皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
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皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
黒田夏子さんは、1937年東京生まれの小説家です。2013年1月、75歳で発表した小説『abさんご』で第148回芥川賞を受賞し、史上最高齢での受賞という快挙を成し遂げました。このニュースは、文学界だけでなく社会全体に大きな驚きと感動を与えました。
早稲田大学を卒業後、国語教師や校正者など、さまざまな職業を経験しながら、長年にわたってひたむきに創作活動を続けてきた黒田さん。1963年には「毬」で読売短編小説賞に入選するなど、その才能は早くから認められていましたが、本格的なデビューは2012年の『abさんご』による早稲田文学新人賞受賞でした。受賞会見での「生きているうちに見つけてくださいまして、ありがとうございました」という言葉は、彼女の長い作家人生を象徴するものとして多くの人の心に残っています。
黒田夏子さんの作品の最大の魅力は、常識にとらわれない唯一無二の文体にあります。一度読んだら忘れられない、その独特な世界観は多くの読者を惹きつけてやみません。
黒田作品には、以下のような特徴があります。
これらの特徴的な文体は、一見すると「読みにくい」と感じるかもしれません。しかし、ゆっくりと文字を追い、声に出して読んでみると、言葉一つひとつの響きやリズムが心に染み渡り、まるで美しい詩を読んでいるかのような新しい読書体験ができます。物語の筋を追うだけでなく、言葉そのものをじっくりと味わうことこそ、黒田作品の醍醐味と言えるでしょう。
その唯一無二の世界観で、多くの文学ファンを魅了し続ける黒田夏子さん。彼女の作品はどれも個性的で、一度足を踏み入れると忘れられない読書体験が待っています。
しかし、「どの作品から読めばいいの?」と迷ってしまう方も多いかもしれません。そこで今回は、黒田夏子さんの代表作の中から、特におすすめしたい4作品をランキング形式でご紹介します。芥川賞受賞作から、紫式部文学賞に輝いた名作まで、黒田文学の深淵に触れるための入り口となる作品を選びました。ぜひ、このランキングを参考にして、新たな文学の世界の扉を開いてみてください。
黒田夏子さんの名を一躍世に知らしめた代表作であり、2013年に第148回芥川賞を受賞した作品です。75歳での受賞は史上最高齢記録となり、大きな話題を呼びました。物語は、幼い頃に片親を亡くした「子」が、もう片方の親との記憶をたどる自伝的な内容で、戦時下の引っ越し先で雇われた家事係の女性によって、穏やかだった親子の関係が静かに崩れていく様が描かれます。
全文横書き、ひらがな多用、固有名詞を一切使わないという黒田文学のスタイルが確立されており、芥川賞史上初の横書き作品の受賞となりました。その独特の文体は、読者にこれまでにない読書体験をもたらし、言葉の響きやリズムをじっくりと味わうことができます。黒田夏子さんの世界に初めて触れる方に、まず読んでいただきたい一冊です。
受賞歴 | 第148回芥川龍之介賞 第24回早稲田文学新人賞 |
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発表年 | 2012年 |
ジャンル | 純文学 |
言葉の選び方が独特で、まるで美しい詩を読んでいるみたいだったよ。物語の余韻がずっと心に残る作品だね。
『abさんご』から7年の時を経て発表された、芥川賞受賞後初の新作小説集です。2021年には第31回紫式部文学賞を受賞し、その文学的評価の高さを改めて証明しました。物語は、早くに両親を亡くした語り手が、親族の家で過ごした幼い日々の記憶をたどるというもの。ひな人形やサイコロ、絵葉書といった品々を巡る記憶の断片が、美しい言葉で紡がれていきます。
『abさんご』から続く横書きのスタイルはそのままに、記憶と忘却というテーマをさらに深化させています。時間の経過とともに記憶がいかに変容していくか、その曖昧で複雑な様が、黒田さんならではの繊細な筆致で描かれています。読めば読むほどに味わいが増す、珠玉の作品集です。
受賞歴 | 第31回紫式部文学賞 |
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発表年 | 2020年 |
ジャンル | 純文学、小説集 |
失われた記憶の欠片を拾い集めるような感覚が不思議だったな。わたしも昔のことを思い出して、少し切なくなっちゃった。
芥川賞受賞後第一作として2013年に刊行されましたが、実は『abさんご』よりも前、1970年代から80年代にかけて約10年の歳月をかけて書き上げられた長編小説です。日本舞踊の世界を舞台に、語り手である「私」と、性別さえも明かされない師匠「月白(つきしろ)」とのひたむきな恋が描かれています。
物語は時系列に沿って進むのではなく、「舞踊」や「幼年期」といったテーマごとの短い断章が350も連なる形で構成されています。この断片的な記憶の連なりが、万華鏡のようにきらめく複雑な世界を創り出しています。黒田文学の根幹をなす、記憶と身体、そして言葉の関係性が深く探求された、読み応えのある一作です。
発表年 | 2013年(執筆は1970年代〜1984年) |
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ジャンル | 純文学、長編小説 |
踊りの場面の描写がすごく官能的でドキドキしちゃった!言葉だけでこんなに表現できるなんて、本当にすごいよね。
『累成体明寂(るいせいたいめいじゃく)』は、黒田夏子さんが芥川賞を受賞する以前の2010年に自費出版に近い形で刊行された、まさに知る人ぞ知る一冊です。彼女の独特な文体や世界観の源流に触れることができる、非常に重要な作品と言えるでしょう。
この作品でも、横書きやひらがなを多用した文体、そして固有名詞を排した表現といった、後の作品に繋がる特徴が見られます。読者はまるで記憶の迷宮に迷い込んだかのような感覚を味わいながら、言葉の連なりの中から物語を紡ぎ出していくことになります。黒田文学の原石とも言えるこの作品を読むことで、彼女の創作の核心にさらに深く迫ることができるはずです。
発表年 | 2010年 |
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ジャンル | 純文学 |
なんだか秘密の書物を読んでいるみたいで、ちょっと緊張しちゃった。この作品からあの独特の世界が始まったんだね…。
黒田夏子さんの小説は、その独特な文体から「難解だ」と感じる人もいるかもしれません。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、その世界の魅力をより深く味わうことができます。
まず、物語の筋を性急に追おうとしないことが大切です。黒田さんの作品は、明確なストーリー展開よりも、言葉の響きやリズム、そしてそこから喚起されるイメージを重視しています。焦らず、一文一文をじっくりと味わうように読んでみてください。
次におすすめなのが、声に出して読んでみること(音読)です。ひらがなを多用した文章は、黙読するのとは全く違う音楽的な表情を見せてくれます。言葉が持つ本来の響きやリズムを体感することで、物語の世界に自然と没入していくことができるでしょう。ぜひ、自分一人の空間で、ゆったりとした気持ちで試してみてください。
今回は、75歳で芥川賞を受賞した唯一無二の作家、黒田夏子さんのおすすめ小説をランキング形式でご紹介しました。横書き、ひらがなの多用、固有名詞の不在といった独特のスタイルで書かれた彼女の作品は、私たちに新しい読書の喜びを教えてくれます。
一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、その文章の奥には、美しく、静かで、そしてどこか懐かしい世界が広がっています。普段読書をしない方や、いつもとは違う刺激的な一冊を求めている方にこそ、ぜひ手に取っていただきたい作家です。この記事をきっかけに、黒田夏子さんの文学の深淵に触れ、あなただけの特別な読書体験を見つけてみてください。