皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
砂川文次(すなかわ ぶんじ)さんは、1990年大阪府生まれの小説家です。神奈川大学を卒業後、陸上自衛隊に入隊し、その後は地方公務員として勤務しながら執筆活動を行うという異色の経歴を持っています。自衛官や公務員としての経験は、彼の作品に大きな影響を与えています。
2016年に「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞してデビュー。その後もコンスタントに作品を発表し、2022年には『ブラックボックス』で第166回芥川龍之介賞を受賞しました。組織と個人、現代社会の不条理などをテーマに、リアリティあふれる硬質な文体で描くのが特徴で、今最も注目される作家の一人です。
元自衛官、そして現役の公務員でもある砂川文次さん。その特異な経歴から生み出される物語は、どれも現代社会のリアルを鋭くえぐり出すものばかりです。
今回は、そんな砂川文次さんの数ある作品の中から、特に読んでおくべきおすすめの小説をランキング形式でご紹介します。芥川賞受賞作から衝撃のデビュー作まで、心を揺さぶる作品がそろっていますので、ぜひお気に入りの一冊を見つけてみてください。
堂々の1位は、第166回芥川賞を受賞した『ブラックボックス』です。この作品は、自転車便メッセンジャーとして働く主人公「サクマ」の日常と、彼が抱える内なる暴力衝動を描いています。過酷な労働環境の中で心身をすり減らしながら、なぜか止められない怒りの暴発に苦しむ姿がリアルに描かれています。
組織に属さず、個人のスキルだけを頼りに働くことの自由と孤独、そして社会との断絶。現代の非正規労働者が抱える問題や、見えないシステムの中で生きる私たちの閉塞感を鋭く描き出した、砂川文次さんの代表作と言えるでしょう。
わたし、主人公サクマのどうしようもない焦燥感に胸が締め付けられたよ。現代社会の息苦しさが詰まってる感じがしたな。
2位にランクインしたのは、元自衛官である作者の経験が色濃く反映された衝撃作『小隊』です。物語は、北海道にロシア軍が上陸し、日本が第二次大戦後初の地上戦を経験するという緊迫した状況下で展開されます。若き3尉・安達が率いる小隊が、見えない敵と対峙する中で直面する極限状態のリアルを描き切っています。
戦闘の現実味を感じられないまま、組織の論理と義務感の中で戦闘へと没入していく隊員たちの心理描写は圧巻の一言。日常が非日常に侵食されていく恐怖と、組織における個人の無力さを突きつけられる作品です。
本作における戦闘描写の徹底的なリアリズムからは、作者の並々ならぬ覚悟を感じざるを得ない。
3位は、2024年に発表された長編小説『越境』です。この作品の舞台は、ロシア軍の侵攻から10年が経過し、軍やマフィア、自衛隊の残党などが入り乱れ無法地帯と化した北海道。ヘリコプターの墜落事故から九死に一生を得た主人公イリキが、血なまぐさい土地を奥へと進んでいくノンストップ・ミリタリーアクションです。
『小隊』で描かれたロシア軍侵攻後の世界を、さらにスケールアップさせて描いた本作。無政府状態の中でむき出しになる人間の本性や、暴力が支配する世界の恐ろしさを圧倒的なリアリティで描き出しています。
もし日本で戦争が起きたら…って考えさせられるよね。スケールが大きくて、映画を観ているみたいだったな。
4位は、デビュー作「市街戦」も収録された初期作品集『戦場のレビヤタン』です。表題作は、イラクの紛争地帯で武装警備員として働く日本人Kを主人公に、死と隣り合わせの日常を描いています。なぜ彼は危険な戦場に身を置くのか、その根源にある虚無感や人間心理に迫る物語です。
派手な戦闘シーンよりも、戦場という極限状態における人間の内面を深く掘り下げているのが本作の特徴。砂川さんの原点ともいえる作品であり、その後の作品に通じるテーマの萌芽を見ることができます。
主人公Kの抱える虚しさが、乾いた文章から伝わってきて印象的だったよ。静かなのに、すごく引き込まれる作品なんだ。
5位は、地方公務員としての経験が活かされた『臆病な都市』です。これまでの自衛隊を舞台にした作品とは一味違い、巨大台風の接近という災害対策の現場を描いています。主人公は首都庁に勤務する職員Kで、鳥の不審死から始まった新型感染症の噂の渦中に巻き込まれていきます。
災害という非日常を前にして、行政組織の内部で繰り広げられる論理や不条理、そして住民との間に生まれる軋轢が生々しく描かれています。正しいはずの意思決定が、組織の理屈によって本質からずれていく様子は、現代社会の縮図のようです。
自衛隊の話とはまた違ったリアルさがあったな。組織の中で働くことのもどかしさが、すごく伝わってきたよ。
6位には、2025年8月に刊行予定の最新長編『ブレイクダウン』がランクインしました。まだ詳細は明かされていませんが、これまでの作品で描かれてきたテーマがどのように深化するのか、ファンならずとも見逃せない一作となるでしょう。
どんな物語が待っているんだろう?今から刊行が待ちきれないよ!
今回は、芥川賞作家・砂川文次さんのおすすめ小説をランキング形式でご紹介しました。元自衛官、そして現役公務員というユニークな経歴を持つ彼だからこそ描ける、組織と個人の葛藤や現代社会の不条理は、読む者に強烈な問いを投げかけます。
どの作品も、徹底したリアリズムと乾いた文体で、私たちが生きる世界の「今」を映し出しています。まずは芥川賞受賞作の『ブラックボックス』から手に取るのもよし、ミリタリーアクションが好きなら『小隊』や『越境』に挑戦するのもよいでしょう。ぜひ砂川文次さんの作品世界に触れて、その衝撃を体感してみてください。