【2025年最新】乙一の小説おすすめランキングTOP20

乙一とは？――「白乙一」と「黒乙一」の顔を持つ天才作家

乙一（おついち）は、1978年生まれの小説家・映画監督です。1996年、高等専門学校に在学中だった17歳の時に『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞し、鮮烈なデビューを果たしました。その後も『GOTH リストカット事件』で本格ミステリ大賞を受賞するなど、数々の話題作を発表しています。

乙一作品の大きな特徴は、その多彩な作風にあります。ファンの間では、作風によって二つに呼び分けられており、猟奇的で残酷な描写が際立つサスペンス・ホラーは「黒乙一」、物悲しく切ない感動的な物語は「白乙一」として親しまれています。この両極端な作風を巧みに書き分けることから、“天才”や“鬼才”と称されています。

さらに、乙一は複数のペンネームを使い分けることでも知られています。中田永一（なかた えいいち）や山白朝子（やましろ あさこ）といった別名義でも小説を発表しており、それぞれ異なる作風で読者を魅了しています。また、本名である安達寛高（あだち ひろたか）としては、映画の脚本や監督を務めるなど、小説家の枠にとどまらないマルチな才能を発揮しているのです。

どの作品から読む？初心者にもわかる乙一小説の選び方

乙一作品はジャンルが幅広いため、どれから読めばいいか迷ってしまうかもしれません。そんな初心者の方に向けて、おすすめの選び方をご紹介します。

まずは、「白乙一」か「黒乙一」か、好みの作風で選ぶのが王道です。心温まる切ない物語や、感動的なストーリーが好きなら「白乙一」の作品がおすすめです。『暗いところで待ち合わせ』や『失はれる物語』などが代表作として挙げられます。一方、ゾクッとするようなホラーや、人間の暗黒面を描くミステリーに惹かれるなら「黒乙一」の作品を選びましょう。デビュー作の『夏と花火と私の死体』や、本格ミステリ大賞を受賞した『GOTH』などが有名です。

また、乙一作品には短編集が多いのも特徴です。長編を読み通す時間がない方や、まずはいろいろなテイストの物語に触れてみたいという方は、『ZOO』や『平面いぬ。』といった短編集から手に取ってみるのも良いでしょう。平易で読みやすい文体なので、普段あまり本を読まない方でも、きっと乙一の世界に引き込まれるはずです。

乙一のおすすめ小説ランキングTOP20

ここからは、いよいよ乙一のおすすめ小説をランキング形式でご紹介します。「黒乙一」から「白乙一」、そして珠玉の短編集まで、天才・乙一が織りなす唯一無二の世界観を存分にお楽しみください。

1位: 『GOTH』

人間の暗黒面に異常なほど惹かれる高校生の「僕」と森野夜。二人が猟奇的な殺人事件に巻き込まれていく様子を描いた、連作短編ミステリーです。この作品は第3回本格ミステリ大賞を受賞しており、乙一のミステリー作家としての側面が強く表れています。

グロテスクな描写も含まれますが、それ以上に登場人物たちの独特な感性や、緻密に練られたストーリー展開が読者を引き込みます。「黒乙一」の代表作であり、その挑戦的な内容は一度読んだら忘れられない衝撃を与えるでしょう。

2位: 『暗いところで待ち合わせ』

孤独を抱える二人の魂が静かに寄り添う、感動的な長編小説です。視力を失い、ひっそりと暮らす女性ミチルの家に、殺人事件の容疑をかけられた青年アキヒロが逃げ込んできます。目が見えないミチルは彼の存在に気づかず、奇妙な同居生活が始まるという物語です。

サスペンスフルな設定でありながら、描かれるのは人と人との温かい心の交流です。徐々に距離を縮めていく二人の様子が丁寧に描かれており、読み終えた後には優しい気持ちになれる「白乙一」の傑作として知られています。

3位: 『ZOO』

乙一の多彩な才能が詰まった、珠玉の短編集です。ホラー、サスペンス、切ない物語など、様々なジャンルの作品が収録されており、「黒乙一」と「白乙一」の両方の魅力を一度に味わうことができます。

どの短編もユニークな設定と、予測不能な結末が待っており、ページをめくる手が止まらなくなるでしょう。多くの作品が映像化されていることからも、その人気の高さがうかがえます。乙一入門としても最適な一冊です。

4位: 『夏と花火と私の死体』

17歳で執筆した、乙一の衝撃的なデビュー作です。この作品で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞し、文壇にその名を知らしめました。物語は、9歳の少女に殺された「私」の視点から、死体を隠そうとする幼い兄妹の4日間を描くという斬新な設定で進みます。

田舎の夏休みというノスタルジックな風景と、子供たちの無邪気さが、かえって物語の不気味さを際立たせています。緊張感あふれる展開と衝撃の結末は、まさに「黒乙一」の原点と言えるでしょう。

5位: 『失はれる物語』

切なさと優しさに満ちた物語が詰まった、珠玉の作品集です。特に表題作は、事故で全身の自由と視覚、聴覚を失い、右腕の皮膚感覚だけが残された男性の物語。ピアニストである妻とのコミュニケーションを通して、彼が下す決断が涙を誘います。

「白乙一」の代表作との呼び声も高く、心温まる感動を味わいたい方に真っ先におすすめしたい一冊です。収録されている「しあわせは子猫のかたち」も、涙なしには読めない名作として知られています。

6位: 『暗黒童話』

事故で記憶と左目を失った女子高生が、移植された死者の目を通して、その目に焼き付いた記憶を辿る物語です。「黒乙一」の長編作品として知られ、その常軌を逸したグロテスクな描写が特徴です。

しかし、ただ残酷なだけでなく、ファンタジックで不思議な設定は乙一ならでは。物語には「白乙一」的な切なさも含まれており、読者を独特の世界観に引き込みます。衝撃的な内容ながらも、その奥深い物語に魅了される読者が後を絶ちません。

7位: 『天帝妖狐』

初期の作品集で、表題作を含む2編が収録されています。和風ファンタジーの世界を舞台に、人間と妖狐の間に生まれた少年の数奇な運命を描いた物語です。

どこか懐かしく、物悲しい雰囲気が全体を包み込んでおり、切ない物語が好きな方におすすめです。初期の乙一作品ならではの、荒削りながらも瑞々しい感性が光る一冊と言えるでしょう。

8位: 『平面いぬ。』

ファンタジーとホラーが絶妙に融合した4編を収録する短編集です。表題作の「平面いぬ。」は、少女の肌に棲みつく犬との不思議な共同生活を描いた物語。どの作品も不気味な設定の中に、物悲しさや温かみを感じさせる読後感が魅力です。

一筋縄ではいかない意外な展開も楽しめ、ホラー小説が苦手な方や、中高生にもおすすめできる一冊です。乙一の描く、奇妙で美しい世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。

9位: 『死にぞこないの青』

いじめをテーマにした、背筋が凍るようなホラー長編です。主人公の少年は、同級生から執拗ないじめを受け、ある日、自分をいじめる少年を殺害しようと計画します。しかし、その計画は思わぬ方向へと転がっていきます。

人間の心の闇や悪意を鋭く描いた作品で、読んでいるうちにじわじわと恐怖がこみ上げてきます。ただ怖いだけでなく、いじめという社会的な問題についても考えさせられる、深みのある物語です。

10位: 『メアリー・スーを殺して 幻夢コレクション』

乙一が他の作家と共同で物語を創作するという、ユニークな企画から生まれた作品集です。表題作では、創作活動における「あるある」を題材にしながら、ミステリーとして昇華させています。

物語を作ることの面白さや難しさが詰まっており、普段小説を書く人や、創作の裏側に興味がある人には特に楽しめる内容となっています。乙一の新たな一面が垣間見える一冊です。

11位: 『きみにしか聞こえない CALLING YOU』

孤独を抱える高校生たちの、切ない交流を描いた短編集です。表題作「きみにしか聞こえない」は、頭の中にだけ存在する携帯電話で、見知らぬ少年と会話を始める少女の物語。

思春期特有の痛みや寂しさを繊細に描き出しており、「白乙一」の魅力が凝縮された一冊と言えます。心の奥にしまい込んだ、甘酸っぱい記憶を呼び覚ますような、感動的なストーリーが胸を打ちます。

12位: 『箱庭図書館』

インターネットで一般から募集した「ボツネタ」を、乙一が小説として再生させるという企画から生まれた短編集です。6つの個性的な物語が収録されており、乙一らしい多彩な世界観が楽しめます。

読者参加型の企画という成り立ちも面白く、それぞれの物語がどのように生まれ変わったのか、そのビフォーアフターに思いを馳せるのも一興です。乙一の作家としての手腕が光る、遊び心あふれる一冊です。

13位: 『シライサン』

乙一自身が監督・脚本を務めたオリジナルホラー映画「シライサン」の、ノベライズ作品です。その名を知ると呪われ、目をそらしたら殺されるという怪異「シライサン」の恐怖を描いています。

王道のJホラー作品であり、じっとりとした恐怖が読者に忍び寄ります。映画とは異なる結末が用意されているため、映画を観た人でも新鮮な気持ちで楽しむことができるでしょう。

14位: 『銃とチョコレート』

神のいない国を舞台に、少年探偵団が謎の暗殺事件に挑む冒険活劇です。これまでの乙一作品とは一味違った、エンターテインメント性の高い長編小説として知られています。

ハラハラドキドキの展開や、個性豊かなキャラクターたちが魅力的で、まるで映画を観ているかのような気分で読み進めることができます。普段の作風とのギャップに驚かされる、乙一の新たな挑戦が感じられる作品です。

15位: 『さみしさの周波数』

「白乙一」の真骨頂ともいえる、切なさに満ちた短編集です。表題作は、夜中にだけ聞こえる不思議なラジオ放送をきっかけに、時を超えた交流が始まる物語。

孤独や寂しさを抱える人々の心に、そっと寄り添ってくれるような優しい物語が詰まっています。心が疲れた時に読むと、じんわりと温かい気持ちになれるでしょう。乙一の繊細な筆致が光る一冊です。

16位: 『一ノ瀬ユウナが浮いている』

ある日突然、体が宙に浮くようになってしまった少女・一ノ瀬ユウナ。そんな彼女の秘密を共有することになった主人公の少年との、少し不思議な青春ミステリーです。

ファンタジックな設定の中に、思春期の揺れ動く心情や、人と違うことへの悩みなどがリアルに描かれています。爽やかでありながらも、どこか切ない読後感が心に残る作品です。

17位: 『さよならに反する現象』

作家の桜井亜美との共著で、一つのテーマに沿って二人がそれぞれ物語を執筆した競作集です。乙一が担当したのは、死んだはずの恋人からメールが届くという、切ない恋愛小説。

「白乙一」らしい、繊細で物悲しい雰囲気が漂う物語です。同じテーマでも作家によって全く異なる世界が描かれる面白さも味わえます。二人の作家の個性の違いを楽しみながら読んでみてください。

18位: 『失踪HOLIDAY』

裕福な家庭に育った少女が、退屈しのぎに自分の狂言誘拐を計画する、というコミカルなミステリーです。しかし、計画は思わぬ方向へと転がっていき、事態はどんどん深刻になっていきます。

軽快なテンポと、ブラックユーモアの効いた会話劇が魅力です。シリアスになりすぎず、サクッと読めるミステリーを探している方におすすめ。乙一のユーモアセンスが光る一作です。

19位: 『Arknoah1 僕のつくった怪物』

人間とロボットが共存する世界を舞台にした、ダークファンタジーシリーズの第一弾です。主人公の少年が、ある目的のために一体のロボットを創り出すところから物語は始まります。

「黒乙一」を彷彿とさせる、ダークでシリアスな世界観が特徴です。壮大な物語の幕開けとなっており、続きが気になること間違いなし。これまでの乙一作品とはまた違った、新たな物語の世界に引き込まれます。

20位: 『沈みかけの船より、愛をこめて 幻夢コレクション2』

『メアリー・スーを殺して』に続く、「幻夢コレクション」シリーズの第2弾です。今回も他の作家とのコラボレーションによって生まれた、多彩な物語が収録されています。

前作同様、物語創作の面白さと奥深さを感じられる一冊です。乙一の引き出しの多さと、他の才能との化学反応が生み出すユニークな世界観を堪能できます。

まとめ：奇才・乙一の物語をランキングから選んでみよう

ここまで、乙一のおすすめ小説をランキング形式でご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。その作品は、背筋が凍るようなホラーから、涙なしには読めない感動的な物語まで、非常に幅広いのが特徴です。

ファンの間で「黒乙一」「白乙一」と呼ばれる二つの顔を使い分け、さらには別名義でも活動するなど、その才能は底知れません。今回ご紹介したランキングを参考に、ぜひあなたの好みに合った一冊を見つけて、奇才・乙一が紡ぎ出す唯一無二の物語の世界に飛び込んでみてください。