【2025年最新】著作権切れ小説のおすすめランキングTOP27

時代を超えて愛される著作権切れの名作小説の世界へ

「昔の名作を読んでみたいけど、たくさんありすぎてどれから手をつければいいかわからない…」そう感じたことはありませんか？そんなあなたにおすすめなのが、著作権が切れた小説、いわゆる「パブリックドメイン」の作品です。著作権の保護期間が終わり、誰でも自由に、そして多くの場合無料で楽しめるようになった、人類共通の文化遺産なんです。

日本では、著者の死後70年が経過すると著作権が失効します。これにより、夏目漱石や太宰治といった文豪たちの作品が、ぐっと身近になりました。インターネット上の電子図書館「青空文庫」では、ボランティアの手で電子化された数多くの名作が無料で公開されており、スマホやタブレットで気軽に楽しめます。

この記事では、そんな著作権切れの名作の中から、今なお多くの読者を魅了する日本文学と海外文学の傑作をランキング形式で紹介します。時代を超えて輝く物語の世界へ、一緒に旅立ちましょう。

【日本文学編】著作権切れのおすすめ小説ランキングTOP18

まずは、日本の近代文学を彩った巨匠たちの作品から見ていきましょう。太宰治、夏目漱石、芥川龍之介といった文豪たちの作品は、発表から長い年月が経った今でも、私たちの心に深く訴えかける力を持っています。

ここでは、青空文庫のアクセスランキングなどを参考に、特に人気が高く、初めて近代文学に触れる方にもおすすめの18作品を厳選しました。それぞれの作品が持つ独特の世界観や、登場人物たちの葛藤、そして時代を超えて共感を呼ぶテーマを味わってみてください。

1位: 『人間失格』 太宰治

「恥の多い生涯を送って来ました。」という衝撃的な一文から始まる『人間失格』は、太宰治が自らの命を絶つ直前に発表した、まさに遺作ともいえる作品です。主人公・大庭葉蔵が、幼少期から人間社会にうまく溶け込めず、道化を演じることで周囲との関係を築こうとしながらも、次第に酒や薬に溺れ、破滅へと向かっていく様が描かれています。

葉蔵の抱える疎外感や自己嫌悪、人間への恐怖は、太宰自身の生涯や内面が色濃く反映されているといわれています。そのため、単なる小説としてだけでなく、太宰治という作家の精神的な自伝としても読み解くことができます。現代においても、特に若い世代から絶大な支持を得ており、その普遍的なテーマは国内外で多くの読者の心を捉え続けています。

2位: 『こころ』 夏目漱石

夏目漱石の後期三部作の一つであり、日本で最も売れている文庫本としても知られる不朽の名作です。物語は「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の三部で構成されており、学生である「私」と、謎めいた過去を持つ「先生」との交流を通じて、人間の心の奥深くにあるエゴイズムや孤独が描かれます。

物語の核心は、先生が「私」に宛てた長い遺書によって明かされる、親友Kとお嬢さん（先生の妻）をめぐる三角関係の悲劇です。親友を裏切ってしまった罪の意識に苛まれ、自ら死を選ぶ先生の姿は、近代化の波の中で生きる知識人の苦悩を象徴しています。人間の心の機微や、友情と恋愛の間で揺れ動く様を描いた心理描写は、発表から100年以上経った今でも多くの読者の心を捉えてやみません。

3位: 『羅生門』 芥川龍之介

『今昔物語集』を題材にした芥川龍之介の初期の短編小説です。舞台は天災や飢饉で荒れ果てた平安京。主人から解雇され、生きる術を失った下人が、羅生門の下で雨宿りをしながら「盗人になるか、飢え死にするか」という究極の選択に迫られます。

門の上で死人の髪を抜く老婆と出会った下人は、当初その行為に強い憎悪を抱きます。しかし、「生きるためには仕方がない」という老婆の言葉を聞き、彼の心は大きく揺れ動きます。生きるための悪は許されるのかという重いテーマを突きつけられ、下人が最終的に下す決断は、読者に人間のエゴイズムの本質を鋭く問いかけます。極限状態における人間の心理変化を見事に描いた傑作です。

4位: 『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治

宮沢賢治の代表作であり、作者の死後、未定稿のまま遺された幻想的な童話です。孤独な少年ジョバンニが、星祭りの夜に親友カムパネルラとともに銀河鉄道に乗り、美しい星々を巡る旅をします。その旅の途中で出会うさまざまな人々との交流を通して、ジョバンニは「ほんとうのさいわい（幸福）」とは何かを学んでいきます。

物語の根底には「自己犠牲」というテーマが流れています。友人を助けるために命を落としたカムパネルラの姿や、他者のために自らを燃やすさそりの火のエピソードは、読者に深い感動と問いを投げかけます。美しくも切ない物語は、本当の幸福とは他者のために生きることにある、という賢治の思想を映し出しているのかもしれません。

5位: 『山月記』 中島敦

中島敦のデビュー作であり、中国の唐代の説話「人虎伝」を基にした物語です。若くして役人になるも、詩人として名を成す夢を捨てきれず、挫折を経験する秀才・李徴。彼は、その高すぎるプライド、すなわち「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」によって心を病み、ついには虎へと変身してしまいます。

物語は、虎となった李徴が旧友の袁傪と再会し、なぜ自分が虎になったのかを語る形で進みます。才能への執着と、傷つくことを恐れるあまり他者との関わりを絶ってしまう人間の弱さが、李徴の悲劇的な運命を通して描かれています。現代社会に生きる私たちにとっても、共感できる部分が多い作品ではないでしょうか。

6位: 『舞姫』 森鴎外

森鴎外の初期の代表作で、自身のドイツ留学経験が基になっているとされる短編小説です。主人公は、エリート官僚として将来を嘱望されドイツに留学した太田豊太郎。彼はそこで貧しい踊り子のエリスと出会い、恋に落ちます。

しかし、二人の関係は周囲に知られ、豊太郎は官職を失ってしまいます。愛と立身出世の間で揺れ動く豊太郎の葛藤は、西洋の自由な価値観と日本の伝統的な社会制度の狭間で苦悩する明治時代の知識人の姿を映し出しています。最終的に彼が下す決断は、悲しい結末を迎え、読者に深い余韻を残します。

7位: 『ドグラ・マグラ』 夢野久作

「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」と評される、夢野久作の代表作にして日本探偵小説三大奇書の一つです。物語は、九州大学の精神病棟の一室で目覚めた記憶喪失の青年の一人称で語られます。彼は自分が誰なのか、なぜここにいるのかも分かりません。二人の博士から過去に起きた不可解な事件との関わりを示唆され、謎めいた論文や記録を読まされるうちに、読者もまた現実と幻想の入り混じる迷宮へと誘われます。

胎児の夢、心理遺伝といった独創的な理論が展開され、物語は複雑怪奇な様相を呈します。探偵小説の体裁をとりながらも、その枠を大きく逸脱した内容はアンチミステリーとも呼ばれます。構想から10年以上を費して完成されたこの作品は、その難解さと幻惑的な魅力で、今なお多くの読者を惹きつけてやみません。

8位: 『檸檬』 梶井基次郎

梶井基次郎の代表作として知られる短編小説です。物語は、「えたいの知れない不吉な塊」によって心に重苦しい憂鬱を抱えた主人公「私」が、京都の街をさまよう場面から始まります。肺の病や借金といった現実の問題を抱えながらも、彼はそれらが憂鬱の直接の原因ではないと感じています。

ある日、果物屋で偶然見つけた一個の檸檬。その鮮やかな色彩、心地よい冷たさ、そして香りが、彼の心を一時的に軽くします。幸福感に満たされた彼は、かつて好きだった書店「丸善」に入り、画集を積み上げた上にその檸檬をそっと置きます。檸檬を黄金色の爆弾に見立て、憂鬱の象徴である丸善を爆破するという空想に満足し、彼は店をあとにするのでした。詩的で感覚的な文章で綴られる、ある青年の心の機微を描いた作品です。