皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
尾辻克彦(おつじ かつひこ)は、多方面で活躍した芸術家・作家の赤瀬川原平(あかせがわ げんぺい)が、純文学の小説を書く際に使用していたペンネームです。赤瀬川原平は前衛芸術家やイラストレーター、エッセイストとしても有名で、非常に多彩な才能を持っていました。1960年代には仲間と芸術グループ「ハイレッド・センター」を結成して活動していたことでも知られています。
そんな彼が尾辻克彦として発表した小説『父が消えた』は、1980年に第84回芥川龍之介賞を受賞し、大きな話題となりました。尾辻克彦の小説は、自身の体験を元にした私小説的な雰囲気と、日常にふと現れる不思議な出来事をユーモアたっぷりに描くのが特徴です。
ここからは、数ある尾辻克彦の作品の中から、特におすすめの小説をランキング形式で11作品ご紹介します。芥川賞を受賞した代表作から、ユーモアが光るユニークな作品、少し不思議な読後感を味わえる作品まで、幅広く選びました。
芸術家でもある彼ならではの視点で描かれる世界は、どれも個性的で魅力的です。どの作品から読もうか迷っている方は、ぜひこのランキングを参考にしてみてください。
ランキングの頂点に輝いたのは、尾辻克彦の代表作であり、第84回芥川賞を受賞した『父が消えた』です。作者自身の父親の死をモチーフにした作品と言われています。
父の遺骨を納める墓地を見に行くという物語を通して、亡き父との思い出が描かれます。大きな事件が起きるわけではないのに、不在であるはずの父親の存在感がじわじわと心に残る、不思議な読後感のある一冊です。軽妙な語り口と独特のユーモアが混じり合い、唯一無二の世界観を生み出しています。
いないはずの父親の存在感がすごいんだ。不思議な余韻が残る作品だよ。
『肌ざわり』は、尾辻克彦が小説家としてデビューするきっかけとなった作品で、1979年に中央公論新人賞を受賞しました。この作品の成功が、後の芥川賞受賞作『父が消えた』へと繋がっていきます。
自身の娘との生活をテーマにしており、日常の何気ない風景が、著者ならではの独特の感性で切り取られています。尾辻克彦の原点ともいえる作品で、その瑞々しい文章は今読んでも色褪せることがありません。
デビュー作とは思えない完成度なんだ。ここから伝説が始まったって感じがするよ。
1983年に野間文芸新人賞を受賞した『雪野』は、著者の自伝的な長編小説です。主人公と友人の「雪野」が、芸術家を目指して悪戦苦闘する青春時代を描いています。
貧しい生活の中で、芸術とは何かを模索する二人の姿を通して、著者自身の芸術への向き合い方の変化も綴られています。夢を追いかけることのきらめきとほろ苦さが詰まった、心に深く響く一作です。
夢を追いかける若者たちの姿が、なんだか切なくて…。わたしも応援したくなっちゃったな。
夏目漱石の名作をもじったユニークなタイトルが目を引く『吾輩は猫の友だちである』。その名の通り、猫との日常を描いた作品です。
尾辻克彦の作品には猫がたびたび登場しますが、本書では特に猫への愛情あふれる視線が感じられます。猫好きにはたまらないのはもちろん、何気ない日常を面白がる著者ならではのユーモアと観察眼が光る作品です。
猫好きなら絶対読んでほしいな!日常のちょっとしたことが、すごく面白く見えてくるんだよ。
『ライカ同盟』は、カメラ、特にドイツの名門カメラ「ライカ」をテーマにした物語です。写真やカメラ好きとして知られる著者ならではの、精密機器への憧れや愛情が詰まっています。
少年たちがカメラを通して世界と触れ合い、成長していく姿を描いた青春小説でもあります。カメラのレンズを通して見る世界は、いつもと少し違って見えるかもしれません。読めばきっと、カメラを片手に街へ出かけたくなるはずです。
カメラのレンズを通すと世界が違って見える感じ、すごくワクワクするんだ。わたしもライカが欲しくなっちゃったよ。
『贋金づかい』は、赤瀬川原平として活動していた時代の「千円札裁判」という実際の出来事をモチーフにした小説です。芸術作品として千円札を模写したことで、通貨及証券模造取締法違反に問われた事件です。
芸術とは何か、本物と偽物の境界線はどこにあるのか、という根源的な問いを、ユーモアを交えながら読者に投げかけます。実際の裁判をベースにしているため内容はスリリングで、社会派な一面も持つユニークな作品です。
自分の体験を小説にするなんてすごいよね!アートと法律がぶつかり合うところ、すごく考えさせられるんだ。
日常に潜む不思議な感覚を描き出すのが得意な尾辻克彦。その中でも『出口』は、特に幻想的で奇妙な味わいを持つ短編集です。
表題作「出口」をはじめ、現実と非現実の境目が曖昧になるような物語が収められています。読んでいるうちに、まるで迷路に迷い込んだかのような、不思議な感覚に包まれるでしょう。論理では説明できない文学ならではの面白さを、じっくりと堪能したい方におすすめです。
なんだか夢の中を歩いているみたいな気分になるんだ。はっきりしないけど、そこがまた魅力的なんだよね。
『国旗が垂れる』は、尾辻克彦の初期の作品が収められた短編集です。芥川賞を受賞する前の、若々しい感性が光る作品群が収録されています。
日常の風景を独自の視点で切り取り、そこから思いがけない物語を紡ぎ出す手腕は、この頃からすでに確立されています。後の作品に繋がるテーマや文体の萌芽を見つけるのも、楽しみ方の一つでしょう。尾辻克彦の文学の源流に触れたい方にぴったりの一冊です。
初期の作品って、作家さんの原石みたいな感じがして好きなんだ。この頃からもう才能がきらめいてるのがわかるよ。
前衛芸術家でもある赤瀬川原平の顔が色濃く反映された作品が『少年とオブジェ』です。物語の中心となるのは、少年と、彼が作る不思議な「オブジェ」。
芸術とは何か、創造するとはどういうことか、というテーマを、少年の純粋な視点を通して描いています。大人になると忘れてしまいがちな、「ただ面白いから作る」という創作の原点を思い出させてくれるような物語です。ものづくりが好きな人なら、共感できる部分がきっと多いはずです。
子供の頃、意味もなくガラクタを集めて何か作ったりしたよね。あの感じを思い出すなあ。
『お伽の国の社会人』は、サラリーマンの日常を、まるでおとぎ話のように描いたユニークな短編集です。尾辻克彦のユーモアのセンスが存分に発揮されています。
満員電車や会社の人間関係といった、誰もが経験するような日常が、著者にかかれば奇妙で面白い物語に変わります。現実社会の不条理さを、笑いと共に描き出す手腕はさすがの一言。仕事に疲れたときに読めば、心がふっと軽くなるかもしれません。
毎日のお仕事も、見方を変えればファンタジーになるのかも!って思わせてくれる作品だよ。
タイトル通り、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような、多彩な作品が詰まった短編集が『整理前の玩具箱』です。
一つ一つの話は短いながらも、尾辻克彦らしいユニークな視点と、遊び心にあふれています。シリアスなものからコミカルなものまで、様々なテイストの物語が楽しめるので、尾辻克彦入門としてもおすすめです。どこから読んでも楽しめる、まさに宝箱のような一冊です。
いろんなお話が入ってて、次は何が出てくるんだろうってワクワクするんだ。まさに文学のおもちゃ箱だね!
尾辻克彦、すなわち赤瀬川原平の魅力は小説だけにとどまりません。彼のユニークな視点は、エッセイなどのジャンルでもいかんなく発揮されています。
ここでは、小説とはまた違った面白さを持つ、おすすめのエッセイやアンソロジーをご紹介します。彼の多才ぶりに、さらに驚かされることでしょう。
こちらは赤瀬川原平名義で発表されたエッセイで、彼の活動の中でも特に有名な「路上観察学会」の記録です。
街を歩きながら、普段は見過ごしてしまうようなマンホールの蓋や奇妙な形の看板、使われなくなったドアなどを発見し、面白がるという活動をまとめた一冊です。何の役にも立たないけれど、なぜか気になる街の風景を「トマソン」と名付けるなど、ユニークな視点が満載。この本を読めば、いつもの散歩が何倍も楽しくなること間違いなしです。
これを読むと、街の見え方が全然違ってくるんだ!わたしも路上観察したくなっちゃったな。
『本物そっくりの夢』は、赤瀬川原平が見た夢を記録し、それについて考察したユニークなエッセイ集です。夢という、個人的でとりとめのない体験を、真剣に分析していく姿勢が非常に面白い一冊です。
他人の夢の話ほど退屈なものはない、と言われることもありますが、芸術家の見る夢はやはり一味違います。奇想天外な夢の内容と、著者ならではの解釈にぐいぐい引き込まれてしまいます。夢の世界の不思議さに触れたい方におすすめです。
人の夢の話って、こんなに面白くなるんだってびっくりしたよ。わたしも夢日記、つけてみようかな。
様々な作家が「おやつ」をテーマに書いたエッセイや小説を集めたアンソロジーで、尾辻克彦も「チョコボール」という作品を寄せています。
総勢40名以上の作家たちが、おやつにまつわる思い出やこだわりを綴っており、読んでいるだけでお腹が空いてくるような美味しい一冊です。尾辻克彦の作品では、少年時代の少しほろ苦いチョコボールの思い出が語られています。他の作家の作品と読み比べることで、それぞれの個性が際立ち、より一層楽しめます。
いろんな作家さんのおやつの話が読めるなんて最高だね!わたしはやっぱり、甘いものが好きだなあ。
今回は、尾辻克彦のおすすめ小説をランキング形式でご紹介しました。芥川賞を受賞したシリアスな私小説から、思わずくすっと笑ってしまうユーモア小説、そして「路上観察」のようなユニークなエッセイまで、その才能はジャンルを超えて輝いています。
どの作品にも共通しているのは、日常を少し違う角度から見る面白さです。尾辻克彦(赤瀬川原平)の世界に触れれば、毎日がもっと興味深く、豊かなものに感じられるかもしれません。ぜひ気になる一冊を手に取って、その独特な魅力に浸ってみてください。