皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
佐藤究(さとう きわむ)さんは、1977年生まれ、福岡県福岡市出身の小説家です。その作品は、緻密なリサーチに裏打ちされた壮大なスケールと、苛烈な暴力描写が特徴で、多くの読者を魅了しています。神話や歴史、科学といった様々な要素を織り交ぜ、人間の根源的なテーマに迫る唯一無二の世界観を構築しています。
2004年に佐藤憲胤(さとう のりかず)名義の『サージウスの死神』で第47回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。その後、2016年に『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞し、佐藤究として再デビューを果たしました。その後も快進撃は続き、『Ank: a mirroring ape』で大藪春彦賞と吉川英治文学新人賞、そして2021年には『テスカトリポカ』で山本周五郎賞と直木三十五賞をダブル受賞するという快挙を成し遂げました。今、最も注目される作家の一人であることは間違いありません。
一度読んだら忘れられない、強烈な読書体験をもたらしてくれる佐藤究さんの作品。その中でも特に評価が高く、入門編としてもおすすめの6作品をランキング形式でご紹介します。
デビュー作から直木賞受賞作まで、それぞれが全く異なるテーマと魅力を放っています。ぜひこのランキングを参考にして、佐藤究さんの脳が揺さぶられるような物語の世界に足を踏み入れてみてください。
堂々の1位は、第165回直木賞と第34回山本周五郎賞をダブル受賞した『テスカトリポカ』です。メキシコの麻薬戦争と古代アステカ神話が交錯する、壮大なクライムノベルとして高く評価されています。
物語は、メキシコの麻薬カルテルを追われた男バルミロが、日本で臓器売買ビジネスを立ち上げようとするところから始まります。彼はアステカの神「テスカトリポカ」を信仰し、臓器売買を「生贄の儀式」と捉える冷酷な人物です。一方、川崎で生まれ育った少年コシモは、ある事件をきっかけにバルミロと出会い、彼の犯罪に巻き込まれていきます。麻薬、暴力、臓器密売といった現代社会の闇を背景に、人間の生と死、信仰とは何かを問いかける重厚な一作です。
本作における無機質なまでのシンプルな語り口からは作者の覚悟をひしひしと感じざるを得ない。
第62回江戸川乱歩賞を受賞した、佐藤究さんの再デビュー作が『QJKJQ』です。「家族全員が殺人鬼」という衝撃的な設定で、選考委員に「平成のドグラ・マグラ」と言わしめた問題作です。
主人公は、猟奇殺人鬼の一家で育った17歳の女子高生・市野亜李亜(いちのありあ)。彼女自身もナイフでの殺人を好む殺人鬼です。しかしある日、兄が自宅で惨殺されているのを発見したことから、一家の日常が崩壊し始めます。虚構と現実が入り混じる中で、亜李亜は想像を絶する真実へとたどり着きます。グロテスクな描写も多いですが、その奥にある緻密な物語構成とテーマ性が多くの読者を惹きつけています。
殺人一家という設定の倫理観の揺さぶり方が尋常ではない。読者の固定観念への挑戦状とも言えるだろう。
第20回大藪春彦賞、第39回吉川英治文学新人賞を受賞した『Ank: a mirroring ape』は、人類の進化の謎に迫る壮大なSFサスペンスです。
物語の舞台は2026年の京都。研究所から逃げ出した一匹のチンパンジー「アンク」が、人々が互いに殺し合うという謎の大暴動を引き起こします。霊長類研究者の鈴木望は、殺戮の地と化した京都でアンクを追いながら、暴動の原因と人類に隠された秘密に迫っていきます。霊長類学やゲノム、鏡像認識といった科学的な知見がふんだんに盛り込まれ、知的好奇心を激しく揺さぶられる作品です。
チンパンジーが暴動のきっかけになるなんて、発想がすごいよね。人類とは何かを考えさせられる一冊だよ!
直木賞受賞後第一作として発表された『幽玄F』は、戦闘機にとりつかれた男の数奇な運命を描く物語です。作家・三島由紀夫をモチーフの一つとしており、その緊迫感あふれる戦闘機の描写と、主人公の精神世界を探求するような思索的な内容が特徴です。
幼い頃から空に魅せられ、航空自衛隊の天才パイロットとなった主人公・透。しかし、訓練中に謎の幻覚に襲われたことで戦闘機に乗れなくなり、自衛隊を去ります。その後、東南アジアのジャングルで亡命に失敗した最新鋭戦闘機F35-Bを発見したことから、彼の運命が再び大きく動き出します。機械の官能的な描写と、人間の生と死を巡る哲学的な問いが融合した、新たな境地を感じさせる作品です。
戦闘機の描写がすごくリアルでカッコいいんだ。空のロマンと、ちょっと哲学的な雰囲気が混ざってるのがいいよね。
『トライロバレット』は、アメリカの銃社会やスクールカーストといった現代的な問題を背景にした青春ノワールです。これまでの作品とは少し趣が異なり、エンターテイメント性の高い作品となっています。
主人公は、三葉虫を愛する物静かな高校生バーナム。学校では人気者グループから執拗ないじめを受けています。一方、戦争のトラウマに苦しむ退役軍人のフランクは、精神的に追い詰められていました。それぞれの物語が並行して進み、やがて一つの銃乱射事件へと収束していきます。重いテーマを扱いながらも、疾走感のある文章で読者を引き込む、佐藤究さんの新たな魅力が詰まった一冊です。
アメリカの高校が舞台なんて、ちょっと意外な感じ!でも、いじめとか銃とか、テーマはやっぱりヘヴィで読み応えありそうだよ。
ランキングの最後を飾るのは、2004年に佐藤憲胤名義で発表されたデビュー作『サージウスの死神』です。第47回群像新人文学賞の優秀作に選ばれた作品で、後の佐藤究作品の原点ともいえるでしょう。
物語は、デザイン会社に勤務する主人公が、目の前で起きた投身自殺を目撃するところから始まります。その出来事をきっかけに不思議な力を得た彼は、地下カジノのギャンブルにのめり込み、破滅へと向かっていきます。「生命」と「カネ」をテーマに、人間の欲望や狂気を描いた哲学的で純文学の香りが強い一作です。近年のエンターテイメント作品とは異なる、初期の佐藤究さんの荒々しい魅力を感じることができます。
デビュー作って、作家さんの原石みたいな感じがしてドキドキするよね。ここからあのすごい物語たちが生まれたんだ…。
佐藤究さんのおすすめ小説ランキングTOP6、いかがでしたでしょうか。国際的な犯罪を描く壮大なノワールから、SF、歴史ミステリーまで、そのジャンルは多岐にわたりますが、全ての作品に共通しているのは、人間の本質をえぐり出すような強烈な物語であることです。
どの作品も一筋縄ではいかないテーマと衝撃的な展開で、あなたの脳を激しく揺さぶるはずです。このランキングをきっかけに、ぜひ佐藤究さんのディープな世界に飛び込んで、唯一無二の読書体験を味わってみてください。