【2025年最新】短編集のおすすめ小説ランキングTOP38

短編小説の魅力とは？スキマ時間で読書の世界を広げよう

長編小説はじっくり腰を据えて読むイメージがありますが、短編小説にはまた違った魅力がたくさんあります。短い物語だからこそ、読書の世界を手軽に、そして深く楽しむことができるんです。

最大の魅力は、なんといっても短い時間でサクッと読み終えられること。 通勤中の電車や、ちょっとした休憩時間など、スキマ時間を使って一つの物語を完結まで味わえます。 忙しくてなかなか読書の時間が取れないという方でも、短編なら気軽に始められますよ。

また、一冊の短編集には複数の物語が収録されているため、一冊で様々な世界観や異なる作家の作風に触れられるのも大きなメリットです。 まるで美味しいお菓子が色々詰まったアソートボックスのようで、お得感も満載。読書初心者の方が、自分の好きな作家やジャンルを見つけるきっかけにもぴったりです。

短編集のおすすめ小説ランキングTOP38

ここからは、小説専門メディア『小説ヨミタイ』が厳選した、おすすめの短編集をランキング形式でご紹介します！

ミステリー、恋愛、SF、心温まる物語まで、様々なジャンルの傑作を集めました。きっとあなたの心に響く、お気に入りの一冊が見つかるはずです。ぜひ、本選びの参考にしてみてくださいね。

1位: 『＃真相をお話しします』 結城真一郎

現代社会の闇を鋭く切り取った、5編のミステリーが収録された短編集です。動画配信サイトやマッチングアプリ、リモート会議といった、私たちの身近にあるツールが物語の重要なカギを握っています。

どの物語も巧みな伏線と驚きのどんでん返しが仕掛けられており、読み進める手が止まらなくなること間違いなし。SNS社会の光と影、人間の隠された本性が巧みに描かれ、読後には背筋がゾッとするような感覚を味わえます。ミステリー好きなら絶対に読んでおきたい一冊です。

2位: 『満願』 米澤穂信

人間の心の奥底に潜む闇や願望をテーマにした、6編のミステリー短編集です。第27回山本周五郎賞を受賞し、「ミステリが読みたい！」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい！」の国内主要ミステリーランキングで三冠を達成したことでも話題となりました。

収録作はどれも一級品で、読み終わった後にジワリと広がるイヤな後味、いわゆる「イヤミス」の傑作として知られています。人の心の脆さや恐ろしさが見事に描かれており、ミステリーファンならずとも引き込まれることでしょう。

3位: 『アイネクライネナハトムジーク』 伊坂幸太郎

シンガーソングライターの斉藤和義からの依頼がきっかけで生まれた、6編からなる連作短編集です。 個々の物語が独立しているようで、実は登場人物たちが少しずつリンクしており、読み進めるうちに壮大な人間関係のパズルが完成していく構成が見事です。

物語のテーマは「出会い」。 劇的な出会いを果たしたカップルや、その周りの人々が織りなす10年間の物語が、伊坂幸太郎らしい軽快な筆致で描かれています。 心温まる奇跡の連鎖に、読後は爽やかな感動に包まれるでしょう。2019年には三浦春馬さん主演で映画化もされました。

4位: 『ボッコちゃん』 星新一

「ショートショートの神様」と称される星新一の作品の中でも、特に人気の高い50編が収録された一冊です。人工知能を搭載した美人ロボット「ボッコちゃん」が働くバーで巻き起こる騒動を描いた表題作をはじめ、ブラックユーモアと鋭い風刺に満ちた物語が満載です。

どの作品も数ページで完結するため、読書が苦手な方でも気軽に楽しめます。短さの中に凝縮された奇抜なアイデアと、ゾッとするような結末は一度読んだら忘れられません。世代を超えて愛される、SF短編集の金字塔です。

5位: 『儚い羊たちの祝宴』 米澤穂信

上流階級の読書サークル「バベルの会」に集う人々やその一族にまつわる、邪悪で甘美な5つの事件を描いた暗黒ミステリーの連作短編集です。 閉鎖的な名家や、秘密を抱えたお嬢様、陰のある屋敷といったゴシックな世界観が好きな方にはたまらない一冊でしょう。

物語は静かに、そして美しく進行しますが、ラストの一行で世界が反転するような衝撃が待っています。 米澤穂信のダークな一面が存分に発揮された作品で、その独特の恐怖と美しさに魅了される読者が後を絶ちません。

6位: 『シャイロックの子供たち』 池井戸潤

東京第一銀行の小さな支店で起きた、現金紛失事件をきっかけに、行員たちの様々な人間模様が浮かび上がる連作短編集です。池井戸潤作品の原点とも言われ、銀行という組織の内部で働く人々の葛藤や秘密がリアルに描かれています。

物語は、それぞれの行員の視点で語られ、一つの事件が多角的に見えてくる構成になっています。「やられたら、倍返し」だけではない、人間の弱さややるせなさが描かれており、読者は誰かに感情移入しながら読み進めることになるでしょう。2022年にテレビドラマ化、2023年には映画化もされた人気作です。

7位: 『鉄道員（ぽっぽや）』 浅田次郎

第117回直木賞を受賞した表題作を含む、珠玉の短編集です。 北海道の廃線間近なローカル線の駅長として、鉄道一筋の人生を歩んできた男の姿を描いた「鉄道員（ぽっぽや）」は、多くの人の涙を誘いました。

高倉健さん主演で映画化もされ、大きな話題となったこの作品は、不器用ながらも実直に生きる男の人生と、ファンタジックな奇跡が感動的に描かれています。 家族を愛し、仕事を愛し抜いた一人の男の生き様は、忘れかけていた大切な何かを思い出させてくれるでしょう。

8位: 『ZOO』 乙一

「白乙一」と「黒乙一」と呼ばれる、著者の二つの側面が存分に楽しめる短編集です。切ない物語から、残酷でグロテスクな物語まで、多彩なジャンルの10編が収録されています。

どの作品も乙一ならではの独創的なアイデアと、予想を裏切る鮮やかな結末が光ります。一編一編が全く異なるテイストなので、ページをめくるたびに新しい世界に引き込まれるでしょう。ホラー、サスペンス、ファンタジー、感動系など、様々な物語を一度に味わいたい欲張りなあなたにおすすめの一冊です。

9位: 『短編工場』 集英社文庫編集部

伊坂幸太郎、三浦しをん、恩田陸、角田光代といった現代を代表する人気作家たちの短編が一堂に会した、非常に贅沢なアンソロジーです。集英社文庫の様々なフェアや企画で書き下ろされた作品が集められています。

この一冊で多彩な作家陣の個性豊かな世界観に触れることができるのが最大の魅力。ミステリー、恋愛、ファンタジーなど、ジャンルも様々で、まるで文学のフルコースを味わっているかのような満足感を得られます。まだ読んだことのない作家と出会うきっかけにも最適な一冊です。

10位: 『光の帝国 常野物語』 恩田陸

膨大な量の本を記憶し、遠くの出来事を知るなど、不思議な能力を持つ「常野（とこの）」の人々を描いた連作短編集です。彼らはその能力を隠し、普通の人間として静かに暮らしています。

物語は、彼らの持つ穏やかでどこか懐かしい雰囲気と、切ない運命が幻想的に描かれています。派手な出来事は起こりませんが、心にじんわりと染み渡るような優しさと感動に満ちています。読後は、温かい光に包まれたような気持ちになるでしょう。「常野物語」シリーズの第一作目にあたります。

11位: 『カンガルー日和』 村上春樹

村上春樹の初期の作品を集めた、18編からなる短編集です。動物園にカンガルーの赤ちゃんを見に行く夫婦の何気ない一日を描いた表題作をはじめ、日常に潜むちょっとした不思議や可笑しさが、村上春樹ならではの軽快な文体で綴られています。

都会的でおしゃれな雰囲気の中に、ふとした瞬間に訪れる喪失感や孤独の影が描かれているのが特徴です。「春樹ワールド」の入り口として、初めて村上春樹作品に触れる方にもおすすめしやすい一冊。肩の力を抜いて、その独特の世界観を楽しんでみてください。

12位: 『クジラの彼』 有川浩

自衛隊を舞台にした、6編のラブストーリーが収録された短編集です。「海の底」「空の中」「塩の街」といった他の有川作品と世界観がリンクしており、ファンにはたまらない一冊となっています。

潜水艦乗りの男性に恋をした女性の奮闘を描く表題作「クジラの彼」をはじめ、甘くて胸がキュンとなるような恋愛模様が満載です。国防という厳しい世界で働く隊員たちの日常と、不器用ながらも真っ直ぐな恋愛が描かれ、読んでいるこちらも思わず笑顔になってしまいます。ベタ甘な恋愛小説が読みたいときにぴったりの作品です。

13位: 『箱庭図書館』 乙一

乙一が原作・脚本を手掛けた同名の映画から生まれた、6編の物語が収録された短編集です。映画の登場人物たちが書いた、という設定のユニークな構成になっています。

切ない物語からコミカルなもの、少し怖い話まで、バラエティに富んだ内容で読者を飽きさせません。乙一らしい独特の感性と、心に響くストーリーテリングが存分に味わえます。どの話も読後感が良く、優しく温かい気持ちになれる一冊です。

14位: 『犯人のいない殺人の夜』 東野圭吾

東野圭吾の初期の作品を集めた、7編収録のミステリー短編集です。 1985年から1988年にかけて発表された作品が中心で、後の大作家の原点ともいえる魅力が詰まっています。

高校生が主人公の学園ミステリー「小さな故意の物語」や、殺人があった夜と現在の視点が交錯する表題作など、巧妙なトリックと人間の心理描写が光る作品が揃っています。 意外な結末に驚かされること間違いなしで、ミステリーの醍醐味を存分に味わうことができます。

15位: 『あなたの人生の物語』 テッド・チャン

映画『メッセージ』の原作となった表題作を含む、8編を収録したSF短編集です。緻密な科学的考察と、深い人間ドラマが融合した、知的好奇心を刺激される作品集となっています。

異星人とのコンタクトを描く「あなたの人生の物語」では、言語と認識、そして運命という壮大なテーマが扱われます。どの作品も独創的なアイデアに満ちており、読後は世界の見方が少し変わるような感覚を味わえるでしょう。SFファンはもちろん、普段あまりSFを読まない方にもぜひ手に取ってほしい傑作です。

16位: 『成瀬は天下を取りにいく』 宮島未奈

2024年本屋大賞を受賞した、今最も注目されている作品の一つです。滋賀県大津市を舞台に、我が道を突き進む唯一無二の主人公・成瀬あかりの活躍を描いた連作短編集となっています。

閉店する西武大津店を盛り上げようと毎日テレビ中継に映り込んだり、M-1グランプリに挑戦したりと、成瀬の突拍子もない行動と、それに巻き込まれる周囲の人々の姿がユーモラスに描かれています。彼女の真っ直ぐな生き様は、読む人に元気と勇気を与えてくれるでしょう。続編の『成瀬は信じた道をいく』も発売されています。

17位: 『我らが隣人の犯罪』 宮部みゆき

ごく普通の日常に潜む、ちょっとした事件や謎を描いた5編のミステリー短編集です。殺人などの凶悪犯罪ではなく、ペットの失踪やご近所トラブルといった、身近な出来事が題材となっています。

主人公は、探偵一家の息子である小学生の兄弟や、平凡な主婦など、どこにでもいそうな人々。日常に寄り添った親しみやすいミステリーでありながら、宮部みゆきならではの巧みなストーリー展開で、読者を飽きさせません。心温まる結末も多く、ミステリー初心者にもおすすめの一冊です。

18位: 『ビタミンF』 重松清

人生の折り返し地点に立ち、様々な悩みを抱える父親たちを描いた7編の連作短編集です。第124回直木賞を受賞したことでも知られています。

リストラ、思春期の娘との関係、妻とのすれ違いなど、現代の30代、40代の男性が直面するリアルな問題が、温かい眼差しで描かれています。うまくいかないことばかりでも、家族のために必死にもがく父親たちの姿に、共感し、励まされる読者も多いでしょう。「F」はFamily（家族）やFather（父親）の頭文字。まさに心のサプリメントのような一冊です。

19位: 『最後の恋 つまり、自分史上最高の恋。』 阿川佐和子ほか

阿川佐和子、原田マハ、村山由佳、角田光代、井上荒野という、5人の人気女性作家が「最後の恋」をテーマに描いたアンソロジーです。様々な年代の女性たちの、切なくて愛おしい恋物語が詰まっています。

これが最後の恋かもしれない、という大人の女性ならではの覚悟やときめき、そして痛みが、それぞれの作家の個性豊かな筆致で描かれています。どの物語も深く心に残り、恋愛の素晴らしさや複雑さを改めて感じさせてくれるでしょう。恋に悩んだり、ときめきを忘れてしまったりした時に、ぜひ読んでみてください。

20位: 『きみはポラリス』 三浦しをん

様々な形の恋愛を描いた11編の短編集です。男女の恋愛だけでなく、同性同士の恋愛や、少し変わった関係性など、多様な愛の形が肯定的に描かれています。

三浦しをんの巧みな心理描写と、美しい情景描写が光る作品集で、どの物語も登場人物たちの息遣いが感じられるようです。誰かを大切に想う気持ちの尊さや、ままならない恋愛の切なさが胸に迫ります。恋愛小説の名手、三浦しをんの世界観を存分に堪能できる一冊です。

21位: 『羅生門・鼻』 芥川龍之介

日本近代文学を代表する作家、芥川龍之介の初期の傑作15編を収録した短編集です。人間のエゴイズムを描いた「羅生門」や、コンプレックスに悩む僧侶の滑稽な姿を描いた「鼻」など、国語の教科書でもおなじみの作品が多く含まれています。

芥川龍之介の作品は、古典を題材にしながらも、人間の普遍的な心理を鋭く突いているのが特徴です。短い物語の中に、人間の本質や社会への風刺が凝縮されており、時代を超えても色褪せない魅力を放っています。日本の短編小説の原点ともいえる名作に、改めて触れてみてはいかがでしょうか。

22位: 『謎のクィン氏』 アガサ・クリスティー

「ミステリーの女王」アガサ・クリスティーが手掛けた、少し風変わりな12編の連作短編集です。事件が起きるたびにどこからともなく現れる謎の美青年ハーリ・クィン氏と、彼の言葉をヒントに謎を解く温厚な老紳士サタースウェイト氏の活躍を描きます。

本作は、幻想的でロマンチックな雰囲気が漂う、ユニークなミステリーです。殺人事件の謎解きだけでなく、恋愛や人間ドラマの要素も色濃く描かれています。クリスティー自身もお気に入りのキャラクターと公言しているクィン氏の、不思議な魅力にあなたもきっと惹きつけられるでしょう。

23位: 『思い出トランプ』 向田邦子

昭和を代表する脚本家・作家である向田邦子の、第83回直木賞受賞作です。家族や男女の間に潜む、些細な嘘や秘密、そして愛情を鮮やかに切り取った13編が収録されています。

向田邦子の作品は、日常の何気ない会話や情景から、人間の本質を鋭く描き出す観察眼が特徴です。トランプのカードを一枚ずつめくるように、登場人物たちの隠された過去や本音が明らかになっていく様は、スリリングでありながらもどこか切なさを感じさせます。短い文章の中に、人生の機微が凝縮された名作です。

24位: 『放課後の音符（キイノート）』 山田詠美

17歳の女子高生たちの、大人でも子供でもない曖昧な時期の恋模様を鮮やかに描いた8編の恋愛短編集です。 授業が終わった放課後を舞台に、彼女たちの揺れ動く心象風景が繊細に綴られています。

背伸びした恋、片思い、初めての失恋など、思春期ならではの甘酸っぱくてほろ苦い感情が、山田詠美らしいスタイリッシュな文章で描かれています。 かつて17歳だった大人たちが読めば、懐かしくて胸がキュンとなることでしょう。恋のきらめきと痛みが詰まった一冊です。

25位: 『たんぽぽ娘』 ロバート・F・ヤング

SF界の叙情詩人と称されるロバート・F・ヤングの傑作選です。40年後の未来からやってきた不思議な少女との出会いを描いた表題作「たんぽぽ娘」は、SF史に残る恋愛小説として、今なお多くの読者に愛されています。

この短編集には、ロマンチックで切ない、美しい物語が詰まっています。SFというジャンルを超えて、普遍的な愛や時間の流れについて考えさせられるでしょう。読後は、温かくもどこか切ない余韻に浸れるはずです。美しい物語に触れたい、そんな夜にぴったりの一冊です。

26位: 『デッドエンドの思い出』 よしもとばなな

婚約者に裏切られ、心の傷を抱えた主人公が、新しい出会いを通じて少しずつ癒されていく姿を描いた表題作を含む、5編のラブストーリーが収録されています。 よしもとばななさん自身が「これまでの作品のなかでいちばん好き」と語るほど、思い入れの深い作品です。

失恋や大切な人の死など、心に深い傷を負った登場人物たちが、小さな幸せを見つけ、再び力強く生きていこうとする姿が優しく描かれています。 読めば心がふっと温かくなるような、再生と癒しの物語です。

27位: 『透明人間は密室に潜む』 阿津川辰海

本格ミステリーの新鋭、阿津川辰海による、奇想天外な設定が光る4編のミステリー短編集です。表題作では、透明人間が完全犯罪を企てるという、前代未聞の謎に挑みます。

どの作品も「そんな設定あり！？」と驚くようなユニークな状況設定と、ロジカルな謎解きが見事に融合しています。ミステリーとしての完成度が非常に高く、本格ミステリーファンを唸らせる仕掛けが満載です。奇抜なアイデアと緻密な論理が好きな方には、ぜひ挑戦してほしい一冊です。

28位: 『号泣する準備はできていた』 江國香織

第130回直木賞を受賞した、12編の恋愛短編集です。江國香織ならではの繊細で美しい文章で、様々な女性たちの恋愛模様や日常の断片が描かれています。

幸福な恋ばかりではなく、不倫や報われない恋、終わってしまった恋の後のやるせない気持ちなど、恋愛の持つ痛みや切なさが巧みに表現されています。物語全体に漂う、静かで少し物憂げな雰囲気が魅力です。大人の女性が共感できる、ビタースイートな物語が詰まっています。

29位: 『るんびにの子供』 宇佐美まこと

人間の心の奥底に潜む狂気や闇を、巧みなストーリーテリングで描き出す宇佐美まことの短編集です。表題作「るんびにの子供」は、第3回「幽」怪談文学賞短編部門大賞を受賞しました。

一見すると平和な日常に、じわりじわりと不穏な空気が広がっていく様は、まさに「イヤミス」の真骨頂。読後に重くのしかかるような、嫌な後味を残します。人間の持つ悪意や脆さが容赦なく描かれており、ホラーやサスペンスが好きな読者の期待を裏切りません。

30位: 『ヴィヨンの妻』 太宰治

太宰治の晩年の代表作の一つで、1947年に発表された短編小説です。 放蕩無頼な生活を送る詩人の夫・大谷と、そんな彼を支える妻さっちゃんの物語が、妻の視点から語られます。

借金を重ね、店の金を盗んで逃げるような夫を持ちながらも、健気に、そしてたくましく生きていく妻さっちゃんの姿が印象的です。 破滅的な夫を待ち続ける妻の姿を通して、夫婦とは、そして生きるとは何かを問いかけます。「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」という最後のセリフはあまりにも有名です。

31位: 『初恋温泉』 吉田修一

温泉を訪れた5組の男女の恋模様を描いた、傑作恋愛小説集です。 離婚話の最中の夫婦、不倫関係の元同級生、初めての外泊にドキドキする高校生カップルなど、様々なシチュエーションの恋が描かれています。

温泉という非日常的な空間だからこそ、普段は言えない本音が見え隠れし、登場人物たちの本当の気持ちが浮かび上がってきます。 せつなく、あたたかく、そしてほろ苦い、人生の機微が詰まった物語は、読者の心に深く染み渡るでしょう。

32位: 『クリスマス・プレゼント』 ジェフリー・ディーヴァー

「どんでん返しの帝王」として知られるジェフリー・ディーヴァーの真骨頂が味わえる、クリスマスをテーマにしたミステリー短編集です。科学捜査官リンカーン・ライムが登場する作品も収録されています。

どの物語も、読者の予想を鮮やかに裏切る、驚きの結末が待っています。巧みに張り巡らされた伏線と、二転三転するストーリー展開に、最後まで翻弄されること間違いなし。スリリングなミステリーで、刺激的なクリスマスを過ごしたい方におすすめの一冊です。

33位: 『秋の牢獄』 恒川光太郎

ホラー、ファンタジー、ミステリーの要素が融合した、3編の物語が収録された短編集です。恒川光太郎ならではの、美しくもどこか不気味な世界観が存分に味わえます。

一日が無限に繰り返される謎の空間に閉じ込められた少女たちを描く表題作をはじめ、幻想的でありながら、背筋がぞくりとするような恐怖を感じさせる物語が揃っています。独特のノスタルジックな雰囲気と、奇妙な世界設定に引き込まれることでしょう。唯一無二の読書体験を求めるあなたに。

34位: 『失はれる物語』 乙一

「泣ける乙一」として知られる、切なさに満ちた5編の物語が収録された短編集です。交通事故で視力と記憶を失った主人公と、彼を支える女性の純愛を描いた表題作は、多くの読者の涙を誘いました。

どの作品も、ファンタジックな設定の中に、人間の孤独や愛、そして死というテーマが切なく描かれています。美しい物語でありながら、どこか影のある独特の雰囲気が魅力です。思いっきり泣きたい時、心に響く感動的な物語に触れたい時におすすめの一冊です。

35位: 『My Humanity』 長谷敏司

第40回日本SF大賞を受賞した、4編からなるSF短編集です。人間とは何か、知性とは何か、そして心とは何かという、根源的なテーマに深く切り込んでいます。

人間とAIの関係性を描いた作品が多く、緻密な科学的描写と、胸を打つエモーショナルな物語が見事に融合しています。特に、人間そっくりのアンドロイドの視点から「心」のありかを探る表題作は、圧巻の一言。SFという枠を超え、すべての読者に深い問いを投げかける傑作です。

36位: 『可燃物』 米澤穂信

警察ミステリーの新たな傑作として呼び声の高い、葛警部と紺屋巡査部長のコンビが活躍する3編の短編集です。群馬県警を舞台に、人間の複雑な心理が絡み合う難事件に挑みます。

この作品の魅力は、派手なアクションではなく、地道な聞き込みや推理によって真相に迫っていくリアルな警察捜査の描写です。事件の裏に隠された人々の思いや、社会の矛盾を鋭く描き出しており、重厚な人間ドラマとしても楽しめます。米澤穂信の新たな境地を感じさせる一冊です。

37位: 『月まで三キロ』 伊予原新

タクシー運転手である主人公が、様々な事情を抱えた客を乗せる中で体験する、少し不思議な出来事を描いた6編の連作短編集です。第34回山本周五郎賞の候補作にもなりました。

月のクレーターと同じ名前の土地へ向かう女性客や、亡くなった妻との思い出の場所を巡る老人など、乗客たちの人生と、科学的な知識が巧みに織り交ぜられた物語が展開されます。SF的な要素がありながらも、描かれているのは温かい人間ドラマ。読後は、夜空を見上げたくなるような、優しくも切ない余韻が残ります。

38位: 『青い壺』 有吉佐和子

1977年に刊行された作品が、時を経て再び注目を集めている連作短編集です。 無名の陶芸家が作った一つの「青い壺」が、様々な人の手を渡り歩いていく十数年の軌跡を描いています。

壺の持ち主が変わるたびに、その人の人生や人間模様が浮き彫りになっていきます。一つの壺を視点人物にすることで、昭和の時代背景や人間の変わらぬ業（ごう）を鮮やかに描き出す構成が見事です。 世代を超えて共感を呼び、2025年上半期の文庫ベストセラーで1位を獲得するなど、大きな話題を呼んでいます。

まとめ：珠玉の短編集から、あなただけの一冊を

今回は、おすすめの短編集をランキング形式で38作品ご紹介しました。気になる作品は見つかりましたか？

短編集の魅力は、なんといってもその手軽さと多様性です。 一冊でたくさんの物語に出会えるので、新しい作家さんやジャンルを開拓するのにもぴったり。通勤時間や寝る前のひとときなど、ちょっとしたスキマ時間で、豊かな読書体験ができますよ。

ぜひこのランキングを参考にして、あなただけのお気に入りの一冊を見つけて、物語の世界に飛び込んでみてくださいね。