皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
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皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
多岐川恭(たきがわ きょう)は、1920年生まれの小説家・推理作家です。本名は松尾舜吉(まつお しゅんきち)で、福岡県八幡市(現在の北九州市)の出身。東京帝国大学経済学部を卒業後、銀行員や新聞記者として働きながら小説を執筆するという経歴の持ち主です。
本格ミステリーからSF、時代小説まで、その作風は非常に幅広く、多くの読者を魅了してきました。特筆すべきは1958年で、『濡れた心』で江戸川乱歩賞を、短編集『落ちる』で直木賞を同年にダブル受賞するという快挙を成し遂げます。1989年には紫綬褒章も受章しており、多彩な作風と巧みな筆致で、今なお愛され続ける巨匠です。
ミステリーから時代小説まで、数々の名作を世に送り出してきた多岐川恭。その多彩な作品群の中から、特におすすめの小説をランキング形式でご紹介します。
今回は、初めて読む方でも楽しめる作品から、多岐川作品の神髄に触れられる読みごたえのある一冊まで、幅広く20作品を厳選しました。あなたのお気に入りの一冊がきっと見つかるはずです。それでは、早速ランキングを見ていきましょう。
『落ちる』は、1958年に発表された多岐川恭の代表的な短編集で、同年の第40回直木賞を受賞しました。表題作「落ちる」のほか、「ある脅迫」「笑う男」といった初期の傑作が収録されています。
自己破壊的な衝動に駆られる男の心理を描いた「落ちる」をはじめ、どの作品も濃密な文体と皮肉の効いたクールな語り口が特徴です。多岐川恭の多彩な才能と、人間の心理を鋭くえぐる観察眼が光る、入門編としても最適な一冊です。
人間の心の闇を覗き見るような短編集だよ。初めて多岐川作品を読む人にもおすすめかな。
『濡れた心』は、1958年に第4回江戸川乱歩賞を受賞した、多岐川恭の代表作の一つです。多感な少女たちの危うい関係性と、その中で起こる事件を描いたミステリーで、その美しい文章と繊細な心理描写が高く評価されています。
少女たちの危うい関係性とミステリーの組み合わせが絶妙なんだ。美しい文章に引き込まれちゃうよ。
『変人島風物誌』は、1961年に発表された長編小説です。この作品は、多岐川恭が精力的に長編を発表していた時期の一作で、その独特の世界観とユーモアのセンスが光ります。
ミステリーの枠にとらわれない、作家の豊かな想像力が楽しめる一冊です。
ちょっと変わった人たちがたくさん出てきて面白いんだ。日常から離れて、不思議な世界に浸りたい時におすすめだよ。
『氷柱(つらら)』は、1958年に刊行された多岐川恭の長編小説です。この作品は、河出書房の新人発掘企画で次席入選を果たした、彼の初期の代表作として知られています。
物語の主人公は、「氷柱」とあだ名される風変わりな男・小城江保。彼はある日、少女の轢き逃げ事件に遭遇したことをきっかけに、自分でも戸惑うほどの情熱に突き動かされ、犯罪の世界に足を踏み入れていきます。隠者のような生活を送っていた男が、一つの事件を機に変貌していく過程を描いたクライム・ストーリーです。
主人公がどんどん犯罪に染まっていくのがハラハラするよ。人間の心の危うさを感じる作品なんだ。
『的の男』は、1978年に発表された作品です。何度も殺されかける悪党を主人公にした、ブラックユーモアあふれる異色のミステリー。なぜ彼は狙われるのか、そしてなぜ死なないのか、その謎が読者を惹きつけます。
悪いやつが何度も殺されそうになるのに、なぜか死なないのが面白いんだ。ちょっとブラックな笑いが好きな人におすすめだよ!
『人でなしの遍歴』は、1961年に発表された、皮肉とユーモアに満ちた長編小説です。自分が殺される理由を探して旅に出るという、奇妙な設定の主人公が織りなす物語。人間の業や滑稽さを描き出した、多岐川恭ならではの一冊です。
自分が殺される理由を探しに行くなんて、変わった主人公だよね。人間の業みたいなものを考えさせられる作品かな。
『異郷の帆』は、鎖国時代の長崎・出島を舞台にした時代ミステリーの傑作です。
人の出入りが厳しく監視され、刀剣類の持ち込みも禁止されている「巨大な密室」である出島で、一体誰が、どうやって犯行に及んだのか。閉鎖された空間ならではの緊張感と、歴史的な背景が巧みに融合した作品です。
昔の長崎が舞台のミステリーって、ロマンがあるよね。鎖国時代の独特な雰囲気がたまらないんだ。
『出戻り侍』は、一度は藩を追われたり、役目を解かれたりした侍が、再び活躍の場を求めて奮闘する姿を描いた時代小説です。逆境に立ち向かう主人公たちの生き様が、読者の胸を打ちます。
一度失敗した人が再挑戦する話って、応援したくなっちゃうよね。侍の世界も大変なんだなあって思うよ。
「ゆっくり雨太郎捕物控」は、1969年から連載が始まった人気の時代小説シリーズです。主人公は、その名の通り「ゆっくり」と事件を解決する岡っ引の雨太郎。
派手な立ち回りや性急な推理とは一線を画し、じっくりと聞き込みを重ね、人間関係の機微を読み解きながら犯人を追い詰めていく姿が魅力です。江戸の町を舞台に繰り広げられる人情味あふれる物語は、多くの読者に愛されています。
急がない岡っ引さんっていうのが面白いよね。のんびりしてるけど、実はすごくキレ者なんだ。
『黒い木の葉』は、多岐川恭の初期の優れた短編が収められた一冊です。直木賞受賞作を収めた『落ちる』と並び、ファンからの評価も高い作品として知られています。
表題作「黒い木の葉」は、多岐川恭特有のクールで皮肉めいた語り口と、人間の心理を巧みに描く筆致が際立つ作品。ミステリーとしての面白さはもちろん、文学的な香りも楽しめる、味わい深い短編です。
短いお話の中に、ぎゅっと魅力が詰まってる感じだよ。多岐川さんの文章って、ちょっとビターで大人な味がするんだ。
『墓場への持参金』は、1965年に発表された多岐川恭の長編ミステリー小説です。この作品は、多岐川恭が作家として脂の乗り切っていた時期に執筆されたもので、そのプロットの巧みさとサスペンスフルな展開が高く評価されています。
物語は、一見すると無関係に見える出来事が、やがて一つの大きな事件へと繋がっていく構成になっています。読者はページをめくるごとに深まる謎と、登場人物たちの複雑な人間関係に引き込まれていくでしょう。多岐川ミステリーの醍醐味を存分に味わえる一冊です。
タイトルからして不穏な感じがするよね…。読み進めるうちに、どんどん謎が深まっていくのがたまらないんだ!
『おやじに捧げる葬送曲』は、ベッド・ディテクティヴという形式をとったユニークなミステリー小説です。物語の探偵役は、不治の病で入院中の元刑事、通称「おやじさん」。
彼は、見舞いに訪れる探偵の「おれ」から事件の話を聞き、ベッドの上で推理を繰り広げます。世間話のように語られる事件の断片から、次第に真相を炙り出していく過程が見事です。登場人物の確かな人間描写と、巧みなプロット作りが光る一作です。
ベッドから動かずに事件を解決しちゃうなんて、すごいよね。会話だけで謎が解けていくのが面白いんだ。
『静かな教授』は、犯人の視点から完全犯罪の計画とその実行、そして崩壊までを描く、いわゆる「倒叙ミステリー」の形式をとった作品です。主人公である教授の冷徹な心理描写と、じわじわと追い詰められていくサスペンスがたまりません。
犯人の視点で話が進むから、ドキドキ感がすごいんだ。完璧な計画が崩れていく様子は、ちょっと怖いけど目が離せないよ。
歴史小説の多くが有名な武将を主人公にする中で、本作『馳けろ雑兵』は名もなき「雑兵」にスポットライトを当てた意欲作です。歴史の大きなうねりの中で、必死に生きる人々のドラマが力強く描かれています。
歴史の主役じゃない人たちのお話って、すごく興味深いよね。教科書には載っていないドラマがたくさんあるんだ。
『江戸三尺の空』は、江戸の町を舞台にしたピカレスク(悪漢)時代小説です。物語は、押し込みや殺しで獄門になるはずだった囚人・音次が、市中引き廻しの最中に縄を抜けて脱走するところから始まります。
この脱走の責任を取り、牢屋同心は切腹。その息子・角之助は、父の仇を討つため岡っ引の子分となり、音次の行方を執拗に追います。悪事を重ねながらもどこか憎めない主人公と、彼を追う者との手に汗握る対決が、600ページ近いボリュームで描かれる読み応えのある作品です。
悪い奴が主人公なんだけど、なぜか応援したくなっちゃうんだ。追う者と追われる者の対決がすごくスリリングだよ!
『レトロ館の殺意』は、多岐川恭の晩年の作品で、1994年に連載が開始されました。この作品の連載終了後、作者は脳血管の障害によりこの世を去りました。
閉ざされた空間で起こる殺人事件という、ミステリーの王道ともいえる設定の中で、多岐川恭が長年培ってきた技巧が存分に発揮されています。ベテラン作家が最後に手掛けた、味わい深い一作です。
作者の最後の作品だと思うと、なんだか感慨深いものがあるね…。レトロな洋館が舞台のミステリー、雰囲気があって大好きだよ。
『武田騎兵団玉砕す』は、天正三年(1575年)に起こった「長篠の合戦」を題材にした歴史小説です。
信玄の遺言に背き、織田・徳川連合軍との決戦に臨んだ勝頼。全国にその名を轟かせた武田の騎兵団が、三千丁もの鉄砲の前に為すすべなく敗れていく様を、武田勝頼、徳川家康、織田信長といった各人の思惑を交えながら克明に描き出しています。
歴史の大きな転換点を描いたお話だよ。最強と言われた騎馬隊がどうして負けてしまったのか、その理由がよくわかるんだ。
『闇の人力車』は、1959年の日本探偵作家クラブ賞候補にもなった本格ミステリーです。多岐川恭ならではの巧みなプロットと、読者の意表を突く展開が魅力。ミステリーファンならば見逃せない一作と言えるでしょう。
賞の候補になるくらいだから、面白さは保証付きだね。どんな謎が隠されているのか、読むのが楽しみだな。
『用心棒』は、多岐川恭が手掛けた数多くの時代小説の中でも、特に人気の高い作品の一つです。
主人公は、金で雇われ人の警護にあたるプロフェッショナル。彼のもとに持ち込まれる様々な依頼を通じて、江戸の社会が抱える光と影、そしてそこに生きる人々の喜怒哀楽が生き生きと描き出されます。剣戟アクションの面白さはもちろん、人情味あふれるドラマも本作の大きな魅力です。
強い用心棒が悪いやつらをやっつけるのって、やっぱりスカッとするよね!江戸時代のハードボイルドって感じかな。
『虹が消える』は、多岐川恭の作品の中でも、その詩的なタイトルが印象的な一作です。彼の作品は、本格ミステリーや時代小説といったジャンル分けだけでなく、その文学的な深みも高く評価されています。
この作品でも、人間の心の機微や、儚く移ろいやすい感情が巧みに描かれています。多岐川恭の持つ、もう一つの魅力を感じさせてくれる作品です。
タイトルがすごくきれいだよね。どんなお話なんだろうって想像が膨らむな。ミステリーだけど、切ない気持ちになりそう。
ここまで、多岐川恭のおすすめ小説をランキング形式で20作品ご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。江戸川乱歩賞と直木賞をダブル受賞したミステリーの傑作から、人情味あふれる時代小説、さらにはSF的な要素を取り入れた意欲作まで、そのジャンルの幅広さに驚かれた方も多いかもしれません。
どの作品にも共通しているのは、巧みなストーリーテリングと、人間の心理を鋭く見つめる確かな視線です。今回ご紹介した作品をきっかけに、ぜひ多岐川恭の奥深い文学の世界に足を踏み入れてみてください。きっと、あなたを夢中にさせる一冊に出会えるはずです。