韓国小説とは?日本での人気が高まる理由
韓国小説(K文学)は近年、日本でも大きな注目を集めています。韓国政府による翻訳出版支援や、社会問題を鋭く描く作品の増加がその背景にあります。
特に『82年生まれ、キム・ジヨン』の大ヒット以降、フェミニズムをテーマにした作品や、現代社会の問題を独自の視点で切り取った作品が多く紹介されるようになりました。
韓国文学の魅力は、社会の不条理を鋭く描きながらも、人間の普遍的な感情や葛藤を丁寧に描写する点にあります。また、ファンタジー要素を取り入れた作品や、ミステリー、SF、ロマンスなど、ジャンルの多様性も日本の読者を惹きつけています。
K-POPやK-ドラマの人気も相まって、韓国文化全体への関心が高まる中、小説もその一部として注目されているのです。
【2025年最新】韓国小説おすすめランキング
第1位 82年生まれ、キム・ジヨン
『82年生まれ、キム・ジヨン』は、チョ・ナムジュによる2016年発表の小説で、日本でも社会現象を起こした作品です。
主人公キム・ジヨンは30代の専業主婦。ある日突然、母親や友人など別の人格が憑依したような症状を見せ始めます。精神科医のカルテという形式で、彼女の半生を通じて韓国社会に根強く残る女性差別の実態が淡々と描かれています。
家庭、学校、職場、結婚生活と、女性が人生のあらゆる場面で直面する理不尽な状況が、統計データも交えながら冷静に描写されています。特に育児と仕事の両立の困難さや、社会復帰への壁など、多くの女性が共感できる内容となっています。
チョン・ユミ、コン・ユ主演で映画化もされ、日韓のみならず世界中で大きな反響を呼んだこの作品は、今なお韓国文学を語る上で避けて通れない重要な作品です。



女性であるがゆえの生きづらさが本当にリアルだよ。自分の母や友達、将来の自分の姿と重なって胸が苦しくなったけど、それだけ共感できる作品だから多くの人に読んでほしい。
第2位 不便なコンビニ
『不便なコンビニ』は、キム・ホヨンによる2021年の長編小説で、韓国で150万部を突破した大ベストセラーです。
ソウルの片隅にある「Always」というコンビニを舞台に、元教師の店主が財布を拾ってくれたホームレスの男性・独狐(トッコ)を深夜シフトの店員として雇うところから物語が始まります。記憶喪失の状態で店で働き始めた独狐の周りには、様々な事情を抱えた人々が集まってきます。
「不便」と名付けられたこのコンビニは、効率や利便性を追求する現代社会とは逆行する場所。24時間営業ではない、スマホ決済に対応していないなど、あえての「不便さ」が人々に安らぎを与えています。
登場人物それぞれの過去や悩みが徐々に明かされていく中で、傷つき孤独を抱えた人々が互いに支え合う姿が描かれる心温まる作品です。



本当に心があったかくなる小説!コンビニが舞台なのに、そこに集まる人々の人生ドラマがこんなに深くて感動的だなんて。独狐の正体が明かされるラストも素敵だった。
第3位 アーモンド
『アーモンド』は、ソン・ウォンピョンによる2017年発表の小説で、2020年本屋大賞翻訳小説部門第1位を獲得した話題作です。
主人公のユンジェは、感情を司る脳の部位「偏桃体(アーモンド)」が小さく、喜怒哀楽や恐怖を感じることができない「共感覚障害」を持っています。ある日、母と祖母が通り魔に殺されるという悲劇に見舞われますが、彼は何も感じることができません。
身寄りがなくなったユンジェの前に現れたのは、暴力的で感情をコントロールできない少年「ゴニ」。正反対の二人の出会いを通して、人間らしさや感情の意味を問いかける物語です。
感情を持てない少年が、周囲の人々との関わりを通して少しずつ変化していく過程が繊細かつ力強く描かれており、「共感すること」の大切さを伝えるこの作品は、13カ国で翻訳されるなど国際的にも高い評価を受けています。



感情表現が繊細で美しい作品!感情を感じられないユンジェと感情的すぎるゴニの対比が本当に鮮やか。読み終わった後も心に残るキャラクターたちだった。
第4位 ようこそ、ヒュナム洞書店へ
『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』は、ファン・ボルムによる2022年発表の小説で、2024年本屋大賞翻訳小説部門第1位を獲得した人気作です。
ソウル市内の住宅街にあるヒュナム洞書店を舞台に、新米書店主のヨンジュとバリスタのミンジュンを中心に、様々な悩みを抱えた人々の日常が描かれます。
ヨンジュは自分の夢を追いかけて書店をオープンしましたが、実際の経営は思うようにいきません。ミンジュンは就職に失敗し、自信を喪失した状態でアルバイトとして働いています。
小さな書店に集まる人々はそれぞれ悩みや傷を抱えていますが、本を通じて少しずつ心を開いていきます。競争社会の韓国で自分のペースを見つけようとする若者たちの姿に、多くの読者が共感できる心温まる物語です。



小さな書店を舞台にした優しい物語なんだけど、現代の若者の悩みがすごくリアル!自分のペースで生きることの大切さを教えてくれる、癒しの一冊だよ。
第5位 菜食主義者
『菜食主義者』は、ハン・ガンによる2007年発表の小説で、2016年にマン・ブッカー賞国際部門を受賞し、韓国文学の国際的評価を高めた作品です。
主人公ヨンヘは、ある日血まみれの夢を見たことをきっかけに突然肉食を拒否し、菜食主義者になります。彼女の変化は単なる食生活の変更ではなく、社会や家族に定められた「普通」の人間であることへの拒絶でした。
物語は3部構成で、夫、義弟、姉という3つの視点から語られます。ヨンヘの「変化」を周囲がどう捉え、どう対応するかを通して、社会の枠組みに適応できない者への不寛容さや、自己と身体の関係性が鋭く問われています。
暴力や性、欲望を独特の美しい文体で描いた本作は、純文学として高い評価を受け、著者ハン・ガンは2024年にノーベル文学賞を受賞しました。



衝撃的な内容だけど、美しい文体に引き込まれる作品。植物になりたいという願望を持つヨンヘの内面描写が本当に不思議で魅力的。ノーベル賞作家の力を感じる一冊だよ。
第6位 夢を売る百貨店
『夢を売る百貨店』は、イ・ミイェによる2020年発表のファンタジー小説で、韓国で累計110万部を突破した人気シリーズです。
舞台は、眠っているときにしか訪れることができない「ドルグート夢百貨店」。ここでは様々なジャンルの「夢」が商品として販売されています。新人スタッフのペニーが、個性豊かな同僚たちと共に夢を求める客たちの願いを叶えていく物語です。
懐かしい友人と再会する夢、亡くなった家族と過ごす夢、憧れの休暇を楽しむ夢など、百貨店に訪れる客の様々な願いを通して、人間の深層心理や現実での悩みが浮き彫りになっていきます。
ファンタジー要素を取り入れながらも、現代人の孤独や葛藤を温かく描いた本作は、BTSのようなK-POPアイドルも愛読することで話題になりました。



ファンタジー要素があるのに不思議と現実味があって、夢の中の世界がすごく魅力的!百貨店の店員さんたちのキャラクターも個性的で、続編も読みたくなる作品だった。
第7位 私の最高の彼氏とその彼女
『私の最高の彼氏とその彼女』は、ミン・ジヒョンによる2022年発表の恋愛小説で、従来の恋愛観に一石を投じた話題作です。
主人公のミレは、一対一で互いを独占する恋愛ではなく、非独占恋愛「オープン・リレーションシップ」を実践する「完璧な男性」シウォンに出会います。ミレ、シウォン、そして彼の彼女であるソリ、この3人の関係性を通して、既存の恋愛観や結婚制度に疑問を投げかけます。
「愛は所有であり独占であり、そのゴールが結婚」という社会の常識に挑戦し、自分自身にとっての「最善の恋愛」とは何かを模索する過程が描かれています。
『僕の狂ったフェミ彼女』の著者として知られるミン・ジヒョンが描く、切実で痛快な「共有」恋愛小説として注目を集めました。



恋愛観がガラッと変わる衝撃的な内容!「所有」ではない愛って可能なの?って考えさせられた。伝統的な価値観に囚われず、自分の幸せを探す姿勢が刺激的で面白かった。
第8位 世界を超えて私はあなたに会いに行く
『世界を超えて私はあなたに会いに行く』は、イ・コンニムによる2023年発表のタイムリープ小説で、ドラマ&映画化も決定した人気作です。
2016年に生きる中学生ウニュは、父親の愚痴を書いた手紙を一年後の自分へ届くよう「ゆっくり」届く郵便ポストに投函します。しかし手紙は1982年のウニュに届いてしまい、34年の時を超えた不思議な文通が始まります。
最初は半信半疑だった二人ですが、徐々に信頼関係を築き、お互いの人生の「手助け」をし始めます。若かりし頃の両親の姿に触れるうちに、15年間隠されていた家族の秘密が明らかになっていきます。
過去と現在を行き来する構成で、失った家族を取り戻すための感動的なストーリーが展開される本作は、「号泣度100%」と評される感動作として人気を集めています。



タイムリープものなのに不思議と説得力があって、ぐいぐい引き込まれた!過去と現在のウニュのやりとりが面白いし、家族の秘密が明かされていくにつれて涙が止まらなくなるよ。
第9位 わたしに無害なひと
『わたしに無害なひと』は、チェ・ウニョンによる2017年発表の短編集で、韓国日報文学賞を受賞した作品です。
人と人との関係をテーマにした7篇の短編が収録されており、それぞれが友人関係や恋愛、姉妹関係に未成年ならではの葛藤や考えを抱えながら、関係を構築していく過程が描かれています。
大切な人を傷つけたことに苦悩するイギョン、妹から気持ちを背け続けた後悔を引きずる姉・ユンヒなど、自信がなく誰かを傷つけたくないと願う人々を主人公に、大切な人との別れを経験しながらも過去に思いを馳せる心の揺らぎが繊細に描写されています。
「永遠というものはなく、きれいさっぱりと決着をつけられることも案外少ない」という人間関係の複雑さと儚さを教えてくれる作品として評価されています。



人間関係の繊細さをこんなに美しく描ける作家さんって本当にすごい。後悔や罪悪感を抱えながらも前に進もうとする登場人物たちに、自分自身を重ねてしまった。特に姉妹の話が心に残ったな。
第10位 フィフティ・ピープル
『フィフティ・ピープル』は、チョン・セランによる2016年発表の連作短編小説で、2017年韓国日報文学賞を受賞しました。
大学病院を起点に、総勢50人以上の病院関係者や患者、その家族たちの人生が絡み合っていく壮大な物語です。がんを患う母親、殺された友人と同じ柄の靴下を買う女子高生、同性愛を理由に家族と決別した病院の保安要員など、多様な人々のドラマが描かれています。
相手から理不尽に敵対視される日々の苦しみや、終身雇用の時代を終えた今、大手の会社よりも「スキマ」を探そうとする若者の思考など、それぞれの主人公たちの人生には現代社会で生きる人々の潜在的あるいは身近な問題が織り込まれています。
「他人」の存在が時に家族や友人よりも慰めや支えになることを表現した本作は、2024年に新版も登場し、再び注目を集めています。



50人もの物語が少しずつ交差していくのが本当に見事!一見関係ない人たちの人生が実はつながっていることに気づくと、世界の見方が変わる感覚になるよ。現代社会の孤独と繋がりがテーマなんだよね。
第11位 保健室のアン・ウニョン先生
『保健室のアン・ウニョン先生』は、チョン・セランによる2017年発表の小説で、Netflixでドラマ化もされた人気作です。
主人公のアン・ウニョンは、友人たちからは「あにき」と慕われる気さくな性格の養護教諭。しかし彼女には「見えないものを見て、それと戦う力」という特殊な能力があります。
私立M高校に赴任した初日から、何かが学校にいることを感じていたウニョンは、BB弾の銃とレインボーカラーの剣を手に、霊能力を持って学校に潜む怪異と戦います。
学校内で次々と起こる怪事件の謎を解明していく過程で、生徒たちとの交流や彼らの成長も描かれる青春ファンタジー作品です。アクションやロマンス要素も含んだエンターテインメント性豊かな展開が魅力となっています。



タイトルからは想像できないくらいアクション満載で面白い!霊と戦うシーンがかっこよくて、でも根底には生徒たちへの優しさがあって、不思議と心温まる作品なんだよね。
第12位 殺人者の記憶法
『殺人者の記憶法』は、キム・ヨンハによる2013年発表のサスペンス小説で、2018年第4回日本翻訳大賞を受賞しました。
元連続殺人犯で現在は引退して獣医をしているキム・ビョンスが主人公。70歳になった彼はアルツハイマー型認知症の初期症状に苦しみながら、自分の娘を狙う連続殺人犯の存在に気づきます。
記憶が次第に失われていく中、愛する娘を守るため、かつての「殺人の技術」を駆使して犯人を追い詰めようとするものの、認知症の進行によって現実と妄想の境界が曖昧になっていきます。
認知症患者視点の語りによって「何が真実か」という謎に包まれたサスペンス展開が特徴で、2017年にソル・ギョング主演で映画化もされた話題作です。



元殺人鬼が主人公って設定からして衝撃的!認知症が進行していくにつれて、何が現実で何が妄想なのか読者にもわからなくなってくるサスペンスが本当に見事。いま読んでもミステリの傑作だと思う。
第13位 世の中に悪い人はいない
『世の中に悪い人はいない』は、ウォン・ジェフンによる2021年発表の短編集で、BTSのJ-HOPEがライブ配信で紹介したことでも話題になりました。
タイトルの『世の中に悪い人はいないから』という言葉をどう捉えるかは読者次第。現実的な舞台設定と不思議な世界観が交錯する9つの短編が収録されています。
郊外の食堂やカフェといった日常的な場所から、犬や猫が人間を飼っている逆転した世界や、願いを聞いてあげる家などの超現実的な舞台まで、多様な設定で物語が展開します。
実態を掴めないまま予想外の結末を迎える展開は後味がスッキリしないこともありますが、それゆえに読者が自分なりの解釈を考える余韻を与えてくれる作品として評価されています。



タイトルの意味をずっと考えさせられる不思議な短編集。ファンタジーでありながら現実の社会問題を映し出すような深さがあって、読み終わった後も頭から離れない作品だった。BTSのメンバーが好きな理由がわかる。
第14位 屋上で会いましょう
『屋上で会いましょう』は、チョン・セラン初の短編集として2018年に発表された作品で、現代女性が抱える問題や社会の不条理を独自の視点で描いています。
表題作「屋上で会いましょう」は、会社のストレスで屋上から飛び降りたい衝動に駆られていた女性が、ある呪文書を手に入れて「運命の夫」を召喚しようとする物語。しかし現れたのは人間ではなく「絶望」を吸い取る使徒でした。
この他にも、映画のロケ地として訪れた小さな町で奇妙な体験をする「風景」や、近未来を舞台にした「イングク」など、現実とファンタジーが交錯する9編の短編が収録されています。
フェミニズムの要素も含みながら、孤独や不安を抱える現代人への共感と希望を描いた作品として注目されました。



現実と幻想が入り混じった独特の世界観がたまらない!特に表題作の「運命の夫」ではなく「絶望を吸い取る使徒」が現れるところがツボだった。女性の生きづらさをファンタジックに描きながらも希望を感じさせる、不思議な魅力がある作品。
第15位 チェリーシュリンプ -わたしは、わたし
『チェリーシュリンプ -わたしは、わたし』は、イ・ジヒョンによる2020年発表の青春小説で、中学生の女の子の友情と成長を描いた作品です。
主人公の中学2年生ダヒョンは、学校の友人関係に馴染もうといつも一生懸命。クラスでは表面上は仲良し5人組のメンバーでありながらも、心からの良い関係とは言えない状況に葛藤しています。
自分の存在を誇示するかのように、気持ちとは裏腹な振る舞いをしてしまうダヒョンが、校内で街のコミュニティ新聞を作る活動を通じて、素直で真っすぐな同級生たちとの出会いにより変化していく姿が描かれます。
タイトルの「チェリーシュリンプ」は2〜3cmほどの小さく真っ赤なエビを指し、小さくても自分らしく輝く存在の象徴として描かれています。著者自身が「人間関係に悩む10代に贈りたいエール本」と位置づけた作品です。



思春期の女の子の気持ちがリアルすぎて共感しまくった!みんなに合わせようとして本当の自分を出せない気持ち、わかりすぎる…。少しずつ自分らしさを取り戻していくプロセスが丁寧に描かれていて感動した。
第16位 誘拐の日
『誘拐の日』は、チョン・へヨンによる2018年発表のミステリー小説で、誘拐犯と天才少女の逃亡劇を描いた作品です。
娘の心臓手術費用のために誘拐を決意したミョンジュンは、計画のターゲットを間違え、車ではねてしまった11歳の少女ロヒを誘拐してしまいます。記憶喪失の状態になったロヒに父親と名乗り、彼女を連れて逃避行を続けるうち、ロヒの家から両親の死体が発見されるという報道に接します。
事態は予想もしなかった方向に進み、殺人事件の真相を探る警察とミョンジュンたちの追いかけっこが始まります。しかし、ロヒには隠された才能があり、彼女の存在がミョンジュンの人生を思わぬ方向へ導いていきます。
ミステリー性の高いサスペンス展開と、時にコミカルな逃避行の描写が絶妙に融合した作品として評価されています。



意図せず殺人事件に巻き込まれるスリルがすごい!でも不思議と誘拐犯のミョンジュンに感情移入してしまうところが面白い。天才少女のロヒがとにかく魅力的なキャラクターで、読み進めるほど二人の関係性にハラハラドキドキした。
第17位 この世界からは出ていくけれど
『この世界からは出ていくけれど』は、キム・チョヨプによる2022年発表のSF短編集で、韓国の新世代SF作家の代表作として注目されています。
人より遅い時間の中で生きる姉への苛立ちを抑えられない妹の葛藤を描いた「時間の重さ」、幻肢に悩み三本目の腕の移植を望む恋人を理解したい男の旅路を綴った「義肢」など、7篇の物語が収録されています。
近未来的な設定を用いながらも、人間の内面や葛藤、愛情を丁寧に描き出すことで、SFとしてだけでなく文学作品としても高い評価を受けています。
「この世界からは出ていくけれど」というタイトルが示すように、現実の制約から抜け出し、新たな可能性へと踏み出す人々の姿が優しさと希望に満ちた筆致で描かれています。



SFなのに人間ドラマがすごく濃厚!特に「時間の重さ」は、姉妹の葛藤が切なくて何度も読み返した。未来的な設定を使って、今を生きる私たちの悩みを鮮やかに映し出している才能に感動した。
第18位 ミカンの味
『ミカンの味』は、チョ・ナムジュによる2020年発表の長編小説で、『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者による注目作です。
中学生の女子4人組の友情と成長を描いた物語で、中学校の映画サークルで出会ったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジを主人公にしています。中学3年生になる直前に済州島で交わした約束には、それぞれの感情と計算による理由が隠されていました。
思春期の脆く危うい友情関係が生々しく描かれており、ミステリー仕立てで4人の生い立ちや悩みに触れていく構成になっています。社会的背景や格差の問題も絡めながら、10代特有の複雑な心理が繊細に表現された作品です。
タイトルの「ミカン」は済州島の名産品であると同時に、4人の友情の象徴として物語の重要な要素となっています。



タイトルからは想像できないくらい重厚なミステリー要素があって驚いた!十代の女の子たちの友情がこんなにも複雑で繊細で、時に残酷なものだということが見事に描かれていて、自分の中学時代を思い出してつらくなった。
第19位 あの子はもういない
『あの子はもういない』は、イ・ドゥオンによる2022年発表のサスペンス小説で、「Kスリラー」と称されるジャンルの代表作として注目を集めています。
主人公のユン・ソンイは、妹の同級生殺人事件発生後に失踪した妹を捜すため、父と妹の家を訪れます。しかし、父の痕跡はなく、家中に監視カメラが設置されているという不可解な状況に直面します。
妹の行方と不審死の真相を追うソンイの調査を通して、家族の隠された秘密や地域社会の闇が徐々に明らかになっていく展開は、予測不能な展開と容赦ない描写が特徴です。
韓国の田舎町を舞台にした暗く重い雰囲気と、家族内の複雑な人間関係を描いたミステリーは、韓国文学のダークな魅力を味わえる作品として評価されています。



怖いものが好きな人にはたまらない、本格サスペンス!家中に監視カメラがある設定だけでもゾクッとするけど、話が進むにつれてどんどん闇が深くなっていくのが怖くて面白かった。最後の真相にはマジで震えた。
第20位 八重歯が見たい
『八重歯が見たい』は、チョン・セランによる2020年発表のロマンス小説で、一風変わったラブストーリーとして話題になりました。
かつての恋人たちを夢中にさせた八重歯の持ち主「ジェファ」が、小説を執筆中の女性作家のヨンギを9回も殺すという設定から始まるロマンチック・スリラーです。
実は二人は過去に恋人同士でしたが、ある出来事をきっかけに別れてしまいます。その後、小説家となったヨンギは、自分を捨てたジェファへの怒りを込めて彼をモデルにした登場人物を次々と惨殺する小説を書き始めるのです。
笑いに満ちながらも背筋が凍りつくような独特の世界観と、過去と現在が交錯する複雑な物語構造が特徴です。笑いとサスペンスが融合した独特の雰囲気が魅力の作品として評価されています。



タイトルからは想像できない展開の連続!恋人を小説の中で何度も殺すって発想がすごすぎる。でも読み進めるうちに、二人の複雑な関係性や過去の出来事に引き込まれていく。ロマンスなのにサスペンスみたいなドキドキ感があって新鮮だった。
韓国小説を選ぶポイント
韓国小説を選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておくと自分に合った作品に出会いやすくなります。
まず、テーマ性を意識しましょう。韓国小説は社会問題を鋭く描いたものが多く、特にフェミニズム、格差社会、若者の生きづらさなどがよく取り上げられています。自分が関心のあるテーマから選ぶと、共感しやすい作品に出会えるでしょう。
次に、ジャンルの多様性も押さえておきましょう。社会派小説だけでなく、ファンタジー、ミステリー、SF、ロマンスなど幅広いジャンルがあります。例えば『夢を売る百貨店』はファンタジー要素を取り入れた作品、『殺人者の記憶法』はサスペンス色の強い作品です。
また、文体や翻訳の質も重要なポイントです。韓国語から日本語への翻訳は翻訳者によって印象が大きく変わります。可能であれば書店で数ページ読んでみて、自分に合った文体かどうか確認するとよいでしょう。
最後に、ページ数や難易度も考慮しましょう。短編集から始めると、韓国文学の雰囲気を手軽に味わうことができます。『フィフティ・ピープル』や『わたしに無害なひと』などの短編集は、忙しい方にもおすすめです。
韓国小説おすすめランキング まとめ
韓国小説は近年、日本でも大きな注目を集めており、その深い社会性と普遍的なテーマ性が多くの読者の心を捉えています。
特に1位の『82年生まれ、キム・ジヨン』は、韓国社会における女性の生きづらさを鋭く描き、日本でも大きな反響を呼んだ作品です。2位の『不便なコンビニ』や3位の『アーモンド』も、それぞれ独自の視点から人間の内面や社会の問題を掘り下げています。
また、『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』や『夢を売る百貨店』のように、現代人の孤独や悩みを温かく包み込むような作品も人気を集めています。
韓国小説の魅力は、社会問題を扱いながらも読者の心に深く響くストーリーテリングと、時にファンタジー要素も取り入れた独創的な世界観にあります。また、繊細な心理描写や美しい文体も特徴の一つです。
ぜひ本記事で紹介した作品から、自分の興味や関心に合った一冊を手に取ってみてください。きっと新たな文学体験が待っているはずです。