皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
上田岳弘(うえだ たかひろ)さんは、1979年兵庫県明石市生まれの小説家です。 早稲田大学法学部を卒業後、IT企業の立ち上げに参加して役員を務めながら執筆活動を行うという、異色の経歴の持ち主です。
2013年に「太陽」で第45回新潮新人賞を受賞しデビューすると、その後も数々の文学賞を受賞。 2015年には『私の恋人』で第28回三島由紀夫賞を、2019年には『ニムロッド』で第160回芥川龍之介賞を受賞しました。 その作風は、テクノロジーや宇宙、生命といった壮大なテーマを扱い、純文学とエンターテインメントの境界を越えようとすることから「新超越派」と称されています。
ここからは、上田岳弘さんのおすすめ小説をランキング形式でご紹介します。芥川賞受賞作をはじめ、上田さんの魅力が詰まった作品ばかりです。
壮大なスケールで描かれる物語は、私たちに新しい世界の見方を提示してくれます。SF的な設定から哲学的な問いまで、あなたの知的好奇心を刺激する一冊がきっと見つかるはずです。どの作品から読もうか迷っている方は、ぜひこのランキングを参考にしてみてください。
堂々の1位は、第160回芥川龍之介賞受賞作の『ニムロッド』です。 仮想通貨の「採掘(マイニング)」を行う主人公と、トラウマを抱えた恋人、そして小説家の夢に挫折した同僚の3人を軸に、情報化社会における人間の存在意義を問う物語です。
仮想通貨や「駄目な飛行機コレクション」といった現代的なモチーフを扱いながらも、旧約聖書に登場する「バベルの塔」を建てた王の名を冠したタイトルが示すように、物語は神話的なスケールで展開します。 難解さと面白さが共存する、まさに上田岳弘さんの真骨頂ともいえる作品です。
仮想通貨から神話まで繋がるスケールがすごい!まさに今、わたしたちが読むべき物語だね。
2位にランクインしたのは、第28回三島由紀夫賞受賞作の『私の恋人』です。 旧石器時代からナチスの収容所、現代の東京まで、時代も場所も超えて「あなた」を探し求める「私」の物語が描かれます。
100年、10万年という壮大な時間を超えて転生を繰り返す「私」の視点から語られる、究極の恋愛小説ともいえるでしょう。 時系列が複雑に絡み合う構成ながら、その圧倒的な世界観と美しい文章に引き込まれること間違いありません。愛と記憶、そして物語ることの意味を問いかける、感動的な一冊です。
時空を超えて愛する人を探し続けるなんて、ロマンチックすぎる!壮大なスケールで描かれる究極の愛の物語だよ。
3位は、上田さんのデビュー作「太陽」と、その続編的な短編「惑星」を収録した『太陽・惑星』です。 「太陽」は第45回新潮新人賞を受賞した作品で、上田文学の原点ともいえる一冊です。
物語の舞台は、地球に巨大な「偽の太陽」が接近するという非日常的な世界。その中で繰り広げられる人々の結婚や仕事、死といった普遍的な営みが、宇宙的なスケールで描かれます。SF的な設定と純文学的な思索が見事に融合した、唯一無二の読書体験が味わえます。
偽の太陽が現れるっていう設定が斬新だよね。非日常な世界だからこそ、日常の尊さが際立って感じられたな。
4位は、コロナ禍の日常をテーマにした短編集『旅のない』。表題作は川端康成文学賞を受賞しています。 収録されているのは、パンデミックによって物理的な移動が制限された世界で、人々がどのように日々を生きていたかを映し出す4つの物語です。
旅行代理店に勤める主人公が「旅」の意味を問い直す表題作をはじめ、緊急事態宣言下のゴールデンウィークを描く「悪口」など、私たちの記憶にも新しい風景が切り取られています。 現実と虚構が入り混じる中で、現代社会のありようを鋭く描き出した作品です。
コロナ禍のあの独特の空気感がリアルで、すごく共感したよ。旅ができない世界で「旅」を考えるって、深いよね。
5位には、人間の「愛」を真正面から描いた『最愛の』がランクイン。この作品で島清恋愛文学賞を受賞しています。 主人公の男性が、亡くなった母親の過去を辿る中で、家族や血縁、そして愛の形について思索を深めていく物語です。
上田作品の特徴である壮大なスケールは健在ですが、物語の入り口は「家族の愛」という非常にパーソナルなもの。テクノロジーが進化する現代において、愛という普遍的な感情がどのように変化していくのか、あるいは変わらないのかを問いかけます。読み終えた後、自分の大切な人のことを考えたくなるような一冊です。
家族の愛っていう身近なテーマだから、すごく感情移入しちゃった…。読み終わった後、切なくて温かい気持ちになるよ。
6位は、第68回芸術選奨新人賞を受賞した『塔と重力』です。 天才建築家だった祖父が世界中に建てた「塔」の謎を、孫である主人公が追っていくというミステリー仕立ての物語です。
建築というモチーフを通して、人間の欲望や資本主義、歴史といった壮大なテーマを描き出しています。 祖父はなぜ塔を建て続けたのか?その謎を追ううちに、読者は人間社会の構造そのものについて考えることになるでしょう。知的好奇心を刺激される、重厚な読み応えのある作品です。
塔の謎を追うミステリーとしても面白い!人間の欲望や社会の仕組みまで描かれていて、読み応え抜群だったよ。
7位は、情報化社会のうねりを描いた長編小説『キュー』。ある日突然、謎の組織にリクルートされた主人公が、世界をより良くするための「キュー(合図)」を出す任務に就く、というスリリングな物語です。
監視社会や格差社会といった、現代が抱える問題を背景に、個人の意志が巨大なシステムの中でいかに翻弄されるかを描いています。 予測不能な展開にページをめくる手が止まらなくなる、エンターテインメント性の高い作品でありながら、社会派なテーマを内包した意欲作です。
謎の組織に「キュー」って、設定が面白くて一気に読んじゃった!これって、今の社会への警告なのかな?
8位は、芥川賞の候補作にもなった『異郷の友人』です。 この作品は、日本人の青年と中国人の青年の友情を軸に、国家や歴史、イデオロギーといった大きなテーマに切り込んでいきます。
舞台は日本と中国。二人の青年の個人的な交流を通して、個人ではどうすることもできない大きな力の存在を浮き彫りにします。グローバル化が進む現代において、国境を越えた友情は可能なのか、そして個人と国家の関係性とは何かを問いかける、力強い物語です。
国や歴史っていう大きなテーマを、二人の友情を通して描いているのがすごい。色々と考えさせられる一冊だよ。
9位は、物理学の概念を通して人間関係を描いた『引力の欠落』。主人公は、「引力」が存在しない世界を夢想する物理学者です。彼の抽象的な思索と、妻との関係や研究者としてのキャリアといった現実世界でのドラマが交錯しながら物語は進みます。
人間関係における引力や斥力、そして何かを失ったときの喪失感を、物理学というユニークな視点から描いた作品です。知的で詩的な文章が魅力で、静かな感動を呼び起こします。日常の中に潜む、目に見えない「力」について考えさせられる一冊です。
物理学で人間関係を描くなんてユニークだよね。静かだけど、心にじんわり響く物語だったな。
ランキングの最後を飾るのは、人間とAIの恋愛を描いたSF小説『K+ICO』です。主人公の「K」が恋に落ちた相手は、AIの「ICO」。この斬新な設定を通して、「意識」や「心」とは何かという根源的な問いを投げかけます。
上田さんが得意とするテクノロジーと人間の関係性というテーマを、「恋愛」という形で描いた意欲作。切ないラブストーリーとして楽しめるのはもちろん、人間とAIの境界線が曖昧になりつつある未来について、深く考えさせられるでしょう。SFファンにも恋愛小説ファンにもおすすめしたい一冊です。
AIとの恋、もう未来の話じゃないのかも。切ないけど、新しい愛の形を見せてもらった気がするよ!
ここまで、上田岳弘さんのおすすめ小説をランキング形式でご紹介してきました。テクノロジー、宇宙、愛、歴史など、作品ごとに扱われるテーマは様々ですが、その根底には常に人間存在への深い洞察があります。
一見すると難解に思えるかもしれませんが、その壮大な物語世界に一度足を踏み入れれば、きっと唯一無二の読書体験が待っているはずです。今回のランキングを参考に、ぜひ気になる一冊を手に取って、上田岳弘さんの小説世界を旅してみてください。