皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。

皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
歴史小説と聞くと、少し難しいイメージがあるかもしれません。しかし、歴史小説の巨匠・杉本苑子(すぎもと そのこ)の作品に触れれば、その面白さにきっと引き込まれるでしょう。
杉本苑子は1925年に東京で生まれ、2017年に91歳で亡くなるまで、数多くの歴史小説を世に送り出しました。1952年に懸賞小説への入選をきっかけに、選考委員であった吉川英治に師事。その後、10年近くにわたる修行期間を経て、1962年に『孤愁の岸』で直木賞を受賞し、歴史小説家として華々しいデビューを飾りました。
杉本作品の最大の魅力は、歴史の大きな流れの中で、声もなく埋もれていった人々の声に耳を傾けるような、温かい視点にあります。緻密な調査に基づいた確かな歴史描写と、登場人物たちの生き生きとした人間ドラマが融合し、私たちを物語の世界へと誘います。古代から近代まで幅広い時代を舞台に、女性を主人公にした作品が多いのも特徴の一つです。これからご紹介するランキングを参考に、ぜひ杉本苑子の壮大な歴史ドラマの世界に触れてみてください。
ここからは、杉本苑子のおすすめ小説をランキング形式でご紹介します。直木賞受賞作をはじめ、読み応えのある名作が勢ぞろいです。
歴史上の偉人から名もなき人々まで、様々な主人公の視点から描かれる物語は、どれも私たちの心を揺さぶります。あなたの心に響く一冊が、きっと見つかるはずです。壮大な歴史ロマンの世界へ、一緒に旅立ちましょう。
杉本苑子の名を世に知らしめた、記念碑的な作品が『孤愁の岸』です。1962年に発表され、第48回直木賞を受賞しました。この作品は、江戸時代中期に幕府の命令で行われた宝暦治水事件を題材にしています。
物語の中心となるのは、治水工事の総責任者であった薩摩藩家老・平田靱負(ひらた ゆきえ)です。幕府の思惑が渦巻く中、困難な大事業に挑む薩摩藩士たちの苦悩や葛藤、そして責任感の強さが、重厚な筆致で描かれています。多くの犠牲を払いながらも工事を成し遂げようとする人々の姿は、読む者の胸に深く迫ります。歴史の非情さと、その中で懸命に生きた人間の尊厳を描き切った、まさに不朽の名作です。
ふくちいわたし、こういう重厚な人間ドラマに弱いの…。人々の覚悟を思うと涙が止まらないよ。


能を大成させた天才芸術家、世阿弥の生涯を描いた作品が『華の碑文 世阿弥元清』です。杉本苑子は若い頃から世阿弥を研究しており、その深い知識と洞察がこの作品に結実しています。
室町幕府の庇護のもと、華々しい成功を収めた世阿弥でしたが、その人生は決して平坦なものではありませんでした。足利義満の死後、彼の運命は大きく翻弄されていきます。栄光の頂点から、嫉妬や権力闘争によって悲劇的な晩年へと追いやられていく芸術家の栄光と苦悩、そして芸の道を追求し続ける孤独な魂が、見事に描き出されています。芸術に人生を捧げた一人の人間の生き様が、深く胸に刻まれる一冊です。



天才の孤独って、いつの時代も変わらないテーマだよね。芸に生きた世阿弥の生き様、かっこいいな。


『源氏物語』の作者として知られる紫式部。その謎に満ちた生涯を、杉本苑子ならではの視点で鮮やかに描き出したのが『散華 紫式部の生涯』です。
宮中での華やかな生活の裏で、彼女が抱えていたであろう孤独や創作への情熱、そして一人の女性としての喜びや悲しみが、繊細な筆致で綴られています。私たちは、この物語を通して、歴史上の偉大な作家であると同時に、悩み、苦しみながらも懸命に生きた一人の人間としての紫式部の姿に触れることができます。平安時代の雅な世界観と共に、彼女の知られざる内面に光を当てた、読み応えのある作品です。



紫式部も色々悩んだりしたんだね。なんだか親近感が湧いちゃうな。


江戸時代の人気戯作者、滝沢馬琴の壮絶な人生を描き、1978年に第12回吉川英治文学賞を受賞した傑作です。『南総里見八犬伝』の作者として知られる馬琴ですが、その創作活動は困難の連続でした。
この作品では、晩年に失明しながらも、息子の嫁である路の口述筆記によって『八犬伝』を完成させたという、馬琴の凄まじい執念が描かれています。芸術家としての誇りと、家族との複雑な関係、そして老いとの闘い。鬼気迫る馬琴の生き様を通して、何かを成し遂げることの厳しさと尊さを問いかけます。読後、圧倒的な熱量に打ちのめされること間違いなしの一冊です。



失明しても書き続けるなんて…!作家の執念って、ちょっと怖いくらいすごいんだね。


平安時代、藤原氏が権勢を誇った時代を背景に、権力と信仰のはざまで生きた人々の姿を描いた作品です。この小説で杉本苑子は1986年に女流文学賞を受賞しました。
物語は、藤原道長の時代を舞台に、複雑に絡み合う人間模様を壮大なスケールで描き出します。華やかな貴族社会の裏で繰り広げられる権力闘争や、人々の篤い信仰心、そして愛憎のドラマが、緻密な歴史考証のもとに展開されます。歴史の大きなうねりの中で、自らの運命を切り開こうともがく登場人物たちの姿が印象的です。平安時代の光と影を深く描き出した、杉本苑子の真骨頂ともいえる一作です。



平安時代のきらびやかなイメージだけじゃないんだね。権力闘争とか、結構ドロドロしてて面白いかも。


嵯峨天皇の皇后であり、篤い仏教信仰で知られた檀林皇后(橘嘉智子)の生涯を描いた物語です。政略結婚で結ばれながらも、夫である嵯峨天皇との間に深い愛情を育んでいく姿が描かれています。
しかし、彼女の人生は宮廷内の権力争いや陰謀と無縁ではありませんでした。皇后として、そして一人の女性としての誇りと苦悩、そして信仰に救いを求める姿が、静かな筆致の中にも力強く描き出されています。歴史の片隅で、強くしなやかに生きた女性の姿に、心を打たれる読者も多いでしょう。平安初期の華やかな宮廷文化を背景に、一人の女性の生き様を深く掘り下げた名作です。



皇后さまの人生も、わたしたちと変わらない悩みがあったのかも。なんだか応援したくなっちゃうな。


室町幕府を創設した足利尊氏。裏切り者や優柔不断な人物として描かれることも多い彼を、杉本苑子は人間的な魅力にあふれたリーダーとして、新たな視点から描き出しました。
後醍醐天皇との対立、弟・直義との確執など、南北朝の動乱期を背景に、尊氏が経験する苦悩や葛藤が丁寧に描かれています。彼がなぜ幕府を開き、どのような国を目指そうとしたのか。複雑な時代の中で、彼を支え、あるいは敵対した人々の人間模様も巧みに織り込まれ、壮大な歴史ドラマが展開されます。英雄の知られざる内面に迫り、足利尊氏のイメージを覆す意欲作です。



歴史の授業で習ったイメージと全然違う!こういう新しい解釈って、わくわくするよね!


『傾く滝』は、歴史の大きな事件そのものではなく、そこに生きた人々の細やかな心の動きに焦点を当てた作品です。
杉本苑子の作品に共通する、歴史の影に埋もれた人々の声なき声を拾い上げるというテーマが、この作品でも色濃く反映されています。時代の流れに翻弄されながらも、懸命に生きる登場人物たちの姿は、現代に生きる私たちの心にも静かな感動を与えてくれます。派手な合戦や事件はありませんが、人間の内面を深く見つめることで、歴史のもう一つの真実を浮かび上がらせる。そんな杉本苑子の作風を味わうのに最適な一冊です。



有名な武将だけが歴史じゃないんだよね。普通の人々の物語にこそ、本当のドラマがあるのかも。


江戸時代、江戸の町に水を供給するための一大プロジェクト「玉川上水」の開削に挑んだ玉川兄弟の物語です。
この作品は、壮大な土木事業を背景に、困難に立ち向かう人間の知恵と情熱を描き出しています。技術的な問題や資金難、幕府との折衝など、次々と襲いかかる難題に、兄弟がどう立ち向かっていったのか。彼らの不屈の精神と、事業を支えた名もなき人々との協力関係が、感動的に描かれています。歴史的な大事業の裏にあった人間ドラマを知ることができる、読み応えのある一作です。



兄弟で力を合わせて大きなことを成し遂げるなんて、ロマンがあるなあ。こういう話、大好き!


大化の改新の中心人物であり、謎多き生涯を送った天智天皇(中大兄皇子)。この作品は、彼を取り巻く7人の人物の視点から、その実像に迫るというユニークな構成の連作短編集です。
弟である大海人皇子(後の天武天皇)、妃の額田王、重臣の中臣鎌足など、それぞれの立場から見た天智帝の姿が語られることで、一人の人間の多面的な姿が立体的に浮かび上がってきます。愛と憎しみ、信頼と裏切りが交錯する古代の宮廷を舞台に、複雑な人間関係がスリリングに描かれています。歴史のパズルを解き明かすような面白さがある一冊です。



一人の人を色々な角度から見るのって面白いよね。天智天皇って、本当はどんな人だったんだろう?


歴史の表舞台に立つことのなかった一人の女官の視点から、時代の移り変わりを見つめた作品です。華やかな宮廷の裏側で、歴史の大きなうねりを静かに見つめ続けた女性の生涯が描かれます。
権力者たちの栄枯盛衰を間近で見ながら、彼女は何を思い、どのように生きたのか。歴史の傍観者でありながら、その時代を確かに生きた一人の人間の息遣いが、静謐な筆致で伝わってきます。杉本苑子が得意とする、歴史の片隅に生きた人々に光を当てるというテーマが、見事に表現された作品です。歴史の教科書には載らない、もう一つの物語がここにあります。



歴史を動かす人たちのそばにいた人の視点って、すごくリアルだね。色々なものが見えてきそう。


徳川三代将軍・家光の乳母として、大奥で絶大な権力を握った春日局の生涯を描いた作品です。彼女がどのようにしてその地位を築き上げ、何を成し遂げようとしたのか、その野心と孤独に迫ります。
「将軍様御誕生の間」から「大奥法度」の制定まで、春日局の強い意志と政治的手腕が、生き生きと描かれています。しかし、その権力の裏には、一人の女性としての苦悩や犠牲がありました。女たちの熾烈な戦いの場であった大奥を舞台に、知力と胆力で生き抜いた春日局の姿は、まさに圧巻。強い女性の生き様に興味がある方におすすめの一冊です。



大奥って怖いイメージだけど、そこでトップに立つなんてすごい!春日局のメンタル、強すぎだよ…。


鎌倉時代、北条政子の妹でありながら、源氏と平家の間で揺れ動く運命をたどった女性・鞠子(まりこ)の物語です。
姉が源頼朝の妻となり、自身は平家の公達と恋に落ちるという、敵対する一族の板挟みになる悲劇的な運命。源平の争乱という大きな歴史の流れに翻弄されながらも、自らの愛を貫こうとする鞠子の姿が、切なくも美しく描かれています。歴史の陰で、愛と宿命に生きた女性の知られざる生涯に光を当てた、感動的な一作です。



好きな人が敵の一族だなんて、悲しすぎるよ…。鞠子さんの気持ちを思うと、胸が苦しいな。


鎌倉時代に書かれた宮廷女官の日記文学『とはずがたり』を、杉本苑子が新たな解釈で小説化した作品です。
原作の主人公である後深草院二条は、奔放な恋愛遍歴で知られていますが、この小説では、彼女がなぜそのような生き方を選んだのか、その内面に深く迫ります。時代の制約の中で、自由に生きようとした一人の女性の強さと脆さが、鮮やかに描き出されています。古典文学を題材にしながらも、現代の読者にも通じる普遍的なテーマを描いた、杉本苑子の手腕が光る一冊です。



昔の女性も、結構自由に恋愛してたんだね。ちょっと意外で面白いかも!


古代史の謎にミステリーの要素を取り入れた、異色の歴史小説です。この作品は、1985年のNHK大河ドラマ『春の波濤』の原作の一つにもなりました。
物語は、古代の権力闘争や陰謀を背景に、歴史の闇に葬られた真実を解き明かしていくスリリングな展開が魅力です。杉本苑子の緻密な歴史考証と、巧みなストーリーテリングが融合し、読者を古代の謎めいた世界へと引き込みます。歴史の「もしも」を追求する、知的好奇心を刺激される一作。普段あまり歴史小説を読まない方でも、ミステリーとして楽しめる作品です。



本作における歴史の謎と陰謀の描写からは、人間の業の深さを感じざるを得ない。


杉本苑子の多彩な魅力を味わえる短編集です。表題作の「決闘」をはじめ、様々な時代を舞台にした物語が収録されています。
長編小説で描かれる重厚な歴史ドラマとは一味違い、キレのある筆致で人間の業や運命の皮肉を鮮やかに描き出します。短い物語の中に、歴史の面白さと人間の本質が凝縮されており、杉本苑子の筆の冴えを堪能することができます。どの話から読んでも楽しめるので、初めて杉本作品に触れる方や、長編を読む時間がない方にもおすすめです。



短編ならサクッと読めていいよね。色々な時代の話が楽しめるのもお得な感じ!


明治時代に、日本人初の国際的女優として世界を魅了した川上貞奴の波乱に満ちた生涯を描いた作品です。この作品も『冥府回廊』と共に、NHK大河ドラマ『春の波濤』の原作となりました。
芸者から俳優・川上音二郎の妻となり、やがて欧米の舞台で大成功を収めるまでの貞奴の情熱的な生き様が、時代の熱気と共に描かれています。激動の時代を背景に、自らの力で運命を切り開いていく女性の姿は、現代の私たちにも勇気を与えてくれます。近代日本の黎明期を駆け抜けた、一人の女性の壮大な物語です。



世界で活躍した日本の女優さんがいたなんて知らなかった!すごくパワフルで憧れちゃうな。


江戸時代中期、大奥を揺るがした一大スキャンダル「絵島生島事件」を題材にした小説です。
大奥の御年寄であった絵島が、人気役者の生島新五郎と恋に落ちたことで、多くの人々を巻き込む大事件へと発展していきます。この作品では、事件の渦中にいた絵島の視点から、事件の真相と彼女の苦悩が描かれています。幕府内の権力闘争に利用され、悲劇的な運命をたどる絵島の姿は、読む者の胸を締め付けます。歴史的大事件の裏にあった、一人の女性の愛と悲しみの物語です。



恋をしただけで罰せられるなんて、ひどすぎるよ…。絵島さんのことを思うと、本当に切ないな。
大化の改新で悪役として滅ぼされた蘇我入鹿。この作品は、歴史の敗者である入鹿を新たな視点から捉え直し、その実像に迫る意欲作です。
一般的に伝えられる暴君としてのイメージではなく、優れた政治家であった可能性や、なぜ彼が抹殺されなければならなかったのかという謎を探求していきます。勝者によって作られた歴史の裏側を読み解く面白さがあり、古代史のミステリーとしても楽しめます。歴史の常識を覆す、杉本苑子の鋭い洞察力が光る一冊です。



歴史は勝者によって語られるというが、本作は敗者の視点からその欺瞞を暴き出している。実に興味深い。


歴史上の様々な人物が、その人生の最期をどのように迎えたのか。「死」というテーマに焦点を当てて描いた異色の作品集です。
武将、芸術家、女性たちなど、登場する人物は多岐にわたりますが、それぞれが自らの死とどう向き合ったのかが、静かな筆致で描かれています。人生の終わり方には、その人の生き様が凝縮されているということを、この作品は教えてくれます。死という重いテーマを扱いながらも、読後には人間の尊厳や生きることの意味を考えさせられる、深い余韻の残る一冊です。



人間の終焉の瞬間を描くことで、逆説的に生の輝きを浮かび上がらせる。作者の卓越した構成力には感服するほかない。
杉本苑子のおすすめ小説ランキングTOP20、いかがでしたでしょうか。直木賞受賞作『孤愁の岸』をはじめ、歴史上の人物たちの知られざる生涯や、名もなき人々の生き様を描いた作品まで、その魅力は多岐にわたります。
杉本苑子の小説は、ただ歴史の事実をなぞるだけではありません。そこには、時代に翻弄されながらも懸命に生きた人々の喜び、悲しみ、そして強い意志が描かれています。一冊手に取れば、あなたも壮大な歴史ドラマの世界に没頭できるはずです。
この記事をきっかけに、歴史小説の巨匠・杉本苑子の作品に触れ、日本の歴史の奥深さと、そこに生きた人々の物語をぜひ味わってみてください。