皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
ヨン・フォッセは、ノルウェー出身の作家・劇作家です。1959年に生まれ、1983年に小説『赤、黒』で作家としてデビューしました。その後、小説だけでなく戯曲、詩、児童文学など幅広い分野で作品を発表し続けています。
2023年、「革新的な戯曲と散文で、言葉にできないものに声を与えた」として、ノーベル文学賞を受賞したことで、世界中から大きな注目を集めました。彼の作品は、詩のように短い言葉を繰り返し使うミニマリズムな作風が特徴で、「イプセンの再来」や「21世紀のベケット」とも評されています。日常を舞台にしながらも、人間の不安や生と死といった普遍的なテーマを扱い、その独特な世界観で多くの読者を魅了しています。
2023年のノーベル文学賞受賞をきっかけに、日本でも急速に注目度が高まっているヨン・フォッセ。その作品は小説から戯曲まで多岐にわたりますが、「どれから読めばいいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、『小説ヨミタイ』編集部が厳選した、ヨン・フォッセの世界に初めて触れる方に読んでほしいおすすめの小説・戯曲をランキング形式でご紹介します。静かな言葉の中に広がる、深く美しい文学の世界をぜひ体験してみてください。
ヨン・フォッセ入門の決定版として、まず手に取ってほしいのが小説『朝と夕』です。ひとりの漁師ヨハネスの誕生の瞬間(朝)から、死を迎える日(夕)までを描いたこの作品は、生と死という壮大なテーマを扱いながらも、驚くほど静かで詩的な言葉で綴られています。
フォッセ特有の、句読点が少なく、反復を多用した音楽のような文章が、読者をゆっくりと物語の世界へ引き込みます。人生の始まりと終わりという、誰もが経験する普遍的な出来事を通して、生きることの不思議さや尊さを静かに問いかけてくる一冊です。フォッセの魅力が凝縮されており、彼の世界観に触れる最初の作品として最適でしょう。
ひとりの人生がこんなにも静かで美しい言葉で描かれるなんて…。わたし、なんだか心が洗われた気分だよ。
次におすすめしたいのが、『三部作【トリロギーエン】』です。本作は『眠れない』『オラフの夢』『夕暮れの疲れ』という3つの中編から構成される小説で、若い恋人アスレとアリーダの過酷な運命を描いています。
行き場をなくし、愛だけを頼りに彷徨う二人の姿は、どこか聖書的で普遍的な物語を彷彿とさせます。フォッセ作品の中では比較的ストーリー性が明確で、物語に引き込まれやすいのが特徴です。愛とは何か、罪と罰、そして救済とは何か。重厚なテーマを扱いながらも、その詩的な文章によって、読者は二人の旅路を静かに見守ることになるでしょう。
二人の運命が過酷すぎて…。愛だけじゃどうにもならない現実が、胸に突き刺さるんだよ。
フォッセの真骨頂である戯曲の世界に触れるなら、代表作『だれか、来る』は外せません。二人きりの生活を求めて人里離れた古い家に越してきたカップル。しかし、「だれか、来る」という漠然とした不安が、静かに二人の関係を蝕んでいきます。
短い言葉の反復と、意味深な沈黙。極限まで削ぎ落とされたセリフの中に、登場人物たちの拭いきれない孤独や嫉妬、恐怖といった感情が渦巻いています。読んでいるだけで息苦しくなるような緊張感が全体を支配しており、人間の内面に潜む闇を鋭く描き出した作品です。この独特の不穏さは、一度味わうと癖になるかもしれません。
本作における言葉の不在は、登場人物の内面で増幅する恐怖を効果的に表現している。静寂がこれほど雄弁に不安を語り得るとは、驚嘆に値する。
「フォッセの戯曲をもっと色々読んでみたい!」という方には、3つの作品が収録された戯曲選集『ヨン・フォッセⅠ』がおすすめです。この一冊で、それぞれ異なる魅力を持つ3つの物語に出会うことができます。
収録されているのは、子どもの誕生を待つ若いカップルの一日を描いた『名前』、近代演劇の父・イプセンの妻を主人公にした『スザンナ』、そして生と死の境界線を彷徨う男たちを描く『ぼくは風』の3編です。いずれもフォッセらしいミニマルな会話劇でありながら、扱われるテーマは多岐にわたります。この選集を読めば、劇作家としてのフォッセの多彩な世界観を存分に味わえるはずです。
一冊で3つも戯曲が読めるなんて、お得感があって最高だね!どの話から読もうか迷っちゃうな。
ヨン・フォッセの作品世界は、一度ハマると抜け出せない不思議な魅力を持っています。ここでは、その魅力をさらに深く味わうための2つのポイントをご紹介します。
少し意識するだけで、彼の作品が持つ独特の響きやリズムをより感じられるようになるはずです。ランキングで気になった作品を読む前に、ぜひチェックしてみてください。
ヨン・フォッセの作品を語る上で欠かせないのが、「沈黙」と「反復」です。彼の文章は、言葉そのものだけでなく、言葉と言葉の「間」や、何度も繰り返されるフレーズが非常に重要な意味を持っています。この独特のリズムが、まるで音楽のような心地よさと緊張感を生み出しているのです。
物語の筋を追うだけでなく、ぜひ文章が持つリズムや響きに身を委ねてみてください。急いで読むのではなく、一つひとつの言葉や沈黙をじっくりと味わうことで、登場人物たちの言葉にならない感情や、作品の奥に流れる深いテーマが心に染み渡ってくるでしょう。
小説家であると同時に、世界で最も上演されている劇作家の一人でもあるヨン・フォッセ。どちらのジャンルから読むべきか迷う方もいるかもしれません。
もし、物語の世界にじっくり浸りたいのであれば、小説から入るのがおすすめです。『朝と夕』や『三部作』のように、登場人物の内面が丁寧に描かれている作品が多く、フォッセの世界観を掴みやすいでしょう。一方で、彼のスタイルの真髄に触れたいなら、戯曲に挑戦するのも一興です。『だれか、来る』のように、極限まで削ぎ落とされた言葉が生み出す緊張感は、戯曲ならではの魅力です。ご自身の好みに合わせて、ぜひ両方のジャンルを楽しんでみてください。
2023年のノーベル文学賞作家、ヨン・フォッセ。その作品は、静かでミニマルな言葉の中に、人間の不安や孤独、生と死といった根源的なテーマを織り込んでいます。今回ご紹介したランキングを参考に、あなたにとっての最初の一冊を選んでみてはいかがでしょうか。
『朝と夕』で人生の始まりと終わりに思いを馳せたり、『だれか、来る』で人間の内なる不安に触れたり。どの作品も、きっと忘れられない読書体験をもたらしてくれるはずです。ぜひヨン・フォッセの静謐な言葉の海に飛び込み、その奥深さを味わってみてください。