【2025年最新】韓国小説のおすすめランキングTOP30

今、世界中から注目を集める韓国文学の魅力とは？

近年、K-POPやドラマだけでなく、「K文学」として韓国の小説が世界的なブームを巻き起こしています。日本でも『82年生まれ、キム・ジヨン』をはじめ、多くの作品がベストセラーとなり、その人気はますます高まっています。では、なぜ今、韓国文学はこれほどまでに人々を惹きつけるのでしょうか。

その大きな魅力の一つは、現代社会が抱える問題を鋭く、そしてリアルに描いている点にあります。ジェンダー格差や競争社会の歪みといった、多くの人が直面する普遍的なテーマを扱うことで、読者は物語に深く共感し、自身の問題として捉えることができるのです。また、韓国政府が翻訳家の養成や出版支援に力を入れてきたことも、世界的な人気を後押ししています。これにより、質の高い翻訳で作品の魅力が損なわれることなく、世界中の読者に届けられています。さらに、BTSのメンバーが愛読書を紹介するなど、K-POPアイドルの影響でファンが小説を手に取るケースも増えています。このように、作品の持つ力と様々な要因が組み合わさり、韓国文学は国境を越えて多くの読者の心を掴んでいるのです。

韓国小説のおすすめランキングTOP30

さて、ここからは『小説ヨミタイ』編集部が厳選した、今読むべき韓国小説のおすすめランキングTOP30を一挙にご紹介します！

社会現象を巻き起こした話題作から、心温まるヒーリング小説、ページをめくる手が止まらなくなるエンターテイメント作品まで、多彩なラインナップが揃いました。あなたの心に響く、とっておきの一冊がきっと見つかるはずです。それでは、早速見ていきましょう！

1位: 『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ

韓国文学ブームの火付け役ともいえる、社会現象を巻き起こした一冊です。主人公は、1982年生まれのキム・ジヨンというごく普通の女性。彼女の半生を、病院のカルテのような淡々とした筆致で描きながら、女性が人生で直面する困難や差別を浮き彫りにしていきます。韓国では136万部を超える大ベストセラーとなり、日本でも多くの読者の共感を呼びました。物語は、ある日突然、自分の母親や友人が乗り移ったかのように振る舞い始めるジヨンの姿から始まります。なぜ彼女はそうなってしまったのか。その背景にある社会の構造的な問題に、静かに、しかし鋭く切り込んでいく作品です。

2位: 『アーモンド』 ソン・ウォンピョン

2020年の本屋大賞「翻訳小説部門」で第1位に輝いた、感動と希望の物語です。主人公のユンジェは、脳の扁桃体が人より小さく、怒りや恐怖といった感情を感じることができません。そんな彼が、激しい感情を持つ少年ゴニと出会うことで、人生が大きく動き始めます。感情がわからない少年と、感情をうまくコントロールできない少年。正反対の二人の出会いを通して、愛や友情、そして人との繋がりの大切さを描いた作品です。世界13ヵ国で翻訳出版されるなど、国境を越えて多くの人々の心を打ちました。読み終えた後、温かい涙とともに、前を向く勇気をもらえる一冊です。

3位: 『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』 ファン・ボルム

ソウルの住宅街にひっそりと佇む「ヒュナム洞書店」を舞台に、傷ついた人々が再生していく姿を温かく描いたヒーリング小説です。仕事に燃え尽き、無気力になってしまった主人公のヨンジュが、長年の夢だった書店を開くところから物語は始まります。訪れる客や、書店で働くことになった店員など、それぞれに悩みを抱える人々が、本との出会いや人との交流を通して、少しずつ自分を取り戻していきます。大きな事件が起こるわけではありませんが、登場人物たちの丁寧な心の機微や、心に沁みる言葉の数々が、疲れた心を優しく癒してくれます。読書好きにはたまらない、本への愛情が詰まった一冊でもあります。

4位: 『不便なコンビニ』 キム・ホヨン

ソウルの古い町にある小さなコンビニ「Always」を舞台にした、心温まる連作短編集です。ある日、ソウル駅でホームレス生活をしていた謎の男「トッコ」が、このコンビニで夜間アルバイトとして働くことになります。おぼつかない手つきで接客し、どこか風変わりなトッコですが、彼との出会いをきっかけに、コンビニを訪れる人々の人生が少しずつ良い方向へと変わっていきます。現代社会が抱える孤独や悩みにそっと寄り添い、人と人との繋がりの温かさを教えてくれる物語です。2021年に韓国で最も売れた小説としても知られ、多くの読者に愛されています。

5位: 『わたしに無害なひと』 チェ・ウニョン

現代韓国を代表する若手作家チェ・ウニョンの、7つの物語が収められた短編集です。収録されている作品は、女性同士の友情や愛情、家族との複雑な関係性などを、繊細で透明感のある筆致で描いています。特に、表題作の「わたしに無害なひと」では、二人の女性の長年にわたる関係性の変化を丁寧に描き出し、多くの読者の心を掴みました。誰かの人生を静かに覗き見るような、切なくも美しい物語の数々は、読み終えた後も長く心に残ります。人と人との関係の尊さや、ままならなさを感じさせてくれる、静かな感動が味わえる一冊です。

6位: 『夢を売る百貨店』 イ・ミイェ

眠っている間に見る「夢」を販売する不思議な百貨店を舞台にした、心温まるファンタジー小説です。ここでは、空を飛ぶ夢、好きな人に会える夢、懐かしい思い出の夢など、様々な夢が売られています。主人公のペニーは、この百貨店で働くことになった新人。彼女の目を通して、夢を買いに来る人々や、夢を作る職人たちの様々な人間模様が描かれます。疲れた心を癒す優しい物語でありながら、「夢とは何か」「眠りとは何か」といったテーマにも触れており、読者に深い感動と眠ることへの新たな視点を与えてくれます。韓国でクラウドファンディングから生まれたこの物語は、多くの支持を集めベストセラーとなりました。

7位: 『三十の反撃』 ソン・ウォンピョン

『アーモンド』の著者ソン・ウォンピョンが描く、30歳を目前にした女性たちのリアルな悩みと友情の物語です。同じ年の生まれで、同じ会社に勤めるも、全く異なる人生を歩んできた二人の女性が主人公。順風満帆に見えた人生が揺らぎ始める者と、ずっとうまくいかない人生に焦りを感じる者。対照的な二人が、予期せぬ出来事をきっかけに連帯し、社会の不条理や困難に立ち向かっていきます。現代を生きる女性が抱える仕事、恋愛、結婚、そして年齢へのプレッシャーをリアルに描き、多くの共感を呼んでいます。読めばきっと、明日への活力が湧いてくる一冊です。

8位: 『フィフティ・ピープル』 チョン・セラン

とある大学病院を舞台に、そこに集う50人の人々（フィフティ・ピープル）の人生が交差する様子を描いた群像劇です。患者、その家族、医師、看護師、職員など、様々な立場の人々が登場し、それぞれの視点から物語が語られます。一見すると無関係に見える彼らの人生が、少しずつ繋がり、影響し合っていく様は圧巻です。現代社会の縮図のような病院という空間で、人々が抱える喜び、悲しみ、葛藤がリアルに描かれています。一人ひとりの人生はささやかでも、それが集まることで大きな物語が生まれることを感じさせてくれる、読み応えのある作品です。

9位: 『少年が来る』 ハン・ガン

2016年にアジア人初のブッカー国際賞を受賞した『菜食主義者』の著者ハン・ガンによる、衝撃的な一作です。本作は、1980年に韓国で起こった光州事件を題材にしています。軍の無差別な暴力によって多くの市民が犠牲になったこの事件を、犠牲者の視点、遺された者の視点から多角的に描き、歴史の渦に巻き込まれた人々の魂の叫びを伝えます。暴力の記憶やトラウマと、それでも生き続けようとする人間の尊厳を、詩的で力強い文章で描ききった傑作です。読むのには覚悟がいるかもしれませんが、決して忘れてはならない歴史の真実に触れる、深く心に刻まれる読書体験となるでしょう。

10位: 『世界を超えて私はあなたに会いに行く』 イ・コンニム

時空を超えた手紙が繋ぐ、切なくも美しい愛の物語です。1982年を生きる少女ウンユと、2022年を生きる少年ホス。ある日、家の古い机の引き出しから見つかった手紙をきっかけに、40年という時間を超えた二人の文通が始まります。異なる時代を生きる二人が、手紙を通して互いの日常や悩みを分かち合い、次第に心を通わせていく様子が瑞々しく描かれています。ファンタジーでありながら、それぞれの時代が抱える悩みや希望もリアルに描かれており、物語に深みを与えています。二人の未来はどうなるのか、最後まで目が離せない、感動的な青春ロマンスです。

11位: 『保健室のアン・ウニョン先生』 チョン・セラン

平凡な高校の保健室の先生、アン・ウニョン。しかし彼女には、普通の人には見えない「ジェリー」と呼ばれる霊的な存在が見えるという特殊能力がありました。彼女はプラスチックの剣とBB弾の銃を手に、生徒たちをひそかに守るため、日々ジェリーたちと戦っています。奇想天外な設定と、ユーモラスで軽快なストーリー展開が魅力の学園ファンタジーです。ポップでキュートな世界観の中に、社会への風刺や温かいメッセージも込められており、ただのエンタメ小説では終わらない奥深さも感じさせます。Netflixでドラマ化もされ、大きな話題を呼びました。

12位: 『わたしたちが光の速さで進めないなら』 キム・チョヨプ

韓国SF界の新星、キム・チョヨプによる7つの物語が収められた短編集です。宇宙、未来、異星の生命体などを題材にしながらも、その中心にあるのは常に人間（あるいは知的生命体）の孤独や愛、喪失といった普遍的な感情です。科学的な緻密さと、詩的で美しい文章が融合した独特の世界観は、多くの読者を魅了しました。SFというジャンルに馴染みがない人でも、ヒューマンドラマとして深く感動できる作品ばかりです。壮大な宇宙を舞台に、切なくも温かい物語の数々が、私たちの心に静かな余韻を残してくれます。

13位: 『屋上で会いましょう』 チョン・セラン

『保健室のアン・ウニョン先生』の著者、チョン・セランの魅力が詰まった短編集です。現実とファンタジーが絶妙に混じり合った、ユニークで心温まる9つの物語が収録されています。例えば、結婚を控えたカップルが、自分たちの代わりに結婚式に出席してくれる「ウェディング・ドッペルゲンガー」をレンタルする話など、奇想天外な設定が光ります。ポップで軽やかな語り口の中に、現代社会を生きる人々の悩みや希望を優しく描き出しています。読めば少しだけ元気になれる、ビタミン剤のような一冊です。

14位: 『私の最高の彼氏とその彼女』 ミン・ジヒョン

恋愛の甘さだけでなく、その裏側にある嫉妬や依存、すれ違いといった複雑な感情をリアルに描いた恋愛小説です。主人公の「わたし」と、完璧な彼氏、そして彼の元カノ。この三角関係を中心に、恋愛における男女の心理が鋭く、そして赤裸々に綴られていきます。登場人物たちの行動に共感したり、あるいは反発したりしながら、読者は自分自身の恋愛観を問われることになるでしょう。スリリングな展開と、心に突き刺さるような心理描写が魅力で、一度読み始めたら止まらなくなること間違いなしの一冊です。

15位: 『天気が良ければ訪ねて行きます』 イ・ドウ

ソウルでの生活に疲れ、故郷の田舎町に戻ってきた主人公ヘウォン。彼女が、そこで独立書店を営むウンソプと再会するところから物語は始まります。静かな田舎町を舞台に、傷ついた二人がゆっくりと心を通わせていく様子を、美しい自然の描写とともに丁寧に描いたヒーリング・ラブストーリーです。冬の澄んだ空気や、温かいコーヒーの香り、本に囲まれた空間が、読者の心をも優しく包み込んでくれます。韓国ではドラマ化もされ、人気を博しました。日々の喧騒に疲れた時に、そっと寄り添ってくれるような温かい一冊です。

16位: 『私書箱110号の郵便物』 イ・ドウ

『天気が良ければ訪ねて行きます』の著者イ・ドウによる、もう一つの感動的なラブストーリーです。ラジオ番組の放送作家であるコンジンと、番組プロデューサーのゴン。すれ違いを繰り返す二人の男女の恋模様を、ラジオ番組というノスタルジックな舞台を通して描いています。手紙やハガキといったアナログなコミュニケーションが、二人の関係において重要な役割を果たすのが印象的です。切なくもどかしい恋の行方に、胸が締め付けられることでしょう。ラジオから流れる音楽のように、心に優しく響く物語です。

17位: 『チェリーシュリンプ －わたしは、わたし』 ファン・ヨンミ

クラスでの人間関係に悩む中学2年生の少女タニが主人公の、瑞々しいヤングアダルト小説です。学校という小さな社会の中で、自分の「色」を見つけようともがく少女の姿をリアルに描いています。友達グループの中での立ち位置や、SNSでの見えないプレッシャーなど、誰もが一度は経験したことのあるような思春期特有の悩みが丁寧に綴られており、多くの読者の共感を呼びました。タイトルの「チェリーシュリンプ」は、群れで行動する小さなエビのこと。タニが自分らしさを見つけ、一歩踏み出していく姿に勇気をもらえる一冊です。

18位: 『世の中に悪い人はいない』 ウォン・ジェフン

人間と動物の絆を描いた、心温まる7つの物語が収められた短編集です。詩人でもある著者が、犬や猫、鳥、さらには亀といった様々な動物たちの視点から、彼らと人間との交流を優しく紡ぎ出します。動物たちの純粋な目を通して見る世界は、時に切なく、時にユーモラスで、私たちに多くの気づきを与えてくれます。動物たちが人間に対して抱く、無償の愛や信頼に胸を打たれることでしょう。ペットを飼っている人はもちろん、そうでない人も、すべての生き物への愛おしさが込み上げてくる、感動的な一冊です。

19位: 『明るい夜』 チェ・ウニョン

『わたしに無害なひと』の著者チェ・ウニョンによる、初の長編小説です。主人公の女性が、祖母や母、そしてさらにその上の世代の女性たちの人生を辿ることで、自分自身のルーツと向き合っていく物語です。韓国現代史の激動の中で、女性たちがどのように生き、何を繋いできたのかを、四世代にわたる壮大なスケールで描き出します。辛く厳しい時代を生き抜いた女性たちの強さと、世代を超えて受け継がれる絆に、深く胸を打たれます。歴史の大きな流れと、個人のささやかな人生が交差する、重厚で感動的な一冊です。

20位: 『サハマンション』 チョ・ナムジュ

『82年生まれ、キム・ジヨン』のチョ・ナムジュが描く、近未来のディストピア小説です。物語の舞台は、国から見捨てられた人々が住む街「タウン」。その中にある「サハマンション」で暮らす人々の姿を通して、格差社会の極限状態と、そこで生きる人々の絶望と希望を描きます。ミステリーの要素も絡めながら、社会の不条理や人間の尊厳とは何かを鋭く問いかけます。『キム・ジヨン』とはまた違った形で、現代社会が抱える問題に切り込んだ意欲作です。エンターテイメント性の高い設定の中に、作者の強いメッセージが込められています。

21位: 『四隣人の食卓』 ク・ビョンモ

同じマンションの隣り合う部屋に住む、二組の夫婦。彼らの日常に潜む不穏な空気と、少しずつ崩壊していく関係性を描いた心理スリラーです。幸せそうに見える家族の食卓の裏に隠された、孤独、嫉妬、そして狂気。些細な出来事をきっかけに、登場人物たちの心の闇が暴かれていく様は、読んでいて背筋が凍るような恐ろしさがあります。現代社会における家族のあり方や、隣人との関係の希薄さについても考えさせられる、深いテーマ性を持った作品です。ページをめくる手が止まらなくなる、緊張感あふれる一冊です。

22位: 『カクテル・ラブ・ゾンビ』 チョ・イェウン

ゾンビが発生した世界で、カクテルバーを営む女性と、ゾンビになってしまった元カレが再会するという、ユニークな設定の恋愛小説です。ゾンビパンデミック後の世界というディストピア的な状況と、甘酸っぱいラブストーリーが絶妙に融合しています。ゾンビになってしまった恋人との奇妙な同居生活を通して、愛とは何か、人間とは何かを問いかけます。ホラー、恋愛、コメディ、そして感動が詰まった、新感覚のエンターテイメント作品です。奇抜な設定ながらも、登場人物たちの感情がリアルに描かれており、物語にぐいぐい引き込まれます。

23位: 『誘拐の日』 チョン・ヘヨン

娘の入院費を稼ぐため、やむにやまれず少女の誘拐を計画した主人公。しかし、いざ実行すると、誘拐した少女は記憶を失っており、彼は父親だと勘違いされてしまいます。そこから始まる、誘拐犯と少女の奇妙な逃避行を描いたヒューマンミステリーです。誘拐事件の裏に隠された衝撃の真実とは何なのか。二転三転するストーリーと、予測不能な展開から目が離せません。サスペンスフルな物語の中に、疑似親子のような二人の間に芽生える絆が温かく描かれており、涙を誘います。韓国ではドラマ化もされた人気作です。

24位: 『月まで行こう』 チャン・リュジン

現代の韓国を生きるミレニアル世代のリアルな日常と悩みを、ユーモアとペーソスを交えて描いた短編集です。不安定な雇用、住宅問題、そして仮想通貨への投資など、現代的なテーマを扱いながら、それでもたくましく生きようとする若者たちの姿を活き活きと描き出しています。特に表題作「月まで行こう」は、仮想通貨に夢を託す3人の女性社員の物語。彼女たちの会話や行動が非常にリアルで、同世代の読者なら「あるある！」と頷いてしまうこと間違いなしです。軽快なテンポで読める、今を生きる私たちのための物語です。

25位: 『となりのヨンヒさん』 チョン・ソヨン

韓国SF界を牽引する作家の一人、チョン・ソヨンによる短編集です。地球を離れ、別の惑星で暮らす人々や、ロボットと共存する未来など、様々なSF的状況を舞台に、人間（あるいは知的生命体）の日常や心の機微を丁寧に描いています。壮大な世界観でありながら、描かれるのは普遍的な友情や家族愛、そして故郷への想い。科学的な視点と温かい人間ドラマが融合した、優しく知的な物語が詰まっています。SFファンはもちろん、普段あまりSFを読まない人にもおすすめしたい、心温まる一冊です。

26位: 『千個の青』 チョン・ソヨン

『となりのヨンヒさん』の著者、チョン・ソヨンによる初の長編SF小説です。本作の主人公の一人は、なんとレース用の馬型ロボット。競技から引退し、廃棄処分を待つロボット「コリー」と、コリーを救おうとする人々との交流を描きます。AIに心は宿るのか、人間とロボットの絆とは何か、といったSFの古典的なテーマを、感動的な青春物語として昇華させています。目標に向かって奮闘する登場人物たちの姿に、胸が熱くなることでしょう。スピード感あふれる展開と、深いテーマ性が見事に両立した傑作です。

27位: 『この世界からは出ていくけれど』 キム・チョヨプ

『わたしたちが光の速さで進めないなら』で韓国SF界に衝撃を与えたキム・チョヨプの、第二短編集です。前作同様、科学的な想像力と、人間の感情への深い洞察が融合した、美しくも切ない物語が収められています。記憶をめぐる物語や、異星の生命体とのコミュニケーションなど、多彩なテーマを扱いながら、その根底には常にマイノリティや疎外された存在への優しい眼差しが感じられます。静かで知的な筆致で描かれる物語は、読後に深い思索と感動をもたらしてくれます。SFの枠を超えて、多くの人に読んでほしい一冊です。

28位: 『別れを告げない』 ハン・ガン

『少年が来る』のハン・ガンが、済州島四・三事件という韓国現代史の悲劇をテーマに描いた長編小説です。主人公の作家が、友人の故郷である済州島を訪れ、雪に閉ざされた中で、友人の母親が経験した凄惨な事件の記憶を辿っていきます。暴力の記憶がどのように継承され、個人の人生に影響を与えるのかを、静謐でありながら力強い筆致で描き出します。歴史の闇に埋もれた人々の声に耳を澄ませ、その魂を鎮魂するかのような祈りの物語です。読むには体力がいるかもしれませんが、人間の痛みと再生を描いた、文学の力を感じさせる傑作です。

29位: 『矛盾』 梁貴子（ヤン・グィジャ）

1998年に韓国で刊行されて以来、長く愛され続けているロングセラー小説です。25歳の主人公アンジンが、二人の対照的な男性との間で結婚に揺れながら、人生の選択について深く思い悩む姿を描きます。裕福で安定した生活を約束してくれる男性と、情熱的で心が惹かれる男性。どちらの人生を選ぶべきか。彼女の悩みを通して、人生に潜む様々な「矛盾」や、幸福とは何かを問いかけます。誰もが経験するであろう人生の岐路における葛藤を、普遍的な物語として描き出した名作です。

30位: 『他人の家』 ソン・ウォンピョン

『アーモンド』の著者ソン・ウォンピョンが描く、家族と孤独をテーマにしたスリラー小説です。主人公の女性は、旅行などで留守になった「他人の家」に忍び込み、まるで住人であるかのように過ごすという奇妙な生活を送っています。しかし、ある家族の家に忍び込んだことから、彼女の日常と隠された過去が少しずつ狂い始めます。家族という温かいものであるはずの空間が、不穏で緊張感あふれる舞台へと変わっていく様は圧巻です。人間の孤独や、家族の脆さ、そして本当の自分の居場所とは何かを考えさせられる、衝撃的な一冊です。

まとめ：心揺さぶる一冊との出会いを

ここまで、今注目の韓国小説をランキング形式で30作品ご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。社会問題を鋭く描いた作品から、心温まるヒーリングストーリー、そして独創的なSFやファンタジーまで、韓国文学のジャンルの幅広さと奥深さを感じていただけたのではないでしょうか。

今回ご紹介した作品は、どれも現代を生きる私たちの心に響く、強いメッセージを持ったものばかりです。このランキングが、あなたにとって心揺さぶる特別な一冊と出会うきっかけになれば、編集長としてこれほど嬉しいことはありません。ぜひ気になった作品を手に取って、韓国文学の豊かな世界に触れてみてください。