皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
李良枝(イ・ヤンジ)は、1955年に山梨県で生まれた在日韓国人二世の小説家です。彼女の作品は、日本と韓国という二つの祖国、日本語と韓国語という二つの言語の狭間で揺れ動く人々のアイデンティティを、痛切なまでに深く描き出しています。
早稲田大学を中退後に韓国へ渡り、ソウル大学校で学んだ経験は、彼女の文学に大きな影響を与えました。1989年、韓国に留学した在日韓国人女性が自らのルーツを探し求める姿を描いた『由煕(ユヒ)』で第100回芥川賞を受賞。しかし、そのわずか3年後の1992年、37歳という若さで惜しまれつつもこの世を去りました。
ここからは、夭折の天才作家・李良枝の作品の中から、特におすすめしたい小説やエッセイをランキング形式で5作品ご紹介します。
彼女の作品は、「自分とは何者なのか」という根源的な問いを、静かに、しかし鋭く私たちに投げかけてきます。もしあなたが自身のアイデンティティに悩んだり、心から安らげる居場所を探したりしているのなら、きっと彼女の言葉が寄り添ってくれるはずです。お気に入りの一冊を見つけるお手伝いができれば幸いです。
李良枝文学の最高傑作と名高いのが、第100回芥川賞を受賞した表題作『由煕』と、デビュー作『ナビ・タリョン』を収録した一冊です。『由煕』は、主人公が自らのルーツを求めて韓国に渡り、シャーマニズムの世界に深く分け入っていく物語。
一方の『ナビ・タリョン』は、韓国の伝統的な仮面劇を習う在日韓国人女性が主人公です。どちらの作品も、二つの文化の狭間でアイデンティティを模索する切実な姿が描かれており、李良枝文学の原点に触れることができます。初めて彼女の作品を読むなら、まずこの一冊から始めるのがおすすめです。
主人公の魂の叫びが、自分のことみたいに胸に迫ってくるんだ。わたしとは何か、その答えを探す旅に引きずり込まれちゃうよ。
『刻』は、李良枝の初期の代表作の一つである短編集です。表題作「刻」と「藁の座」の二篇が収められています。
家族の歴史や世代間の葛藤、そして自らのルーツである済州島へと向かう主人公の姿を通して、血や土地との繋がりというテーマが色濃く描かれています。死を意識しながら書かれたとも言われるその文章は、静謐ながらも圧倒的な力強さに満ちており、読む者の魂を揺さぶります。
家族や土地との繋がりって、切っても切れないものなんだよね。静かな文章なのに、魂を直接ゆさぶられるような力強さを感じたよ。
『石の聲』は、李良枝が最後に手掛けた長編小説で、残念ながら第一章のみが遺稿として残されました。物語は、ソウルで日本語教師として働く在日韓国人二世の女性を主人公に、「言葉」というテーマを深く掘り下げています。
母語である日本語と、祖国の言葉である韓国語。二つの言語の狭間で、主人公は自らの存在そのものについて葛藤します。未完でありながら、言葉とアイデンティティの関係性を問いかける内容は非常に濃密で、彼女が到達しようとした文学の高みを感じさせます。
言葉が自分自身を作るなんて、考えたこともなかったな…。未完だからこそ、この物語の続きをずっと想像してしまうんだ。
李良枝という作家の素顔や思索の軌跡に触れたい方には、没後30年に合わせて刊行された『ことばの杖』がおすすめです。このエッセイ集には、生前に発表された文章や対談、インタビューなどが収録されています。
自身の生い立ち、韓国での体験、創作への思いなど、彼女自身の言葉で語られるエピソードは非常に貴重です。小説の背景にある作家の思索や人柄を知ることで、物語をより一層深く味わえるでしょう。
作家さんの素顔に触れられるって、すごく贅沢な時間だよね。小説を読んだ後にこれを読むと、物語の解像度がぐっと上がる感じがするよ!
「どの作品から読めばいいか迷ってしまう」「李良枝の文学世界をまとめて体感したい」という方には、作家・温又柔さんが編んだ『李良枝セレクション』がぴったりです。
この一冊には、芥川賞受賞作『由煕』や遺作『石の聲』を含む代表的な小説4篇とエッセイ3篇が収録されています。彼女の思考の変遷がわかるように構成されており、文学の全体像を掴むための最高の入門書と言えるでしょう。詳細な解説や年譜も付いているため、より深く作品世界に没入できます。
これ一冊で李良枝さんの世界を旅できるなんて、最高の入門書だね。誰かにこの感動を伝えたくて、プレゼントしたくなっちゃうな。
ここまで、李良枝のおすすめ作品をランキング形式でご紹介してきました。彼女の作品の魅力は、なんといっても二つの国の間で揺れ動きながらも、自己のアイデンティティを懸命に問い続けたその切実さにあります。その問いは、国や文化の違いを超え、現代を生きる私たちの心にも深く響く普遍的なものです。
どの作品から読もうか迷っている方のために、おすすめの読む順番をご提案します。
もちろん、最初に『李良枝セレクション』で全体像を掴むのも良いでしょう。ぜひ、あなたの心に響く一冊を見つけて、その唯一無二の文学世界に触れてみてください。