皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
全米図書賞(National Book Award)は、アメリカで最も権威のある文学賞の一つです。その目的は、アメリカの優れた文学を称え、読者を増やし、アメリカ文化における書籍の地位を高めることにあります。
この賞は1950年にアメリカの書籍業界団体によって設立され、現在は非営利団体である全米図書協会(National Book Foundation)が運営しています。毎年秋になると、フィクション、ノンフィクション、詩、翻訳文学、児童文学の5つの部門で受賞作が発表され、大きな注目を集めます。
ここからは、数ある全米図書賞の受賞作の中から、特におすすめの小説をランキング形式で20作品ご紹介します。
アメリカ文学の多様性や奥深さに触れられる名作ばかりです。きっと、あなたの心に残る一冊が見つかるはずですよ。
2020年の全米図書賞・翻訳文学部門を受賞した、柳美里さんの作品です。主人公は、福島県出身で出稼ぎのために上京し、やがて上野公園でホームレスとして暮らすことになった男性。彼の生涯を通して、日本の現代社会が抱える貧困や孤独が静かに、しかし鋭く描き出されます。
彼の視点から語られる物語は、普段私たちが目にしていながら、意識することの少ない人々の生活や感情を浮き彫りにします。社会の片隅で生きる人々の声に耳を傾ける、その丁寧な筆致が高い評価を受けました。
主人公の人生が切なくて胸が締め付けられる…。見えているのに見えていない現実を突きつけられた気がするよ。
2016年の小説部門受賞作で、翌年にはピューリッツァー賞も受賞した話題作です。物語の舞台は19世紀のアメリカ南部。奴隷の少女コーラが、自由を求めて「地下鉄道」と呼ばれる組織の助けを借りて脱出を図ります。
この小説のユニークな点は、史実では奴隷逃亡を助ける秘密結社だった「地下鉄道」を、実際に地下を走る蒸気機関車として描いていることです。史実にファンタジーの要素を織り交ぜることで、奴隷制度の過酷さと自由への渇望をより一層鮮烈に描き出しています。
本当に地下に鉄道が走ってるなんて!この発想力には驚かされたし、スリリングな展開から目が離せないよ。
2018年の小説部門受賞作。主人公は、突然自殺してしまった長年の親友が遺した一匹の大きな犬を引き取ることになった女性作家です。彼女は、残された犬との静かな生活の中で、友情や愛、そして喪失というテーマに深く向き合っていきます。
物語は、彼女の内省的な語りによって進められます。親友を失った悲しみや、犬との間に芽生える新たな絆が繊細に描かれており、読者の心に静かな感動を呼び起こします。文学や創作についての思索も散りばめられた、知的な一冊です。
大切な人を失った悲しみを、犬との暮らしが少しずつ癒してくれるんだ。静かだけど、とても温かい物語だよ。
2017年の小説部門受賞作で、著者のジェスミン・ウォードは2011年にも『骨を引き上げろ』で同賞を受賞している実力派です。物語は、アメリカ南部のミシシッピ州を舞台に、13歳の少年ジョジョの視点から家族の複雑な歴史が描かれます。
薬物依存の母、白人の父、そして祖父母。様々な問題を抱える家族の姿を通して、現代アメリカが抱える貧困や人種差別といったテーマが浮かび上がります。幽霊の視点が加わるなど、幻想的な要素も取り入れられており、物語に多層的な深みを与えています。
家族の愛と歴史が、神話みたいに壮大に描かれてるんだ。少し難しいけど、ぐいぐい引き込まれる世界観だよ。
2018年の翻訳文学部門で、柳美里さんより先に受賞した多和田葉子さんの作品です。大きな災厄に見舞われ、鎖国状態となった近未来の日本が舞台。外来語が使えなくなったり、子どもは虚弱なのに老人はなかなか死ななくなったりと、奇妙で不穏な世界が広がります。
そんな世界で、100歳を超えた曾祖父の義郎が、ひ弱なひ孫の無名を懸命に育てる日々を描いています。独特な言葉遊びとユーモアの中に、現代社会への鋭い風刺が込められたディストピア小説です。
不思議な言葉がたくさん出てきて、言葉の迷路みたい!この独特な世界観がクセになる面白さなんだ。
1992年に小説部門を受賞した、現代アメリカ文学を代表する作家コーマック・マッカーシーの傑作です。1949年、テキサスに住む16歳の少年ジョン・グレイディが、親友と共に古き良きカウボーイの生き方を求めてメキシコへと旅立つ物語。
美しい自然の描写と、乾いた硬質な文体が特徴で、少年たちの過酷な旅路と成長を描き出します。失われゆく西部へのノスタルジーと、厳しい現実が交錯する、青春小説の金字塔と言えるでしょう。
馬に乗ってメキシコへ旅するなんてロマンがあるよね。少年たちの友情と冒険にハラハラドキドキしちゃうよ。
1997年の小説部門受賞作。南北戦争末期を舞台に、負傷して軍を脱走した兵士インマンが、故郷のコールドマウンテンで待つ恋人エイダのもとへと帰る壮大な旅を描きます。一方で、故郷に残されたエイダが、たくましく生き抜く姿も描かれます。
この物語は、ギリシャ神話の英雄オデュッセウスの冒険譚『オデュッセイア』を下敷きにしています。戦争の悲惨さと、愛する人への一途な想いが胸を打つ、感動的な歴史ロマンです。
愛する人に会うためだけに、こんなに長い旅をするなんて…。インマンの強い想いに涙が出ちゃうよ。
2009年の小説部門受賞作。1974年のニューヨークを舞台に、ワールド・トレード・センターのツインタワーの間を綱渡りした実在の大道芸人フィリップ・プティの偉業を物語の中心に据えています。
綱渡りの日を軸に、高級住宅街に住む夫婦、アイルランドから来た神父、娼婦たちなど、様々な人々の人生が交錯する群像劇です。それぞれの物語が、やがて一つのタペストリーのように織りなされていく構成が見事です。
たくさんの人の人生が、一つの出来事で繋がっていくのが面白い!まるでニューヨークの街そのものが主人公みたいだね。
2011年の小説部門受賞作で、『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』で2度目の受賞を果たすジェスミン・ウォードの最初の受賞作です。物語は、巨大ハリケーン「カトリーナ」がアメリカ南部を襲う直前の12日間を描いています。
ミシシッピ州の貧しい黒人一家の視点から、迫りくる嵐への備えや、家族間の複雑な関係性が生々しく語られます。ギリシャ神話のメディアの物語を重ね合わせながら、過酷な現実を生き抜こうとする家族の姿を力強く描き出した作品です。
ハリケーンが来る前の不気味な静けさが怖い…。家族の絆が試される、息をのむような物語だよ。
2014年の小説部門を受賞した、イラク戦争をテーマにした短編集です。著者自身も元海兵隊員であり、その経験が作品に強烈なリアリティを与えています。
戦場での極限状況、兵士たちの心理、そして故郷に帰還してからの苦悩や社会との隔たりなど、戦争が人間に何をもたらすのかを多角的に描き出します。一つ一つの短編が、戦争というものの複雑な側面を鋭く切り取っています。
戦争に行った人たちの本当の気持ちが伝わってくるみたい。読むのは少し勇気がいるけど、大切なことが書かれているよ。
2007年の小説部門受賞作。ベトナム戦争を舞台にした、壮大なスケールの物語です。CIA職員、二重スパイ、アメリカ兵など、様々な立場の人々が登場し、彼らの視点から戦争の混沌と不条理が描かれます。
善と悪が単純に割り切れない戦争の現実を、圧倒的な筆力で描ききっています。600ページを超える長編ですが、読者を物語の世界に引き込み、戦争とは何か、人間とは何かを深く問いかけてくる重厚な作品です。
登場人物が多くて複雑だけど、それが戦争のリアルなのかな。誰が味方で誰が敵なのか、本当に分からなくなってくるよ。
2006年の小説部門受賞作。ある冬の夜、トラックの横転事故で重傷を負った青年マーク。昏睡状態から目覚めた彼は、献身的に看病してくれる姉のカリンを「偽物」だと思い込む「カプグラ症候群」という珍しい症状を患ってしまいます。
姉は弟の記憶を取り戻そうと、著名な神経学者に助けを求めます。脳科学や意識の謎といった知的なテーマを扱いながら、壊れてしまった家族の絆の再生を描く、感動的な物語です。
自分のことを忘れられちゃうなんて、すごく悲しいよね。それでも諦めないお姉さんの愛情に感動するんだ。
2001年の小説部門受賞作で、現代アメリカ文学の旗手ジョナサン・フランゼンの代表作の一つです。物語の主役は、アメリカ中西部に住むランバート一家。パーキンソン病を患う父、そんな父にうんざりしている母、そしてそれぞれ問題を抱えて独立した3人の子どもたち。
崩壊寸前の家族が、最後のクリスマスを共に過ごそうとするところから物語は展開します。ユーモアと皮肉を交えながら、現代アメリカの家族が抱える問題をリアルに描き出した、壮大な家族ドラマです。
どこの家族にもありそうな問題がリアルで面白いんだ。バラバラな家族がどうなるのか、目が離せないよ。
1999年の小説部門を受賞した、中国出身の作家ハ・ジンによる作品です。文化大革命時代の中国を舞台に、ある軍医の数奇な運命を描いています。主人公のリー・ビンは、病院で働く看護師と愛し合っていますが、故郷には親が決めた妻がいました。
法律で離婚が認められないため、彼は18年間もの間、毎年夏に故郷へ帰り、妻に離婚の同意を求め続けます。時代の波に翻弄されながらも、愛を貫こうとする一人の男の長い長い待ち時間を、静かな筆致で描いた物語です。
18年も愛する人を待ち続けるなんてすごいよね。切ないけど、純粋な愛の物語に胸が熱くなるんだ。
1998年の小説部門受賞作。物語は、ビリー・リンチという一人の男の通夜の席から始まります。親戚や友人たちが集まり、彼の思い出を語り合う中で、彼の生涯が少しずつ明らかになっていきます。
アイルランド系アメリカ人のコミュニティを舞台に、愛とアルコール、そして一つの嘘が、彼の人生にどのように影響を与えたのかが描かれます。断片的な記憶の語りから、一人の人間の人生が浮かび上がってくる構成が見事な一冊です。
みんなの思い出話から、ビリーがどんな人だったか想像するのが楽しい。パズルみたいに物語が組み上がっていくよ。
1993年の小説部門受賞作で、翌年にはピューリッツァー賞も受賞しています。主人公は、妻に逃げられ、仕事もぱっとしない中年男のコイル。彼は叔母に促され、娘たちを連れて、先祖代々の土地であるカナダのニューファンドランド島へと移り住みます。
厳しい自然環境の辺境の地で、地方新聞の記者として働き始めたコイルが、個性的な地元の人々と交流しながら、少しずつ自分自身と人生を取り戻していく再生の物語です。ユニークな文体と、魅力的な登場人物たちが織りなす、ユーモアとペーソスに満ちた作品です。
ダメダメだった主人公が、新しい場所で成長していくのが面白い!思わず応援したくなっちゃう物語だよ。
1983年に小説部門とピューリッツァー賞をダブル受賞した、アフリカ系アメリカ文学の金字塔です。20世紀初頭のアメリカ南部を舞台に、貧しい黒人女性セリーの過酷な半生が、神や妹への手紙という形式で語られます。
父親からの虐待、望まない結婚、人種差別といった苦難に見舞われながらも、他の女性たちとの絆(シスターフッド)を支えに、セリーが自己を解放し、力強く生きていく姿を描いています。その感動的な物語は、多くの読者の心を打ちました。
つらいことがたくさんあっても負けないセリーの強さに勇気をもらえる。女性たちの友情が本当に素敵だよ。
1980年の小説部門受賞作。第二次世界大戦後、ニューヨークで作家を目指す青年スティンゴは、同じアパートに住む美しいポーランド人女性ソフィーと、その恋人ネイサンと親しくなります。しかし、陽気に見える二人には、暗い過去の影がつきまとっていました。
物語が進むにつれ、ソフィーがアウシュヴィッツ強制収容所で生き延びるために下さなければならなかった、あまりにも過酷で究極的な「選択」が明らかになります。ホロコーストが個人の魂に遺した深い傷を、重厚な筆致で描いた問題作です。
本作におけるソフィーの選択は、人間の尊厳を根底から揺るがす問いを突きつける。その語り口は、読者を歴史の証人として否応なく引きずり込む力を持つ。
1974年に小説部門を受賞した、ポストモダン文学の代表格とされる作品です。第二次世界大戦末期のヨーロッパを舞台に、ドイツ軍が開発したV2ロケットをめぐる陰謀が、非常に複雑かつ壮大なスケールで描かれます。
登場人物は400人以上、科学、数学、歴史、オカルトなど、ありとあらゆる知識が詰め込まれており、物語は迷宮のように入り組んでいます。非常に難解なことで有名ですが、その圧倒的な世界観と知的な挑戦は、多くの熱狂的なファンを生み出しました。
わ、わたしにはちょっと難しすぎるかも…。でも、この謎だらけの物語を解き明かせたら、すごい達成感がありそうだね!
1953年の小説部門受賞作。20世紀アメリカ文学の傑作として、今なお読み継がれている重要な作品です。主人公は、名前を持たない一人のアフリカ系アメリカ人の青年。彼は、自分が白人社会から認識されない「見えない人間」であるという強烈な疎外感を抱えています。
アメリカ南部からニューヨークのハーレムへと移り住む中で、彼が経験する様々な出来事を通して、人種差別社会におけるアイデンティティの模索が描かれます。ジャズのような即興性とリズム感あふれる文体も、この作品の大きな魅力の一つです。
自分が「見えない」ってどういうことだろうって、すごく考えさせられるんだ。主人公と一緒に自分探しの旅に出るような気分になるよ。
最新の全米図書賞についても触れておきましょう。ここでは、2024年に発表された各部門の受賞作から、特に注目された作品をご紹介します。
2024年の全米図書賞・翻訳文学部門に輝いたのは、台湾の作家・楊双子(ヤン・シュアンズ)による『台湾漫遊鉄道のふたり』です。1930年代の日本統治下の台湾を舞台に、台湾人のお嬢様と日本人メイドの二人が、鉄道で台湾各地を旅する物語です。
旅を通して出会う美しい風景や、おいしい台湾グルメの数々が鮮やかに描かれています。同時に、二人の女性の間に育まれる深い絆(シスターフッド)や、当時の複雑な歴史背景も丁寧に織り込まれており、読者に深い余韻を残します。
台湾の美味しそうなごはんがたくさん出てきてお腹が空いちゃう!女の子二人の友情と旅は、最高の組み合わせだね。
ここまで、全米図書賞のおすすめ小説をランキング形式でご紹介してきましたが、いかがでしたか?
歴史大作から、家族の物語、社会問題を鋭く描いた作品まで、そのジャンルは非常に多岐にわたります。この中から、あなたの心に響く一冊がきっと見つかるはずです。ぜひ気になった作品を手に取って、アメリカ文学の豊かな世界に触れてみてくださいね。