【2025年最新】倒叙ミステリーのおすすめランキングTOP14

【2025年最新】倒叙ミステリーのおすすめ人気ランキングTOP14

「犯人は誰だ？」と推理する一般的なミステリーとは一味違い、最初に犯人が明かされるのが「倒叙（とうじょ）ミステリー」です。物語の冒頭で犯行の様子が描かれ、読者は犯人の視点から物語を追体験することになります。

「犯人がわかっているのに面白いの？」と思うかもしれませんが、そこが倒叙ミステリーの醍醐味。探偵がどのようにして犯人を追い詰めていくのか、そのロジックや心理戦にハラハラドキドキさせられます。まるで、答えを知っているテストを解くような、それでいて全く新しいスリルが味わえるのです。今回は、そんな倒叙ミステリーの傑作をランキング形式でご紹介します。

1位: 『invert 城塚翡翠 倒叙集』 相沢沙呼

衝撃的な結末でミステリー界を席巻した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の待望の続編が、堂々のランキング1位です。前作とは打って変わり、本作は全編が倒叙形式で構成されています。読者は犯人側の視点から、完璧なはずだった犯罪計画が、探偵・城塚翡翠によって鮮やかに覆されていく様を目撃することになります。

ITエンジニアや小学校教師など、様々な犯人たちが企てた完全犯罪に、城塚翡翠がどう立ち向かうのか。論理の力で犯人を追い詰めていく彼女の姿は圧巻の一言です。「このミステリーがすごい！」や「本格ミステリ・ベスト10」で1位を獲得するなど、その面白さは折り紙付き。前作を読んだ方はもちろん、本作からでも楽しめる倒叙ミステリーの傑作です。

2位: 『容疑者Xの献身』 東野圭吾

天才物理学者・湯川学が事件の謎に挑む「ガリレオシリーズ」の3作目にして、直木賞を受賞した不朽の名作です。物語は、元夫を殺害してしまった女性を救うため、隣人である天才数学者・石神が完全犯罪を計画するところから始まります。

倒叙ミステリーの形式を取りながらも、物語の最後には読者の予想を遥かに超える衝撃の真実が待ち受けています。単なる謎解きに留まらない、登場人物たちの深い愛情と切ない結末が多くの読者の心を打ちました。ミステリーファンならずとも、一度は読んでおきたい傑作と言えるでしょう。

3位: 『福家警部補の挨拶』 大倉崇裕

日本の『刑事コロンボ』とも評される、倒叙ミステリーのお手本のような作品です。主人公は、小柄で風采のあがらない女性刑事・福家警部補。彼女は鋭い観察眼と粘り強い捜査で、犯人たちの完璧な計画をじわじわと崩していきます。物語は犯人側の視点から犯行が描かれ、その後、福家警部補がいかにして真相にたどり着くかを描く形式で進みます。

犯人と福家警部補の間の、緊張感あふれる心理的な駆け引きが本作の大きな魅力です。どこか憎めない犯人たちが、彼女によって追い詰められていく様子は、まさに倒叙ミステリーの醍醐味と言えるでしょう。シリーズ作品ですが、1話完結の短編集なので、どの巻からでも楽しめます。

4位: 『クロイドン発12時30分』 F・W・クロフツ

古典的名作がランクイン。裕福な叔父の殺害を計画し、完璧なアリバイ工作で実行に移した甥のチャールズ。彼の完全犯罪が、フレンチ警部の地道な捜査によって少しずつ綻びを見せていきます。

この作品の魅力は、なんといってもそのリアリティあふれる捜査の描写です。派手なトリックやアクションはありませんが、証拠を一つ一つ積み重ねて犯人を追い詰めていく過程は、まさに本格ミステリーの王道。犯人であるチャールズの焦りや、フレンチ警部の冷静な推理が対照的に描かれ、読者は息をのんでその攻防を見守ることになります。

5位: 『青の炎』 貴志祐介

家族を守るため、17歳の高校生・秀一が完全犯罪に挑む、切なくも衝撃的な物語です。母の再婚相手である男から家庭の平和を脅かされた秀一は、法律や警察に頼らず、自らの手で彼を殺害することを決意します。物語は主人公・秀一の視点で進み、彼の孤独な戦いと苦悩が痛々しいほどに伝わってきます。

倒叙ミステリーでありながら、思春期の少年の揺れ動く心情を描いた青春小説の側面も持っています。彼の計画は成功するのか、そして彼を待ち受ける運命とは。二宮和也さん主演で映画化もされた本作は、読者の心に深く突き刺さる、忘れられない一冊となるでしょう。

6位: 『探偵が早すぎる』 井上真偽

「事件が起こる前に解決する」という、前代未聞の探偵が活躍するミステリーです。莫大な遺産を相続したことで一族から命を狙われる女子高生・一華。彼女を守るために雇われた探偵・千曲川は、犯人が仕掛けたトリックを事件発生前に見破り、犯人を特定してしまいます。広瀬アリスさんと滝藤賢一さん主演でドラマ化もされ、そのコミカルな掛け合いが話題となりました。

犯人（未遂）の視点から描かれる犯行計画が、なぜ事前に露見してしまったのか？その謎を解き明かす過程が非常にユニークで、従来の倒叙ミステリーとは一線を画す面白さがあります。テンポの良い展開とキャラクターの魅力が光る、新感覚のミステリーです。

7位: 『扉は閉ざされたまま』 石持浅海

大学の同窓会で集まった館で、一人の男が後輩を事故に見せかけて殺害し、完璧な密室を作り上げます。この作品のユニークな点は、事件が起きたかどうかさえ分からない状況で、扉の外にいる登場人物たちが推理を繰り広げることです。呼びかけに応じない部屋の主を心配する仲間たちの中で、ただ一人、碓氷優佳だけがその状況に疑問を抱きます。

開かない扉を前に、犯人と探偵役の息詰まる頭脳戦が展開されます。密室の中で何が起きたのか、そして犯人は誰なのか。登場人物たちの会話とロジックだけで真相に迫っていく構成は非常にスリリング。ミステリーの常識を覆すような展開が光る、意欲作です。

8位: 『皇帝と拳銃と』 倉知淳

ユーモアと本格ミステリーが融合した「猫丸先輩シリーズ」の一作。本作は倒叙形式で描かれており、ある人物の殺害を企てる犯人の視点から物語が始まります。周到な計画を立て、実行に移す犯人。しかし、その計画には思わぬ綻びが生じていきます。

猫丸先輩をはじめとする個性的なキャラクターたちが、どのようにして犯人の計画を見破っていくのか。軽妙な語り口の中に、しっかりとしたロジックが組み込まれており、ミステリーとしての読み応えは十分です。犯人の焦りと探偵役の飄々とした態度の対比が面白く、最後まで楽しく読み進めることができます。

9位: 『そしてミランダを殺す』 ピーター・スワンソン

空港で偶然出会った男女が、互いのパートナーを交換殺害する計画を立てるという、スリリングな心理サスペンスです。物語は、妻の浮気に悩むテッドと、謎めいた女性リリーの視点が交互に描かれ、読者を巧みに物語の世界へと引き込んでいきます。「彼女は殺されて当然よ」というリリーの言葉から、二人の危険な計画が動き出します。

倒叙ミステリーの枠組みを使いながらも、物語は二転三転し、予測不能な展開を見せます。登場人物たちの繊細な心理描写が巧みで、誰が本当のことを言っているのか、最後まで目が離せません。ラストの一行まで仕掛けが施されており、読み終えた後に深い余韻が残る一作です。

10位: 『さよなら神様』 麻耶雄嵩

「犯人は〇〇だよ」。クラスメイトで自称「神様」の鈴木太郎は、事件が起こるといつも犯人を教えてくれます。彼の言葉は絶対。しかし、動機やトリックまでは教えてくれないため、主人公たちは自分たちで事件の真相を解き明かさなければなりません。本作は、そんな特殊な設定で描かれる連作短編ミステリーです。

最初に犯人が提示されるという点で倒叙ミステリーの形式をとっていますが、その味わいは独特。なぜその人物が犯人なのかを推理していく過程は、フーダニット（誰が犯人か）ならぬ「ホワイダニット（なぜ犯行に及んだか）」の面白さに満ちています。神様の残酷なご託宣に翻弄されながらも、真相に迫ろうとする少年探偵団の姿から目が離せません。

11位: 『倒叙の四季 破られた完全犯罪』 深水黎一郎

春夏秋冬、それぞれの季節を舞台にした4つの倒叙ミステリーが収められた短編集です。各話の犯人たちは、練りに練った計画で完全犯罪を実行に移します。しかし、彼らの前には必ず風変わりな探偵たちが現れ、その完璧な計画を打ち破っていきます。

本作の魅力は、多彩なシチュエーションと個性的な探偵たち。物語ごとに異なる雰囲気と謎解きが楽しめ、読者を飽きさせません。犯人たちの動機も様々で、人間ドラマとしても読み応えがあります。倒叙ミステリーの王道をいきながらも、一捻り加えられたプロットが光る、ミステリーファンにおすすめの一冊です。

12位: 『氷の華』 天野節子

夫の不倫相手を殺害した専業主婦・恭子。彼女の視点と、事件を追うベテラン刑事・戸田の視点という二つの側面から物語は進んでいきます。しかし、殺害した女が本当に夫の愛人だったのか、恭子は次第に疑念を抱き始めます。自分は誰かにはめられたのではないか――彼女は自ら殺めた女の正体を探り始めます。

殺人者でありながら、真相を追う探偵の役割も担うという複雑な主人公の立場が、物語に深い奥行きを与えています。警察とのスリリングな攻防と、事件の裏に隠された真実の追求が同時に描かれ、読者は最後まで緊張感を持って読み進めることになります。米倉涼子さん主演でドラマ化もされた話題作です。

13位: 『崩れた偽装』 鮎川哲也

「アリバイ崩しの名人」として知られる鮎川哲也による、倒叙ミステリーの傑作短編集です。この作品集では、老若男女さまざまな主人公たちが、殺人のための「偽装工作」を企てます。しかし、どんなに完璧に見える計画も、思わぬところから崩れていくのです。

犯人たちが練り上げたアリバイ工作が、探偵役によって鮮やかに崩されていく過程が本作の最大の魅力。人間心理を鋭く描いたストーリーは、単なる謎解きに留まらない深みがあります。短編集なので、隙間時間に少しずつ読み進められるのも嬉しいポイント。本格ミステリーの醍醐味を存分に味わえる一冊です。

14位: 『キングを探せ』 法月綸太郎

動機から足がつかないようにするため、4人の男たちがターゲットを交換して殺人を実行する「四重交換殺人」を企てます。物語は主に犯人グループの視点で進行し、彼らの計画が探偵・法月綸太郎によってどのように暴かれていくのかが描かれます。2013年の「本格ミステリ・ベスト10」で第1位を獲得した実力派の作品です。

交換殺人という複雑な状況設定に加え、計画の途中でメンバーが事故死するなど、予測不能なアクシデントが物語をさらに面白くしています。犯人たちの計画の綻びを、綸太郎がロジカルに突き詰めていく様は見事。倒叙形式でありながら、フーダニットの要素も楽しめる、読み応えのある一冊です。

倒叙ミステリーのおすすめ作品を楽しもう

ここまで、おすすめの倒叙ミステリーをランキング形式でご紹介しました。犯人がわかっているからこそ、探偵と犯人の知恵比べや心理戦にどっぷりと浸れるのが、このジャンルの大きな魅力です。犯人の焦りや動揺を感じながら、トリックが暴かれる瞬間のカタルシスをぜひ味わってみてください。

今回ご紹介した作品は、古典的な名作から新感覚の意欲作まで様々です。気になる一冊を手に取って、あなたも倒叙ミステリーの奥深い世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。