皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
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皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
「ゴシック」という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?建築様式やファッションを連想するかもしれませんが、実は小説の一大ジャンルでもあるんです。その源流をたどると、一人のイギリス人作家にたどり着きます。彼の名はホレス・ウォルポール。
この記事では、「ゴシック小説の祖」と呼ばれるホレス・ウォルポールの魅力と、彼の代表作をご紹介します。彼がどのようにして全く新しい文学ジャンルを築き上げたのか、その世界を一緒に覗いてみましょう。
ホレス・ウォルポール(1717-1797)は、イギリスの貴族であり、政治家、そして小説家という多彩な顔を持つ人物でした。彼の父親は、イギリス初代首相として知られるロバート・ウォルポールです。
ウォルポールが後世に最も大きな影響を与えたのは、彼の「中世趣味」でした。彼はロンドン郊外に「ストロベリー・ヒル・ハウス」という邸宅を自らゴシック様式に改築し、見物人が絶えないほどの評判を呼びました。この邸宅で見た悪夢が、のちにゴシック小説の第一号とされる『オトラント城』を生み出すきっかけになったと言われています。
ここからは、ゴシック文学の世界を切り開いたホレス・ウォルポールのおすすめ小説を2作品ご紹介します。彼の作品数は多くありませんが、どちらも文学史に燦然と輝くユニークな魅力を持っています。
一つは、言わずと知れたゴシック小説の原点『オトラント城』。そしてもう一つは、奇妙で幻想的な物語が詰まった短編集『象形文字譚集』です。それぞれの作品が持つ独特の世界観を、ぜひ味わってみてください。
1764年に発表された『オトラント城』は、全てのゴシック小説の原点と称される記念碑的な作品です。物語は、城主マンフレッドの息子が結婚式の日に、空から降ってきた巨大な兜の下敷きになって死ぬという衝撃的なシーンから幕を開けます。
跡継ぎを失った城主は常軌を逸した行動に走り、城内では肖像画が動き出す、巨大な甲冑の一部が出現するといった怪奇現象が次々と発生します。中世の古城を舞台にした超自然的な恐怖とミステリーは、のちの『フランケンシュタイン』や『ドラキュラ』といった数多くの名作に影響を与えました。
本作における超自然現象の唐突な出現は、読者の理性を揺さぶるという点で画期的であったと言わざるを得ない。
『オトラント城』とは全く異なる魅力を持つのが、『象形文字譚集』です。奇妙でシュールな物語が詰まった一冊です。
例えば、「生まれていない姫君と死んでいる王子の邂逅しない物語」や「ソロモン王とシェバの女王が痴話喧嘩する話」など、常識を覆すような風刺とナンセンスが詰まっています。恐怖よりも奇妙で幻想的な世界観を楽しみたい方におすすめの一冊です。
わたし、奇妙な話が大好きだからすごく楽しめたよ。ウォルポールの想像力って本当にすごいよね!
ホレス・ウォルポールが『オトラント城』で扉を開いたゴシック文学は、その後、アン・ラドクリフやメアリー・シェリーといった作家たちに受け継がれ、一つの大きな潮流となりました。彼の作品は、現代のホラーやファンタジー小説、映画に至るまで、数えきれないほどの物語の源流となっています。
今回ご紹介した2作品は、作風こそ違えど、どちらもウォルポールの類稀なる想像力の産物です。恐怖と幻想の文学の原点に触れ、その奥深い世界をぜひ堪能してみてください。