【2025年最新】滝口悠生のおすすめ小説ランキングTOP14

滝口悠生のおすすめ小説ランキングTOP14

滝口悠生さんは、日常の断片や人々の会話を、独特のゆったりとした筆致で描き出す、今注目の小説家です。2011年に『楽器』で第43回新潮新人賞を受賞しデビュー。その後も数々の文学賞に輝き、2016年には『死んでいない者』で第154回芥川龍之介賞を受賞しました。

滝口さんの小説は、大きな事件や明確な結末があるわけではなく、ただ静かに時間が流れていくような作品が多いのが特徴です。だからこそ、読者によっては少し不思議な感覚を覚えるかもしれませんが、その唯一無二の世界観は多くのファンを魅了しています。この記事では、そんな滝口悠生さんの魅力あふれる作品を、ランキング形式でご紹介します。

1位『死んでいない者』

ランキング1位は、第154回芥川龍之介賞を受賞した『死んでいない者』です。ある男性の通夜を舞台に、集まった親戚たちの会話劇が淡々と続いていく物語。故人の思い出話が、いつしか今を生きる人々の話へと移り変わっていく様子が、独特の臨場感で描かれます。

特定の主人公はおらず、視点が次々と移り変わっていくのが大きな特徴です。生と死の境界が曖昧になるような不思議な読書体験は、まさに滝口作品の真骨頂と言えるでしょう。物語の「あらすじ」を追うのではなく、その場の空気感に浸りたい方におすすめの一冊です。

発表年	2015年
受賞歴	第154回芥川龍之介賞
ジャンル	小説

2位『水平線』

続いては、500ページを超える大長編『水平線』。2022年に刊行され、第39回織田作之助賞や第73回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞するなど、非常に高い評価を得ています。物語は、激戦地・硫黄島の記憶と現代が交錯する、壮大なスケールで描かれます。

複数の登場人物の視点や時間が絡み合いながら進む、滝口さんならではの語り口が存分に味わえる作品です。長編ながらも読者を引き込む力が強く、じっくりと物語の世界に浸りたい方にぴったり。戦争という重いテーマを扱いながらも、静かで穏やかな時間が流れるような読後感が印象的です。

発表年	2022年
受賞歴	第39回織田作之助賞ほか
ジャンル	小説

3位『茄子の輝き』

『茄子の輝き』は、ある夏の数日間を複数の視点から描いた、連作短編集のような構成の小説です。それぞれの物語がゆるやかに繋がり、一つの大きな時間の流れを形作っていきます。何気ない日常の風景が、瑞々しい筆致で丁寧に切り取られています。

特別な事件が起こるわけではありませんが、登場人物たちの心の機微や、ふとした瞬間に感じる世界の美しさが心に残ります。読書メーターなどのレビューサイトでも評価の高い一冊。穏やかな気持ちで読書を楽しみたい時におすすめです。

発表年	2017年
ジャンル	小説

4位『高架線』

『高架線』は、取り壊しが決まったアパート「かたばみ荘」の元住人たちが、それぞれの場所で過去を思い出す姿を描いた物語です。過ぎ去った時間へのノスタルジーや、人との繋がりの温かさが、優しく心に染み渡るような作品として評価されています。

過去を感傷的に描くだけでなく、現在の視点から冷静に見つめることで、時間の持つ奥行きや手触りを表現しているのが特徴です。読後には、自分の記憶の中にある大切な場所や人々を思い出し、温かい気持ちになれるかもしれません。

発表年	2017年
ジャンル	小説

5位『長い一日』

『長い一日』は、ある一日の出来事を、様々な人々の視点から多角的に描いた長編小説です。結婚式や葬式といった特別なイベントを背景に、人々の意識の流れが交錯し、物語が織りなされていきます。複数の視点を束ねる独特の語り口が特徴的な作品です。

読者は、登場人物たちの断片的な思考や会話を追いながら、物語の全体像を少しずつ掴んでいくことになります。小説とは現実を記録するものではない、という作者の考えが反映されたような、不思議な読書体験が味わえる一冊です。

発表年	2021年
ジャンル	小説

6位『愛と人生』

2015年に第37回野間文芸新人賞を受賞した『愛と人生』は、滝口さんの初期の代表作の一つです。家族や恋愛といった身近なテーマを扱いながらも、その語り口は一筋縄ではいきません。メタフィクション的な要素を含み、小説という形式そのものを問い直すような実験的な側面も持っています。

登場人物たちの人生が、時にユーモラスに、時に切なく描かれます。近代文学的な情緒と、現代的な小説の構造が融合したユニークな作品です。滝口さんの自在な文章世界に触れたい読者にとって、見逃せない一冊と言えます。

発表年	2015年
受賞歴	第37回野間文芸新人賞
ジャンル	小説

7位『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』

表題作「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」は、第153回芥川龍之介賞の候補にもなった作品です。バイクでのツーリング中に田んぼに落ちてしまった主人公の、過去への追憶が描かれています。記憶というものの不確かさや、思い出が時間とともに変化していく様子が巧みに表現されています。

滝口さんの作品では音楽が重要な要素として登場することがありますが、この作品もその一つ。登場人物たちのエピソードには独特の味わいがあり、特にジャンベという太鼓を叩く人物の描写が印象的だという感想も見られます。青春の記憶や時間の流れについて考えさせられる一冊です。

発表年	2015年
受賞歴	第153回芥川賞候補
ジャンル	小説

8位『寝相』

『寝相』は、2014年に発表され、第36回野間文芸新人賞の候補となった作品です。この作品もまた、日常の中に潜む不思議な瞬間や、人と人との間の微妙な距離感を丁寧に描き出しています。滝口さんの作品に一貫して流れる、ゆったりとした時間の感覚を味わうことができます。

明確なストーリーを追うよりも、文章そのもののリズムや、言葉の選び方に身を委ねて楽しむのがおすすめです。読書を通じて、普段は見過ごしてしまいがちな日常の風景が、少し違って見えてくるかもしれません。滝口さんの世界観をじっくりと堪能したい方に適した一冊です。

発表年	2014年
受賞歴	第36回野間文芸新人賞候補
ジャンル	小説

9位『ラーメンカレー』

『ラーメンカレー』は、そのユニークなタイトルが目を引く一冊です。食べ物をテーマにしながらも、そこから広がる人間模様や記憶の断片を巧みに描き出しています。日常的なモチーフから、人生の深淵を垣間見せる滝口さんの手腕が光ります。

一杯のラーメンやカレーが、登場人物たちの過去や現在とどのように結びついているのか。食にまつわるエピソードを通じて、人々の生活や感情が豊かに表現されています。お腹が空いている時に読むと、より一層楽しめるかもしれません。

発表年	2023年
ジャンル	小説

10位『やがて忘れる過程の途中（アイオワ日記）』

この作品は、滝口さんがアメリカのアイオワ大学国際創作プログラムに参加した際の経験を基にした日記形式の書籍です。小説とは少し趣が異なりますが、作家の目に映った日常や思索の過程を垣間見ることができ、ファンにとっては興味深い一冊となっています。

異国の地での生活や、様々な国の作家たちとの交流が、滝口さんならではの視点で綴られています。創作の裏側や、作家の思考の断片に触れることで、他の小説作品をより深く味わうためのヒントが得られるかもしれません。

発表年	2019年
ジャンル	日記・エッセイ

11位『さびしさについて』

『さびしさについて』は、写真家の植本一子さんとの共著で、もともとは『往復書簡 ひとりになること 花をおくるよ』というタイトルで刊行された作品が文庫化されたものです。二人の間で交わされた手紙を通じて、「さびしさ」という感情について深く掘り下げていきます。

小説家の言葉と写真家の言葉が交わることで、一人でいることの意味や、人との繋がりについて、多角的な視点から考えるきっかけを与えてくれます。静かに自分と向き合いたい時や、誰かの心に寄り添いたい時に手に取りたい一冊です。

発表年	2024年（文庫化）
共著者	植本一子
ジャンル	往復書簡

12位『たのしい保育園』

『たのしい保育園』は、保育園を舞台に、子どもたちや保育士、保護者たちの日常を温かい眼差しで描いた作品です。子どもたちの無邪気な言動や、大人たちの奮闘する姿が、ユーモアを交えながら生き生きと描き出されています。

滝口さんの作品の中では、比較的ストーリーが分かりやすく、多くの読者が楽しめる一冊と言えるでしょう。日常の中に溢れる小さな喜びや発見を、改めて感じさせてくれます。子育て中の方や、子どもと関わる仕事をしている方には、特に共感できる部分が多いかもしれません。

発表年	2025年
ジャンル	小説

13位『いま、幸せかい? 「寅さん」からの言葉』

この本は、国民的映画『男はつらいよ』の主人公・寅さんの言葉をテーマにしたエッセイ集です。滝口さんが選んだ寅さんの名言と共に、自身の解釈や思いが綴られています。小説とは異なるエッセイという形式で、滝口さんの新たな一面に触れることができます。

寅さんの言葉を通して、人生の機微や人情の温かさについて改めて考えさせられます。映画のファンはもちろん、まだ観たことがない人でも楽しめる内容になっています。日々の生活に少し疲れた時に読むと、心がふっと軽くなるような一冊です。

発表年	2019年
ジャンル	エッセイ

14位『往復書簡 ひとりになること 花をおくるよ』

ランキング11位で紹介した『さびしさについて』の単行本版がこちらです。写真家の植本一子さんとの間で交わされた、濃密な言葉のやり取りが記録されています。「ひとりになること」をテーマに、二人の思索が深まっていく過程は、読者にも多くの問いを投げかけます。

手紙というプライベートな形式だからこそ表れる、率直な言葉や感情の揺れ動きが魅力です。他者と関わること、そして自分自身と向き合うことの意味を、改めて考えるきっかけを与えてくれるでしょう。じっくりと時間をかけて、言葉を噛みしめるように読みたい一冊です。

発表年	2022年
共著者	植本一子
ジャンル	往復書簡

まとめ

滝口悠生さんのおすすめ小説ランキングをご紹介しましたが、いかがでしたか。彼の作品は、明確なストーリーを追うというより、その場の空気や時間の流れに身を委ねるように読むことで、その魅力を最大限に感じられます。

どの作品から読めばいいか迷う方には、やはり芥川賞を受賞した『死んでいない者』がおすすめです。滝口さんの世界観が凝縮されたこの作品を入り口に、ぜひ他の作品にも手を伸ばしてみてください。きっと、あなたの見慣れた日常が、少しだけ違って見えてくるはずです。