皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
近年、文学界で大きな注目を集めている作家、李琴峰(り ことみ)さん。台湾出身でありながら、母語ではない日本語で創作活動を行う彼女の作品は、多くの読者を魅了し続けています。
李琴峰さんは1989年に台湾で生まれ、2013年に来日。2017年、初めて日本語で執筆した小説『独り舞』で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞し、鮮烈なデビューを果たします。そして2021年、『彼岸花が咲く島』で第165回芥川龍之介賞を受賞し、文学界にその名を確固たるものとしました。
彼女の作品は、言語や国籍、セクシュアリティといったテーマを深く掘り下げ、現代社会が抱える多様なアイデンティティのあり方を問いかけます。これから、そんな李琴峰さんの魅力を人気ランキング形式でご紹介します。きっとあなたの心に響く一冊が見つかるはずです。
ここからは、李琴峰さんの数ある名作の中から、特におすすめの作品をランキング形式で10作ご紹介します。
芥川賞受賞作から、スリリングな近未来SF、そして心揺さぶる人間ドラマまで、多彩なラインナップが揃いました。それぞれの作品が持つ独特の世界観やテーマに触れながら、あなたのお気に入りを見つけてみてください。
堂々の1位は、第165回芥川龍之介賞受賞作である『彼岸花が咲く島』です。台湾出身作家として初の受賞という快挙でも大きな話題となりました。
物語の舞台は、日本語とは少し違う〈ニホン語〉と、女性だけが話すことを許された〈女語(じょご)〉という二つの言語が存在する不思議な島。ある日、記憶を失った少女・宇実(ウミ)が島に流れ着き、島の少女・游娜(ヨナ)に助けられるところから物語は始まります。宇実は島の歴史を継承する指導者〈ノロ〉になることを目指し、島の謎に迫っていきます。
言語、ジェンダー、歴史、そして文化の融合といったテーマが、幻想的な島の風景とともに描かれる本作。ユートピアのようでありながら、どこか不穏な空気が漂う独特の世界観に、あなたもきっと引き込まれるでしょう。李琴峰文学の真骨頂ともいえる一冊です。
架空の言語がすごく不思議な響きだったな。ユートピアに見える島の秘密に、最後までドキドキしっぱなしだったよ!
芥川賞受賞後第一作として発表された『生を祝う』は、衝撃的な設定で「生」の意味を問う近未来SF作品です。
舞台は、胎児が出生前に自らの意思で生まれるか否かを選択できる「合意出生制度」が法制化された50年後の日本。主人公の彩華は、同性パートナーとの間に子どもを授かりますが、胎児の「出生意思確認(コンファーム)」が近づくにつれて、幸福と不安の間で揺れ動きます。
「生まれてきたいですか?」という根源的な問いを突きつける本作。生命倫理や自己決定権といった重いテーマを扱いながらも、リーダブルな筆致で物語に引き込みます。読み終えた後、自分の「生」について深く考えさせられる、強烈な読書体験が待っています。
生まれることを自分で選べる世界って、すごいよね。自分の「生」について、じっくり考えさせられる深い一冊だったよ。
李琴峰さんの鮮烈なデビュー作にして、第60回群像新人文学賞優秀作に輝いたのが『独り舞』です。台湾出身のレズビアンである主人公が、過去の傷を抱えながら日本で生きる姿を描いています。
主人公の迎梅は、性的マイノリティとしての疎外感や癒えない過去のトラウマに苦しみ、常に死への思いを抱えています。台湾から日本へと渡り、名前を変え、異なる言語で生活することで過去を振り切ろうとしますが、孤独と葛藤は深まるばかり。物語は彼女の痛切な内面を深く描き出します。
アイデンティティ、言語、そして「死」というテーマに正面から向き合った本作は、李琴峰さんの創作の原点ともいえる作品です。その魂を削るような筆致は、読む者の心を強く揺さぶります。
主人公の心の叫びが聞こえてくるようで、胸が苦しくなったよ。それでも前を向こうとする強さに、最後は勇気をもらえたんだ。
第71回芸術選奨新人賞を受賞した『ポラリスが降り注ぐ夜』は、新宿二丁目に実在するバーをモデルにした、7つの物語が織りなす連作短編集です。
舞台は、女性オンリーのレズビアンバー「ポラリス」。ここに集う、国籍もセクシュアリティも様々な女性たちの人生が、一夜の出来事を通して交錯します。彼女たちの語りを通して、ジェンダー、人種、国籍、そして歴史といったテーマが繊細かつ力強く描き出されます。
マイノリティの中の、さらにマイノリティ。そんな複雑な力関係や、個人が抱えるパーソナルな物語を丁寧にすくい上げた本作は、多様な愛の形を浮き彫りにします。現代文学の新たな地平を切り開いた傑作との呼び声も高い一冊です。
いろんな女性たちの人生が交差する瞬間がすごくドラマチック!わたしもバーのカウンターで、彼女たちの話に聞き入りたくなっちゃったな。
第161回芥川賞候補作にもなった『五つ数えれば三日月が』は、李琴峰さんの2作目にあたる作品です。
物語は、日台のハーフである女性と、彼女の元に身を寄せる台湾人留学生の女性、二人の関係性を軸に展開します。言葉や文化の違い、そして互いに抱える過去の記憶が、二人の間に微妙な距離感を生み出していきます。
繊細な心理描写と詩的な文章表現が光る本作は、恋愛小説でありながら、アイデンティティや異文化理解といったテーマを深く掘り下げています。二人の女性が織りなす、切なくも美しい物語に浸ってみてはいかがでしょうか。
言葉が通じても、心がすれ違っちゃうことってあるよね。二人の繊細な関係がどうなるのか、最後まで目が離せなかったよ。
『星月夜』は、異国の地・日本で出会った二人の女性の恋模様を描いた作品です。
日本の大学で日本語を教える台湾人の柳凝月(りゅうぎょうげつ)と、彼女の生徒で新疆ウイグル自治区出身の大学院を目指す玉麗吐孜(ユーリートゥーズー)。互いに惹かれ合う二人ですが、家族、政治、セクシュアリティといった様々な壁が彼女たちの前に立ちはだかります。
同じ言葉を話していても、互いが背負うものの重さまでは完全には理解できない。そんなもどかしさや、それでも共に生きようとする切実な願いが、静かな筆致で描かれています。現代を生きる二人の女性の、静かな祈りの物語です。
ただ好きな人と一緒にいたいだけなのに、色々な壁が立ちはだかるんだ…。二人の未来を心から応援したくなる、切ない物語だったな。
『肉を脱ぐ』は、身体からの解放をテーマにした、スリリングな物語です。
売れない新人作家の柳佳夜は、自分の「身体」を持っていることにうんざりし、精神だけの存在になりたいと願っています。SNSでのエゴサーチに明け暮れる彼女は、ある日、自分と同姓同名の人気VTuberを発見。自身になりすまし疑惑がかけられた佳夜は、VTuberの正体を暴こうとしますが、事態は思わぬ方向へ展開していきます。
現実と仮想空間が交錯する中で、「本当の自分」とは何かを問う本作。現代的なテーマを扱いながら、人間の根源的な欲望や承認欲求を鋭く描き出しています。
本作における「身体」からの解放というテーマは、物理的肉体と精神的自己との乖離、そしてデジタル社会におけるアイデンティティの流動性を鋭利に描き出している。その語り口は、現代人の存在論的不安を的確に捉えていると言わざるを得ない。
『言霊の幸う国で』は、芥川賞を受賞した作家自身を思わせる主人公が、様々な困難に立ち向かう姿を描いた大長編です。
本厄の年に芥川賞を受賞した作家・柳千慧(りゅうちさと)を、ストーカー被害や、女性、外国人、同性愛などに対するあらゆる差別や偏見が襲いかかります。彼女は、降りかかる災厄に抗い、生き延びるために「言葉」を紡ぎ続けます。
現代社会が抱える問題を真正面から描き、言葉の力でそれに立ち向かう主人公の姿は、圧巻の一言。差別に抗い、再生しようとする闘争の書であり、読む者に強烈なメッセージを投げかけます。
主人公に次々と災難が降りかかって、読んでるこっちまでハラハラしちゃったよ。言葉を武器に戦う姿が、すごくかっこよかったな。
『向日性植物』は、李琴峰さんが翻訳を手がけた、台湾の作家・李屏瑶(リー・ピンヤオ)さんの小説です。
本作は、1990年代の台湾を舞台に、二人の少女の愛と成長を描いた物語。戒厳令が解除されたばかりの自由とは言えない社会の中で、互いを支えに生きる彼女たちの姿が、瑞々しい筆致で描かれています。
李琴峰さんは、自身の作品だけでなく、翻訳家としても台湾文学の魅力を日本に紹介しています。この作品を通して、台湾の現代文学に触れてみるのもおすすめです。
翻訳された作品を読むと、その国の空気感まで伝わってくる気がするよね。1990年代の台湾の女の子たちの物語、とっても素敵だったよ!
『観音様の環』は、「家族」というテーマに深く切り込んだ傑作中編です。
瀬戸内の島での息苦しい生活から逃れるように東京へ出たマヤ。彼女は二丁目で出会った恋人・ジェシカと結婚し、彼女の故郷である台湾へ渡ります。そこで自身のルーツと向き合うことになり、封印していた過去の記憶が蘇ってくる、というあらすじです。
田舎の閉塞感、家族からの支配、そして自身のルーツ。様々な要素が絡み合いながら、主人公が自らのアイデンティティを見つめ直していく過程が丁寧に描かれています。家とは何か、家族とは何か、そして自由とは何かを問い直す、感動的な物語です。
家族って、温かいだけじゃない時もあるよね…。主人公が自分のルーツと向き合っていく姿に、すごく勇気をもらえたんだ。
李琴峰さんのおすすめ小説ランキングTOP10、いかがでしたでしょうか。どの作品も、言語、アイデンティティ、セクシュアリティといった、現代を生きる私たちが向き合うべき普遍的なテーマを扱っています。
もしあなたが、幻想的な世界観や言語の実験に興味があるなら『彼岸花が咲く島』、近未来SFや生命倫理について考えたいなら『生を祝う』がおすすめです。また、多様な愛の形や人間関係の機微に触れたいなら『ポラリスが降り注ぐ夜』を手に取ってみてください。
このランキングを参考に、ぜひあなたにとって特別な一冊を見つけてください。李琴峰さんの深く豊かな文学の世界が、あなたを待っています。