【2025年最新】本谷有希子の小説おすすめ人気ランキングTOP14

本谷有希子とは？芥川賞作家の経歴とプロフィール

本谷有希子（もとや ゆきこ）さんは、小説家としてだけでなく、劇作家、演出家、女優、声優と、非常に幅広い分野で才能を発揮するアーティストです。1979年7月14日生まれ、石川県白山市の出身です。

2000年に自らが作・演出を手がける「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、演劇界で注目を集めました。その後、2002年に小説家としてもデビュー。彼女の名を不動のものにしたのが、2016年に『異類婚姻譚』で第154回芥川龍之介賞を受賞したことです。これまでにも、『ぬるい毒』で野間文芸新人賞、『嵐のピクニック』で大江健三郎賞、『自分を好きになる方法』で三島由紀夫賞など、数々の権威ある文学賞に輝いています。

本谷有希子作品の魅力とは？人間の“毒”をポップに描く世界観

本谷有希子さんの作品の最大の魅力は、人間の内面に渦巻く自意識や承認欲求といった“毒”を、鋭くもポップに描き出すその独特の世界観にあります。登場人物たちは、どこか歪んでいたり、痛々しいほどの感情を抱えていたりしますが、その姿が不思議と滑稽で愛おしく感じられるのです。

劇作家でもある本谷さんならではの、リズミカルでテンポの良い会話劇のような文体も特徴です。日常に潜むちょっとした違和感や狂気を巧みに切り取り、読者をぐいぐいと物語に引き込みます。読了後には、心にズシンと重い何かが残る、強烈な読書体験が待っています。

本谷有希子のおすすめ小説ランキングTOP14

ここからは、いよいよ本谷有希子さんのおすすめ小説をランキング形式でご紹介します。芥川賞を受賞した純文学の傑作から、思わずクスリと笑ってしまうユーモラスな作品、そして人間の闇に迫る衝撃作まで、多彩なラインナップが揃いました。

どの作品も、一度読んだら忘れられない強烈なインパクトを持っています。「本谷ワールド」に初めて触れる方はもちろん、次の一冊を探しているファンの方も、ぜひこのランキングを参考にお気に入りの一冊を見つけてみてください。

1位『生きてるだけで、愛。』

数ある本谷作品の中でも特に人気が高く、初めて読む方にもおすすめなのが『生きてるだけで、愛。』です。本作は第135回芥川賞の候補にもなり、2018年には趣里さん主演で映画化もされ、大きな話題を呼びました。

物語の主人公は、過眠症で引きこもりがちな寧子（やすこ）と、出版社でゴシップ記事の編集をする恋人の津奈木。同棲生活を送る二人の、ままならない日常と不器用な愛が、痛々しいほどリアルに描かれています。「生きること」や「愛すること」の根源的な問いを、本谷さんならではの鋭い感性で突きつけてくる傑作です。

2位『異類婚姻譚』

本谷有希子さんの名を一躍世に知らしめた、第154回芥川龍之介賞受賞作です。物語は、専業主婦のサンジョウさんが、ある日ふと自分の顔が夫に似てきたことに気づくところから始まります。日常が少しずつ奇妙なものに変容していく様に、じわじわとした恐怖と不思議な感覚を覚えるでしょう。

夫婦という最も身近な他者との関係性や、自分と他者の境界線が曖昧になっていく様を、「異類婚姻譚」という古典的なモチーフを使いながら現代的に描き出しています。本谷さんの真骨頂ともいえる、不気味でユーモラスな世界観が凝縮された一冊です。

3位『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

本谷さんの初期の代表作であり、2007年に佐藤江梨子さん主演で映画化もされた衝撃作です。田舎町を舞台に、女優を夢見て上京したものの挫折して帰郷した姉・澄伽と、漫画家志望の妹・清深の、歪んだ姉妹関係が強烈に描かれています。

両親の事故死をきっかけに、姉妹の間に隠されていた嫉妬や憎悪、そして奇妙な愛情が噴出します。登場人物たちの痛々しくも滑稽な言動に、読者は目を背けたくなるかもしれません。しかし、その奥底にある人間の業や悲しみに、きっと心を揺さぶられるはずです。

4位『乱暴と待機』

こちらも浅野忠信さん、美波さん主演で映画化された人気の高い一作です。物語は、向かいのアパートに住むお互いの部屋を覗き見することが日課になっている男女、英則と奈々瀬を中心に展開します。

木版画を彫り続ける英則と、ただひたすらに彼を待ち続ける奈々瀬。二人の間には直接的な交流はほとんどありませんが、その歪んだ関係性を通して、人間の孤独やコミュニケーションの不可能性が巧みに描き出されています。本谷さん特有のユーモアと狂気が絶妙なバランスで混ざり合った、中毒性の高い作品です。

5位『ぬるい毒』

第33回野間文芸新人賞を受賞した本作は、「気持ち悪い」という感情を徹底的に突き詰めた、まさに本谷ワールド全開の一冊です。主人公の女性・熊田は、職場の同僚や恋人に対して、生理的な嫌悪感を抱きながらも、その関係を続けています。

彼女の視点を通して描かれる日常は、些細な言動や仕草が全て「気持ち悪い」ものとして映し出されます。読者は、その執拗なまでの描写に戸惑いながらも、いつしかその感覚に引き込まれていくでしょう。人間の内面に潜む「毒」を、これでもかと突きつけてくる問題作です。

6位『嵐のピクニック』

第7回大江健三郎賞を受賞した、表題作を含む4つの短編が収録された作品集です。どの物語も、日常に潜む非日常や、人間関係の奇妙なズレを、シュールかつユーモラスに描いています。

特に表題作の「嵐のピクニック」は、嵐が近づく中で決行される会社のピクニックを舞台に、集団心理の狂気と個人の葛藤が描かれます。不条理な状況に置かれた人々の滑稽な姿を通して、現代社会の息苦しさを風刺しているようにも読める、奥深い一冊です。

7位『自分を好きになる方法』

第27回三島由紀夫賞を受賞した、自己啓発セミナーをテーマにした異色の小説です。主人公は、自分を変えたい一心で「自分を好きになる方法」というセミナーに参加しますが、そこで繰り広げられるのは奇妙で滑稽なワークの数々でした。

「自分らしさ」や「自己肯定感」といった、現代人が囚われがちなテーマを、本谷さんならではのシニカルな視点で切り取っています。「自分を好きになる」とは一体何なのか、読者も主人公と一緒になって考えさせられる、ユーモアと皮肉に満ちた作品です。

8位『あの子の考えることは変』

芥川賞候補にもなった本作は、平凡な日常を求める巡谷と、ダイオキシンに怯える少し変わった同居人・日田、二人の女性の奇妙な共同生活を描いた青春小説です。当初は変人の日田に振り回される巡谷ですが、物語が進むにつれてその関係性は逆転していきます。

答えの出ない問題に悩みながらも、ぶつかり合い、共に過ごす二人の姿は、どこか切なくも美しいです。友情とも愛情ともつかない、二人の女性の特別な関係性が、疾走感あふれる文体で描かれています。ラストシーンの美しさは必見です。

9位『静かに、ねぇ、静かに』

この作品は、音声コンテンツの配信サービスで働く女性が主人公。彼女は、他人の声に異常な執着を持ち、ASMR（聴覚への刺激によって得られる心地よい感覚）の世界にのめり込んでいきます。

現代的なテーマを扱いながら、人間の五感や欲望の本質に迫る、非常にユニークな物語です。声フェチ、音フェチの世界を、本谷さんらしい緻密な心理描写で描き出し、読者を未知の感覚へと誘います。少しマニアックな世界観ですが、だからこそハマる人が続出している一冊です。

10位『江利子と絶対』

本谷有希子さんの小説家デビュー作であり、その原点ともいえる一冊です。主人公の江利子は、自分だけの絶対的なルール「絶対」に従って生きています。彼女のユニークな価値観と、それによって引き起こされる周囲とのズレが、コミカルに描かれています。

誰しもが持つであろう「自分だけのこだわり」を極端な形で表現した江利子のキャラクターは、非常に個性的で魅力的です。初期作品ならではの荒削りなエネルギーと、独特の言語感覚が光る、ファン必読の作品と言えるでしょう。

11位『セルフィの死』

この作品集には、表題作「セルフィの死」を含む3つの短編が収められています。どの作品も、現代社会に生きる人々の自意識や承認欲求をテーマにしています。

特に「セルフィの死」は、SNSでの「自撮り（セルフィー）」に没頭する女性の心理を鋭く描いた物語。SNS時代の自己愛や他者からの評価に翻弄される人々の姿が、皮肉とユーモアを交えて描き出されています。現代を生きる私たちにとって、非常に身につまされるテーマが詰まった一冊です。

12位『ぜつぼう』

タイトルからして強烈なインパクトを放つ『ぜつぼう』は、その名の通り、様々な形の「絶望」を描いた短編集です。しかし、本谷さんの手にかかれば、絶望でさえもどこかユーモラスで愛おしいものに変わります。

登場するのは、売れない役者や、恋人に振られた女性など、人生に絶望している人々。彼らのどうしようもない状況や、みじめな感情が、なぜか笑いを誘います。辛いことがあった時に読むと、かえって元気が出るかもしれない、不思議な魅力を持った一冊です。

13位『グ、ア、ム』

4人の女性によるグアム旅行を描いたこの小説は、一見すると楽しげな女子旅の物語です。しかし、その裏では、彼女たちの間の微妙な力関係や、嫉妬、見栄といった感情が渦巻いています。

楽しい旅行のはずが、些細なきっかけで不穏な空気が流れ始める様子は、非常にスリリング。女性同士の人間関係の複雑さや怖さを、本谷さんらしいリアルな筆致で描き出しています。女性なら「あるある！」と共感してしまう場面も多いかもしれません。

14位『ほんたにちゃん』

本谷有希子さん自身をモデルにしたかのような主人公「ほんたにちゃん」が登場する、ユニークな私小説風の一冊です。劇団を主宰し、小説を書き、そして恋をする彼女の日常が、赤裸々に綴られています。

創作活動の裏側や、アーティストとしての葛藤、そして一人の女性としての恋愛模様が、コミカルかつリアルに描かれています。本谷有希子という作家の素顔に触れられるような感覚で、ファンにとってはたまらない作品です。この本から、他の作品へと読み進めていくのも面白いかもしれません。

まとめ

ここまで、本谷有希子さんのおすすめ小説をランキング形式で14作品ご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。どの作品も、人間の内面に潜む「毒」や「自意識」を、ポップでユーモラスな筆致で描き出す、本谷さんならではの魅力に溢れています。

もし、どの作品から読めばいいか迷ったら、芥川賞受賞作の『異類婚姻譚』や、映画化もされて人気の高い『生きてるだけで、愛。』から手に取ってみるのがおすすめです。一度読めばきっと、あなたも本谷ワールドの虜になるはず。ぜひ、気になる一冊を見つけて、その強烈な読書体験を味わってみてください。