【2025年最新】河﨑秋子のおすすめ小説ランキングTOP14

直木賞作家・河﨑秋子の魅力とは？元羊飼いの経歴と骨太な作風に迫る

2024年に『ともぐい』で第170回直木賞を受賞した河﨑秋子さん。今、最も注目を集める作家の一人です。

河﨑さんの最大の魅力は、元羊飼いという異色の経歴から生まれる、生命への深く鋭いまなざしにあります。北海道別海町の酪農家に生まれ、大学卒業後にはニュージーランドで羊の飼育技術を学び、自らも羊飼いとして生計を立てていました。

その経験は、北海道の厳しくも美しい自然を舞台に、動物と人間の生と死を真正面から描く骨太な作風へと昇華されています。読者を否応なく物語の世界へ引きずり込む力強い筆致で、命の重さや尊さを問いかける作品は、多くの読者の心を掴んで離しません。

河﨑秋子のおすすめ小説人気ランキングTOP14

ここからは、いよいよ河﨑秋子さんのおすすめ小説をランキング形式でご紹介します。

デビュー作から直木賞受賞作まで、読み応えのある名作ばかり、14作品を厳選しました。それぞれの作品のあらすじや魅力も詳しく解説するので、あなたにぴったりの一冊がきっと見つかるはずです。

1位『ともぐい』

堂々のランキング1位は、第170回直木賞に輝いた『ともぐい』です。河﨑秋子の名を一躍世に知らしめた、まさに代表作と言える一冊です。

物語の舞台は明治後期の北海道。主人公は、獣のような鋭い嗅覚で獲物を狩る猟師・熊爪（くまづめ）です。ある日、自分の縄張りに侵入した手負いの熊を追う中で、盲目の少女・陽子と出会ったことから、彼の孤独な運命は大きく動き出します。

人間と獣の境界線はどこにあるのか。生きるとは、喰らうとはどういうことか。本作は、圧倒的な筆力で自然の厳しさと生命の根源的なテーマを読者に突きつけます。熊との息詰まる対決シーンの臨場感と、衝撃的な結末は、しばらく頭から離れないほどのインパクトを残すでしょう。

2位『絞め殺しの樹』

第167回直木賞候補にもなった『絞め殺しの樹』は、重厚な読書体験を求める方におすすめの一作です。

物語は二部構成で、昭和から平成にかけての北海道・根室を舞台に、ある女性の壮絶な一生を描きます。主人公のミサエは、幼い頃に引き取られた家で理不尽な扱いを受け、結婚生活でも幸せを掴めません。土地や家のしがらみに絡め取られ、じわじわと自由を奪われていく彼女の人生は、まさにタイトルである「絞め殺しの樹」を彷彿とさせます。

息が詰まるほど重苦しい展開が続きますが、その筆力には圧倒されること間違いありません。人間が人間にもたらす理不尽さや、過酷な運命に最後まで抗おうとする人間の姿を描いた、魂を揺さぶる大河小説です。

3位『颶風の王』

河﨑秋子さんのデビュー作にして、三浦綾子文学賞とJRA賞馬事文化賞をダブル受賞したのが『颶風（ぐふう）の王』です。

明治から平成の北海道を舞台に、ある一族と馬との関わりを6世代・120年にもわたって描いた壮大な物語。物語の始まりは、東北から北海道へ開拓者として渡る青年・捨造。彼は道中、母から渡された手紙によって、自身の出生にまつわる衝撃の事実と、馬との宿命的な繋がりを知ることになります。

人と馬の絆、そして世代を超えて受け継がれていく生命のつながりが、北海道の厳しくも美しい自然を背景に、生き生きと描かれています。スケールの大きな物語に浸りたい方に、ぜひ読んでほしい一冊です。

4位『肉弾』

第21回大藪春彦賞を受賞した『肉弾』は、息もつかせぬハードボイルド小説です。

舞台は現代の北海道。都会育ちの青年・貴美也は、恋人の父であるヤクザの龍一郎に連れられ、鹿狩りのために山奥へと入ります。そこで突如として巨大なヒグマに襲われ、龍一郎は無残に食い殺されてしまうのです。命からがら逃げ延びた貴美也は、絶望の中で野犬の群れと出会い、生きるための壮絶な戦いを決意します。

人間、熊、野犬。三つ巴の生存競争が、圧倒的な熱量で描かれます。自然の恐ろしさと、極限状態に置かれた人間の本能がむき出しになる様は、まさに圧巻の一言。ページをめくる手が止まらなくなること必至です。

5位『土に贖う』

第39回新田次郎文学賞を受賞した『土に贖う』は、北海道の開拓時代を生きた人々の力強さを描いた短編集です。

明治から昭和にかけて、不毛の原野を切り拓き、厳しい自然と闘いながら生きた人々の姿が、6つの物語を通して描かれています。表題作「土に贖う」では、かつてアイヌから土地を奪った男が、その後悔と罪悪感を抱えながら土と共に生きる様が描かれます。

どの物語にも共通するのは、過酷な運命に翻弄されながらも、土地に根を張り、懸命に生き抜こうとする人々のたくましい生命力です。北海道の歴史の重みと、そこに生きた人々の魂の叫びが聞こえてくるような、骨太な一冊です。

6位『愚か者の石』

『愚か者の石』は、明治時代の北海道を舞台に、金と欲望に翻弄される人々を描いた物語です。

主人公は、かつて砂金掘りだった男・坂崎。彼は偶然、アイヌが隠したと噂される金塊のありかを示す暗号図を手に入れます。金塊を狙うのは、坂崎だけではありません。元新選組の男や、アイヌの娘など、様々な思惑を持つ者たちが入り乱れ、壮絶な争奪戦が繰り広げられます。

手に汗握る冒険活劇でありながら、人間の欲望の愚かさや哀しさをも描き出す、深みのあるエンターテインメント作品です。それぞれの登場人物が抱える過去や信念がぶつかり合う、熱い人間ドラマも見どころの一つです。

7位『銀色のステイヤー』

ばんえい競馬の世界を舞台にした、熱い人間ドラマと動物との絆を描くのが『銀色のステイヤー』です。

主人公の篤人は、ばんえい競馬の元騎手。ある事件をきっかけに引退し、今は厩務員として働いています。彼は、気性が荒く誰にも心を開かない馬・シルバーに、かつての自分の姿を重ね、再起をかけてシルバーと共に最高峰のレースを目指すことを決意します。

体重1トンを超える巨大な馬が、重りを乗せたソリを引いて力と速さを競う「ばんえい競馬」の迫力ある描写は圧巻です。挫折を味わった男と、心を閉ざした馬が、互いを信じ、困難に立ち向かっていく姿に胸が熱くなる、感動の物語です。

8位『清浄島』

『清浄島』は、閉鎖的な島を舞台にしたミステリー要素の濃い作品です。

物語の舞台は、かつてハンセン病患者の療養所があったとされる北海道沖の孤島「清浄島」。主人公の倫子は、島の診療所で働く看護師です。ある日、島に不審な男が流れ着いたことをきっかけに、島の平和な日常が少しずつ崩れ始め、隠されていた秘密が明らかになっていきます。

島の因習や、閉鎖された環境が生み出す人間の狂気が、じわじわとあぶり出されていく展開は、まさにホラーサスペンス。美しい島の風景とは裏腹に、物語全体を覆う不穏な空気感と、先の読めないストーリーに引き込まれること間違いなしです。

9位『鯨の岬』

『鯨の岬』は、江戸時代の北海道・道東を舞台に、鯨漁に生きる人々の姿を描いた歴史小説です。

主人公は、鯨組（鯨漁を行う集団）を率いる網元の娘・千代。彼女は、父亡き後、若くして鯨組の指揮を執ることになります。巨大な鯨と命がけで対峙する男たちの勇壮な姿と、それを支える女たちの強さが、圧倒的な筆致で描かれています。

自然への畏敬の念、そして鯨の命をいただくことへの感謝。厳しい自然環境の中で、鯨と共に生き、その恵みに生かされている人々の暮らしが、生き生きと伝わってきます。歴史小説ファンはもちろん、海を舞台にした壮大な物語を読みたい方におすすめです。

10位『介護者D』

現代社会が抱える介護問題を、SF的な設定で描いた異色の作品が『介護者D』です。

物語の近未来、日本では介護労働をアンドロイドに任せることが一般的になっています。主人公の百合子は、父の介護のために最新型のアンドロイド「D」を導入します。Dは完璧な介護を行いますが、百合子は次第にDに対して人間のような感情、そして違和感を抱き始めます。

「人間らしい心とは何か」「介護とは何か」という重いテーマを、アンドロイドという存在を通して問いかける意欲作です。介護の現場のリアルな描写と、少し不思議なSF設定が融合した、これまでの河﨑作品とは一味違った読書体験ができます。

11位『私の最後の羊が死んだ』

河﨑秋子さん初のエッセイ集が『私の最後の羊が死んだ』です。直木賞作家の「小説家前夜」の日々が綴られています。

酪農家の娘として生まれながらも、大学時代に出会った羊肉の美味しさに衝撃を受け、羊飼いになることを決意。ニュージーランドでの研修や、帰国後の奮闘、そしてなぜ羊飼いをやめて小説家になったのか。一頭の羊を育て、その命を肉としていただくまでの日々が、ユーモアを交えつつも真摯な筆致で描かれています。

河﨑作品の根底に流れる「命へのまなざし」が、どのようにして培われたのかを知ることができる貴重な一冊です。彼女の小説をより深く味わうための、最高の副読本と言えるでしょう。

12位『鳩護』

『鳩護（はともり）』は、人と鳩との不思議な絆を描いた、少し風変わりな物語です。

主人公は、明治時代に北海道の小樽で便利屋を営む男・常吉。彼はある日、裕福な未亡人から、亡き夫が遺した一羽の鳩の世話を依頼されます。その鳩はただの鳩ではなく、人の言葉を理解し、手紙を運ぶことができる特別な存在でした。一羽の鳩をめぐって、常吉と彼を取り巻く人々の運命が、思いもよらない方向へと転がっていきます。

鳩と人間の間に芽生える友情や信頼が、温かい筆致で描かれています。ミステリー要素や、明治期の小樽の活気ある街並みの描写も魅力的で、物語の世界にぐいぐいと引き込まれます。

13位『父が牛飼いになった理由』

『父が牛飼いになった理由』は、河﨑秋子さんが自身のルーツと家族について綴ったノンフィクション作品です。

河﨑さんの父は、もともとサラリーマンでしたが、一念発起して酪農家に転身したという経歴の持ち主。なぜ父は牛飼いになったのか。その決断の裏には、どのような思いがあったのか。父へのインタビューや自身の記憶を頼りに、家族の歴史を丹念に掘り下げていきます。

酪農という仕事の厳しさや喜び、そして家族の絆が、娘である著者ならではの温かい視点で描かれています。一つの家族の物語を通して、昭和から平成にかけての日本の酪農の歴史を知ることもできる、読み応えのある一冊です。

14位『森田繁子と腹八分』

これまでの作品とは一味違う、痛快エンターテインメント小説が『森田繁子と腹八分』です。日本農業新聞での連載が書籍化されました。

主人公は、縦にも横にも大きい体で真っ赤なBMWを乗り回す、パワフルな農業コンサルタント・森田繁子。彼女が獣害、後継者不足、夫婦の不仲といった、日本の農家が抱えるリアルな問題に真正面から向き合い、豪快に解決していく様は読んでいて爽快です。

シリアスになりがちな農業問題を扱いながらも、繁子の頼もしいキャラクターと美味しそうな食事の描写で、カラッと明るい読後感に包まれます。河﨑作品の新たな一面に触れられる、元気をもらえる一冊です。

まとめ：最初に読むべき一冊は？河﨑秋子の人気小説から選ぼう

ここまで河﨑秋子さんのおすすめ小説を14作品、ランキング形式でご紹介してきました。どの作品も読み応えがあり、心に残るものばかりです。

もし、「最初にどの作品から読めばいいか迷う…」という方には、やはり直木賞を受賞した『ともぐい』をおすすめします。人間と獣の境界線を揺さぶる圧倒的な物語は、河﨑秋子という作家のすごみを存分に体感させてくれるはずです。

また、河﨑ワールドの原点に触れたいなら、デビュー作の『颶風の王』も良いでしょう。世代を超えて受け継がれる馬と人との絆を描いた壮大な物語は、心を揺さぶる感動を与えてくれます。

どの作品を手に取っても、きっとあなたを北の大地の厳しくも美しい物語の世界へといざなってくれるでしょう。ぜひ、気になる一冊から河﨑秋子の文学に触れてみてください。