皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
黒岩重吾(くろいわ じゅうご)は、1924年大阪府生まれの小説家です。同志社大学在学中に学徒出陣を経験し、復学・卒業後は証券会社など様々な職業を経て作家の道を歩み始めました。2003年に79歳で亡くなるまで、数多くの作品を世に送り出しています。
彼の作品は、初期の社会派推理小説や風俗小説から、後年の古代史をテーマにした歴史小説まで、非常に幅広いジャンルにわたります。社会の暗部や人間の欲望を鋭く描く社会派作品で注目された後、日本の古代史に独自の光を当てた壮大な歴史ロマンで新たな境地を切り開きました。まさに、社会派から古代史までを描き切った巨匠と呼ぶにふさわしい作家と言えるでしょう。
黒岩重吾の小説の魅力は、まずその徹底した取材に裏打ちされた重厚なリアリティにあります。社会派小説では、現代社会が抱える矛盾や人間の業を深くえぐり出し、読者に強烈な問いを投げかけます。一方、古代史小説では、史実の謎に独自の解釈を加え、歴史上の人物たちを生き生きとした人間として描き出しています。
また、権力に屈しないアウトロー的な主人公像も大きな魅力の一つです。逆境の中で野心を燃やし、したたかに生き抜く登場人物たちの姿は、多くの読者の心を掴みました。エンターテインメントとしての面白さと、文学的な深みを両立させたその作風は、今なお色褪せることはありません。
黒岩重吾は、その輝かしいキャリアの中で数々の文学賞を受賞しています。特に有名なのが、社会派推理小説作家としての地位を確立した『背徳のメス』による直木賞受賞と、歴史小説家としての評価を不動のものにした『天の川の太陽』による吉川英治文学賞受賞です。これらの受賞は、彼の多岐にわたる才能を象徴しています。
主な受賞歴は以下の通りです。
ここからは、社会派ミステリーから壮大な古代史ロマンまで、黒岩重吾の多彩な作品群の中から、特におすすめの小説をランキング形式で20作品ご紹介します。あなたのお気に入りの一冊がきっと見つかるはずです。
黒岩重吾の名を世に知らしめた、記念すべき第44回直木賞受賞作です。物語の舞台は、宗教団体の資金で運営される大阪の病院。野心家の産婦人科医・植を主人公に、金と欲望にまみれた医師や看護師たちの愛憎劇、そして病院内に渦巻く腐敗と権力闘争を描きます。
社会の暗部を鋭く切り取った社会派ミステリーの傑作であり、黒岩重吾の原点ともいえる作品です。ハードボイルドな雰囲気と、人間の業が絡み合う重厚な人間ドラマは、今読んでも全く色褪せません。黒岩作品を初めて読む方には、まず手に取っていただきたい一冊です。
医療界の闇って深いんだね。主人公の野心にハラハラしちゃうよ。
第14回吉川英治文学賞に輝いた、古代史小説の金字塔です。この作品で描かれるのは、古代日本最大の内乱とされる「壬申の乱」。主人公は、兄である天智天皇との確執の中で次第に追い詰められていく皇太弟・大海人皇子(後の天武天皇)です。
額田王との許されざる恋、そして兄への鬱屈した野心を胸に秘めながら、権力闘争を勝ち抜いていく大海人皇子の姿が、雄大なスケールで描かれています。歴史の大きなうねりの中で繰り広げられる、濃密な人間ドラマに引き込まれること間違いなしの傑作です。
古代の権力争いってスケールが大きいね!歴史の裏側を覗いてるみたいでドキドキするよ。
歴史上、悪役として語られることの多い蘇我入鹿を、全く新しい視点から描いた意欲作です。優れた政治手腕を持ちながらも、天皇をも凌ぐ権力を手中に収めようという野望に燃える入鹿。年上の皇極女帝との禁断の恋や、中大兄皇子・中臣鎌足らとの熾烈な権力闘争の果てに、「乙巳の変(大化の改新)」で悲劇的な最期を遂げるまでを描きます。
単なる悪役ではない、人間味あふれる入鹿の姿は非常に魅力的です。黒岩重吾独自の史観が光る、歴史の「if」に思いを馳せることができる一冊です。
歴史の悪役にもちゃんと理由があるんだね。入鹿の視点だと、また違う物語が見えてくるよ。
大阪の遊郭「飛田新地」を舞台に、そこに生きる人々のたくましい生命力を描いた作品です。戦後の混乱期から高度経済成長期にかけての日本の世相を背景に、様々な人間模様が織りなされます。
社会の底辺で生きる人々の喜びや悲しみ、そして欲望が赤裸々に描かれており、黒岩重吾の社会派作家としての一面が存分に発揮されています。エネルギッシュな物語を読みたい方におすすめです。
時代の熱気が伝わってくるみたい!ここで生きる人たちのパワーがすごいんだよ。
「聖人」として知られる聖徳太子の、知られざる人間的な側面に光を当てた画期的な歴史小説です。理想と現実の間で揺れ動き、政治の非情さに苦悩する太子の姿が描かれています。
完璧な偉人ではなく、一人の人間としての聖徳太子の苦悩や葛藤を知ることで、より深く歴史上の人物に共感できるはずです。これまでの聖徳太子像を覆す、黒岩重吾ならではの斬新な解釈が楽しめます。
完璧に見える人にも悩みがあるんだなって、なんだか親近感が湧いちゃうかな。
万葉集の歌人としても名高い、謎多き絶世の美女・額田王の生涯を描いた作品です。大海人皇子と、その兄である中大兄皇子という二人の偉大な権力者の間で、運命に翻弄されながらも情熱的に生きた一人の女性の物語が展開されます。
彼女の詠んだ歌に込められた本当の意味を想像しながら読むと、より一層物語に深みが増します。華やかながらも切ない、愛と葛藤のドラマに浸りたい方におすすめです。
二人の権力者の間で揺れるなんて…!わたしだったら選べないかも。切ない恋物語だよ。
天武天皇の息子でありながら、謀反の罪で若くして命を落とした悲劇の皇子・大津皇子の生涯を描いた物語です。文武両道に優れ、多くの人々に慕われながらも、政治の渦に巻き込まれていく皇子の姿が切なく描かれます。
才能がありすぎたがゆえに、権力者から疎まれてしまった彼の運命を思うと、胸が締め付けられます。歴史の非情さと、そこに生きた人々の熱い思いを感じられる作品です。
才能がありすぎてもダメなのかな…。悲劇のプリンスって言葉がぴったりだね。
日本史上初の女性天皇である推古天皇の、波乱に満ちた生涯を描いた長編歴史ロマンです。敏達天皇の后であった彼女が、いかにして権力の頂点に立ち、蘇我氏の隆盛と共に時代を動かしていったのかが描かれます。
女性でありながら、激動の時代を生き抜き、国を治めた彼女の強さと賢さには圧倒されます。聖徳太子や蘇我馬子といった人物との関係性も興味深く、古代史の新たな一面を発見できる一冊です。
日本で最初の女性天皇ってすごいね!強い女性の物語は、いつ読んでもワクワクするよ。
大化の改新の功労者・中臣鎌足の子でありながら、壬申の乱によって不遇の時代を過ごした藤原不比等。彼がいかにしてその知謀と強運を武器に権力の中枢へと駆け上がり、律令国家の礎を築いていったのかを描く、壮大な一代記です。
逆境から這い上がる男のサクセスストーリーは、読んでいて爽快感があります。政治の裏側で繰り広げられる駆け引きや、不比等の野心的な生き様から目が離せません。
どん底からトップに上り詰めるなんて、まさに下剋上だね!不比等の頭の良さには脱帽だよ。
5世紀後半に実在したとされる倭の五王の一人、「武」こと雄略天皇をモデルにした物語です。「古代の織田信長」とも評されるほど、苛烈な性格で国内を統一し、強大な権力を築き上げたワカタケル大王の姿が描かれます。
力で天下を制圧していく、その圧倒的なカリスマ性と行動力には、恐ろしさとともに不思議な魅力を感じさせられます。謎に包まれた古代の英雄の実像に迫る、ダイナミックな歴史小説です。
古代の織田信長か…。力こそパワー!って感じで、ちょっと怖いけどカッコいいかも。
大和朝廷の血筋が途絶えかけた6世紀初頭、越前から迎えられ、新たな大王となった継体天皇の時代を描いた作品です。彼がいかにして即位し、大和の地で権力を確立していったのか、その過程が蘇我稲目の視点も交えて語られます。
豪族間の争いや、新たな王権が誕生するまでの緊迫した情勢がリアルに描かれており、歴史の転換点に立ち会っているかのような興奮を味わえます。黒岩重吾の説得力ある筆致が光る一冊です。
新しい王様を迎えるのって、すごく大変だったんだね。歴史が動く瞬間って感じがするよ。
蘇我氏との争いに敗れた物部氏の血をひき、最下級の官人からスタートしながら、ついには臣下の最高位である左大臣にまで上り詰めた謎多き人物、石上朝臣麻呂の生涯を描いた作品です。壬申の乱では敗者側にいた彼が、なぜそこまでの出世を遂げられたのか、その波乱の人生に迫ります。
歴史の表舞台にはあまり登場しない人物に焦点を当てることで、時代の裏側を垣間見ることができるのが魅力です。絶筆となったとされる長編小説であり、著者の古代史への深い探求心が感じられます。
最下級から左大臣って、一体何があったの!?すごく気になるんだけど!
大化の改新を主導し、後に天智天皇として即位する中大兄皇子の物語です。蘇我入鹿を暗殺し、政治の実権を握った彼の冷徹な策略家としての一面や、弟である大海人皇子との複雑な関係が描かれています。
権力を手にするために非情な決断を下す彼の孤独や苦悩も描かれており、多角的な視点から人物像を捉えることができます。歴史を大きく動かした男の、知られざる内面に触れることができる作品です。
権力者って、やっぱり孤独なのかな。弟との関係がギスギスしてて、読んでてハラハラするよ。
邪馬台国を治めたとされる謎の女王・卑弥呼の生涯を描いた歴史ロマンです。神の声を聞く巫女として国を率いた彼女の神秘的な魅力と、一人の女性としての苦悩や喜びが、生き生きと描き出されています。
文献が少なく、多くの謎に包まれた卑弥呼の実像を、黒岩重吾が大胆な想像力で構築しています。古代の日本にこんなにもドラマチックな世界が広がっていたのかと、想像力をかき立てられる一冊です。
卑弥呼ってミステリアスで魅力的だよね!古代の女王様の生活、覗いてみたいな。
華やかな芸能界の裏側を舞台に、そこに生きる人々の愛と憎しみ、そして野望を描いた社会派小説です。スターダムにのし上がろうとする者、それを引きずり下ろそうとする者、様々な人間の思惑が交錯するスリリングな物語が展開します。
きらびやかな世界の裏に隠された、人間の生々しい欲望がリアルに描かれています。黒岩重吾の現代を切り取る鋭い視点が光る作品で、普段歴史小説を読まない方にもおすすめです。
芸能界の裏側って、こんなにドロドロしてるのかな?キラキラした世界の裏話って感じで面白いよ。
黒岩重吾のデビュー作であり、『背徳のメス』と並ぶ初期の代表作です。平凡なサラリーマンが、ふとしたきっかけで殺人事件に巻き込まれていくサスペンス・ミステリーで、読者を一気に引き込む巧みなストーリー展開が魅力です。
日常に潜む狂気や、人間の心の奥底に隠された闇が巧みに描かれています。推理小説としての完成度も高く、社会派作品とはまた違った黒岩重吾の魅力を発見できる一冊です。
普通の人が事件に巻き込まれるって、一番怖いパターンかも!ドキドキが止まらないよ。
聖徳太子亡き後、その一族である上宮王家が、蘇我入鹿によって滅ぼされるまでを描いた物語です。『落日の王子 蘇我入鹿』とも繋がる部分があり、蘇我氏の視点と対比しながら読むと、より深く歴史の非情さを感じることができます。
権力闘争の前に、理想や正義がいかにもろく崩れ去っていくのかが描かれており、読後には深い余韻が残ります。歴史の敗者の視点から描かれた、悲しくも美しい物語です。
せっかく築いたものが壊されていくのって、すごく悲しい…。歴史の無常を感じる物語だね。
夫である仲哀天皇の急死後、お腹に後の応神天皇を宿したまま三韓征伐を成し遂げたとされる、伝説的な皇后・神功皇后の物語です。文献が少なく謎に包まれた彼女の人物像を、黒岩重吾が独自の視点で大胆に描き出しています。
巫女王としての神秘的な側面と、国を率いるリーダーとしての力強さを併せ持った、魅力的なヒロイン像が描かれています。古代史の謎解きのような面白さも味わえる作品です。
お腹に赤ちゃんがいるのに戦うなんて、スーパーウーマンだね!すごくパワフルな物語だよ。
日本神話に登場する悲劇の英雄、ヤマトタケルの生涯を描いたシリーズ作品です。父である景行天皇に疎まれ、次々と過酷な遠征を命じられながらも、英雄的な活躍を見せる彼の苦悩と孤独に満ちた人生が描かれます。
英雄でありながら、人間的な弱さや悲しみを抱えるヤマトタケルの姿に、深く感情移入してしまいます。神話の世界を舞台にした、壮大かつ切ない物語に浸りたい方におすすめです。
ヒーローなのに孤独っていうのが切ない…。彼の本当の気持ちを考えると、胸がキュッとなるよ。
現代社会に潜む様々な問題をテーマにした、社会派ミステリーの短編集です。金、欲望、嫉妬など、人間の持つ普遍的な感情が引き起こす事件を通して、社会の歪みや矛盾を鋭く描き出しています。
一話完結で読みやすく、黒岩重吾の社会を見る目の鋭さを手軽に味わうことができます。人間の心の闇を覗き見るような、少しビターな読後感が魅力の作品集です。
本作における無機質なまでのシンプルな語り口からは作者の覚悟をひしひしと感じざるを得ない。
ここまでランキング形式でご紹介してきましたが、「たくさんあってどれから読めばいいか分からない!」という方もいるかもしれません。そんな方のために、好みに合わせた黒岩重吾作品の選び方をご紹介します。
社会の矛盾や、人間の欲望が渦巻く世界観に興味があるなら、初期の社会派小説がおすすめです。現代社会の暗部を鋭くえぐり出す作品が多く、リアリティのある重厚な物語を楽しむことができます。
代表作である『背徳のメス』や『飛田ホテル』、デビュー作の『休日の断崖』などは、人間の業や心理描写が巧みで、読み応え抜群です。現代にも通じるテーマが描かれており、深く考えさせられるでしょう。
日本の歴史、特に謎の多い古代史に興味がある方には、後年の歴史小説がぴったりです。黒岩重吾は、独自の史観と豊かな想像力で、歴史上の人物たちを生き生きと描き出しました。
壬申の乱を描いた『天の川の太陽』や、蘇我入鹿を新たな視点で描いた『落日の王子 蘇我入鹿』など、壮大なスケールの物語が揃っています。歴史の大きな流れの中で繰り広げられる人間ドラマに、きっと夢中になるはずです。
何から読むか迷ったら、まずは文学賞を受賞した代表作から手に取ってみるのが間違いありません。黒岩重吾の作品の中でも特に評価が高く、彼の魅力が凝縮されています。
社会派ミステリーの傑作であり、直木賞を受賞した『背徳のメス』。そして、古代史ロマンの金字塔として吉川英治文学賞に輝いた『天の川の太陽』。この2作品は、ジャンルは異なりますが、どちらも黒岩重吾を知る上で欠かせない傑作です。
社会派ミステリーから古代史ロマンまで、多彩なジャンルで傑作を生み出した巨匠・黒岩重吾。その作品は、時代を超えて私たちに人間の本質とは何かを問いかけてきます。
この記事で紹介したランキングや選び方を参考に、ぜひあなたにとっての特別な一冊を見つけてみてください。重厚な物語の世界に浸る、豊かな読書体験があなたを待っています。