皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
宇佐見りんさんは、1999年生まれ、現役大学生だった2019年に『かか』で第56回文藝賞を受賞し、鮮烈なデビューを飾った作家です。
翌2020年には同作で史上最年少となる三島由紀夫賞を受賞。さらに2021年、第2作『推し、燃ゆ』で第164回芥川龍之介賞を受賞し、その名を不動のものにしました。綿矢りささん、金原ひとみさんに次ぐ史上3番目の若さでの受賞という快挙は、文壇に大きな衝撃を与えました。
デビュー以来、発表する作品が常に文学界の注目を集める宇佐見りんさん。今回は、その中でも特に読んでおきたい代表作を3作品、ランキング形式でご紹介します。
どの作品も、一度読んだら忘れられない強烈な読書体験が待っています。宇佐見りんさんの世界に初めて触れる方はもちろん、次の一冊を探しているファンの方もぜひ参考にしてください。
宇佐見りんさんの名を一躍世に知らしめたのが、第164回芥川賞を受賞した『推し、燃ゆ』です。2021年の本屋大賞にもノミネートされ、累計発行部数は80万部を超えるなど、社会現象ともいえる大ヒットを記録しました。
主人公は、学校や家族になじめず、生きづらさを抱える高校生のあかり。彼女の生きがいは、アイドルグループのメンバーである「推し」を応援することだけ。しかしある日、「推しがファンを殴って炎上した」というニュースが飛び込んできます。世界の中心だった”背骨”を失ったあかりの日常は、静かに崩壊していくのでした。
なぜ人は何かに熱狂するのか、「推す」という行為の本質を鋭く描き出した本作。現代を生きる多くの人が抱える孤独や生きづらさに寄り添う物語は、世代を超えて多くの共感を呼んでいます。
推しがいる人には、分かりすぎて胸が苦しくなるかも。自分の”背骨”って何だろうって考えちゃうね。
ランキング2位は、宇佐見りんさんの鮮烈なデビュー作『かか』。この作品で第56回文藝賞と第33回三島由紀夫賞をダブル受賞し、史上最年少での三島賞受賞という快挙を成し遂げました。
物語の語り手は19歳の浪人生・うーちゃん。彼女の母親、通称「かか」は、離婚をきっかけに心を病み、お酒に溺れては暴れる日々。そんな母とのいびつな関係に苦しみながらも、どうにかして母を救いたいと願ううーちゃんの姿が、痛々しいほどに描かれます。
うーちゃんの視点から語られる独特のリズムを持つ文体は、読者を物語の渦中へと強く引き込みます。家族とは何か、母と娘の愛とは何かを問いかける、心をえぐる一冊です。
母と娘の関係って、すごく複雑で苦しいね…。うーちゃんの視点が独特で、物語にぐっと引き込まれちゃったよ。
芥川賞受賞後第一作として発表された『くるまの娘』が3位にランクイン。『かか』や『推し、燃ゆ』とは異なるアプローチで、「家族」という普遍的で複雑なテーマに挑んだ意欲作です。
主人公は17歳のかんこ。暴力的な父、病気の後遺症を抱える母、家を出た兄と弟。バラバラになった家族が、祖母の死をきっかけに一台の車に乗り合わせ、旅に出るところから物語は始まります。
狭い車内という密室空間で、登場人物がそれぞれ抱える痛みや過去が少しずつ明らかになっていきます。これまでの一人称視点とは異なり、三人称視点を交えることで家族一人ひとりの内面がより深く描写されているのが特徴です。ままならない関係性の中に、かすかな光を見出そうとする姿に胸を打たれます。
家族って近すぎて難しいこともあるよね。でも、このお話は最後に少し希望が見える気がして、わたしは好きだな。
宇佐見りんさんの小説は、「家族」という逃れられない関係性や、現代社会が抱える「生きづらさ」を一貫して描き続けています。独特のリズムを持つ鮮烈な文体で紡がれる物語は、読む者の心を強く揺さぶり、忘れられない読書体験を与えてくれるはずです。
どの作品も強烈な魅力がありますが、もし最初の一冊に迷ったら、まずは芥川賞を受賞し、最も多くの読者に届いた『推し、燃ゆ』から手に取ってみるのがおすすめです。主人公の切実な思いに、きっと共感する部分が見つかるでしょう。
今回ご紹介した3作品は、どれも私たちの心に深く刺さるものばかり。ぜひ、宇佐見りんさんが描く唯一無二の世界に飛び込んでみてください。