皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
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皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
シェハン・カルナティラカは、1975年にスリランカ南部のゴールで生まれた作家です。ニュージーランドの大学を卒業後、コピーライターやジャーナリストとして働きながら執筆活動を続けてきました。彼の作品は、スリランカの複雑な歴史や社会問題を、ユーモアと風刺を交えて描くことで知られています。
2022年、長編第2作となる『マーリ・アルメイダの七つの月』で、世界的に権威のある文学賞であるブッカー賞を受賞しました。この受賞により、彼はスリランカ出身の作家として史上2人目のブッカー賞受賞者となり、世界中から大きな注目を集めています。彼の作品は、スリランカという国の現実を鋭く描き出しながらも、エンターテイメント性に富んだ物語として多くの読者を魅了しています。
世界が注目する作家、シェハン・カルナティラカ。彼の作品はまだ日本語に翻訳されているものが少ないのが現状です。しかし、その中でも特に読んでおくべき代表作を2つ厳選し、ランキング形式でご紹介します。
ブッカー賞を受賞した話題作から、彼の原点ともいえるデビュー作まで、カルナティラカの魅力を存分に味わえるラインナップです。スリランカ文学の奥深さに触れる、最初の一歩としてぜひ参考にしてください。
堂々の1位は、2022年にブッカー賞を満場一致で受賞した『マーリ・アルメイダの七つの月』です。この作品は、スリランカ内戦の闇を背景に、死後の世界から自らの死の謎を追うという奇想天外な物語。ゴーストストーリーでありながら、歴史、政治、ミステリー、そして恋愛の要素が絡み合う、ジャンルを超えた傑作です。
審査委員会から「読者を生と死を行き来するジェットコースターのような旅に連れて行ってくれる」と絶賛された本作は、カルナティラカの名を世界に知らしめました。シニカルなユーモアと強烈なエネルギーに満ちた語り口で、スリランカの過酷な現実を描ききった、まさに現代文学の最前線と言える一冊です。
本作における無機質なまでのシンプルな語り口からは作者の覚悟をひしひしと感じざるを得ない。
2位は、2010年に発表されたカルナティラカのデビュー作『Chinaman: The Legend of Pradeep Mathew』です。この作品は、アルコール依存症のジャーナリストが、1980年代に活躍したとされる伝説のクリケット選手、プラディープ・マシューの行方を追う物語です。
クリケットというスポーツを通して、スリランカの社会や歴史を描き出した本作は、出版されるやいなや批評家から絶賛され、コモンウェルス書籍賞やDSC南アジア文学賞など、数々の賞を受賞しました。日本語訳はまだありませんが、彼の作家としての原点を知る上で欠かせない重要な一作です。
わたし、スポーツ小説も大好きなんだ。日本語訳が待ち遠しい一冊だよ!
ここからは、ランキング1位に輝いた『マーリ・アルメイダの七つの月』の魅力をさらに深掘りしていきます。ブッカー賞受賞も納得の、その圧倒的な物語世界を、あらすじや登場人物、作品の魅力といったポイントから徹底的に解説します。
この作品がなぜこれほどまでに世界中の読者を惹きつけるのか、その秘密に迫ります。この記事を読めば、あなたもきっとこの奇妙で切実なゴースト・ストーリーの虜になるはずです。
物語の舞台は1990年、泥沼化する内戦下のスリランカ・コロンボ。主人公は戦場カメラマンであり、ギャンブラー、そして隠れゲイでもあるマーリ・アルメイダです。ある日、彼は自分が死んでいることに気づき、冥界の受付で目を覚まします。
なぜ死んだのか思い出せないマーリでしたが、死の直前に内戦を終わらせる力を持つ重要な写真を撮ったことは覚えていました。彼に与えられた時間は、七つの月が沈むまでの7日間。この限られた時間の中で、マーリは自分を殺した犯人を探し出し、愛する人々に写真の在り処を伝えるため、死者と生者が入り乱れる混沌とした世界を奔走します。
『マーリ・アルメイダの七つの月』は、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。ここでは、物語の中心となる主な登場人物をご紹介します。
この作品の最大の魅力は、スリランカ内戦という過酷な現実を、死後の世界というファンタジックな設定を通して描いている点にあります。物語の背景にあるのは、シンハラ人とタミル人の民族対立が激化した、血なまぐさい歴史です。カルナティラカは、この悲惨な現実から目をそらすことなく、ブラックユーモアを交えながら鋭く描き出します。
主人公マーリが幽霊となって駆け巡る世界は、生者と死者、現実と幻想が入り乱れる混沌とした空間です。読者はマーリの視点を通して、戦争の不条理さや人間の愚かさ、そしてその中で失われることのない愛や希望を体験することになります。幽霊探偵小説、政治風刺、異世界ファンタジー、恋愛小説といった様々なジャンルが融合した、唯一無二の物語体験が読者を待っています。
『マーリ・アルメイダの七つの月』は、紙の書籍では上下巻の2冊で、電子書籍では合本版が刊行されています。
物語の内容に違いはないため、ご自身の読書スタイルに合わせて選ぶのがおすすめです。じっくり物語の世界に浸りたい方は紙の書籍、気軽に持ち運んで読みたい方は電子書籍が良いでしょう。価格や収納スペースなども考慮して、最適な方を選んでください。
シェハン・カルナティラカは、スリランカの複雑な歴史と社会を、エンターテイメント性豊かな物語に昇華させる類まれな才能を持った作家です。彼の作品を読むことは、遠い国の出来事を知るだけでなく、私たち自身の社会や人間性について深く考えさせてくれます。
特にブッカー賞を受賞した『マーリ・アルメイダの七つの月』は、その入門として最適な一冊です。この奇想天外で、切なく、そしてパワフルな物語を体験すれば、きっとあなたもスリランカ文学の持つ奥深さと魅力に気づくはず。ぜひ、この機会にシェハン・カルナティラカの世界に足を踏み入れてみてください。