皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
高山羽根子さんは、1975年富山県生まれの小説家です。 多摩美術大学で日本画を学んだ後、30代で小説を書き始めました。 2010年に「うどん キツネつきの」で第1回創元SF短編賞の佳作を受賞してデビューを果たします。
その後もコンスタントに作品を発表し、2019年には「居た場所」が第160回(2018年下半期)、「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」が第161回(2019年上半期)の芥川賞候補になりました。そして2020年、『首里の馬』で第163回芥川龍之介賞を見事受賞し、大きな注目を集めました。 SF的な不思議な世界観と純文学の静謐な筆致が融合した独特の作風が魅力で、現実と非現実の境界を揺さぶるような物語は、多くの読者を惹きつけてやみません。
ここからは、高山羽根子さんのおすすめ小説をランキング形式で9作品ご紹介します。唯一無二の世界観で読者を魅了する高山作品は、どれも一度読むと忘れられない印象を残すものばかりです。
芥川賞を受賞した代表作『首里の馬』をはじめ、デビューのきっかけとなった記念碑的作品、SF的な想像力が光る長編など、バラエティ豊かなラインナップとなりました。 このランキングを参考に、ぜひあなたのお気に入りの一冊を見つけて、高山羽根子ワールドの奥深さに触れてみてください。
堂々の1位は、第163回芥川龍之介賞を受賞した高山羽根子さんの代表作『首里の馬』です。 この作品で高山さんの名前を知ったという方も多いのではないでしょうか。
物語の舞台は沖縄。郷土資料館で記録の整理を手伝いながら、オンラインで海外の人にクイズを出す仕事をしている主人公・未名子(みなこ)。 彼女の静かな日常は、ある台風の夜、庭に幻の「宮古馬」が迷い込んできたことから、不思議な色彩を帯び始めます。 沖縄の歴史や風土を背景に、「記録すること」や「記憶」というテーマが、幻想的な筆致で描かれています。 現実と非現実が静かに交錯する物語は、私たちに世界のあり方そのものを問いかけてくるようです。
静かなのに心にずしんと響く物語だったよ。オンラインの仕事と沖縄の古い記録っていう組み合わせがすごく現代的で考えさせられるよね。
2位は、短編集『オブジェクタム』です。表題作のほか、「太陽の側の島」などを含む合計4編が収録されています。 この作品集は、高山さんの不思議な世界の入り口として、非常に人気の高い一冊です。
表題作「オブジェクタム」は、主人公が子ども時代を過ごした土地を訪れ、祖父が作っていた壁新聞や移動遊園地といった過去の記憶をたどる物語。 そこに偽札事件の謎などが絡み合い、物語は幻想的な様相を呈していきます。 SF的なガジェットとノスタルジックな風景が混じり合う、まさに高山羽根子さんならではの世界観が凝縮されています。はっきりとした答えが示されない謎は、読者の想像力をどこまでも掻き立てるでしょう。
謎が謎のまま終わる感じがたまらないんだよね。全部説明してくれないからこそ、ずっと心に残る作品なんだ。
3位にランクインしたのは、高山さんのデビューのきっかけとなった記念碑的作品「うどん キツネつきの」を表題作とする短編集です。 この作品で第1回創元SF短編賞佳作を受賞しました。
物語は、主人公の女子高生が拾った不思議な犬?「うどん」との日常を描いています。 静かで淡々とした日常の描写が続くかと思いきや、最後に訪れる急展開で「SF」の本当の意味に気づかされる構成が見事。 一見するとSFとは思えないのに、読み終えた後には確かにSFを読んだという不思議な感覚が残ります。高山さんの原点ともいえる、ジャンルにとらわれない自由な発想が光る一冊です。
タイトルからしてもう面白いよね!日常が少しずつ不思議な方向にずれていく感じ、わたし大好きなんだ。
4位は、第161回芥川賞候補作にもなった『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』です。 ボブ・ディランの名曲から取られたタイトルが印象的ですね。
主人公の女性が、幼少期から現在に至るまでの記憶の断片をたどっていく物語です。 美しかった祖母の背中の記憶、変質者に遭遇した不快な思い出、そしてSNSで偶然見つけた高校時代の同級生の姿。 バラバラに見えるエピソードが、主人公の人生というタペストリーを織りなしていく様子が繊細に描かれています。掴みどころがないようでいて、確かに心に残る読後感が魅力の一冊です。
断片的な記憶がつながっていく感じ、すごくリアルだよね。誰の心の中にも、こういう風景ってあるんじゃないかな。
5位は、こちらも芥川賞候補作となった『居た場所』です。 記憶と存在の不確かさをテーマにした、幻想的な旅の物語が描かれています。
主人公の「私」は、かつて実習留学生として来日した妻の小翠(シャオツイ)と共に、彼女が「初めてひとりで暮らした場所」を探す旅に出ます。 しかし、その海沿いの街はなぜか地図に表示されません。 不確かな記憶と消えた地図を手がかりに進む旅は、読者を現実から少しだけずれた不思議な世界へと誘います。
地図から消えた街を探すって、設定だけでわくわくする!ミステリアスな雰囲気がたまらないんだよね。
6位には、本物と偽物の境界線を問うミステリアスな物語『如何様(いかさま)』がランクイン。 戦争という大きな出来事が、一人の人間の存在をいかに揺るがすかを描いた作品です。
物語は、戦争から帰還した画家・貫一が、出征前とはまるで別人の姿になっていたことから始まります。 彼は本物なのか、それとも偽物なのか。依頼を受けた記者が関係者に話を聞いて回るうちに、「本物であること」の意味そのものが揺らいでいきます。 「如何様」というタイトルが「いかようにも」と読めるように、多様な解釈ができる奥深い一冊です。
帰ってきた人が別人かもしれないなんて…。戦争が人の心を曖昧にする怖さがあって、目が離せなかったよ。
7位は、高山羽根子さんの長編小説『パレードのシステム』です。これまで紹介してきた作品とは一味違う、壮大なスケールの物語が楽しめます。
この作品は、架空の国家を舞台に、巨大な「パレード」の運営に携わる人々の姿を描いています。一見華やかに見えるパレードの裏側には、複雑なシステムと、そこで働く人々の様々な思惑が渦巻いています。個人と巨大なシステムとの関係性という、現代的なテーマを、高山さんならではの幻想的な筆致で描き出した意欲作です。物語のスケール感と、細部まで作り込まれた世界観に圧倒されること間違いなしです。
大きなシステムの中で働く人たちの話って、なんだか私たちの社会にも通じるものがあるよね。不思議な設定だけど、すごく考えさせられるんだ。
8位は、芥川賞受賞後第一作となった長編『暗闇にレンズ』です。 映像技術の歴史を壮大なスケールで描き出した、偽史SFともいえる作品です。
物語は、現代を生きる高校生のパートと、映像技術の黎明期から続く女性たちの年代記を描く過去パートで構成されています。 映像技術が兵器として利用されてきたという架空の歴史を背景に、時代に翻弄されながらもレンズを覗き続けた一族の姿が描かれます。 映像という身近なテーマを扱いながら、その暴力性や歴史の重みを問いかける、読み応えのある一冊です。
本作における映像技術と暴力性の結びつきについての描写は、現代社会への警鐘とも解釈でき、非常に示唆に富んでいると言わざるを得ない。
ランキングの最後を飾るのは、愛らしくもどこか不穏な雰囲気が漂う『パンダ・パシフィカ』です。この作品は、高山さんのユニークな発想が存分に発揮された一冊と言えるでしょう。
物語は、主人公が同僚から預かった小動物の世話をしながら、メールのやり取りを通じてパンダと人類をめぐる壮大な歴史に触れていく、という構成になっています。可愛らしいパンダのイメージとは裏腹に、物語にはどこかシュールでブラックなユーモアが漂います。環境問題や生物多様性といったテーマを扱いながらも、決して説教的にならず、あくまで不思議な物語として読者を引き込みます。
パンダの島なんて、絶対行ってみたい!でも、ただ可愛いだけじゃない、ちょっとブラックなところが高山さんらしくて最高なんだよね。
高山羽根子さんのおすすめ小説ランキングTOP9をご紹介しました。気になる作品は見つかりましたか?
高山さんの小説は、SF、純文学、ミステリーといったジャンルの垣根を軽々と飛び越え、私たちをまだ誰も見たことのない世界へと連れて行ってくれます。現実と地続きのようでいて、どこか違う。そんな不思議な浮遊感こそ、高山作品の最大の魅力です。ぜひ、このランキングをきっかけに高山羽根子さんの世界に触れ、唯一無二の文学体験を味わってみてください。