皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
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皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
パトリック・グランヴィルは、1947年6月1日にフランスのノルマンディー地方で生まれた作家です。ソルボンヌ大学を卒業後、リセ(高校)で長年文学を教えながら執筆活動を続けてきました。彼の作品は、言葉とイメージが豊かにあふれるバロック的な作風で知られています。
1976年、29歳の若さで発表した『火炎樹』がフランスで最も権威のある文学賞の一つであるゴンクール賞を受賞したことで、一躍その名を知られることになりました。その後もエロティシズムや自伝的要素を織り交ぜた、幻想的で力強い作品を精力的に発表し続けています。2018年には、その功績が認められアカデミー・フランセーズの会員に選出されました。
ここからは、数あるパトリック・グランヴィルの作品の中から、特におすすめの小説をランキング形式で5作品ご紹介します。
生命力にあふれ、時に荒々しく、そしてどこまでも美しい…そんなグランヴィル文学の世界にあなたをいざなう名作を厳選しました。唯一邦訳されている作品から、フランス語で挑戦したい作品まで、彼の魅力が詰まったラインナップです。ぜひ、お気に入りの一冊を見つけてみてください。
『火炎樹』(原題:Les Flamboyants)は、1976年に発表され、パトリック・グランヴィルの名を世に知らしめた代表作です。この作品で、彼は29歳という若さでゴンクール賞を受賞しました。物語の舞台は、アフリカの架空の王国。狂気の国王が支配する国に派遣された白人青年を主人公に、圧倒的な熱量と奔放なイマジネーションで、暴力と官能、生と死が渦巻く世界を描き出しています。
言葉の奔流ともいえる過剰で華麗な文体が特徴で、まさに「バロック小説」と呼ぶにふさわしい一作です。日本で唯一翻訳されているグランヴィル作品でもあり、彼の唯一無二の世界観に触れるための最初の1冊として最適でしょう。
この熱量、すごい…!言葉の洪水に溺れるみたいな読書体験は、一度味わうと忘れられないよ。
1990年に発表された『L’Orgie, la Neige』(邦題なし)は、グランヴィルの自伝的要素が色濃い小説です。都会での生活に疲れた40代の語り手が、雪に覆われたノルマンディー地方で過ごした野生的な少年時代を回想する物語。自然の中での狩りや釣り、そして初めての恋の思い出が、鮮烈なイメージと共に描かれます。
グランヴィル特有のバロック的な文体は健在ながらも、より普遍的で多くの読者が共感しやすい作品と評価されています。子供時代の終わりと、失われた時へのノスタルジーをテーマにしており、彼の作品の中では比較的アクセスしやすい一冊と言えるでしょう。
自分の子供の頃を思い出しちゃったな。誰の心にもあるキラキラした記憶を呼び覚ましてくれる感じがするんだ。
2014年に刊行された『Bison』(邦題なし)は、19世紀のアメリカを舞台にした歴史小説です。主人公は、実在した画家ジョージ・カトリン。彼は白人による開拓が進む中で失われゆくインディアン(アメリカ先住民)の文化を記録するため、安楽な生活を捨てて広大な平原へと旅立ちます。
物語は、カトリンがスー族と共に生活し、彼らの儀式や狩りを目の当たりにする様子を生き生きと描き出します。壮大な自然、そして誇り高く生きる人々の姿が、グランヴィルらしい力強く詩的な筆致で綴られています。歴史やアメリカの原風景に興味がある読者におすすめの一作です。
画家が主人公だからか、情景描写が絵みたいで美しいんだ。歴史の大きなうねりを感じる物語だよ。
2018年に発表された『Falaise des fous』(邦題なし)は、19世紀末から20世紀初頭のノルマンディー地方、エトルタの断崖を舞台にした壮大な歴史絵巻です。物語は、植民地戦争で傷つき故郷に戻った主人公の視点から語られます。彼は、その地を訪れるモネやクールベ、モーパッサンといった名だたる芸術家たちと交流し、時代の大きな変化を目撃していきます。
印象派の誕生、ドレフュス事件、第一次世界大戦など、激動の時代を背景に、芸術家たちの創造への情熱や狂気が描かれます。600ページを超える大作であり、歴史と芸術が好きな読者にとって、非常に読み応えのある作品となっています。
芸術家たちのエネルギーがすごい!創作の瞬間に立ち会っているみたいな臨場感がたまらないかな。
1972年に発表された『La Toison』(邦題なし)は、パトリック・グランヴィルが最初に出版したデビュー小説です。パリの南にある庭園を舞台に、世界中から集まった学生たちの中で、語り手が若い女性たちとの交流や観察にふける様子が描かれます。
女性たちの髪や毛皮のコートといった「toison(羊毛、フリース)」が、詩的でシュルレアリスティックな幻想を呼び起こす、という独特の感性が光る作品です。動物と女性のイメージが混ざり合うエロティックな描写と、狩りの場面の荒々しい描写が対照的に描かれています。グランヴィル文学の原点を知る上で欠かせない一冊と言えるでしょう。
デビュー作からこの世界観ってすごいよね。若々しい感性が爆発してる感じがするんだ。
パトリック・グランヴィルのおすすめ小説ランキングTOP5をご紹介しました。彼の作品は、生命のエネルギーに満ちあふれ、時に私たちを圧倒するほどの力強さを持っています。
ゴンクール賞を受賞した邦訳作品『火炎樹』から、歴史や芸術、自伝的要素を盛り込んだ多彩な作品まで、その魅力は尽きることがありません。この記事をきっかけに、ぜひパトリック・グランヴィルの豊饒で奔放な文学の世界に足を踏み入れてみてください。きっと、今まで知らなかった新しい読書体験があなたを待っているはずです。