を、小説やゲーム、アニメなどで一度は耳にしたことがあるかもしれません。これは、20世紀初頭にアメリカのホラー作家H・P・ラヴクラフトが生み出した、架空の神話体系です。彼と友人作家たちが、互いの作品に共通の神々や地名、魔導書などを登場させ、一つの巨大な世界観を創り上げました。
物語に共通するテーマは、はるか太古に地球を支配していた強大な力を持つ「旧支配者」たちが、現代に蘇ろうとするのを描くというもの。この神話体系の名前は、代表的な旧支配者の一柱で、太平洋の海底都市ルルイエで眠っているとされる「クトゥルフ」が登場する、ラヴクラフトの小説『クトゥルーの呼び声』に由来しています。
クトゥルフ神話最大の魅力は、ラヴクラフトが提唱した「宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)」という概念にあります。これは、広大で無慈悲な宇宙において、人類の価値観や常識は全く意味をなさず、人知を超えた圧倒的な存在の前ではただ無力である、という恐怖です。幽霊や吸血鬼といった人間的な恐怖とは一線を画す、底知れない絶望感が多くのクリエイターやファンを惹きつけてやみません。
知れば知るほど人間のちっぽけさを感じる世界観が魅力だよ。登場人物たちの絶望を、ぜひ味わってみてほしいな。
ここからは、クトゥルフ神話の世界に足を踏み入れたいあなたへ贈る、おすすめ小説ランキングTOP30をご紹介します。創始者ラヴクラフトの原典から、日本の作家による個性豊かな作品まで、幅広く選びました。
「宇宙的恐怖」の神髄に触れるもよし、新たな解釈で描かれる邪神たちの物語に驚くもよし。このランキングを参考に、あなただけの特別な一冊を見つけて、名状しがたい恐怖と興奮の世界へ旅立ってみませんか?
クトゥルフ神話の全てはここから始まったと言っても過言ではない、記念碑的な一作です。主人公フランシス・ウェイランド・サーストンが、亡き大叔父の遺した奇妙な書類を調査するところから物語は始まります。その中には、芸術家たちを狂わせる謎の悪夢や、不気味な偶像、そしてルイジアナの沼地で行われた狂気の儀式の記録が残されていました。
断片的な情報が一つに繋がるにつれて、読者は太平洋の海底に眠る古代都市「ルルイエ」と、そこに封印されし邪神「クトゥルフ」の存在へと導かれます。直接的な恐怖描写よりも、じわじわと真実に近づく過程で、人知を超えた存在に触れてしまったことへの言い知れぬ恐怖が巧みに描かれています。クトゥルフ神話の入門書として、まず最初に読むべき作品です。
本作における「知りすぎてしまった」が故の恐怖の構造は、クトゥルフ神話の根幹を成していると言えるだろう。この手法は後世の多くの作品に影響を与えている。
マサチューセッツ州に実在する町をモデルにした、閉鎖的な港町「インスマス」が舞台の物語。歴史好きな青年である主人公が、好奇心からこの寂れた町を訪れたことで、忌まわしい秘密に触れてしまいます。住民たちの異様な容貌、そして彼らが崇める謎の「ダゴン秘密教団」。町の歴史を調べるうち、主人公はインスマスの人々が海底の住人「深きものども」と交わした恐るべき契約の真相にたどり着きます。
逃げ場のない町でじわじわと追い詰められるサスペンスと、クライマックスのパニック的な逃走劇は手に汗握る展開です。そして、物語の最後に明かされる衝撃の結末は、クトゥルフ神話ならではの「宇宙的恐怖」を見事に体現しており、読者に深い印象を残します。ラヴクラフトが生前に唯一単行本として出版された作品としても知られています。
この閉塞感と生理的な嫌悪感はすごいよ…。読み終わった後、自分の血筋を疑っちゃうかもしれないね。
南極探検隊が発見した、既知のどんな山脈よりも高い「狂気の山脈」。そこで彼らが見たものは、人類の歴史をはるかに超える、驚愕の光景でした。この物語は、探検隊の生き残りである地質学者の手記という形で語られます。彼は、南極大陸でこれから行われようとしている新たな探検を、何としてでも阻止するためにこの記録を書き残したのです。
探検隊は、山脈の奥で太古の昔に地球を支配していた知的生命体「古のもの」が築いた巨大な都市遺跡を発見します。そして、彼らが遺した壁画から、地球の驚くべき先史時代と、「古のもの」を創造し、そして滅ぼしたさらに恐るべき存在の歴史を知ることに。壮大なスケールで描かれるSFホラーの傑作であり、クトゥルフ神話の世界観の広がりを実感できる一作です。
人類史がいかに矮小なものであるかを突きつけられる。この圧倒的なスケール感と、そこに横たわる無機質な恐怖こそが、本作の真髄である。
マサチューセッツ州の寂れた村「ダンウィッチ」を舞台に、ある忌まわしい一族の物語が描かれます。ウェイトリー家で生まれたウィルバーは、異常な速さで成長し、村人たちから恐れられていました。彼は、人ならざる父親から受け継いだ知識を使い、世界を破滅に導く恐ろしい計画を実行しようとします。
物語の中心となるのは、禁断の魔導書「ネクロノミコン」を巡る攻防です。ウィルバーは、ミスカトニック大学の図書館に所蔵されているネクロノミコンを狙い、司書のアーミテージ博士と対峙します。本作の魅力は、目に見えない怪物が引き起こす恐怖。怪物が暴れ回るシーンの描写は、読者の想像力を掻き立て、言い知れぬ不気味さを感じさせます。
見えないって、こんなに怖いことなんだね…。姿がわからないからこそ、想像が膨らんでしまうよ。
ラヴクラフトの初期の短編の中でも、特にゴシックホラーの色合いが濃い作品です。物語は、光の届かない古城で孤独に育った「私」の一人称で語られます。彼は自分の姿を見たことがなく、ただひたすらに光の世界へ出ることを夢見ていました。
ある日、ついに城の高い塔を登り、外の世界へと脱出した「私」。しかし、彼がたどり着いた先で見たのは、人々が恐怖に叫び逃げ惑う姿でした。そして、最後に彼が鏡のようなものに映った自分の姿を見たとき、あまりにも残酷で悲しい真実が明らかになります。短いながらも、孤独と絶望、そして自己認識の恐怖を描いた傑作です。
これは…切なすぎるよ。自分の正体を知った時の絶望を思うと、胸が張り裂けそうだよ…。
ミスカトニック大学の教授ナサニエル・ウィンゲイト・ピーズリーは、ある日突然、5年間の記憶を失ってしまいます。回復後、彼は自分がその5年間、全くの別人格として行動し、誰も知らないはずの太古の歴史や奇妙な知識を語っていたことを知ります。そして、彼は毎晩のように、巨大な円錐形の生物となって、異様な建築物が立ち並ぶ都市を歩き回る夢に悩まされるようになります。
この作品は、「精神交換」をテーマにした壮大なSFホラーです。ピーズリー教授の精神は、はるか太古に栄えた「イスの偉大なる種族」によって、彼らの時代へと飛ばされていたのです。時空を超えた知的生命体との接触と、それによってもたらされる自己喪失の恐怖を描いた、ラヴクラフト後期の傑作の一つです。
自分の知らない間に、体が乗っ取られてたなんて怖すぎるよね。でも、太古の文明を見てみたい気もするかな…。
クトゥルフ神話の中でも異色の、ファンタジー小説のような趣を持つ長編です。主人公のランドルフ・カーターは、夢の中に現れる壮麗な「日没の都」を現実に探し求め、「ドリームランド」と呼ばれる夢の世界へと旅立ちます。そこは、現実世界とは異なる法則で動く、幻想的かつ危険な世界でした。
カーターは、猫の軍隊や食屍鬼(グール)といった奇妙な生き物たちの助けを借りながら、神々が住まうという「未知なるカダス」を目指します。本作には、ニャルラトホテプなど、他のクトゥルフ神話作品でおなじみの神々も登場しますが、その役割はホラーというよりもファンタジーの登場人物に近いです。壮大な冒険譚として楽しめる、ユニークな一作です。
夢の世界を冒険するなんて、わくわくするよね!わたしも猫の軍隊と一緒に旅してみたいなあ。
ラヴクラフト亡き後のクトゥルフ神話を牽引したイギリスの作家、ブライアン・ラムレイによる作品です。ラヴクラフトの「宇宙的恐怖」とは一味違い、邪神や怪物と戦うヒロイック・ファンタジー、あるいは剣と魔法の物語といった要素が強いのが特徴です。
この物語は、クトゥルフ神話における「旧神」と「旧支配者」の戦いを壮大なスケールで描いています。特に、旧神の中でも最強と謳われる「クタニド」の活躍は圧巻です。ラヴクラフトの世界観を基に、エンターテイメント性を高めた作風は、クトゥルフ神話の新たな可能性を示しました。
邪神と戦うヒーロー、かっこいいよね!絶望だけじゃないクトゥルフ神話も、とっても魅力的だよ。
日本の伝奇小説・SF小説の大家、栗本薫がクトゥルフ神話に挑んだ大長編シリーズです。日本の神話や歴史上の人物たちが、クトゥルフ神話の邪神たちと壮絶な戦いを繰り広げるという、まさに伝奇ロマンの真骨頂と言える作品です。
物語は、クトゥルフの復活を阻止するために、日本中から超能力者や異能の力を持つ者たちが集結するところから始まります。日本武尊(ヤマトタケルノミコト)や安倍晴明といった英雄たちが、クトゥルフやヨグ=ソトースといった強大な邪神に立ち向かう姿は圧巻の一言。日本の読者にとって馴染み深い要素が満載で、クトゥルフ神話の入門としても楽しめます。
日本の神様や英雄がクトゥルフの神々と戦うなんて、胸が熱くなる展開だね。どっちが勝つか、はらはらしちゃうよ。
日本の伝奇バイオレンス小説の第一人者、菊地秀行による異色のクトゥルフ神話小説です。主人公は、絶世の美貌を持つが、その正体はクトゥルフ神話の神々を喰らうというとんでもない存在、内原富手(うちはらとみて)。彼は、最高の食材(=神々)を求めて、様々な事件に首を突っ込んでいきます。
恐るべき邪神たちが、主人公にとってはただの「食材」でしかないという斬新な設定が魅力です。グロテスクでバイオレンスな描写も多いですが、それ以上に富手の圧倒的な存在感と、美食家としての奇妙な哲学が読者を惹きつけます。恐怖の対象であるはずの神々が、なすすべもなく喰われていく様は、ある種の爽快感すら感じさせます。
恐怖の象徴たる神格を「食」の対象として描くという発想は、既存の価値観を転覆させる試みであり、極めて独創的と言わざるを得ない。
脚本家としても知られる小中千昭による、現代日本を舞台にしたクトゥルフ神話短編集です。ごく普通の日常に、じわりと這い寄ってくる宇宙的恐怖の影が、巧みな筆致で描かれています。派手な怪物や戦闘シーンはなく、静かで陰鬱な雰囲気が全編を支配しています。
収録作の中でも特に評価が高いのが、クトゥルフ神話をモチーフにした特撮番組を巡る物語。子供の頃に見た番組の記憶が、大人になった主人公の日常を少しずつ侵食していきます。現実にありえそうな設定だからこそ感じられる、リアルな恐怖がこの作品の持ち味です。
日常が壊れていく感じが、すごく怖い…。もしかしたら、わたしたちの世界も、もう侵食されているのかもしれないね。
この作品は、クトゥルフ神話の世界観をベースにしたテーブルトークRPG(TRPG)の面白さを小説形式で表現した一冊です。TRPGとは、プレイヤーがキャラクターになりきって、会話とサイコロの結果で物語を進めていくゲームのこと。本作では、個性豊かな探索者(プレイヤーキャラクター)たちが、邪神が引き起こす怪事件に挑む様子が生き生きと描かれています。
神話的事象に立ち向かう恐怖や絶望だけでなく、仲間との協力や、絶体絶命のピンチを切り抜けるカタルシスなど、TRPGならではの魅力が詰まっています。クトゥルフ神話TRPGに興味があるけれど、ルールブックを読むのは難しそう…と感じている人にとって、最高の入門書となるでしょう。
みんなで協力して謎を解くのって楽しそう!わたしも探索者になって、事件に挑戦してみたいな。
「いつもニコニコあなたの隣に這いよる混沌、ニャルラトホテプです♪」というキャッチーな台詞で一世を風靡した、クトゥルフ神話を大胆にパロディしたライトノベルです。主人公の高校生・八坂真尋の前に、ある日突然現れた銀髪の美少女。彼女こそ、千の貌を持つ邪神ニャルラトホテプだったのです。
原作の恐ろしいイメージとはかけ離れた、ハイテンションで可愛いニャル子(ニャルラトホテプ)が、真尋を狙う宇宙人や邪神たちとドタバタの戦いを繰り広げます。クトゥルフ神話の固有名詞や設定が小ネタとしてふんだんに盛り込まれており、元ネタを知っているとより一層楽しめます。恐怖とは無縁の、明るく楽しいクトゥルフ神話として、新たなファン層を開拓した作品です。
こんなにかわいい邪神なら、這いよられても大歓迎だよね!元ネタの神様とのギャップが面白すぎるよ!
もし、H・P・ラヴクラフトが現代日本に美少女として転生したら?という奇想天外な設定で描かれるライトノベルです。主人公は、ラヴクラフトの生まれ変わりである女子高生、恋蔵さん。彼女は、前世で書き残した未完の物語(=クトゥルフ神話)を完成させるため、自らが生み出した邪神たちを呼び出し、戦いを挑みます。
クトゥルフやナイアルラトホテップといったお馴染みの神々が、個性豊かなキャラクターとして登場し、恋蔵さんと奇妙な学園生活を繰り広げます。コメディタッチで描かれつつも、ラヴクラフト本人の孤独や苦悩にも触れており、原作へのリスペクトが感じられる作品です。
ラヴクラフトが女子高生だなんて、面白いこと考えるよね。自分の作ったキャラクターと戦うって、どんな気持ちなのかな?
元々はPCゲームとして発売され、その熱いストーリーと魅力的なキャラクターで絶大な人気を博した作品のノベライズ版です。物語の舞台は、魔術と科学が混在する都市アーカムシティ。主人公の私立探偵、大十字九郎は、最強の魔導書「アル・アジフ」と出会い、巨大ロボット「デモンベイン」を駆って、邪神や魔術師たちと戦うことになります。
クトゥルフ神話をベースに、ロボットアクション、魔術バトル、伝奇ロマンといった要素を詰め込んだ、まさに「全部乗せ」のエンターテイメント作品です。絶望的な状況でも決して諦めない主人公たちの熱い魂の叫びは、多くのファンの心を掴みました。「燃える」クトゥルフ神話を読みたいなら、この作品は外せません。
邪神とロボットが戦うなんて、最高に熱いじゃないか!わたしもデモンベインに乗ってみたいよ!
古書店を舞台にした、ミステリ風味のクトゥルフ神話小説です。主人公は、古書店でアルバイトをする大学生。彼は、店主の飼っている黒猫が、実はH・P・ラヴクラフトの愛猫の生まれ変わりであり、人語を話す不思議な存在であることを知ります。黒猫は、ラヴクラフトから直接聞いたという、彼の作品にまつわる秘密や、クトゥルフ神話の裏話を語り始めます。
ラヴクラフトの生涯や作品が、黒猫の視点を通して語られるというユニークな構成が魅力です。クトゥルフ神話の知識が深まるだけでなく、一人の作家としてのラヴクラフトの人物像にも迫ることができます。クトゥルフ神話をもっと深く知りたい、という知的好奇心を満たしてくれる一冊です。
ラヴクラフトの猫がおしゃべりするなんて、夢があるよね。作家の裏話って、すごく興味深いなあ。
クトゥルフ神話TRPGの著名なクリエイターである内山靖二郎氏が手掛けた、リプレイ(TRPGのプレイ記録を読み物にしたもの)形式の小説です。舞台は、とある高校のゲーム部。部員たちは、自作のTRPG「クトゥルフ神話RPG」をプレイするうちに、ゲームの世界と現実がリンクしていることに気づき、恐ろしい事件に巻き込まれていきます。
TRPGのルールや雰囲気が非常に分かりやすく解説されており、プレイヤーたちの会話も軽快で読みやすいのが特徴です。ゲームならではのハプニングや、プレイヤーたちの機転の利いたアイデアが、物語を思わぬ方向へと導いていきます。TRPGのライブ感と、クトゥルフ神話の恐怖が融合した、新感覚の作品です。
自分たちが作ったゲームが現実になるなんて、ちょっと怖いけど面白そう!どんな展開になるか、ドキドキしちゃうね。
大地震によって外界から隔絶され、人間と魔物(モンスター)が共存する無法地帯となった「新宿」を舞台にした、長大な人気シリーズです。このシリーズ全体がクトゥルフ神話を直接扱っているわけではありませんが、作中にはクトゥルフ神話を彷彿とさせる邪神や怪物が多数登場し、物語に深みを与えています。
主人公の秋せつらは、美貌の青年でありながら、底知れない力を持つ謎の人物。彼は、魔界都市・新宿で起こる様々な怪事件を解決していきます。ハードボイルドな雰囲気と、バイオレンス描写、そして時折顔をのぞかせる宇宙的恐怖の片鱗が、独特の世界観を構築しています。
人間と魔物が一緒に暮らす街って、どんな感じなんだろう?危険だけど、ちょっと覗いてみたい気もするね。
日本のクトゥルフ神話作家の草分け的存在である原田宇陀児による短編集です。ラヴクラフトの世界観を忠実に受け継ぎながらも、日本の風土や文化を巧みに取り入れた作風が特徴です。表題作「風に乗りて歩むもの」は、風の邪神イタカの恐怖を描いた作品で、雪深い山村を舞台にした閉鎖的な雰囲気が、言い知れぬ恐怖を醸し出しています。
派手さはありませんが、じわじわと精神を蝕むような静かな恐怖を描かせたら随一の作家です。日本の原風景の中に、ふと現れる異質な存在の気配。その絶妙なバランス感覚が、読者をクトゥルフ神話の世界へと引き込みます。
静寂の中に潜む恐怖というものは、時として派手な演出よりも深く心に刻まれる。本作は、そのことを如実に示している。
地方の寂れた村を舞台に、古くから伝わる奇妙な風習と、それに隠された恐るべき秘密を描いた和風ホラー小説です。主人公は、民俗学を学ぶ大学生。彼は、卒論のテーマとして「かんづかさ」と呼ばれる謎の儀式を調査するために、その村を訪れます。
村人たちの閉鎖的な態度や、不可解な言動に戸惑いながらも、調査を進める主人公。やがて彼は、その儀式がクトゥルフ神話に登場するある邪神を祀るためのものであり、村全体が狂気に支配されていることを知ります。日本の土着信仰とクトゥルフ神話が見事に融合した、粘りつくような恐怖が味わえる一作です。
日本の田舎の雰囲気って、それだけでちょっと怖いよね…。そこにクトゥルフ神話が絡んでくるなんて、もう逃げられないよ。
ボストンに住む天才的な怪奇画家、リチャード・アプトン・ピックマン。彼の描く絵は、あまりにもリアルで冒涜的なため、美術界から追放されてしまいます。物語は、ピックマンの友人であった語り手が、彼と絶交するに至った恐ろしい体験を告白するという形式で進みます。
語り手は、ピックマンのアトリエで、彼の絵のモデルが単なる想像力の産物ではないことを示す、決定的な証拠を目にしてしまいます。芸術と狂気、そして現実と虚構の境界線が曖昧になっていく恐怖を描いた短編です。ピックマンが生み出す、冒涜的なアートの世界観に引き込まれます。
芸術が現実を侵食する恐怖。創作物だと思っていたものが、実は本物だったと知った時の衝撃は計り知れない。
ブライアン・ラムレイが生み出した、クトゥルフ神話と戦うオカルティスト(神秘学者)、タイタス・クロウを主人公にしたシリーズです。ラヴクラフトの作品では、人間は邪神の前に無力な存在として描かれることが多いですが、このシリーズの主人公は違います。豊富な知識と魔術、そして強力な仲間たちの力を借りて、敢然と邪神に立ち向かうのです。
シャーロック・ホームズのような探偵小説の要素と、クトゥルフ神話のオカルト要素が融合した作風が特徴です。邪神の脅威に怯えるだけでなく、それに立ち向かう人間の強さや可能性を描いた、ヒロイックな物語が好きな人におすすめです。
邪神にだって勝てるんだ!って思わせてくれるよね。タイタス・クロウみたいな頼れる仲間がいたら、心強いなあ。
日本のクトゥルフ神話の第一人者、朝松健による壮大なスケールのシリーズです。第二次世界大戦下のヨーロッパを舞台に、ナチス・ドイツがオカルトの力を利用して邪神を復活させ、世界を支配しようと企むという、歴史IFの物語です。
ナチスの野望を阻止するために、連合国側の魔術師やスパイたちが立ち向かいます。史実とフィクションが巧みに織り交ぜられており、歴史の裏で繰り広げられる魔術師たちの秘密戦争という設定に、心をくすぐられる読者も多いでしょう。クトゥルフ神話とミリタリー、スパイ小説の要素が融合した、エンターテイメント大作です。
歴史の裏側でこんな戦いがあったなんて、想像するとわくわくするね。クトゥルフ神話と歴史の組み合わせは、ロマンがあるなあ。
人気ゲーム実況者グループ「いい大人達」と、クトゥルフ神話TRPGのクリエイター坂東真紅郎がタッグを組んだ、ユニークな作品です。物語は、ゲーム実況グループが、動画の企画で軽い気持ちで邪神召喚の儀式を行ったところ、本物の怪異を呼び出してしまうという、現代的な設定から始まります。
コメディタッチで物語は進みますが、徐々に本格的なクトゥルフ神話の恐怖が顔をのぞかせます。動画配信やSNSといった現代的なツールが、恐怖を拡散させる装置として機能する描写は、非常にリアルで現代的です。軽快な読み口で、クトゥルフ神話の「現代的な恐怖」を味わうことができます。
動画のネタで邪神を呼んじゃうなんて、無謀すぎるよ!でも、ちょっと見てみたい気もするから、わたしも同罪かな…。
クトゥルフ神話に登場する最も有名な魔導書「ネクロノミコン」の著者である、狂えるアラブ人アブドゥル・アルハザード。この小説は、彼の生涯と、彼が「ネクロノミコン」を書き上げるに至った経緯を描いた作品です。
若き日のアルハザードが、いかにして禁断の知識に触れ、人ならざるものたちの真実を知ってしまったのか。そして、その知識が彼をどのように狂気へと導いていったのかが、壮大な冒険譚として語られます。クトゥルフ神話の根幹に関わる謎に迫る物語であり、神話体系をより深く理解したいファンにとっては必読の一冊と言えるでしょう。
あの有名な「ネクロノミコン」がどうやって生まれたのか、すごく気になるよね。禁断の知識って、やっぱり魅力的な響きだなあ。
ラヴクラフト亡き後、クトゥルフ神話の体系化と普及に貢献した作家の一人、リン・カーターによる作品です。このシリーズは、魔術師であり探偵でもあるリン・カーターが、クトゥルフ神話絡みの奇怪な事件に挑むという、オカルト・ミステリーです。
カーターは、豊富な魔術の知識を駆使して、邪神の眷属や悪徳魔術師と対決します。ラヴクラフトの作品とは異なり、人間が魔術という対抗手段を持っているため、よりエンターテイメント性の高い作風になっています。クトゥルフ神話の世界で、謎解きや魔術バトルを楽しみたい人におすすめです。
魔術で邪神と戦うなんて、かっこいい!ミステリー仕立てだから、謎が解けた時のすっきり感も味わえそうだね。
イギリスを代表するホラー作家、ラムジー・キャンベルによるクトゥルフ神話短編集です。キャンベルの作風は、直接的な恐怖描写よりも、登場人物の心理にじわじわと迫るような、内面的な恐怖を描くのが特徴です。日常に潜む些細な違和感が、やがて取り返しのつかない恐怖へと変貌していく過程は、まさに悪夢のようです。
彼の作り出した邪神「グラーキ」や、架空の都市「セヴァンフォード」は、その独創性と完成度の高さから、後のクトゥルフ神話体系に大きな影響を与えました。ラヴクラフトとはまた違った、陰鬱で心理的な恐怖を味わいたい上級者向けの作品です。
外面的な恐怖よりも、内面から崩壊していく恐怖の方が、より根源的であるのかもしれない。本作は、その事実を突きつけてくる。
映画『サイコ』の原作者としても知られるロバート・ブロックは、若い頃からラヴクラフトと文通を交わし、クトゥルフ神話の世界を広げた重要な作家の一人です。この短編集には、彼の初期のクトゥルフ神話作品が収められています。
表題作「貌の無い神」は、エジプトを舞台に、貌(かお)を持たない神ニャルラトホテプの恐怖を描いた作品です。古代遺跡の謎や、禁断の秘宝を巡る冒険譚といった、パルプ・フィクションらしいエンターテイメント性に溢れています。ラヴクラフトへの深い敬愛と、ブロック独自のサービス精神が融合した、楽しい作品集です。
エジプトの遺跡で冒険なんて、わくわくするシチュエーションだね!ニャルラトホテプは色々な姿を持つ神様だけど、貌が無いっていうのも不気味でいいね。
ラヴクラフトの死後、彼の作品を出版するために出版社「アーカムハウス」を設立し、クトゥルフ神話の体系化に最も貢献したのがオーガスト・ダーレスです。この作品は、ダーレスがラヴクラフトの遺した創作ノートの断片を基に書き上げた、連作短編集です。
ダーレスは、ラヴクラフトの「宇宙的恐怖」の世界に、「旧神」と「旧支配者」の善悪二元論的な対立という、分かりやすい構図を持ち込みました。この設定は、一部のファンからは批判も受けましたが、クトゥルフ神話がより多くの読者に受け入れられるきっかけとなったことも事実です。神話の「解釈」の一つとして、読んでおく価値のある重要な作品です。
ダーレスがいなかったら、クトゥルフ神話は今ほど広まっていなかったかもしれないんだ。ラヴクラフトの混沌とした世界を、分かりやすく整理してくれたんだね。
この作品も、ラヴクラフトが遺した未完の草稿を、オーガスト・ダーレスが補作して完成させた長編小説です。物語は、ラヴクラフト作品でお馴染みの町「アーカム」を舞台に、忌まわしい一族の末裔が、邪神を復活させるための「暗黒の儀式」を執り行おうとするのを、ミスカトニック大学の教授たちが阻止しようと奮闘する姿を描きます。
ラヴクラフトの陰鬱で重厚な雰囲気と、ダーレスのエンターテイメント性の高い作風が融合した、独特の読み味が特徴です。二人の偉大な作家の共作として、クトゥルフ神話の歴史を感じることができる一冊です。
ラヴクラフトのアイデアを、ダーレスが形にした作品なんだね。二人の才能が合わさって、どんな物語が生まれたのか、すごく興味深いよ。
クトゥルフ神話小説のおすすめランキング、いかがでしたでしょうか?創始者ラヴクラフトによる原点の恐怖から、後の作家たちによる多種多様な解釈やパスティーシュまで、その世界の広大さを感じていただけたなら幸いです。
クトゥルフ神話の魅力は、ひとつの決まった「正解」がないところにあります。作家それぞれが独自の解釈で神話の世界を広げ、読者もまた、自らの想像力でその恐怖を補完していくのです。今回ご紹介した作品をきっかけに、ぜひあなただけの「お気に入り」を見つけて、底知れぬ宇宙的恐怖の深淵を覗き込んでみてください。