【2025年最新】高樹のぶ子のおすすめ小説人気ランキングTOP19

はじめに：高樹のぶ子の文学世界へ

山口県出身の作家、高樹のぶ子。1984年に『光抱く友よ』で芥川賞を受賞して以来、第一線で活躍し続けています。彼女の作品は、恋愛小説の名手として知られ、男女の愛憎や性を繊細かつ大胆に描き出すことで多くの読者を魅了してきました。

しかし、高樹文学の魅力はそれだけにとどまりません。谷崎潤一郎賞を受賞した『透光の樹』や、芸術選奨文部科学大臣賞に輝いた『HOKKAI』など、歴史や神話、国際問題までをも取り込んだ幅広いテーマの作品を次々と発表しています。これまでに芥川賞のほか、女流文学賞、島清恋愛文学賞、毎日芸術賞など数々の文学賞を受賞し、2018年には文化功労者にも選ばれています。この記事では、そんな高樹のぶ子の奥深い文学世界の中から、特におすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

高樹のぶ子のおすすめ小説人気ランキングTOP19

ここからは、いよいよ高樹のぶ子のおすすめ小説をランキング形式で発表します。鮮烈なデビューを飾った芥川賞受賞作から、壮大な歴史ロマン、そしてアニメ映画化され話題を呼んだ自伝的小説まで、多彩な作品がランクインしました。

それぞれの作品が持つ独自の魅力やあらすじを詳しく解説していきます。あなたがまだ出会ったことのない、新たな一冊を見つけるきっかけになれば幸いです。高樹のぶ子が紡ぎ出す、美しくも激しい物語の世界をどうぞお楽しみください。

1位『光抱く友よ』

堂々の1位は、1983年下半期（発表は1984年）に第90回芥川賞を受賞した高樹のぶ子の代表作『光抱く友よ』です。この作品で彼女の名は一躍全国に知れ渡り、人気作家の地位を不動のものとしました。

物語は、優等生の主人公・涼子と、不良で奔放なクラスメイト・律子との出会いから始まります。対照的な二人の女子高生が織りなす、友情、嫉妬、そして愛憎が渦巻く濃密な関係性を、繊細な筆致で描き出しています。女性の内面に潜む複雑な感情をえぐり出すような衝撃的な内容は、今なお多くの読者に強烈な印象を与え続けています。

2位『透光の樹』

第2位は、1999年に谷崎潤一郎賞を受賞した『透光の樹』です。この作品は、神話の世界と現代を生きる男女の恋愛を巧みに交錯させた、幻想的で美しい物語です。

物語の主人公は、染色家の恋人を持つ女性。彼は伝説の布「光る布」を追い求める中で、次第に神話の世界にのめり込んでいきます。愛する人との間に横たわる、現実と幻想の境界線に揺れ動く主人公の心情が切なく描かれています。その文学性の高さから映画化もされ、話題を呼びました。

3位『マイマイ新子』

第3位にランクインしたのは、高樹のぶ子の自伝的な小説である『マイマイ新子』です。2009年には『マイマイ新子と千年の魔法』としてアニメ映画化もされ、世代を超えて多くのファンに愛されています。

物語の舞台は昭和30年代の山口県防府市。主人公は、おでこにマイマイ（つむじ）を持つ、想像力豊かな少女・新子です。千年前のこの町の姿に想いを馳せ、貴族のお姫様に自分を重ねる新子の日常が、当時の風景と共に生き生きと描かれています。古き良き日本の原風景と、子供時代のきらめきが詰まった、心温まる一冊です。

4位『小説伊勢物語 業平』

第4位は、2019年に泉鏡花文学賞、2020年度に毎日芸術賞を受賞した『小説伊勢物語 業平』です。日本の古典文学『伊勢物語』を、高樹のぶ子ならではの視点で新たな物語として蘇らせた意欲作です。

主人公は、平安時代きってのプレイボーイとして知られる在原業平。歌の才能に溢れ、多くの女性と恋に落ちた彼の生涯を、華やかな平安の世を背景に鮮やかに描き出します。古典の世界に現代的な解釈を加え、業平という人物の人間的な魅力に迫った、新しい歴史小説の傑作です。

5位『マルセル』

第5位は、芸術と愛をテーマにした官能的な長編小説『マルセル』です。この作品は、250年前に実在したとされるカストラート（去勢された男性歌手）の生まれ変わりだと名乗る謎の男・マルセルと、彼に魅了されていく主人公の関係を描いています。

マルセルの持つ魔性的な魅力と、主人公が次第に狂わされていく様子が、濃密な筆致で描かれています。人間の愛と欲望の深淵を覗き込むような、スリリングで美しい物語です。高樹のぶ子の官能的な世界の真骨頂ともいえる作品で、読者を強く引き込みます。

6位『トモスイ』

第6位には、2010年に川端康成文学賞を受賞した短編「トモスイ」がランクイン。この作品は、タイを訪れた経験から生まれた物語で、高樹のぶ子のアジアへの深い関心が反映されています。

物語の舞台は、男女が互いに惹かれ合うと、その家の灯りが自然に消えるという不思議な言い伝えが残る村。そこで出会った男女の運命的な恋を描いています。幻想的な設定の中で、人間の根源的な愛の形を問いかけるような、静かで美しい物語です。異文化の香り漂う独特の世界観に浸ることができます。

7位『HOKKAI』

第7位は、2005年度に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した『HOKKAI』です。この作品は、明治時代の北海道を舞台に、アイヌと和人の間に生まれた女性の波乱に満ちた生涯を描く、壮大な歴史ロマンです。

厳しい自然と、和人からの差別に翻弄されながらも、力強く生きる主人公の姿が感動的に描かれています。北海道の歴史やアイヌ文化といった、これまで高樹作品ではあまり描かれなかったテーマに挑んだ意欲作であり、その重厚な物語は多くの読者から高い評価を得ています。

8位『甘苦上海』

第8位は、現代の上海を舞台にした国際恋愛小説『甘苦上海』です。この作品は、九州大学で教鞭をとっていた経験も持つ高樹のぶ子が、アジアをテーマに描いた作品群の一つです。

日本人女性と中国人男性の恋愛を通して、現代中国が抱える社会問題や、日中間の文化摩擦をリアルに描き出しています。恋愛の甘さだけでなく、国際結婚の難しさや異文化理解の苦さも描いた、深みのある物語です。急速に変化する上海の街のエネルギーと共に、二人の恋の行方から目が離せません。

9位『少女霊異記』

第9位には、少し趣の異なるオカルト的な要素を持つ『少女霊異記』がランクインしました。霊感が強い少女を主人公に、彼女の周りで起こる不可思議な出来事を描いた作品です。

思春期の少女の繊細な心と、霊的な世界が交錯する独特の雰囲気が魅力です。高樹のぶ子の作品としては珍しいテーマを扱っており、恋愛小説とはまた違った一面を垣間見ることができます。美しくもどこか不気味な世界観に、じわじわと引き込まれていくでしょう。

10位『オライオン飛行』

この作品は、フランス人飛行士と日本人看護師の恋を描いた歴史恋愛小説です。

国籍や文化の違い、そして迫りくる戦争の影といった障害を乗り越えようとする二人の純愛が描かれています。しかし、その恋が純粋なものなのか、あるいは国策が絡んだものなのか、物語は謎をはらんで展開していきます。歴史の大きなうねりの中で翻弄される個人の愛の行方を描いた、切なくも美しい物語です。

11位『百年の預言』

第11位は、壮大なスケールで家族の歴史を描いた『百年の預言』です。この物語は、ある旧家に代々伝わる「預言」を軸に、明治から現代に至る百年間の人々の生き様を追っていきます。

不思議な預言に導かれ、また翻弄されながらも、それぞれの時代を懸命に生きた家族の姿が描かれています。個人の運命と、時代の大きな流れが交錯する重厚な物語は、読者に深い感動を与えます。高樹のぶ子の構成力の高さが光る、読み応えのある一冊です。

12位『飛水』

第12位は、ダム建設をテーマにした社会派小説『飛水』です。この作品は、人間の営みと自然との関係という、普遍的なテーマを扱っています。

ダム建設によって故郷が水底に沈む運命にある村を舞台に、そこに生きる人々の葛藤や想いを丁寧に描き出しています。公共事業という大きな力の前に、個人の生活や故郷への愛がどのように揺れ動くのか。社会的なテーマを扱いながらも、登場人物たちの人間ドラマが深く心に残る作品です。

13位『香夜』

第13位には、日本の伝統文化である「香道」の世界を舞台にした『香夜』がランクイン。優雅で奥深い香りの世界と、そこに生きる人々の恋愛模様を描いた作品です。

香道の家元に生まれた主人公・香夜が、香りと向き合いながら、自身の恋や人生を見つめ直していく姿が描かれています。普段あまり触れることのない香道の世界を、物語を通して垣間見ることができるのも魅力の一つです。日本の伝統美と、現代を生きる女性のしなやかな強さが融合した、香り高い一冊です。

14位『霧の子午線』

第14位は、ミステリアスな雰囲気が漂う恋愛小説『霧の子午線』です。この作品は1996年に映画化もされており、高樹のぶ子の知名度をさらに高めました。

物語は、ある女性がかつての恋人の訃報を受け取るところから始まります。彼の死の真相を探るうちに、忘れていたはずの過去の記憶や、知らなかった事実が次々と明らかになっていきます。愛と記憶、そして死をめぐる謎が絡み合う、サスペンスフルな展開に引き込まれること間違いなしです。

15位『水脈』

第15位は、1995年に女流文学賞を受賞した『水脈』です。この作品は、家族や血のつながりという根源的なテーマに深く切り込んだ長編小説です。

主人公は、複雑な家庭環境で育った女性。自身のルーツを探る旅を通して、母や祖母の生きてきた道を知り、自分の中に流れる「水脈」を見つめ直していきます。世代を超えて受け継がれる女性たちの想いや業が、重厚な筆致で描かれています。家族とは何か、血のつながりとは何かを深く考えさせられる作品です。

16位『ナポリ魔の風』

第16位は、イタリアのナポリを舞台にした『ナポリ魔の風』です。芸術と情熱の街ナポリで、日本人留学生が経験する刺激的な日々を描いています。

主人公は、現地の男性との恋や、日本では考えられないような出来事を通して、大きく成長していきます。陽気で混沌としたナポリの街の魅力が、生き生きと描かれているのも特徴です。異文化の中で自分自身を見つめ直し、新たな価値観を発見していく主人公の姿に、勇気をもらえる一冊です。

17位『時を青く染めて』

第17位にランクインしたのは、染色職人の世界を描いた『時を青く染めて』です。この作品は、女流文学賞の候補にもなりました。

伝統的な染色の世界に生きる職人の男性と、彼に惹かれていく女性の恋愛模様が、美しい色彩感覚と共に描かれています。職人としての厳しい生き様と、その中で育まれる静かな愛の形が印象的です。日本の伝統工芸の奥深さと、ひたむきに生きる人々の姿が心に残る、味わい深い物語です。

18位『蔦燃』

第18位は、1994年に第1回島清恋愛文学賞を受賞した『蔦燃』です。この作品は、大人の男女の激しい恋愛を描き、高樹のぶ子の「恋愛小説の名手」としての一面を強く印象付けました。

芸術家の男性と、彼を支える女性の、燃え上がるような情愛と、それに伴う苦悩を描いています。愛することの喜びと痛みを、官но的な表現を交えて描き切った本作は、多くの読者に衝撃を与えました。まさに大人のための恋愛小説と言えるでしょう。

19位『満水子』

ランキングの最後を飾るのは、神話的な世界観が魅力の『満水子』です。この作品は、幻想的な作風で知られる高樹文学の中でも、特にその傾向が強い一冊と言えるでしょう。

物語は、不思議な力を持つ女性「満水子」をめぐって展開されます。彼女の存在は、周りの人々の運命を大きく揺り動かしていきます。現実と神話が溶け合うような独特の世界観の中で、人間の生と死、そして性の根源的な姿が描かれています。読者を日常から遠く離れた世界へと誘う、力強い物語です。

まとめ：あなたにぴったりの高樹のぶ子作品を見つけよう

高樹のぶ子のおすすめ小説ランキングTOP19、いかがでしたでしょうか。芥川賞受賞作『光抱く友よ』のような濃密な人間関係を描く作品から、『小説伊勢物語 業平』のような華やかな歴史ロマン、そして『マイマイ新子』のような心温まる物語まで、その作風は非常に多彩です。

もしあなたが人間の愛憎や深い心理描写に触れたいなら『光抱く友よ』や『蔦燃』を、壮大な歴史や異文化に興味があるなら『HOKKAI』や『甘苦上海』がおすすめです。また、優しく懐かしい気持ちに浸りたいときには『マイマイ新子』がぴったりでしょう。このランキングを参考に、ぜひあなただけのお気に入りの一冊を見つけて、高樹のぶ子の奥深い文学の世界を旅してみてください。