【2025年最新】青山文平のおすすめ人気小説ランキングTOP15

青山文平とは？江戸を舞台に人間の機微を描く直木賞作家

青山文平（あおやま ぶんぺい）さんは、1948年生まれ、神奈川県横浜市出身の作家です。 早稲田大学を卒業後、経済関係の出版社に18年間勤務し、フリーライターとして独立しました。 1992年に一度新人賞を受賞しますが、その後しばらく創作から離れ、2011年に『白樫の樹の下で』で松本清張賞を受賞し、63歳で再デビューを果たしたというユニークな経歴の持ち主です。

青山さんの作品の多くは、江戸時代を舞台に、歴史の表舞台には出てこない市井の人々の生き様や人間の機微を深く描いているのが特徴です。 2016年には『つまをめとらば』で第154回直木賞を受賞し、時代小説の名手としての地位を確立しました。 その静かで美しい文章は、藤沢周平作品を彷彿とさせるとも評され、多くの読者を魅了しています。

青山文平のおすすめ人気小説ランキングTOP15

ここからは、いよいよ青山文平さんのおすすめ人気小説をランキング形式でご紹介します。

直木賞受賞作から、デビューのきっかけとなった作品、そして隠れた名作まで、多彩なラインナップが揃いました。どの作品も、江戸という時代の空気感と、そこで懸命に生きる人々の息づかいが感じられるものばかりです。あなたの心に響く一冊が、きっと見つかるはずです。

1位『つまをめとらば』

堂々の1位は、2016年に第154回直木三十五賞を受賞した短編集『つまをめとらば』です。 太平の世にあってどこか生きづらさを抱える武家の男たちと、彼らの人生に深く関わる女性たちの姿を鮮やかに描き出しています。

男たちの記憶の中にいる「獰猛なまでに美しい女たち」の面影が、物語の重要な鍵を握ります。 江戸の町を舞台に繰り広げられる、男と女の複雑な業（ごう）や本質が、青山さんならではの巧みな筆致で描かれています。選考会でも「文章のうまさというのは感嘆に価する」「ハイレベルの短編集」などと高く評価されました。

2位『鬼はもとより』

第17回大藪春彦賞を受賞し、直木賞候補にもなった長編時代小説です。物語の舞台は、財政難に苦しむ小藩。主人公である藩士・鵜飼半十郎が、藩の立て直しのために前例のない「藩札」の導入という大事業に挑みます。

経済関係の出版社に勤めていた青山さんの知識が存分に活かされた作品で、経済小説としての読み応えも抜群です。しかし、本作の魅力はそれだけではありません。武士としての誇りと、藩を救いたいという強い信念の間で葛藤する主人公の姿や、彼を支える人々との人間ドラマが深く描かれています。手に汗握る展開と、胸を打つ感動が待っている一冊です。

3位『本売る日々』

江戸時代の本屋を舞台にした、心温まる連作短編集です。主人公は、日本橋で小さな本屋を営む伊助。彼のもとを訪れるさまざまな客が持ち込む謎や悩みを、本を通して解決していく姿が描かれます。

どの話からでも気軽に読むことができます。江戸の庶民の暮らしや、当時の出版事情が垣間見えるのも楽しみの一つ。人と本との繋がりを温かく描き出した本作は、読書好きにはたまらない一冊と言えるでしょう。ミステリー要素もあり、物語の結末にはあっと驚かされることも。

4位『半席』

『このミステリーがすごい！』で2017年版国内編4位にランクインするなど、ミステリーファンからも高い評価を得ている作品です。主人公は、江戸南町奉行所の与力・片岡直人。彼はある事情から同僚たちから「半席」と呼ばれ、軽んじられています。

物語は、片岡が担当する事件を通して、彼の隠された過去や、武士としての矜持が明らかになっていく構成になっています。切れ味鋭い謎解きと、重厚な人間ドラマが融合した傑作時代ミステリー。普段あまり時代小説を読まないという方にも、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

5位『泳ぐ者』

江戸時代に実在した「水練の達人」たちに光を当てた、ユニークな長編小説です。物語は、江戸で水練道場を営む男と、彼のもとを訪れた記憶喪失の青年との出会いから始まります。

青年はなぜ記憶を失ったのか、そして彼の驚異的な泳ぎの技術はどこで身につけたものなのか。謎が謎を呼ぶ展開に、ページをめくる手が止まらなくなるでしょう。水を巧みに操る登場人物たちの描写は圧巻の一言。これまであまり描かれることのなかった「泳ぎ」というテーマを通して、人間の業や生き様を問いかける意欲作です。

6位『底惚れ』

2022年に中央公論文芸賞と柴田錬三郎賞をダブル受賞した、青山さんの新たな代表作との呼び声も高い長編小説です。主人公は、江戸の片隅で生きる腕利きの左官・銀次。彼はある日、旗本の妻女から、亡き夫が残した「底惚れ」という言葉の謎を解いてほしいと依頼されます。

「底惚れ」とは一体何を意味するのか。銀次が謎を追ううちに、武家社会の知られざる実態や、人々の複雑な想いが浮かび上がってきます。職人の世界をリアルに描きながら、ミステリーとしても一級品の本作。読み終えた後、タイトルの意味が心に深く染み渡るはずです。

7位『遠縁の女』

江戸の町で探偵業のようなことをしている元武士の男が主人公の連作短編集です。彼のもとに舞い込むのは、人探しや浮気調査といった、一見すると些細な依頼ばかり。しかし、その裏には人々の切実な事情や思いが隠されています。

派手な立ち回りはありませんが、主人公が依頼の裏にある真相をじっくりと解き明かしていく過程が丁寧に描かれています。江戸に生きる人々の喜びや悲しみが、じんわりと心に伝わってくるような作品。落ち着いた雰囲気の時代小説を読みたい気分の時にぴったりの一冊です。

8位『白樫の樹の下で』

青山さんが63歳で再デビューを飾るきっかけとなった、第18回松本清張賞受賞作です。提灯貼りの内職で生計を立てる貧しい御家人・村上登が、二人の幼馴染との関係や、ある刀を巡る出来事を通して、武士としての生き方を問い直していく物語。

剣の腕は立つものの、人を斬ったことのない主人公。平和な時代の中で武士であることの意味を見失いかけていた彼が、再び自分の道を見出していく姿が感動を呼びます。青山作品の原点ともいえる一冊であり、その後の作品に通じるテーマが凝縮されています。

9位『やっと訪れた春に』

人生の様々な局面で「春」を待ち望む人々を描いた、珠玉の短編集です。収録されているのは、それぞれ異なる境遇に置かれた主人公たちの物語。彼らが困難や葛藤を乗り越え、ささやかな希望を見出すまでを温かい眼差しで描いています。

どの物語も読後感が良く、心がふっと軽くなるような感覚を味わえます。辛いことや苦しいことがあっても、いつか必ず春は訪れる。そんな当たり前だけれど忘れがちな大切なことを、そっと教えてくれる一冊です。新しい門出を迎える人への贈り物にもおすすめです。

10位『かけおちる』

藩の財政を立て直すため、鮭の養殖事業に人生を捧げた男の物語。重厚な歴史経済小説です。主人公の阿部重秀は、前例のない事業を成功させるために、私財を投げ打ち、周囲の反対にも屈せず突き進みます。

しかし、彼の前には次々と困難が立ちはだかります。自然の猛威、幕府の思惑、そして人の裏切り。それでもなお、未来のために奮闘する主人公の姿には胸が熱くなります。大きな目標に向かって何かに打ち込んだことのある人なら、きっと共感できる部分が多いはずです。

11位『跳ぶ男』

能楽の世界を舞台にした、異色の長編時代小説です。貧しい小藩お抱えの能役者の家に生まれた主人公・屋島剛。彼はある事件をきっかけに藩主の身代わりを務めることになり、藩の存亡を揺るがす大きな陰謀に巻き込まれていきます。

これまであまり知られていなかった能役者の世界や、武家社会における彼らの特殊な立場が興味深く描かれています。ミステリー要素も強く、剛が自身の運命を切り開いていく姿から目が離せません。

12位『励み場』

江戸時代に存在した「名子（なご）」と呼ばれる、農民よりも低い身分とされた人々に焦点を当てた作品です。武家だった主家が農民になったことで、その家来であった者たちが「名子」となり、理不尽な差別に苦しむ姿が描かれています。

過酷な運命に翻弄されながらも、懸命に生きる夫婦の姿を通して、「働くとは何か」「家族とは何か」といった普遍的なテーマを問いかけます。社会の不条理と闘いながら、自分たちの生きる道を探し求める夫婦の決断には、深く考えさせられるものがあります。

13位『江戸染まぬ』

江戸に生きる人々の人生の一片を、鮮やかに切り取った短編集です。表題作「江戸染まぬ」では、田舎から江戸へ奉公に来ている実直な下男が主人公。彼は、隠居した元殿様の世話をする下女を実家まで送り届ける役目を命じられますが、その道中で予期せぬ出来事に遭遇します。

何気ない日常の中に潜む人間の面白さや哀しさが、温かい筆致で描かれており、読後はしみじみとした余韻に包まれます。

14位『伊賀の残光』

徳川家康に仕えた服部半蔵で知られる、伊賀忍者の末裔たちの物語です。時代は移り、戦のない太平の世。かつて恐れられた忍者たちも、その存在意義を失い、逼塞した日々を送っていました。

そんな中、ある任務をきっかけに、彼らは再び歴史の闇へと足を踏み入れることになります。忍びとしての技や誇りを失わずに生きようとする男たちの葛藤と、彼らを待ち受ける過酷な運命を描いた長編小説。スリリングな展開と、哀愁漂う結末が心に残る一冊です。

15位『春山入り』

『約定』を改題した、珠玉の短編集です。 人生の岐路に立ち、もがきながらも前に進もうとする人々の姿を描いた物語が6編収録されています。

他にも、城内でのいじめに苦しむ若侍を描いた「夏の日」など、心に深く刻まれる名品ばかり。 どの物語も最後にはささやかな救いが用意されており、読後には温かい気持ちになれるでしょう。

お気に入りの一冊から青山文平の世界に触れてみよう

青山文平さんのおすすめ人気小説ランキング、いかがでしたでしょうか。歴史の影に埋もれた人々の声に耳を澄まし、その生き様を現代に蘇らせる青山さんの作品は、私たちに生きる勇気やヒントを与えてくれます。

重厚な長編から、気軽に読める短編集まで、作風もさまざまです。ぜひこのランキングを参考に、気になる一冊を手に取ってみてください。きっとあなたも、奥深く、味わい豊かな青山文平の世界の虜になるはずです。