【2025年最新】古川薫のおすすめ小説ランキングTOP20

古川薫とは？ 幕末の長州を描き続けた直木賞作家

古川薫（ふるかわ かおる）は、1925年から2018年まで、昭和・平成の時代を駆け抜けた小説家です。生涯、故郷である山口県に根差し、幕末の長州藩や明治維新後の山口県にゆかりのある人物を描いた歴史小説を数多く手掛けました。

中学校教諭や新聞記者といった職を経て、1970年に文筆活動へ専念。1965年の『走狗』で初めて直木賞候補となってから、実に10回目の候補作であった『漂泊者のアリア』で、1991年に第104回直木賞を受賞しました。綿密な史料収集に裏打ちされた硬派な作風で、多くの歴史小説ファンを魅了し続けた作家です。

【2025年最新】古川薫のおすすめ小説ランキングTOP20

それでは、古川薫のおすすめ小説をランキング形式でご紹介します。幕末の志士たちの熱い生き様を描いた作品から、知られざる歴史の側面に光を当てた物語まで、読み応えのある名作が揃っています。

激動の時代を駆け抜けた人々の魂に触れる、古川薫の文学世界へ、ようこそ。

1位『漂泊者のアリア』

古川薫の代表作であり、第104回直木賞受賞作です。この作品は、下関にゆかりの深い国際的オペラ歌手、藤原義江の波乱に満ちた生涯を描いた伝記小説。10回目の候補作にして、ついに受賞を果たしたことでも知られています。

それまで幕末の歴史小説を中心に執筆してきた古川薫が、近現代の人物を題材にして高い評価を得た記念碑的な一作です。主人公の壮絶な人生が、年輪を重ねた作家ならではの筆致で描かれ、深い感動を呼びます。

2位『高杉晋作 わが風雲の詩』

幕末の風雲児、高杉晋作の鮮烈な生涯を描いた長編歴史小説です。古川薫は、高杉晋作や吉田松陰といった長州の人物を数多く作品の題材にしています。

緻密な歴史考証に基づきながらも、歴史上の英雄としてだけでなく、血の通った一人の人間としての高杉晋作の苦悩や情熱が、鮮やかに描き出されています。幕末の動乱期を駆け抜けた志士の生き様を通して、読者は歴史の大きなうねりを体感できるでしょう。

3位『花冠の志士 小説久坂玄瑞』

松下村塾の秀才であり、高杉晋作と並び称された久坂玄瑞の生涯を描いた作品です。古川薫は、吉田松陰門下の志士たちを数多く小説の題材としています。

若くして非業の死を遂げた久坂玄瑞。その理想に燃える情熱と、短い生涯が放ったまばゆい輝きを鮮やかに描き出します。幕末という時代の激しさと、そこに生きた若者たちの純粋な思いが胸を打つ一冊です。

4位『吉田松陰 留魂録』

吉田松陰が遺した『留魂録』に、古川薫が全訳注を施した一冊です。単なる現代語訳にとどまらず、松陰の思想や行動の背景を深く掘り下げ、その人物像に迫ります。

古川薫は、松陰をはじめとする長州の人物を描いた小説を精力的に書き続けました。この作品は、彼の松陰に対する深い理解と敬愛が感じられる一冊であり、小説とあわせて読むことで、より深く松陰の世界観に触れることができるでしょう。

5位『松下村塾』

吉田松陰が主宰し、高杉晋作や久坂玄瑞など、幕末に活躍した多くの人材を輩出した松下村塾。本作は、松下村塾に集った若き志士たちの青春を描く群像劇です。

松陰の教えのもと、身分を超えて学び、議論を戦わせ、日本の未来を憂いた若者たちの熱気が伝わってきます。彼らがどのようにして時代を動かす力となっていったのか、その原点を知ることができる作品です。

6位『斜陽に立つ 乃木希典と児玉源太郎』

明治時代を代表する軍人である乃木希典と児玉源太郎。同じ長州出身でありながら対照的な個性を持つ二人の生涯と、その複雑な関係性を描き出します。

日露戦争という国家の命運をかけた戦いを背景に、二人の友情、対立、そして苦悩を深く掘り下げています。組織の中で生きる人間の葛藤や、リーダーシップのあり方を考えさせられる、重厚な人間ドラマが魅力です。

7位『天辺の椅子 日露戦争と児玉源太郎』

日露戦争において、満州軍総参謀長として日本の勝利に大きく貢献した児玉源太郎の活躍を描いた作品です。古川薫は、幕末維新期だけでなく、明治の人物にも光を当てています。

卓越した戦略家であった児玉源太郎が、いかにして強大なロシア軍に立ち向かったのか。その卓越した知略とリーダーシップを克明に描き出します。国家の危機に際して、一人の人間がどれほど大きな役割を果たしうるのかを問いかける、読み応えのある歴史小説です。

8位『君死に給うことなかれ 神風特攻龍虎隊』

太平洋戦争末期、若者たちが「神風特攻隊」として命を散らしていった悲劇。本作は、特攻隊員として散った若者たちの青春と苦悩を描く物語です。

古川薫自身も、1945年に召集された経験を持ちます。作者自身の体験もにじむ痛切な問いかけが、読者の胸に深く突き刺さります。

9位『吉田松陰の恋』

思想家、教育家としてのイメージが強い吉田松陰ですが、本作では、彼の人間的な側面、特に「恋」に光を当てています。

松陰が抱いた淡い恋心や、女性たちとの交流を通して、彼の知られざる素顔に迫ります。歴史上の偉人もまた、一人の血の通った人間であったことを感じさせてくれる、異色の作品です。

10位『剣と法典 小ナポレオン山田顕義』

吉田松陰門下の一人であり、明治政府では初代司法大臣として近代日本の法制度の礎を築いた山田顕義の生涯を描いた作品です。

「小ナポレオン」と称された彼の、幕末の志士から明治の政治家へと変貌を遂げていく姿を追います。剣の時代から法の時代へ。激動の転換期を、一人の男の人生を通して描いた重厚な歴史小説です。

11位『覇道の鷲 毛利元就』

古川薫は幕末だけでなく、戦国期の毛利家にも光を当てています。この小説は、中国地方の小領主から一代で戦国大名へと成り上がった知将・毛利元就の生涯を描いた物語です。

有名な「三本の矢」の教えに代表されるような、元就の卓越した知略と、冷徹なまでの現実主義者としての一面を浮き彫りにします。権謀術数が渦巻く戦国の世を、いかにして生き抜いたのか。そのしたたかな生き様は、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。

12位『暗殺の森』

1981年に発表され、直木賞候補にもなった長編小説です。本作は、古川薫が得意とする幕末維新の物語に、サスペンスの要素を融合させた意欲作です。

歴史の裏側で起きた暗殺事件を軸に、陰謀と人間ドラマが交錯します。史実の謎に迫りながら、読者を緊迫感あふれる物語の世界へと引き込みます。歴史小説ファンだけでなく、ミステリー好きも楽しめる一冊です。

13位『走狗』

1965年に発表され、古川薫が初めて直木賞候補となった記念すべき短編小説です。この作品で文壇から大きな注目を集め、その後の活躍の礎となりました。

若き日の古川薫の、瑞々しい才能が感じられる一作です。彼の長い作家人生の原点ともいえるこの作品を読むことで、その後の大作群とはまた違った魅力を発見できるかもしれません。

14位『維新の烈風 吉田松陰と高杉晋作』

幕末の長州藩を語る上で欠かせない、吉田松陰と高杉晋作。この作品は、二人の師弟関係に焦点を当て、彼らが維新の動乱にどのように関わっていったかを描いています。

松陰の思想が、弟子である晋作にどのように受け継がれ、そして時代を動かす力へと昇華されていったのか。師と弟子の魂の交流が、熱く、そして感動的に描かれています。二人の関係性を知ることで、幕末維新史がより立体的に見えてくるはずです。

15位『山河ありき 明治の武人宰相・桂太郎の人生』

長州出身で、三度にわたって内閣総理大臣を務めた桂太郎の生涯を描いた長編小説です。古川薫は、幕末の志士だけでなく、維新後に国家の建設に尽力した人物にも光を当てています。

軍人から政治家へと転身し、激動の明治時代をリードした桂太郎。その知られざる苦悩や決断の裏側を、丹念な筆致で描き出します。近代日本の黎明期を、一人の宰相の人生を通して深く理解することができる作品です。

16位『幕末長州藩の攘夷戦争』

幕末、長州藩は「攘夷」を掲げて欧米列強と激しく対立しました。本作は、下関戦争をはじめとする、長州藩が繰り広げた攘夷戦争の顛末を克明に描いたノンフィクション・ノベルです。

古川薫は、パリの軍事博物館で攘夷戦の戦利品である長州砲を発見し、その返還運動に尽力した経験も持ちます。作家の情熱が込められたこの作品は、歴史の事実を追いながらも、まるで小説のような臨場感で読者を惹きつけます。

17位『十三人の修羅』

1977年に発表され、直木賞候補となった長編小説です。本作は、一人の英雄ではなく、歴史の動乱に翻弄された十三人の男たちの生き様を描く群像劇です。

それぞれの正義や野望を胸に、ある者は協力し、ある者は敵対する。複雑に絡み合う人間関係を通して、時代の大きなうねりを描き出しています。多彩な登場人物たちの運命が、読者を物語の世界に深く引き込みます。

18位『正午位置（アット・ヌーン）』

1988年に発表され、直木賞候補となった中編小説です。古川薫は、幕末の歴史小説だけでなく、雄大な海を舞台にした物語も手掛けています。

広大な海を舞台に、船乗りたちの生き様や、海に秘められた謎が描かれます。歴史小説とは一味違った、冒険小説のような魅力を持つ作品です。古川薫の新たな一面を発見できるかもしれません。

19位『幻のザビーネ』

1989年に発表され、直木賞候補となった中編小説です。本作もまた古川薫の多彩な作風を示す一冊で、ミステリアスな雰囲気が読者を惹きつけます。

タイトルにもある「ザビーネ」とは一体何なのか。謎が謎を呼ぶ展開で、読者の知的好奇心を刺激します。歴史の狭間に埋もれた、幻の物語を追いかけるような感覚で楽しむことができます。

20位『閉じられた海図』

海を舞台にした、ロマンあふれる海洋ミステリー小説です。古川薫の作品の中でも、歴史小説とは異なるジャンルで、その多才ぶりを発揮しています。

一冊の古い海図に隠された秘密をめぐり、物語は思わぬ方向へと展開していきます。冒険と謎解きの要素が詰まった、エンターテインメント性の高い作品です。歴史小説は少し苦手という方にも、おすすめできる一冊です。

古川薫の人気小説で、激動の時代を生きた人々の魂に触れる

直木賞作家・古川薫のおすすめ小説をランキング形式でご紹介しました。彼の作品の多くは、幕末や明治といった日本の大きな転換期を舞台に、故郷である長州・山口の人物たちを描いています。

綿密な史実に基づきながらも、そこに描かれるのは歴史上の記号ではない、血の通った人間たちのドラマです。彼らの喜び、悲しみ、そして理想に燃える情熱が、時代を超えて私たちの胸を打ちます。気になる一冊を手に取り、激動の時代を生きた人々の魂に触れてみてはいかがでしょうか。