皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
アニー・エルノーは、1940年生まれのフランスの作家です。自身の体験に基づいた「オートフィクション」と呼ばれる作品で知られ、2022年にはその功績が認められノーベル文学賞を受賞しました。
スウェーデン・アカデミーは授賞理由を「勇気と冷静な鋭さをもって、個人の記憶における根源と離反、集団的な抑制を暴いている」と評価。彼女の作品は、個人的な体験を描きながらも、ジェンダーや階級、社会的な格差といった普遍的なテーマに鋭く切り込んでいるのが特徴です。自身の生い立ちや恋愛、家族との関係などを、感情を抑えた簡素な文体で描き出すことで、多くの読者の共感を呼んでいます。
2022年のノーベル文学賞受賞以降、ますます注目を集めているアニー・エルノー。自身の体験を赤裸々かつ客観的な視点で描く作風が魅力です。
今回は、そんなアニー・エルノーの数ある作品の中から、特におすすめしたい7作品をランキング形式でご紹介します。これからエルノー作品を読んでみたいという方は、ぜひこのランキングを参考に、最初の一冊を選んでみてください。
『シンプルな情熱』は、離婚後の女性教師が、妻子ある東欧の外交官との不倫の恋に溺れていく様を描いた作品です。1991年に発表され、その赤裸々な内容で大きな反響を呼び、ベストセラーとなりました。
主人公がただひたすらに相手を待ち、情熱的な関係にのめり込んでいく様子が、エルノー特有の冷静かつ客観的な筆致で淡々と綴られています。恋愛の持つ熱狂と本質を鋭く描き出した、エルノーの代表作の一つです。近年映画化もされ、再び注目を集めました。
恋愛のどうしようもなさが詰まってる感じ、たまらないよね。わたしもこんな情熱的な恋、してみたいなあ。
『場所』は、エルノーが自身の父親について描いた自伝的な小説です。労働者階級から小さなカフェ兼食料品店の経営者となった父親の生涯と、大学教育を受けて知識人となった娘である自分との間に生まれた溝や距離感をテーマにしています。
この作品は、単なる家族の物語にとどまらず、フランス社会における階級間の断絶や文化的な差異を鋭く描き出しています。1984年にフランスの権威ある文学賞であるルノードー賞を受賞し、エルノーの名を世に知らしめた一作です。
お父さんとの距離感、なんだか切ないよね。わたしも家族のこと、書きたくなってきたなあ。
『ある女』は、『場所』で父親を描いたエルノーが、次に自身の母親の生涯を綴った作品です。工場で働き、後に夫と共に店を切り盛りした母親が、アルツハイマー病を患い、亡くなるまでを描いています。
『場所』と対をなすこの作品では、母と娘の複雑な関係性や、母親の生きた時代における女性の姿が浮き彫りにされています。個人的な記憶を通して、一人の女性の人生と、その背景にある社会を描き出した感動的な一冊です。
お母さんのことを書くって、すごく勇気がいることだと思う。わたし、泣いちゃったよ…。
本書には、『嫉妬』と『事件』という二つの中篇が収められています。『嫉妬』は、別れた恋人が新しい女性と暮らしていることを知り、嫉妬の感情に支配されていく女性の心理を冷徹に描いた物語です。
一方の『事件』は、エルノーが学生時代に経験した違法な人工妊娠中絶の体験を基にしています。当時のフランスでは中絶は法律で禁止されており、絶望的な状況の中で未来を掴もうとする主人公の姿が生々しく描かれています。この『事件』は、後に『あのこと』というタイトルで映画化され、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。
本作における中絶というテーマの扱いは、極めて冷静かつ客観的だ。作者の個人的体験を社会的な出来事として記述するその筆致からは、強い意志を感じざるを得ない。
『凍りついた女』は、結婚や出産を経て、女性が家庭という枠の中でいかに自由を失い、自分らしさを見失っていくかを描いた作品です。エルノー自身の経験を基に、良き妻、良き母という社会的な役割を押し付けられることへの違和感や葛藤が綴られています。
1981年に発表されたこの小説は、フェミニズム文学の文脈でも高く評価されています。結婚生活の中で感じる閉塞感や、ジェンダーによる役割分担への疑問を鋭く描き出し、多くの女性の共感を呼びました。
わかる…!結婚って、こういうことなのかなって考えさせられちゃう。わたし、ちょっと動揺してるかも…。
本書には、2022年に発表された『若い男』と、2011年の『もうひとりの娘』という2作品が収録されています。『若い男』は、50代半ばの語り手が30歳近く年下の学生Aとの情熱的な関係を振り返る物語です。
『もうひとりの娘』は、エルノーが幼い頃に亡くなっていた姉の存在を両親から知らされた経験を基に、その姉へ宛てて書かれた手紙形式の作品です。過去の出来事や記憶と向き合うことで、自己のアイデンティティを探求するエルノー文学の真髄に触れることができる一冊です。
年下の男の子との恋と、会ったことのないお姉ちゃんへの手紙。どっちもすごくパーソナルな話で、ドキドキしちゃうね。
『戸外の日記』は、これまで紹介してきた作品とは少し趣が異なります。本作は、エルノーがパリ郊外のニュータウンで暮らす中で、スーパーや駅、電車の中などで見聞きした名もなき人々の言動や風景を記録した日記形式の作品です。
個人的な体験を深く掘り下げるのではなく、外の世界へと視線を向け、現代社会の断片を鋭い観察眼で切り取っています。日常に潜む社会の現実や人々の姿を淡々と描写することで、読者に新たな発見を与えてくれる一冊です。
人の観察日記って面白いよね!わたしも街に出て、いろんな人をこっそり観察してみようかなって思っちゃった!
今回は、2022年にノーベル文学賞を受賞したフランスの作家、アニー・エルノーのおすすめ小説をランキング形式で7作品ご紹介しました。
彼女の作品は、自身の体験という非常に個人的な題材を扱いながらも、社会や時代、ジェンダーといった普遍的なテーマを鋭く描き出しています。感情を排した客観的な文体は、かえって読者の心に深く響き、描かれた出来事を自分のことのように感じさせる力を持っています。
どの作品から読んでも、きっと彼女の文学の魅力に引き込まれるはずです。ぜひ気になった一冊を手に取って、アニー・エルノーの世界に浸ってみてください。