皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
船戸与一は、日本の冒険小説・ハードボイルド小説の第一人者として知られています。1944年に山口県下関市で生まれ、早稲田大学法学部を卒業後、出版社勤務を経て1979年に『非合法員』で小説家デビューしました。早稲田大学探検部に所属していた経験を活かし、紛争地帯や未開の地へ精力的に海外取材を行い、その経験を基にした質の高い冒険小説を数多く発表しています。
船戸作品の魅力は、膨大な取材に裏打ちされた圧倒的なリアリティと、壮大なスケールで描かれる物語にあります。国家や組織といった巨大な権力に抗い、世界の辺境で闘う男たちの姿を描く骨太な作風は、多くの読者を惹きつけています。その功績は高く評価され、直木賞をはじめ、吉川英治文学新人賞、山本周五郎賞、日本推理作家協会賞など数々の文学賞に輝いています。
どの作品から読むか迷ったときは、まず受賞作から選ぶのがおすすめです。例えば、直木賞を受賞した『虹の谷の五月』や、吉川英治文学新人賞の『山猫の夏』などは、船戸与一の世界観を知るのに最適な作品といえるでしょう。また、全9巻に及ぶ大作『満州国演義』のように、特定の地域や時代を深く掘り下げたシリーズ作品から入るのも一つの方法です。
ここからは、冒険小説の巨匠・船戸与一の数ある名作の中から、特に人気の高いおすすめ小説をランキング形式でご紹介します。
デビュー作から晩年の大作まで、彼の作品世界を存分に味わえるラインナップを揃えました。まだ読んだことのない方はもちろん、熱心なファンの方も、このランキングを参考に次の一冊を選んでみてはいかがでしょうか。それでは、船戸与一が描く熱い男たちの物語を見ていきましょう。
船戸与一の代表作との呼び声も高い『猛き箱舟』は、傭兵として生きる男の壮絶な復讐劇を描いた冒険小説です。1987年に刊行され、その年の「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位に輝き、翌1988年に日本冒険小説協会大賞を受賞しました。
物語の舞台は、南米の小国スリナム。かつてスリナムで戦った元傭兵の主人公・門脇が、裏切った仲間たちへの復讐を果たすため、再びその地を訪れるところから物語は始まります。圧倒的な暴力と硝煙の匂いに満ちた世界で、巨大な陰謀に立ち向かう主人公の姿が描かれます。
緻密な取材に基づいたリアリティあふれる戦闘描写と、息もつかせぬストーリー展開が魅力です。船戸与一のハードボイルドな世界観を存分に味わいたい方に、まず手に取ってほしい一冊です。
発表年 | 1987年 |
---|---|
主な受賞歴 | 日本冒険小説協会大賞 |
ジャンル | 冒険小説、ハードボイルド |
派手にやりたいっていう主人公の動機が最高にかっこいいんだよ。復讐劇としてのカタルシスもすごい!
2000年に第123回直木賞を受賞した『虹の谷の五月』は、船戸与一のキャリアにおける金字塔といえる作品です。物語は三部構成となっており、フィリピンのセブ島を主な舞台に、壮大なスケールで展開されます。
主人公は、日本の商社を辞め、目的もなくフィリピンを放浪していた青年・伊崎。彼はひょんなことから、イスラム系ゲリラと国軍の紛争に巻き込まれていきます。ジャングルの奥深くで繰り広げられる激しい戦闘と、そこに生きる人々の姿が鮮烈に描かれています。
本作の魅力は、圧倒的な熱量で描かれる人間ドラマです。極限状況の中で、主人公がどのように成長していくのか、その過程から目が離せません。選考委員からも「重層的で圧倒的な物語性」と高く評価された、読み応えのある一冊です。
発表年 | 2000年 |
---|---|
主な受賞歴 | 第123回 直木三十五賞 |
ジャンル | 冒険小説 |
直木賞受賞作なだけあって、物語のパワーがすごいんだ。主人公の成長物語としてもぐっとくるよ。
1992年に山本周五郎賞を受賞した『砂のクロニクル』は、船戸与一のライフワークともいえる「満州国演義」シリーズの序章にあたる作品です。舞台は、第二次世界大戦前夜の満州。歴史の荒波に翻弄される人々の姿を壮大なスケールで描いています。
主人公は、満州で活動する馬賊の頭目・伊達順之助。彼は、関東軍の謀略や様々な組織の思惑が渦巻く中で、自らの信念を貫き通そうとします。史実とフィクションを巧みに織り交ぜながら、激動の時代を生きた男たちの熱いドラマが展開されます。
選考会では、その圧倒的な筆力が高く評価されました。この作品から始まる「満州国演義」シリーズは全9巻に及ぶ長編ですが、まずはこの一冊から、船戸与一が描く歴史の物語に触れてみてはいかがでしょうか。
発表年 | 1992年 |
---|---|
主な受賞歴 | 第5回 山本周五郎賞 |
ジャンル | 歴史小説、冒険小説 |
ここから始まる壮大な歴史物語だと思うとわくわくするよね。歴史の裏側を覗いているような気分になれるよ。
『山猫の夏』は、1985年に吉川英治文学新人賞と日本冒険小説協会大賞をダブル受賞した、船戸与一初期の傑作です。舞台はブラジル・アマゾンの奥地。金鉱を巡る強盗団と、ゲリラ崩れの鉱山労働者たちの激しい抗争を描いています。
生きる希望を失い、流れ着いた日本人青年「おれ」が、「山猫」と呼ばれる男と出会うことで、生きるための闘いに身を投じていく物語です。圧倒的な自然の描写と、男たちの荒々しい生き様が、船戸与一ならではの力強い筆致で描かれています。
エンターテイメント性が高く、船戸作品の中では比較的読みやすい一冊としても知られています。冒険小説の入門編として、また船戸与一の世界に初めて触れる方におすすめの作品です。
発表年 | 1984年 |
---|---|
主な受賞歴 | 吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞 |
ジャンル | 冒険小説 |
主人公が「山猫」と出会って変わっていく姿がアツいんだ!冒険小説のドキドキ感が全部詰まってる感じがするよ。
『蝦夷地別件』は、江戸時代後期の蝦夷地(現在の北海道)を舞台にした、異色の歴史冒険小説です。アイヌと和人の対立が激化する中で、幕府の密命を受けた主人公たちの活躍を描いています。
物語の中心となるのは、アイヌの血を引く抜忍の甚兵衛と、彼を追う公儀隠密の鷲尾。二人はそれぞれの立場と思惑を胸に、蝦夷地の広大な大地を駆け巡ります。史実をベースにしながらも、忍者やアイヌの戦闘など、エンターテイメント性あふれる要素が盛り込まれています。
船戸与一の作品としては珍しく、日本国内を舞台にしていますが、その壮大なスケールとハードな世界観は健在です。歴史小説ファンはもちろん、普段あまり歴史ものを読まない方にもおすすめできる一冊です。
発表年 | 1995年 |
---|---|
主な受賞歴 | – |
ジャンル | 歴史小説、時代小説 |
日本の歴史が舞台だけど、いつもの船戸作品らしいスケールの大きさが感じられるんだ。アイヌの文化も興味深いよ。
『風の払暁』は、船戸与一が晩年に心血を注いだ全9巻に及ぶ大河小説「満州国演義」シリーズの第1巻です。2015年に亡くなる直前まで書き継がれた、まさに作家の魂が込められた作品といえるでしょう。
物語は、満州事変から第二次世界大戦終結までの激動の時代を背景に、建築家である敷島四兄弟を主人公として描かれます。彼らの視点を通して、建国から崩壊へと至る満州国の興亡が、壮大なスケールで語られていきます。
歴史の大きなうねりの中で、個人がどう生き、何を選択するのか。重厚なテーマを扱いながらも、読者を飽きさせないエンターテイメント性も兼ね備えています。船戸与一の集大成ともいえるこのシリーズに、じっくりと腰を据えて挑んでみてはいかがでしょうか。
発表年 | 2007年 |
---|---|
シリーズ | 満州国演義 |
ジャンル | 歴史小説 |
作家の遺作になったシリーズなんだよね。歴史の大きな流れと、そこに生きる人々のドラマが詰まっていて、読み応えがすごいよ。
1989年に日本推理作家協会賞を受賞した『伝説なき地』は、中東のクルド人問題という非常に重いテーマを扱った社会派冒険小説です。船戸与一の卓越した取材力と、物語を構築する力が存分に発揮された一作です。
主人公は、クルド人独立運動の指導者を暗殺するために現地へ潜入した元傭兵の日本人・高垣。彼は任務を遂行する中で、クルド人たちの過酷な現実と、彼らの独立への強い意志を目の当たりにします。そして、次第に自らの任務に疑問を抱くようになります。
国家を持たない最大の民族といわれるクルド人の悲劇を背景に、個人の信念と組織の論理との間で葛藤する主人公の姿が描かれます。エンターテイメントでありながら、国際情勢について深く考えさせられる、骨太な作品です。
発表年 | 1988年 |
---|---|
主な受賞歴 | 日本推理作家協会賞 |
ジャンル | 冒険小説、社会派 |
すごくシリアスなテーマなんだけど、ぐいぐい読ませる力がすごいんだ。主人公の葛藤に胸が苦しくなるよ…。
『神話の果て』は、南米の麻薬組織とアメリカCIAの暗闘を描いた、スケールの大きな冒険小説です。「南米三部作」の第二弾に位置づけられる作品で、ペルーを舞台に壮絶な戦いが繰り広げられます。
主人公は、破壊工作員の志度正平。彼は、ペルーの山岳ゲリラの首謀者を殺害する依頼を受け、組織に潜入します。しかし、その背後には様々な組織の思惑が渦巻いており、彼は幾重にも張り巡らされた罠の中で、命を懸けた戦いを強いられることになります。
冒頭から息もつかせぬ緊迫した展開が続き、読者を一気に物語の世界へ引き込みます。船戸与一ならではのハードな暴力描写と、複雑に絡み合うプロットが魅力の、読み応え十分な一冊です。
発表年 | 1985年 |
---|---|
シリーズ | 南米三部作 |
ジャンル | 冒険小説、ハードボイルド |
本作における無機質なまでのシンプルな語り口からは作者の覚悟をひしひしと感じざるを得ない。
『炎流れる彼方』は、東南アジアの小国を舞台に、クーデターの渦中で生きる人々の姿を描いた冒険小説です。政治的な陰謀と激しい戦闘が、船戸与一らしい力強い筆致で描かれています。
主人公は、かつて傭兵としてこの国で戦った経験を持つ日本人・津田。彼は、観光ガイドとして平穏な日々を送っていましたが、軍事クーデターが発生したことで、再び戦いの渦中へと身を投じることになります。裏切りと策謀が渦巻く中で、彼は生き残るために奔走します。
東南アジアの熱気や湿度まで伝わってくるような、臨場感あふれる描写が特徴です。国家の転覆という大きな出来事に巻き込まれた個人の運命が、スリリングに描かれた傑作です。
発表年 | 1990年 |
---|---|
ジャンル | 冒険小説 |
舞台 | 東南アジア |
クーデターに巻き込まれるなんて、映画みたいでドキドキするよね!主人公がどうやって生き残るのか、ハラハラしっぱなしだよ。
1979年に刊行された『非合法員』は、船戸与一の記念すべきデビュー作です。この作品で、彼は冒険小説家としてのキャリアをスタートさせました。後の作品にも通じる、ハードな世界観と骨太なストーリーがすでに確立されています。
物語の舞台は、中東の砂漠地帯。日本の商社マンである主人公が、ゲリラ組織に誘拐されたことから、国際的な陰謀に巻き込まれていきます。彼は生き残るため、そして事件の真相を暴くため、ゲリラと共に戦うことを決意します。
デビュー作ながら、その完成度の高さは驚くべきものです。船戸与一という作家の原点を知る上で、欠かすことのできない一冊といえるでしょう。彼のファンはもちろん、これから船戸作品を読んでみようという方にもおすすめです。
発表年 | 1979年 |
---|---|
ポイント | 船戸与一のデビュー作 |
ジャンル | 冒険小説 |
デビュー作って、作家さんの原石みたいな魅力があるよね。ここからあのすごい物語たちが生まれたんだって思うと感慨深いな。
『カルナヴァル戦記』は、ブラジルのリオデジャネイロを舞台に、カーニバル(カルナヴァル)の裏で繰り広げられる麻薬組織同士の抗争を描いた作品です。華やかな祭りの熱気と、血なまぐさい暴力の対比が鮮烈な印象を残します。
主人公は、日本のヤクザ組織から逃れてきた男・耕平。彼はリオのスラム街(ファヴェーラ)に身を隠しますが、やがて地元の麻薬組織の抗争に巻き込まれていきます。カーニバルの喧騒の中、壮絶な銃撃戦が展開されます。
熱狂的なカーニバルの描写と、ドライでハードな暴力描写が巧みに融合した一作です。ブラジルの社会が抱える闇を背景に、極限状況で生きる男たちの姿をリアルに描いています。
発表年 | 1993年 |
---|---|
舞台 | ブラジル・リオデジャネイロ |
ジャンル | 冒険小説、ノワール |
本作における無機質なまでのシンプルな語り口からは作者の覚悟をひしひしと感じざるを得ない。
『流砂の塔』は、アフリカのサハラ砂漠を舞台にした冒険小説です。独立を求める武装勢力と政府軍の戦い、そしてその背後にある大国の思惑が、壮大なスケールで描かれています。
主人公は、武装勢力に身を投じる日本人青年・甲斐。彼は、過酷な砂漠の環境と、絶え間ない戦闘の中で、仲間たちとの絆を深めながら成長していきます。しかし、彼らの前には次々と過酷な運命が待ち受けています。
広大な砂漠の描写が圧巻で、読んでいるだけで喉が渇くようなリアリティがあります。国家や民族の対立という重いテーマを扱いながらも、一人の青年の成長物語として、読者を引き込む魅力を持った作品です。
発表年 | 1996年 |
---|---|
舞台 | サハラ砂漠 |
ジャンル | 冒険小説 |
砂漠での戦いって、想像するだけで過酷だよね…。主人公がどうなっちゃうのか、最後まで目が離せないよ。
『夜のオデッセイア』は、地中海を舞台に、古代ギリシャの叙事詩「オデッセイア」をモチーフにした壮大な海洋冒険小説です。麻薬、武器密輸、テロリズムといった現代的なテーマを織り交ぜながら、スリリングな物語が展開されます。
主人公は、ヨットで世界を放浪する日本人・島崎。彼は、ある積み荷を運ぶ依頼を受けたことから、国際的な犯罪組織や諜報機関の争いに巻き込まれていきます。広大な海の上で、孤独な戦いを強いられる彼の運命は…。
船戸与一の作品の中でも、特にロマンと冒険心にあふれた一作です。美しい地中海の風景と、その裏で繰り広げられるハードな戦いのギャップが、物語に深みを与えています。
発表年 | 1981年 |
---|---|
舞台 | 地中海 |
ジャンル | 海洋冒険小説 |
ヨットで世界を旅するなんて憧れるな!古代叙事詩がモチーフっていうのも、ロマンチックで素敵だよね。
『蝕みの構造』は、日本の大手商社を舞台にした異色の企業サスペンスです。船戸与一作品には珍しく、海外の辺境ではなく、日本の組織内部の暗闘をテーマにしています。
主人公は、巨大商社に勤めるエリート社員。彼は、社内で進行する謎のプロジェクトの調査を命じられますが、その背後には会社の根幹を揺るがす巨大な陰謀が隠されていました。彼は、見えざる敵を相手に、孤独な情報戦を繰り広げます。
硝煙の匂いこそありませんが、組織の論理や人間の欲望が渦巻く様は、まさに「企業という戦場」を描いたハードボイルド小説といえるでしょう。いつもとは一味違う船戸与一の世界を楽しみたい方におすすめです。
発表年 | 1991年 |
---|---|
ジャンル | 企業サスペンス |
舞台 | 日本 |
いつもの冒険小説とは違うけど、会社の中の戦いっていうのもスリリングで面白いんだ。見えない敵って怖いよね。
『河畔に標なく』は、タイとミャンマーの国境地帯を舞台に、少数民族の悲哀と戦いを描いた社会派冒険小説です。麻薬王クン・サが支配するゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)の現実を、リアルに描き出しています。
主人公は、日本のNGOに所属し、現地で活動する青年・水沢。彼は、少数民族の村が国軍から弾圧を受ける現実に直面し、彼らと共に戦うことを決意します。しかし、その戦いはあまりにも過酷なものでした。
船戸与一の徹底した取材力が光る一作で、少数民族が置かれた厳しい状況や、麻薬ビジネスの実態が生々しく伝わってきます。エンターテイメント性を保ちつつも、読者に重い問いを投げかける作品です。
発表年 | 2004年 |
---|---|
舞台 | タイ、ミャンマー国境 |
ジャンル | 冒険小説、社会派 |
少数民族の人たちがすごくつらい状況に置かれているのが伝わってきて、胸が痛くなる…。主人公の決断に涙が出ちゃうよ。
『夢は荒れ地を』は、中央アジアの旧ソ連構成国を舞台にした冒険小説です。ソ連崩壊後の混乱の中、民族紛争や利権争いに巻き込まれていく主人公の姿を描いています。
主人公は、現地の遺跡発掘調査に参加していた日本の学者。彼は、ひょんなことから政府軍とイスラム原理主義ゲリラの抗争に巻き込まれ、人質となってしまいます。極限状況の中、彼は生き延びるために必死の抵抗を試みます。
なじみの薄い中央アジアという地域を舞台にしながらも、その歴史的背景や民族問題を巧みに物語に織り込み、読者を引き込みます。ソ連崩壊という歴史の転換点が、人々の運命をどう変えたのかを描いた重厚な一作です。
発表年 | 2002年 |
---|---|
舞台 | 中央アジア |
ジャンル | 冒険小説 |
歴史が大きく変わる時って、色々なことが起きるんだね。知らない国のことを知れるのも、船戸作品の魅力の一つかな。
『緋色の時代』は、19世紀末のアメリカ西部を舞台にした作品です。西部開拓時代が終わりを告げ、新たな時代へと移り変わる中で、己の生き様を貫こうとするアウトローたちの姿を描いています。
主人公は、かつて名を馳せたガンマン。時代の変化とともに居場所を失った彼は、最後の仕事として、仲間たちと共に銀行強盗を計画します。しかし、その計画は思わぬ方向へと転がっていきます。
西部劇の要素を取り入れつつも、単なる勧善懲悪の物語ではなく、時代の変化に抗う男たちの哀愁を描いているのが特徴です。船戸与一が描く、一味違ったウェスタン・ノワールを楽しめる一冊です。
発表年 | 2001年 |
---|---|
舞台 | アメリカ西部 |
ジャンル | 西部劇、ノワール |
西部劇ってかっこいいよね!時代の終わりを生きた男たちの物語って、なんだか切なくてグッとくるんだ。
『龍神町龍神十三番地』は、現代の日本を舞台にしたハードボイルド小説です。地方の寂れた港町で起こる、ヤクザ組織の抗争と、それに巻き込まれる人々の姿を描いています。
主人公は、かつてヤクザ組織に属していたが、今は足を洗い静かに暮らしている男。しかし、町の再開発を巡る利権争いが激化したことで、彼は再び暴力の世界へと引き戻されていきます。
海外の辺境を舞台にすることが多い船戸作品の中では異色ですが、閉塞感のある地方都市を舞台に、男たちの熱い生き様を描く筆致は健在です。日本の闇社会をリアルに描いた、骨太なエンターテイメント作品です。
発表年 | 1998年 |
---|---|
舞台 | 日本 |
ジャンル | ハードボイルド、ノワール |
本作における無機質なまでのシンプルな語り口からは作者の覚悟をひしひしと感じざるを得ない。
『新・雨月 戊辰戦役朧夜話』は、幕末の戊辰戦争を背景にした歴史スパイ小説です。上田秋成の『雨月物語』を下敷きに、史実と伝奇的な要素を融合させたユニークな作品となっています。
物語は、長州藩の間諜である主人公と、彼を追う越後長岡藩の武士を中心に展開します。両者は、戊辰戦争の裏側で、互いの信念を懸けた熾烈な情報戦を繰り広げます。歴史の影で暗躍した者たちの、知られざる戦いが描かれます。
史実を扱いながらも、ファンタジーや怪奇小説のような雰囲気をまとっているのが特徴です。船戸与一の新たな一面を発見できる、意欲的な一冊といえるでしょう。
発表年 | 2006年 |
---|---|
ジャンル | 歴史小説、スパイ小説 |
時代 | 幕末・戊辰戦争 |
歴史の裏側でスパイが活躍してたなんて、想像すると面白いよね。『雨月物語』がベースっていうのも、不思議な雰囲気で素敵だな。
船戸与一は、「外浦吾朗」というペンネームで、人気劇画『ゴルゴ13』の脚本を数多く手掛けていたことでも知られています。その中から自らが選んだエピソードを小説化したのが、この『ゴルゴ13ノベルズ』です。
超一流のスナイパー、デューク東郷、通称「ゴルゴ13」の活躍を、船戸与一ならではのハードボイルドな文体で描いています。劇画とは一味違った、小説ならではの心理描写や情景描写が楽しめます。
『ゴルゴ13』のファンはもちろん、船戸与一のファンも楽しめる一冊です。二人の巨匠の世界観が融合した、贅沢な作品といえるでしょう。
ポイント | 『ゴルゴ13』の脚本を自ら小説化 |
---|---|
ペンネーム | 外浦吾朗 |
ジャンル | ハードボイルド、スパイ小説 |
わたしも大好きな『ゴルゴ13』を船戸さんが小説にしてるなんて!これは読むしかないよね。劇画とは違う魅力があるんだろうな。
ここまで、冒険小説の巨匠・船戸与一のおすすめ人気ランキングをご紹介してきました。彼の作品は、世界の辺境を舞台にした壮大なスケールの物語から、日本の組織や社会の闇を描くものまで、非常に多彩です。
しかし、どの作品にも共通しているのは、圧倒的なリアリティと、逆境に屈せず自らの信念を貫こうとする男たちの熱い生き様です。緻密な取材に裏打ちされた骨太なストーリーは、私たちに読書の醍醐味を改めて教えてくれます。
今回ご紹介した作品の中に、気になる一冊は見つかったでしょうか。ぜひこの機会に、船戸与一が描く唯一無二のハードボイルドな世界に飛び込んでみてください。きっと、忘れられない読書体験があなたを待っています。