皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
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皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
円城塔(えんじょう とう)は、SFというジャンルに収まらない唯一無二の世界観を構築する作家です。東京大学大学院で物理学の博士号を取得した異色の経歴を持ち、その理系的な知識や思考が作品の随所に散りばめられています。
円城塔作品の最大の魅力は、言語や数学、科学的な概念を用いた実験的な作風にあります。一見すると難解に感じるかもしれませんが、その文章の奥には知的なユーモアと、物語の根源を問うような深いテーマが隠されています。読めば読むほど深みにはまる、そんな未知の読書体験があなたを待っています。この記事では、円城塔の迷宮的で魅力的な世界への入り口として、おすすめの小説をランキング形式でご紹介します。
ここからは、円城塔のおすすめ小説をランキング形式でご紹介します。デビュー作から芥川賞受賞作、そして故・伊藤計劃との共作まで、多彩なラインナップでお届けします。難解とされる作品も多いですが、この記事をガイドに、ぜひあなたのお気に入りの一冊を見つけてみてください。
ランキング1位は、2009年に34歳の若さで亡くなった天才SF作家・伊藤計劃の遺稿を、盟友である円城塔が引き継いで完成させた長編小説『屍者の帝国』です。この特別な背景だけでも、多くの読者の心を惹きつけてやみません。
物語の舞台は、死体の蘇生技術が発達し、「屍者」が労働力として世界を支える19世紀末。主人公である医学生のジョン・ワトソンは、政府の諜報機関から密命を受け、魂を持つ最初の屍者「ザ・ワン」を生み出したとされるヴィクター・フランケンシュタインの手記を追い、世界中を冒険します。歴史改変SF、スチームパンク、冒険活劇の要素が見事に融合した壮大な世界観が魅力です。第33回日本SF大賞特別賞や第44回星雲賞を受賞し、2015年には劇場アニメ化もされました。
伊藤計劃さんの想いを引き継いだこの作品は、二人の才能が融合した奇跡の一冊だよ。壮大な冒険にワクワクが止まらない!
第146回芥川龍之介賞を受賞した、円城塔の代表作の一つです。受賞当時、その難解さから選考委員の間で評価が大きく分かれたことでも話題になりました。本作は、物語が物語自身について語る「自己言及的」な構造を持つ、非常に実験的な作品です。
「蝶の姿でひらひらと飛ぶ着想を銀糸でできた捕虫網で捕まえること」を仕事にする男と、「腕が三本ある人への打ち明け話」という本を読もうとする “わたし” の会話から物語は始まります。読者の理解を軽やかにすり抜けていくような、まさに蝶のような小説ですが、その先に何かがあると感じさせる不思議な魅力に満ちています。円城塔の真髄に触れたいと考える読者にとって、挑戦する価値のある一冊といえるでしょう。
わたしも最初は戸惑ったけど、この不思議な感覚がクセになるんだ。言葉の迷路に迷い込むのを楽しんでみてほしいな。
2007年に刊行された円城塔のデビュー作でありながら、その完成度の高さで多くのSFファンを驚かせた作品です。英訳版がフィリップ・K・ディック賞の特別賞を受賞するなど、海外でも高く評価されています。
巨大な知性体によって時空がばらばらになってしまった世界を舞台に、20の断章が連作短編集のようにつながっていきます。「祖母の家を解体したら床下から大量のフロイトが出てきた」といった奇想天外なエピソードが、壮大な宇宙の謎へと繋がっていく様は圧巻です。SF、文学、あるいは全く新しい何か、と評される本作は、円城塔という作家の原点を知る上で欠かせない一冊です。
デビュー作でこの世界観はすごすぎるよ…。一つ一つの話がパズルみたいで、読み終わった後に全体像が見えてくるのが面白いんだ。
「文字」そのものをテーマに据え、その成り立ちや意味、そして不思議さを掘り下げた12の連作短編集です。本作で第43回川端康成文学賞と第39回日本SF大賞を受賞するなど、文学的に非常に高い評価を受けています。
物語は、文字が通貨として使われる世界や、人の名前を食べる男、文字の組み合わせによって世界が生成される様子など、奇想天外な設定で展開されます。円城塔の持ち味であるユーモアの効いた文体で、普段何気なく使っている「文字」という存在が、いかに面白く、そして謎に満ちたものであるかを教えてくれます。知的好奇心をくすぐられる、まさに円城塔ならではの一冊です。
文字についてこんなに考えさせられるなんて思わなかったな。読んだ後、いつもの景色が少し違って見えるかもしれないよ。
表題作「これはペンです」を含む、4つの作品が収められた初期の短編集です。芥川賞の候補にもなった表題作は、「これはペンです」という文章を巡って、世界が奇妙に変容していく様を描いています。
この作品集は、円城塔の実験的な作風とユーモアのバランスが絶妙で、初心者にも比較的読みやすい一冊としておすすめです。物語を書くこと、言葉で世界を定義することの面白さと危うさを、独特の切り口で描き出しています。円城塔の思考の断片に触れることができる、入門編に最適な作品集といえるでしょう。
「これはペンです」って、当たり前のことなのにどんどん不思議な気持ちになってくるんだ。言葉の力ってすごいなあって思うよ。
第104回文學界新人賞を受賞した、円城塔の原点ともいえる作品です。野球のルールブックを思わせる独特の形式で、不思議な野球の試合が淡々と語られていきます。
SF的な設定でありながら、非常に読みやすい文体で書かれているのが特徴です。円城塔作品の持つユーモアやナンセンスな魅力が凝縮されており、難解なイメージを持っている人にこそ読んでほしい一冊です。野球を知らなくても楽しめる、奇妙で面白い読書体験が待っています。
野球の話なのに、全然野球じゃないみたいで面白いんだ!ルールブックを読んでるみたいなのに、ちゃんと物語になってるのが不思議だよ。
一見すると恋愛小説のようでありながら、その実態は円城塔らしい実験精神に満ちた短編集です。物語の登場人物である「後藤さん」をめぐる、様々な語り口や形式の物語が収められています。
注釈やレイアウトを駆使した仕掛けが施されており、読者は物語を読むと同時に、その構造自体を意識させられます。円城塔の「小説で何ができるか」という探求心が存分に発揮された作品であり、彼の思考回路は他の人類とは違うのではないかとさえ思わせる一冊です。
「後藤さん」って一体誰なんだろうって、どんどん引き込まれちゃう。普通の恋愛小説じゃないところが、さすが円城塔さんだよね。
表題作を含む複数の短編が収録されており、それぞれが緩やかに関連しあう構成になっています。数学や物理学の概念が物語の核となっており、円城塔の理系作家としての側面が色濃く出た作品集です。
人の視覚に錯覚を起こさせる数学的構造物「レフラー球」や、男女が逆転した夢の世界など、独創的なアイデアが満載です。『Self-Reference ENGINE』を超える難解さともいわれますが、その分、理解できたときの知的な興奮は格別です。数理的で美しい円城塔の世界にどっぷりと浸りたい読者におすすめです。
ちょっと難しいけど、数学のパズルを解いてるみたいで面白いんだ。理系好きな人は特に楽しめるんじゃないかな。
全10篇の作品が収められた短編集で、円城塔作品の入門書としてしばしば推薦される一冊です。比較的読みやすい作品から、非常に難解な作品までバリエーションに富んでおり、円城塔の多彩な作風に触れることができます。
表題作は、宇宙を旅する無人探査機の日常をユーモラスに描いた心温まる物語です。一方で、理解することが困難な実験的な作品も含まれており、その振り幅の広さが魅力です。まずはこの短編集から、円城塔の世界を覗いてみるのはいかがでしょうか。
いろんなタイプの話が入ってるから、お試しにぴったりだよ。わたしは探査機の話が可愛くて好きだな。
第32回野間文芸新人賞を受賞した作品です。「烏有(うゆう)」とは、そもそも存在しないことを意味する言葉。そのタイトルの通り、この作品は存在しない書物や偽の歴史をめぐる物語が、複雑に絡み合いながら展開していきます。
円城塔の博識ぶりと、物語を構築する卓越した手腕が光る一冊です。読者は虚実入り混じる迷宮のような物語世界を彷徨うことになります。知的なスリルを味わいたい読者におすすめの、挑戦しがいのある作品です。
存在しない本の話なのに、本当にあるみたいに思えてくるから不思議。どこまでが本当でどこからが嘘なのか、考えながら読むのが楽しいよ。
久々の刊行となったSF短編集で、表題作を含む5つの物語が収録されています。宇宙を舞台にした壮大なスケールのSF作品が中心となっており、円城塔のSF作家としての本領が発揮されています。
表題作「シャッフル航法」は、ワープ技術が確立されたものの、到着地がランダムにシャッフルされてしまうというユニークな設定。ほかにも、巨大な亀の甲羅の上で文明が栄える話など、奇想天外なアイデアに満ちています。エンターテインメント性の高いSF作品を読みたい方にぴったりの一冊です。
宇宙の話はやっぱりスケールが大きくてワクワクするね!どこに着くかわからないワープなんて、スリル満点だよ。
SF専門誌『SFマガジン』で連載された『エピローグ』と対をなす作品として、文芸誌『文學界』で同時期に連載されました。こちらは円城塔自身の日常を綴った「私小説」の形式をとっています。
しかし、そこは円城塔。単なる日記ではなく、語り手と登場人物が名前や世界の設定について話し合うなど、メタ的な視点が盛り込まれています。物語がどのように始まっていくのか、その過程自体を小説にしたような、知的な企みに満ちた作品です。『エピローグ』と合わせて読むことで、より深く楽しむことができます。
作家さんの頭の中を覗いているみたいな不思議な感覚だよ。『エピローグ』と一緒に読むと、面白さが倍増するからおすすめ!
『プロローグ』と対になる長編小説で、こちらは本格的なSF作品です。人類の知性を超えた存在「オーバー・チューリング・クリーチャ(OTC)」によって宇宙の解像度が書き換えられてしまった世界を舞台に、壮大な物語が繰り広げられます。
「存在そのものをサービスとして提供する企業」など、常人では思いもつかないような独創的な概念が次々と登場します。物語の終わり(エピローグ)から始まるという構成もユニークで、円城塔の実験精神が存分に発揮されています。難解ながらも、その圧倒的な想像力に脳が揺さぶられる快感を味わえる一冊です。
世界観が壮大すぎて、ついていくのが大変!でも、この想像力は本当にすごいなって圧倒されちゃうんだ。
第76回読売文学賞を受賞した、比較的新しい作品です。AI(人工知能)と仏教という、異色の組み合わせをテーマにした本作は、機械が悟りを開く可能性をめぐる思弁的な物語です。
未来の日本を舞台に、AI研究者や僧侶たちが「機械仏教」の可能性を探求していきます。円城塔ならではの科学的知見と、仏教哲学が融合した世界観は、非常にユニークで知的好奇心を刺激します。これからのテクノロジーと人間の精神のあり方を考えさせられる、深遠なテーマを持つ一冊です。
AIが仏教を学ぶなんて、考えたこともなかったな。未来について色々と考えさせられる、深くて面白い作品だよ。
「円城塔の小説は難解そうで、どれから手をつければいいかわからない…」と感じる方も多いのではないでしょうか。確かに実験的な作品も多いですが、選び方次第で誰でもその魅力的な世界を楽しむことができます。ここでは、初心者向けの選び方のポイントを3つご紹介します。
初めて円城塔作品に触れるなら、まずは短編集から読んでみるのがおすすめです。長編作品は複雑な構造を持つものが多いですが、短編集なら一話完結で読みやすく、気軽に円城塔の世界観に触れることができます。
特に『これはペンです』や『バナナ剥きには最適の日々』は、比較的読みやすい作品から難解な作品までバランス良く収録されており、入門編として最適です。多彩なスタイルの作品を読むことで、自分がどのタイプの円城塔作品が好きなのかを知るきっかけにもなるでしょう。
どの作品を読むか迷ったら、文学賞の受賞歴を参考にするのも良い方法です。受賞作は多くの人に評価された作品であり、読み応えがあることは間違いありません。
例えば、芥川賞を受賞した『道化師の蝶』は、円城塔の代表作の一つです。また、デビュー作でありながら海外でも評価の高い『Self-Reference ENGINE』は、彼の作風の原点を知ることができます。こうした評価の定まった作品から読み始めることで、円城塔という作家の真髄に触れることができるでしょう。
作品名 | 主な受賞歴 |
---|---|
『道化師の蝶』 | 第146回 芥川龍之介賞 |
『屍者の帝国』 | 第33回 日本SF大賞 特別賞 |
『文字渦』 | 第43回 川端康成文学賞 / 第39回 日本SF大賞 |
『烏有此譚』 | 第32回 野間文芸新人賞 |
『オブ・ザ・ベースボール』 | 第104回 文學界新人賞 |
活字だけで世界観を掴むのが難しいと感じる方は、映像化された作品から入るのも一つの手です。円城塔の作品では、故・伊藤計劃との共作である『屍者の帝国』が劇場アニメ化されています。
2015年に公開されたこのアニメは、WIT STUDIOが制作を手掛け、壮大な物語世界を見事に映像化しています。まずは映像で物語のあらすじや雰囲気を理解してから小説を読むと、より深く内容を楽しむことができるでしょう。小説版とは一部展開が異なる部分もあるため、その違いを比較してみるのも面白いかもしれません。
ここまで、円城塔のおすすめ小説をランキング形式でご紹介してきましたが、いかがでしたか。物理学の知識に裏打ちされた緻密な論理と、どこまでも自由な想像力が融合した彼の作品は、他に類を見ない読書体験をもたらしてくれます。
難解というイメージに臆せず、まずは短編集や受賞作など、興味を持った一冊から手に取ってみてください。きっと、あなたを知的で刺激的な迷宮の世界へと誘ってくれるはずです。この記事が、唯一無二の作家・円城塔の作品を楽しむきっかけになれば幸いです。