シャーロックホームズシリーズは、アーサー・コナン・ドイルによって書かれた4つの長編小説と56の短編からなる世界的に有名な探偵小説です。1887年に「緋色の研究」が発表されて以来、130年以上も読者を魅了し続けています。
シリーズ全体は、長編4作品と短編集5冊(出版社によっては6冊)で構成されています。コナン・ドイルが執筆した順番通りに読むことで、ホームズとワトソンの関係性の変化や、物語の背景を順を追って楽しむことができます。

初めてホームズを読むなら、発表順で読むのが一番楽しめるよ。キャラクターの成長を感じられるし、重要な伏線も順番に回収できるんだ!
シャーロックホームズ作品を読む最適な順番
シャーロックホームズの作品を楽しむ最適な順番は発表順です。具体的には次の順番で読むことをおすすめします:
- 『緋色の研究』(長編・1887年)
- 『四つの署名』(長編・1890年)
- 『シャーロックホームズの冒険』(短編集・1892年)
- 『シャーロックホームズの思い出』(短編集・1893年)
- 『バスカヴィル家の犬』(長編・1901年)
- 『シャーロックホームズの帰還』(短編集・1903年)
- 『恐怖の谷』(長編・1914年)
- 『シャーロックホームズ最後の挨拶』(短編集・1917年)
- 『シャーロックホームズの事件簿』(短編集・1927年)
- 『シャーロック・ホームズの叡智』(新潮文庫のみの出版)
それぞれの作品は独立したストーリーですが、発表順に読むことでホームズとワトソンの友情の深まりや、重要な出来事の流れを順に体験できます。
発表順で読むメリット
シャーロックホームズシリーズを発表順で読むメリットは、作者コナン・ドイルの意図通りにストーリーを体験できることです。特に重要なのは以下の点です:
- ホームズとワトソンの出会いから友情の深まりを自然に追体験できる
- 「最後の事件」でのホームズの「死」と、「空き家の冒険」での復活を驚きとともに楽しめる
- 物語に登場する重要な人物(モリアーティ教授など)の導入が自然に理解できる
- 時代背景の変化や、ホームズの成長を感じることができる



「最後の事件」と「空き家の冒険」は特に順番通りに読むのがポイント!ホームズが死んだと思ったらいきなり復活するなんて、当時の読者の驚きを追体験できるんだよね。
初心者におすすめの読み方
シャーロックホームズを初めて読む方には、まず長編の『緋色の研究』から始めることをおすすめします。これはホームズとワトソンの出会いを描いた記念すべき作品です。
ただし、長編が苦手な方は、短編集『シャーロックホームズの冒険』に収録されている「ボヘミアの醜聞」や「赤毛連盟」といった人気短編から入るのも良い選択です。短編はそれぞれが独立した完結したストーリーなので、どれから読んでも楽しめます。
初心者におすすめの短編トップ3:
- 「ボヘミアの醜聞」(『冒険』収録)
- 「赤毛連盟」(『冒険』収録)
- 「まだらの紐」(『冒険』収録)
シャーロックホームズの長編作品を紹介
シャーロックホームズの長編作品は全部で4作あります。それぞれの作品の特徴とあらすじを紹介します。
『緋色の研究』あらすじと特徴
『緋色の研究』は1887年に発表された、シャーロックホームズシリーズの記念すべき第1作目です。この作品でホームズとワトソンの初めての出会いと、同居生活のスタートが描かれています。
ロンドンの廃屋で発見された不可解な死体と壁に血で書かれた「RACHE(復讐)」という言葉。この謎の殺人事件を軸に、ホームズの鋭い観察眼と論理的思考が存分に発揮される物語です。特徴的なのは物語の途中で突然時代と場所が変わる二部構成になっていることで、アメリカでの壮絶な復讐劇が描かれます。



ホームズとワトソンの出会いの場面が本当に素敵…。二人の個性が早くも表れていて、これからの冒険が期待できる始まりだよね!
『四つの署名』あらすじと特徴
『四つの署名』は1890年に発表された長編第2作です。インドの財宝を巡る謎と復讐の物語で、密室殺人のトリックや逃亡者を追うスリリングなボートチェイスなど、見どころが満載です。
メアリー・モースタンという若い女性が毎年謎の真珠を受け取るという不思議な出来事から始まり、彼女の行方不明になった父親の秘密が明らかになっていきます。ホームズの推理力と行動力が光る作品であり、ワトソンの恋愛も描かれる珍しい一面も見どころです。



テムズ川でのボート追跡シーンがとてもスリリングなんだよね。映画のカーチェイスみたいな臨場感があって、ページをめくる手が止まらなかった!
『バスカヴィル家の犬』あらすじと特徴
『バスカヴィル家の犬』は1901年に発表され、多くのファンから最高傑作と評価される長編第3作です。
デボンシャーの広大な荒野に住むバスカヴィル家に伝わる恐ろしい呪いの犬の伝説。先代当主チャールズ卿が不審な死を遂げた後、新しい相続人ヘンリー卿に対する脅迫が始まります。霧深い荒野を舞台に繰り広げられる恐怖と謎の物語は、ミステリーとホラーが見事に融合しています。
作品のほとんどの期間、ホームズは表舞台に登場せず、ワトソンが単独で調査を行うという展開も特徴的です。



霧に覆われた荒野や底なし沼の描写が本当に不気味で、読んでいると背筋がゾクゾクするんだよね。日本でいう怪談話のような雰囲気も楽しめる作品だと思う!
『恐怖の谷』あらすじと特徴
『恐怖の谷』は1914年に発表された最後の長編小説です。この作品も『緋色の研究』と同様に二部構成になっています。
第一部では、ホームズが暗号を解読し、バールストン城の当主が殺害される事件を防ごうとするものの失敗します。事件の犯人ジョン・ダグラスは逮捕されますが、実は彼は過去に「恐怖の谷」と呼ばれるアメリカの炭鉱町で起きた労働争議に関わっていたという驚くべき事実が明らかになります。
第二部では舞台がアメリカに移り、犯人の過去と秘密結社との関わりが詳細に描かれます。



この物語はただの殺人事件じゃなくて、秘密結社の恐ろしさや復讐心の連鎖を描いている点が深いんだよね。社会派ミステリーとしても読めるのが魅力!
シャーロックホームズの短編集を紹介
シャーロックホームズの短編は、主に5つの短編集にまとめられています。それぞれの短編集の特徴と重要な作品を紹介します。
『シャーロックホームズの冒険』の重要な短編
『シャーロックホームズの冒険』は1892年に発表された最初の短編集で、全12編の短編が収録されています。このコレクションには特に人気の高い作品が多く含まれています。
注目すべき短編:
- 「ボヘミアの醜聞」:唯一ホームズが敗北を認めた女性アイリーン・アドラーが登場
- 「赤毛連盟」:巧妙なトリックで依頼人を欺く不思議な事件
- 「まだらの紐」:密室で起きる不可解な事件とエキゾチックな動物の謎



「ボヘミアの醜聞」のアイリーン・アドラーはシリーズ唯一の「その女性」として登場するんだよね。ホームズにとって特別な存在で、彼の女性観を知る上で欠かせない作品だと思う!
『シャーロックホームズの思い出』と「最後の事件」
『シャーロックホームズの思い出』は1893年に発表された第2の短編集で、全11編の短編が収録されています。特に重要なのは最後の「最後の事件」です。
「最後の事件」では、ホームズが宿敵モリアーティ教授と対決し、スイスのライヘンバッハの滝で共に転落して死亡したとされます。コナン・ドイルはこの時点でホームズシリーズを終わらせるつもりでした。しかし、読者からの強い要望により、後にホームズを復活させることになります。



「最後の事件」を初めて読んだ時は本当にショックだった…。当時の読者はもっと衝撃を受けただろうね。ホームズへの愛がいかに深かったかがわかるエピソードだよね!
『シャーロックホームズの帰還』と「空き家の冒険」
『シャーロックホームズの帰還』は1903年に発表された第3の短編集で、全13編の短編が収録されています。冒頭の「空き家の冒険」が特に重要で、ホームズの復活が描かれています。
「空き家の冒険」では、死んだと思われていたホームズが実は生きていたことが明かされ、3年間の行方不明期間に何をしていたのかが語られます。ホームズはモリアーティの残党を追って世界中を旅していたのです。



ホームズが久しぶりにワトソンの前に姿を現す場面は本当に感動的だよ。ワトソンが気絶してしまうほどの衝撃で、彼らの友情の深さがよく表れているシーンだと思う!
その他の短編集の特徴
残りの短編集は『シャーロックホームズ最後の挨拶』(1917年・全8編)と『シャーロックホームズの事件簿』(1927年・全12編)です。
『最後の挨拶』は第一次世界大戦前後を背景にした作品が多く、ホームズがイギリスのために諜報活動に携わるような政治的な要素も含まれています。
『事件簿』はシリーズ最後の短編集で、「ショスコム荘」がシリーズの最終話となっています。また、新潮文庫では『シャーロック・ホームズの叡智』という第6の短編集も刊行されており、他の短編集からこぼれた話をまとめています。



後期のホームズは若い頃と比べて穏やかになっているような気がするんだよね。でも推理力は健在で、年を重ねた探偵としての風格も感じられて素敵だと思う!
出版社別の翻訳の違いとおすすめ
シャーロックホームズ作品は様々な出版社から翻訳出版されています。それぞれに特徴があるので、自分の好みに合ったものを選ぶと良いでしょう。
新潮文庫版の特徴
新潮文庫版はシャーロックホームズの翻訳として最も歴史が長く、延原謙氏による翻訳で知られています。原文の雰囲気を大切にした正統派の翻訳で、古風で上品な言葉遣いが特徴です。
新潮文庫だけの特徴として、他の出版社にはない『シャーロック・ホームズの叡智』という短編集を発行している点があります。シリーズを完全に読破したい方には新潮文庫版がおすすめです。



新潮文庫版は昔から読み継がれてきた定番訳だよね。少し古風な表現もあるけど、それがかえってヴィクトリア朝の雰囲気を感じられて好きなんだ!
他の出版社の翻訳比較
主な出版社の翻訳の特徴を比較してみましょう。
出版社 | 翻訳者 | 特徴 |
新潮文庫 | 延原謙 | 古風で上品、原文の雰囲気を重視 |
光文社文庫 | 日暮雅通 | 現代的で読みやすい、テンポの良い文章 |
創元推理文庫 | 深町眞理子 | 緻密で丁寧、詳細な注釈や解説付き |
河出文庫 | 各話で異なる | 複数の翻訳者による多様な訳文 |
それぞれに良さがあるので、書店で実際に手に取って自分の読みやすいスタイルのものを選ぶのがおすすめです。最初の一冊だけ違う出版社で読んでみて、気に入ったらその出版社のシリーズを集めるという方法も良いでしょう。



私は光文社版と創元推理文庫版を併読したりするよ。同じ話でも翻訳が違うと新しい発見があるし、より深く物語を理解できるんだ!
シャーロックホームズの順番で読むときの注意点とまとめ
シャーロックホームズのシリーズを読む際の注意点とまとめです。
- 発表順に読むのが基本ですが、各作品は基本的に独立しているので、好きな作品から読み始めても問題ありません。
- 特に重要なのは『シャーロックホームズの思い出』の「最後の事件」と『シャーロックホームズの帰還』の「空き家の冒険」の順番です。ホームズの「死」と「復活」のドラマを体験するには、この順序を守ることをおすすめします。
- 長編は4作品のみなので、全て読破しておくと短編を読む際の背景知識として役立ちます。特に『緋色の研究』はホームズとワトソンの出会いを描いているため、最初に読むと良いでしょう。
- 短編は合計56編あり、それぞれ独立した物語なので、気になるタイトルから読んでも楽しめます。ただし、発表順に読むことで、ホームズとワトソンの関係性の変化や時代背景の移り変わりを感じることができます。
- 翻訳版を選ぶ際は、自分の好みのスタイルに合ったものを選びましょう。古風な雰囲気を楽しみたいなら新潮文庫版、現代的な読みやすさを重視するなら光文社文庫版がおすすめです。
シャーロックホームズのシリーズは、130年以上にわたって多くの読者を魅了してきた不朽の名作です。論理的思考と鋭い観察眼を持つホームズと、忠実な友人ワトソンの冒険を、あなた自身の好みの順番で楽しんでください。



シャーロックホームズの世界は一度ハマるともう抜け出せないよ!私もすでに何度も読み返しているけど、毎回新しい発見があるんだ。ぜひ皆さんも自分の好きな順番でホームズワールドを楽しんでね!