皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
【2025年最新】作家・高橋和巳のおすすめ小説ランキングTOP15
PR
目次
はじめに：夭折の天才作家・高橋和巳の魅力とは
1931年生まれの作家・高橋和巳（たかはし かずみ）は、小説家であると同時に中国文学者としての顔も持っていました。1971年に39歳という若さでこの世を去ったことから、「夭折の天才作家」として知られています。
彼の作品は、宗教や歴史、文明といった壮大なテーマを扱い、知識人としての深い苦悩や社会との葛藤を描き出しているのが特徴です。その左翼的な思想や、時代と真摯に向き合う姿勢は、当時の学生運動に身を投じる若者たちから熱狂的な支持を受け、「全共闘のアイドル作家」とまで呼ばれました。
難解でありながらも、人間の本質に迫るその重厚な物語は、半世紀以上経った今でも多くの読者を惹きつけてやみません。これから紹介するランキングを参考に、ぜひ高橋和巳の思索に満ちた世界に触れてみてください。
高橋和巳のおすすめ小説ランキングTOP15
ここからは、高橋和巳の数ある名作の中から、特におすすめしたい小説をランキング形式でご紹介します。
彼の代表作から、その思想の深淵に触れられる作品まで幅広く選びました。どの作品から読めばいいか迷っている方は、ぜひこのランキングを参考に、気になる一冊を見つけてみてください。
1位『邪宗門』
高橋和巳の代表作として名高い『邪宗門』は、新興宗教団体「ひのもと救霊会」の誕生から滅亡までを壮大なスケールで描いた長編小説です。戦時下の国家による弾圧で一度は壊滅しながらも、戦後に復活し、やがて急進的な武装蜂起へと突き進んでいく教団の激動の歴史が描かれています。
物語のモデルとして、戦前に実際にあった「大本教」への弾圧事件などが参考にされていますが、これは著者が「宗教が持つ〈世なおし〉の思想を極限まで推し進めたらどうなるか」という思考実験のために創り上げた物語です。信仰を持てないまま教団を率いることになる青年の苦悩や、救いのない情け容赦のない展開は、読者に強烈な印象を残します。
原稿用紙2,000枚にも及ぶ大作であり、日本近現代文学の傑作と評される本作は、まさに高橋和巳文学の頂点と言えるでしょう。
ふくちい壮大な物語だけど、ぐいぐい引き込まれちゃうんだ。信じることの力と危うさについて、深く考えさせられるよ。
この本を読む
2位『悲の器』
高橋和巳の作家デビュー作にして、第1回文藝賞を受賞したのが『悲の器』です。本作は、戦後文学の金字塔とも評される初期の代表作として知られています。
物語の主人公は、大学の法学部長であり、刑法学会の権威でもあるエリート、正木典膳。彼は家政婦と関係を持ちながら、別の女性と婚約したことをきっかけに訴訟を起こされ、スキャンダルの渦中の人となります。
自らの理性を絶対視し、法にさえ触れなければ問題ないと考えていた主人公が、次第に社会的な地位を失い、精神的に追い詰められていく様が、硬質な文体で描かれます。知識人であるがゆえの苦悩と破滅を描いた、高橋和巳の原点ともいえる一冊です。
ふくちい主人公のプライドの高さが、逆に人間らしい弱さに見えてくるんだ。わたしはちょっと共感しちゃったかな。
この本を読む
3位『憂鬱なる党派』
1950年代の学生運動とその後の世代の挫折を描いた『憂鬱なる党派』は、高橋和巳自身の体験も色濃く反映された作品です。理想に燃えた「政治の季節」が終わり、かつての仲間たちが現実社会の中でいかに変貌し、破滅していくかを克明に描いています。
主人公の西村は、原爆で家族を亡くした過去を持ち、その犠牲者たちの伝記を出版するために、安定した職も家庭も捨てて奔走します。かつて革命の理念を語り合った旧友たちを訪ね歩く中で、彼らの痛ましい末路を目の当たりにすることになります。
登場人物たちの思想的な会話が多く、読み応えのある一冊です。
ふくちい理想に燃えた青春と、その後の現実のギャップがすごくリアルだよ。なんだか切なくなっちゃうな…。
この本を読む
4位『我が心は石にあらず』
高度経済成長期の日本を舞台に、一人の男の公私の葛藤を描いたのが『我が心は石にあらず』です。壮大な物語である『邪宗門』と同時期に執筆された本作は、より個人の内面に焦点を当てた作品として知られています。
主人公の信藤は、会社ではエリート、組合ではリーダーという二つの顔を持つ男。妻子がありながら若い女性との不倫関係を続ける彼の日常は、会社の合理化案をめぐる組合闘争が激化する中で、徐々に崩壊していきます。
社会的な立場と、個人の欲望や愛情との間で引き裂かれる主人公の姿は、まさに「我が心は石にあらず」というタイトルを体現しています。組織の中で生きる人間の苦悩や矛盾を、リアルに感じ取ることができるでしょう。
ふくちい仕事とプライベート、どっちも大事にしたいけど、なかなかうまくいかない…。主人公の気持ち、わかる気がするなあ。
この本を読む
5位『日本の悪霊』
『日本の悪霊』は、元テロリストの男と、彼を追う刑事という二人の主人公を通して、「罪と罰」という根源的なテーマに迫る長編小説です。60年安保闘争下の京都を舞台に、社会派ミステリーのような緊迫感あふれる物語が展開されます。
かつて強盗殺人を犯した男・村瀬は、わざと軽い罪で捕まり、国家権力によって自らの過去が暴かれ、断罪されることを望みます。一方、彼を追う元特攻隊員の刑事・落合は、執拗な捜査を進めるうちに、容疑者である村瀬に対して奇妙な共感を覚えていきます。
追う者と追われる者、二人の魂の交錯を通して、あらゆるものを曖昧にし風化させてしまう「日本の風土」そのものを告発する、高橋和巳の代表作の一つです。
ふくちい本作における無機質なまでのシンプルな語り口からは作者の覚悟をひしひしと感じざるを得ない。
この本を読む
6位『捨子物語』
高橋和巳が自ら「処女作」と位置づける、自伝的要素の濃い長編小説が『捨子物語』です。太平洋戦争末期の大阪を舞台に、空襲によって焦土と化していく街で生きる、ある少年の内面が深く描かれています。
複雑な家庭環境に生まれ、常に死と孤独の影を感じながら成長していく主人公。彼の目を通して語られる物語は、戦争という極限状況における生のあり方を鋭く問いかけます。
1958年に自費出版された本作は、まさに高橋文学の原点であり、その後の作品世界に通じるテーマが凝縮された「青春の金字塔」と言えるでしょう。
ふくちい戦争中の話だから重いんだけど、主人公の少年の目線がすごくリアルで…。生きるってことを考えさせられる作品だよ。
この本を読む
7位『堕落』
理想に燃えた男が、その挫折の末に崩壊していく様を描いた『堕落』。かつて幻の帝国「満州国」の建国に青春を捧げた主人公・青木隆造の、痛ましい転落の物語です。
戦後、彼は福祉施設の園長として社会的な成功を収めますが、その内面には満州での理想の破綻によって生まれた、広大な「曠野」が広がっていました。施設の活動が表彰されたことを機に、心の均衡を失った彼は、堰を切ったように道徳的な堕落の道を突き進んでいきます。
一個人の転落を通して、かつて日本が抱いた壮大な夢とその悲劇的な結末を問い直す、高橋和巳晩年の問題作です。
ふくちい信じていたものが崩れた時、人はこんなにもろくなってしまうのかな…。彼の心の中の「曠野」を思うと、胸が苦しくなるよ。
この本を読む
8位『黄昏の橋』
著者の死によって未完に終わった絶筆、『黄昏の橋』。高橋和巳がその晩年に、理想と現実の狭間で揺れ動く人間の内面を描こうとした長編小説です。
博物館に勤める主人公・時枝正和は、煩雑な人間社会を避け、古美術の世界に静かに沈潜していました。しかしある日、学生と機動隊の衝突の中で、一人の学生が橋から転落死するのを目の当たりにしてしまいます。
事故として処理されようとする学生の死。この出来事をきっかけに、時枝は封印していた社会への関心を呼び覚まされ、事件の真相を追い求め始めます。物語がこれから大きく動き出すというところで筆が途絶えているため、読者はその結末を自ら想像するしかありません。
ふくちい未完だからこそ、いろんな結末を想像しちゃうんだ。主人公がどうなっていくのか、わたしもすごく気になるよ。
この本を読む
9位『散華』
短編ながら、戦争の思想と責任という重いテーマに挑んだ作品が『散華』です。戦時中に若者たちを死へと追いやった思想家と、その思想のもとで死に直面した元特攻隊員。戦後、二人は全く異なる立場で再会します。
物語の舞台は、鳴門海峡に浮かぶ孤島。電力会社の社員である大家は、鉄塔建設の用地買収のため、島に隠棲する元右翼思想家・中津を訪ねます。大家はかつて人間魚雷「回天」の特攻隊員であり、一方の中津は「散華の思想」を説いて若者たちの戦死を煽った張本人でした。
過去の思想と現在の生活、加害者と被害者という複雑な関係の中で交わされる二人の対話は、読者に戦争とは何だったのかを鋭く問いかけます。
ふくちい重いテーマだけど、二人の会話に引き込まれるよ。戦争について、改めて考えさせられるきっかけになると思うな。
この本を読む
10位『白く塗りたる墓』
高橋和巳の最後の小説であり、未完のまま遺されたのが『白く塗りたる墓』です。1960年代のテレビ局を舞台に、報道のあり方や社会問題を鋭くえぐり出した意欲作として知られています。
物語は、高度経済成長の影で深刻化する公害問題や、原子力発電所の安全性などをテーマに展開します。花形産業として脚光を浴びるテレビ報道の世界で、現実と報道の狭間で葛藤し、次第に精神をすり減らしていくテレビマンの姿が描かれています。
報道機関の良心とは何か、そして真実を伝えることの困難さを問いかける本作は、現代社会にも通じる普遍的なテーマを内包しています。「第一部 了」として物語は幕を閉じますが、その問いかけは今なお読者の心に重く響きます。
ふくちい今も昔も、マスコミが抱える問題って変わらないのかも。未完なのが本当に残念だけど、だからこそ考えさせられることが多いよ。
この本を読む
11位『故旧忘れ得べき』
（※編集部注：『故旧忘れ得べき』は高見順の著作であり、高橋和巳の作品ではないことが確認されました。読者の皆様に正確な情報をお届けするため、本ランキングからは除外させていただきます。）
12位『新しき日』
（※編集部注：『新しき日』という作品は、高橋和巳の著作リストには見当たりませんでした。情報の正確性を期すため、本項目は割愛させていただきます。）
13位『暗い旅』
（※編集部注：『暗い旅』という作品は、高橋和巳の著作リストには見当たりませんでした。情報の正確性を期すため、本項目は割愛させていただきます。）
14位『風景』
（※編集部注：『風景』という小説作品は、高橋和巳の著作リストには見当たりませんでした。情報の正確性を期すため、本項目は割愛させていただきます。）
15位『貧者の舞い』
高橋和巳の文学の原風景ともいえる、強烈な闇と孤独を描いた短編が『貧者の舞い』です。彼の多くの作品に通底するテーマが、この一作に凝縮されています。
舞台は、異臭が立ち込める貧民街。主人公は、過酷な環境で生きる幼い姉妹です。周囲からの嘲笑や、育児を放棄した母親といった絶望的な状況の中で、二人は必死に街からの脱出を模索します。
社会の底辺で生きる人々の姿を通して、逃れようのない貧困と、そこからの脱出への渇望を生々しく描き出した本作は、読む者に人間の生の根源を問いかけます。
ふくちいすごくつらいお話なんだけど、姉妹が希望を捨てない姿に胸を打たれるんだ。短いけど、心にずっしり残る作品だよ。
この本を読む
おわりに：高橋和巳の小説世界に触れて、思索の旅へ
ここまで高橋和巳のおすすめ小説をランキング形式で紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。彼の作品は、決して気軽に楽しめるエンターテインメントではないかもしれません。しかし、そこには時代と社会に真摯に向き合い、苦悩しながらも思索を続けた一人の作家の魂が刻まれています。
宗教、戦争、国家、そして人間そのものといった壮大なテーマに挑み続けた高橋和巳。彼の文学は、読む者に「人間とは何か」「どう生きるべきか」という根源的な問いを突きつけます。その重厚な物語と思索に満ちた世界は、半世紀以上が経過した現代においても、私たちの心を強く揺さぶる力を持っています。
今回紹介した作品をきっかけに、ぜひ高橋和巳の小説世界という思索の旅に出かけてみてください。きっと、あなたの知的好奇心を満たし、物事を深く考えることの面白さを教えてくれるはずです。
