近藤啓太郎のおすすめ小説|芥川賞受賞作『海人舟』の魅力を解説

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ふくちい

皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...

皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。

目次

芥川賞作家・近藤啓太郎とは?

近藤啓太郎(こんどう けいたろう、1920-2002)は、三重県四日市市出身の小説家です。東京美術学校(現在の東京藝術大学)で日本画を学んだ後、中学校教師などを経て創作活動に入ったという、異色の経歴を持っています。

安岡章太郎や吉行淳之介、遠藤周作らとともに、日本文学史上で「第三の新人」と称される作家の一人です。戦時中に疎開した千葉県鴨川での生活が、彼の初期作品に色濃く反映されています。

代表作にして芥川賞受賞作『海人舟』

近藤啓太郎の作品世界に足を踏み入れるなら、まずは1956年に第35回芥川賞を受賞した代表作『海人舟』から読んでみるのがおすすめです。この記事では、複数の短編が収録された旺文社文庫版(1977年刊行)の魅力をご紹介します。

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表題作「海人舟(あまぶね)」

年上の未亡人である海女(あま)へ寄せる、若い海人(あま)の恋心を描いた物語。房総の荒々しくも美しい海を舞台に、自然と対峙しながら生きる人々の力強い生命力が、躍動感あふれる筆致で描き出されています。

ふくちい

海の男たちの生命力がすごい! 潮の香りがしてきそうな文章に、わたしも引き込まれちゃったよ。

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その他の収録作品

旺文社文庫版には、表題作のほかに6編の短編が収録されています。なかでも、作者の原点ともいえる以下の2作品は必読です。

  • 黒南風(くろはえ):終戦直後の房総を舞台に、漁師たちのたくましい生き様を生々しい筆致で描いています。
  • 赤いパンツ:こちらも漁師を主人公にした一編。海で生きる人々の躍動感がストレートに伝わってきます。

いずれも作者の鴨川での体験が色濃く反映されており、物語の力強さを存分に味わえる作品群です。

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多彩な作風への変遷

海の物語で作家としての地位を確立した近藤啓太郎ですが、その後の作風は大きく変化します。妻の死をきっかけとした私小説的な作品から、大衆向けのエンターテインメント小説まで幅広く執筆し、多彩な才能を発揮しました。

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