【2025年最新】馳星周のおすすめ小説ランキングTOP20

はじめに：ノワールの旗手から直木賞作家まで、馳星周の魅力に迫る

馳星周（はせ せいしゅう）は、1965年北海道生まれの小説家です。ペンネームは、香港の映画監督・俳優であるチャウ・シンチー（周星馳）の名前を逆にしたものであることは、ファンの間では有名な話です。1996年に『不夜城』で鮮烈なデビューを飾り、吉川英治文学新人賞などを受賞しました。

デビュー当初は、新宿・歌舞伎町などを舞台に裏社会を生きる人々を描く「ノワール小説（暗黒小説）」の旗手として、熱狂的な人気を獲得。その後も、エンターテインメント、歴史小説、そして犬をテーマにした作品など、幅広いジャンルで読者を魅了し続けています。そして2020年、『少年と犬』で第163回直木三十五賞を受賞し、その実力を改めて証明しました。この記事では、そんな馳星周の多彩な作品の中から、特におすすめの小説をランキング形式でご紹介します。

馳星周のおすすめ小説ランキングTOP20

それでは、いよいよ馳星周のおすすめ小説ランキングTOP20を発表します。裏社会を描いたハードなノワール小説から、心温まる犬の物語、壮大な歴史ロマンまで、様々なジャンルの作品がランクインしました。

デビュー作から直木賞受賞作まで、馳星周の魅力を存分に味わえるラインナップとなっています。あなたの心に響く一冊が、きっとこの中に見つかるはずです。ぜひ、気になる作品から手に取ってみてください。

1位『少年と犬』

堂々の1位は、2020年に第163回直木三十五賞を受賞した『少年と犬』です。馳星周が7回目のノミネートでついに受賞したことでも話題になりました。これまでのノワール小説のイメージを覆す、感動的な物語として多くの読者の心を打ちました。

物語は、東日本大震災で飼い主を失った一匹の犬「多聞」が、傷ついた人々と出会いながら南を目指す旅を描く連作短編集です。犯罪に手を染める男、壊れかけた夫婦、体を売る女など、様々な事情を抱える人々に多聞が寄り添っていきます。犬と人間の種を超えた絆が描かれ、「とにかく泣ける」とSNSでも絶賛の声が相次ぎました。2025年には映画の公開も予定されています。

2位『不夜城』

2位は、1996年に刊行された馳星周の衝撃的なデビュー作『不夜城』です。この作品で第18回吉川英治文学新人賞を受賞し、一躍ノワール小説の旗手として注目を集めました。物語の舞台は、欲望が渦巻く新宿・歌舞伎町。

日本と台湾のハーフである主人公・劉健一が、中国人マフィアたちの激しい抗争に巻き込まれていく様を、圧倒的なスピード感と暴力描写で描いています。誰も信じられない状況下で、裏切りと策略を繰り返しながら生き残りを図る主人公の姿は、読者に強烈なインパクトを与えました。金城武主演で映画化もされ、大ヒットを記録した馳星周の原点にして最高傑作の一つです。

3位『黄金旅程』

3位には、ノワールとは一味違うエンターテインメント小説『黄金旅程』がランクイン。競走馬とそれに関わる人々の熱いドラマを描いた作品で、競馬ファンならずとも胸が熱くなること間違いなしです。手に汗握るレースの描写は圧巻の一言に尽きます。

4位『鎮魂歌 不夜城II』

4位は、デビュー作『不夜城』の続編にあたる『鎮魂歌 不夜城II』です。前作から1年後の歌舞伎町を舞台に、新たな抗争と復讐劇が繰り広げられます。

今作の主人公は、前作で強烈な印象を残した武闘派の中国人・呉富春。劉健一も物語の重要な鍵を握る人物として登場します。よりスケールアップしたバイオレンス描写と、裏社会に生きる男たちの哀愁が描かれ、1998年に日本推理作家協会賞を受賞しました。『不夜城』を読んだ後、その熱が冷めないうちに手に取ってほしい一冊です。

5位『ソウルメイト』

5位は、馳星周の愛犬家としての一面が色濃く反映された作品『ソウルメイト』。作家と愛犬との日々を綴ったエッセイで、犬と暮らすことの喜びや切なさがストレートに伝わってきます。ノワール作品のイメージとは異なる、著者の優しい眼差しを感じられる一冊です。

6位『雨降る森の犬』

6位は、犬をテーマにしながらも、サスペンスフルな展開が魅力の『雨降る森の犬』です。北海道の森で多額の現金と共に死体が見つかる事件と、そこに現れた一匹の犬。犬の視点と人間の視点が交錯しながら、物語は思わぬ方向へと進んでいきます。

7位『長恨歌 不夜城 完結編』

7位には、伝説のノワールシリーズの最終章『長恨歌 不夜城 完結編』がランクイン。『不夜城』、『鎮魂歌』と続いた劉健一の物語が、ついに終わりを迎えます。

『鎮魂歌』から数年後、一度は歌舞伎町を離れた健一が、逃れられない宿命によって再び裏社会の抗争へと引き戻されます。シリーズを通して登場したキャラクターたちの運命が交錯し、壮大な物語は衝撃の結末へ。シリーズを追いかけてきた読者にとって、見逃すことのできない集大成です。

8位『夜光虫』

8位は、エリートサラリーマンの転落劇を描いたサスペンス・ノワール『夜光虫』。この作品は直木賞候補にもなりました。

企業コンサルタントとして成功していた主人公が、ふとしたきっかけで裏社会のトラブルに巻き込まれ、終わりのない逃亡劇を繰り広げることになります。追う者と追われる者の息詰まる心理戦、そして北海道の広大な自然を舞台にしたスリリングな展開から目が離せません。馳星周作品の中でも特にダークな物語として知られています。

9位『漂流街』

9位は、1999年に大藪春彦賞を受賞した『漂流街』です。この作品は、日本のアンダーグラウンド社会で生きる外国人たちに焦点を当てています。

主人公は、日系ブラジル人のマーリオ。彼は偽札事件をきっかけに、様々な国籍の人々が入り乱れる裏社会の抗争に身を投じていきます。国際色豊かな設定と、どこにも属せない者たちの孤独や絶望がリアルに描かれています。三池崇史監督によって映画化もされた、馳星周の初期の傑作です。

10位『M』

10位は、警察組織の闇に切り込んだ警察小説『M』。こちらも直木賞候補作に選ばれています。

主人公は、警察内部の不正を調査する「監察官」。彼は「M」と呼ばれる謎の存在を追ううちに、組織の根深い腐敗と巨大な陰謀に直面します。正義とは何か、組織とは何かを問いかける重厚なミステリーです。従来のノワール小説とは一線を画し、馳星周の新たな境地を示した作品として高く評価されています。

11位『生誕祭』

11位は、『不夜城』シリーズのファン必読の短編集『生誕祭』です。劉健一や呉富春といった主要キャラクターたちの過去や、本編では描かれなかったエピソードが収録されています。シリーズの世界をより深く知るための重要な一冊です。

12位『約束の地で』

12位は、馳星周の故郷でもある北海道を舞台にした『約束の地で』。この作品も直木賞候補となりました。

かつて故郷を捨てた主人公が、ある事件をきっかけに再びその地を踏むことになります。そこで彼を待っていたのは、家族や過去との確執、そして閉鎖的な田舎町の人間関係でした。ノワール的な緊張感を保ちつつも、人間の再生をテーマにした重厚な人間ドラマが展開されます。

13位『月の王』

13位は、馳星周が新たなジャンルに挑戦した歴史小説『月の王』です。源義経がモンゴルへ渡り、チンギス・ハンになったという壮大な伝説をベースに、一人の男の波乱に満ちた生涯を描きます。圧倒的なスケールで描かれる歴史ロマンです。

14位『アンタッチャブル』

14位は、華やかな芸能界の裏側に潜む闇を描いたノワール小説『アンタッチャブル』。こちらも直木賞候補作です。

主人公は、芸能プロダクションの「トラブル処理屋」。彼は、所属タレントのスキャンダルや薬物汚染、枕営業といった様々な問題を、非合法な手段も厭わずに解決していきます。きらびやかな世界の裏でうごめく欲望や嫉妬をリアルに描き出し、スリリングな展開で読者を飽きさせません。

15位『復活祭』

15位は、『不夜城』シリーズの短編集第二弾『復活祭』です。『生誕祭』に続き、シリーズの脇役たちにスポットを当てた物語が収録されています。彼らの知られざる人生を知ることで、シリーズの世界観がさらに広がります。

16位『暗手』

16位は、永田町を舞台に日本の政治の裏側を描いたサスペンス小説『暗手』です。

大物政治家の秘書を務める主人公が、権力闘争やスキャンダル、裏切りが渦巻く世界に巻き込まれていきます。魑魅魍魎が跋扈する政界の闇を、馳星周ならではのリアルな筆致で暴き出す作品です。『夜光虫』の主人公・加倉のその後を描いた続編でもあり、前作を読んでいなくても楽しめますが、合わせて読むとより深く物語を味わえます。

17位『フェスタ』

17位は、スペインの牛追い祭り「サン・フェルミン祭」を舞台にしたアクション・ノワール『フェスタ』です。祭りの熱狂の中で繰り広げられる、男たちの命を懸けた戦いを描きます。疾走感あふれる展開が魅力の一冊です。

18位『神の涙』

18位は、直木賞受賞作『少年と犬』のスピンオフ作品『神の涙』です。本編で描かれなかった犬・多聞の旅路や、彼が出会った人々のその後が描かれています。『少年と犬』で心を揺さぶられた人には、ぜひ読んでほしい一冊です。

19位『北辰の門』

19位は、幕末の函館戦争を舞台にした歴史大作『北辰の門』です。旧幕府軍として最後まで戦い抜いた男たちの生き様を、馳星周ならではの熱い筆致で描きます。歴史好きにはたまらない、重厚な物語です。

20位『マンゴー・レイン』

ランキングの最後を飾る20位は、タイを舞台にした国際ノワール『マンゴー・レイン』です。バンコクの裏社会を舞台に、日本人旅行者が巨大な陰謀に巻き込まれていく様を描きます。異国の地の湿った空気感と、予測不能なストーリーが魅力です。

おわりに：ランキングを参考に、あなただけの一冊を見つけよう

馳星周のおすすめ小説ランキングTOP20、いかがでしたでしょうか。裏社会を描くハードなノワール小説から、心温まる犬との物語、壮大な歴史小説まで、その作風の幅広さを感じていただけたかと思います。

デビューから一貫して人間の業や欲望を鋭く描き続ける一方で、近年では『少年と犬』のように、優しさや希望を描く作品で新たな読者層を獲得しています。このランキングを参考に、ぜひあなたの心に響く一冊を見つけて、馳星周のディープな世界に足を踏み入れてみてください。