皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
2020年に『背高泡立草』で芥川龍之介賞を受賞した、作家の古川真人さん。デビュー作の『縫わんばならん』から4度の芥川賞候補を経ての受賞となり、その高い筆力で注目を集めてきました。
古川さんの作品の多くは、母親の故郷である長崎県の離島が舞台となっています。独特の方言でつづられる会話と、土地に根付いた人々の記憶や歴史を重層的に描き出す作風が大きな魅力です。この記事では、そんな古川真人さんの人気作品をランキング形式でご紹介します。どの作品から読もうか迷っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
ここからは、古川真人さんのおすすめ人気小説をランキングで6作品ご紹介します。
芥川賞を受賞した代表作から、壮大な物語の始まりであるデビュー作、そして新たな作風に挑んだ意欲作まで、古川さんの多彩な魅力に触れられる作品を選びました。気になる一冊を見つけて、その奥深い文学の世界に飛び込んでみましょう。
古川真人さんの名を一躍有名にした、第162回芥川賞受賞作です。主人公の奈美が、母や親戚たちと長崎の島にある母の実家の草刈りをするために帰省するところから物語は始まります。
現在の草刈りの様子と、かつてその島で生きた人々の記憶や歴史的な出来事が交互に語られる構成が特徴です。一見すると淡々とした日常の風景から、時空を超えた壮大な物語が立ち上がってくる様は圧巻。選考委員からも「土地に根付いている歴史の重層性を巧みにすくい上げている」と高く評価されました。古川文学の真骨頂ともいえる一冊です。
ただ草を刈っているだけなのに、島の記憶がぶわっと溢れ出すんだ。読み終わった後、風景が違って見えるかも。
2016年に第48回新潮新人賞を受賞した古川さんのデビュー作であり、芥川賞候補にもなった作品です。九州・長崎の離島を舞台に、80代の女性・敬子の視点を中心として、一族四代にわたる記憶が描かれています。
老いによって夢と現実の境目が曖昧になった敬子の意識を通して語られる物語は、方言を多用した詩のような独特の文体でつづられます。記憶の断片を縫い合わせるようにして紡がれる物語は、読む者に深い余韻を残します。古川さんの壮大な「吉川家サーガ」の原点ともいえる重要な一冊です。
この作品で古川さんのファンになったんだ。方言の響きが心地よくて、物語にすっと溶け込んじゃうよ。
デビュー作に続き、芥川賞候補となった2作目です。島の古い家を片付けるために訪れた主人公の稔が、亡き祖母の日記を見つける場面から始まります。そこに記された「今日ミノル、四時過ぎの船で着く」という一文をきっかけに、忘れかけていた過去の記憶が呼び覚まされていきます。
認知症が始まった祖母の視点と、無職で生き方を見失っている現在の稔の視点が交互に描かれ、老いと若さ、記憶と忘却というテーマが浮かび上がります。切実な現実と、ゆるやかに流れる島の時間が交差する、静かながらも心に響く物語です。
おばあちゃんの記憶と孫の記憶が交差するのが、切なくて美しいんだ。自分の家族のことも考えちゃう一冊だよ。
こちらも芥川賞候補となった作品で、70代の老女・タツコの意識の流れを濃密に描いた一冊です。アパートで一人暮らしをするタツコの元に姪たちが訪ねてくる、という何気ない日常が描かれますが、物語の大部分はタツコの内面、つまり過去の記憶や夢、不安といった想念の世界で展開されます。
現実と空想が切れ目なく交錯する独特の文体は、読者をタツコの意識の奥深くへと引き込みます。老いることの不安や孤独、それでも失われない生命のきらめきが色鮮やかに描き出されており、古川さんの筆力の高さを改めて感じさせられる作品です。
おばあちゃんの頭の中を旅してるみたいな不思議な感覚になるよ。最後はなんだか心がじんわり温かくなるんだ。
これまでの島の物語とは一線を画し、近未来の日本を舞台にしたディストピア小説です。政府と企業によって安楽死や人体実験のための「生体贈与(ギフトライフ)」が制度化され、その提供者の家族には信用ポイントが与えられる社会が描かれています。
優生思想が蔓延し、命の価値が生産性で測られる世界のなかで、人々がどのように生きるのかを問いかけます。「多子家庭」の認定を受けた男性と、寝たきりの妹を持つ女性、二人の視点から語られる物語は、現代社会が抱える問題とも地続きであり、読後に深い思索を促します。
ちょっと怖い未来の話なんだけど、今の社会と地続きな気がして…。命の価値ってなんだろうって考えさせられちゃった。
古川さんの作品の中でも比較的新しい、複数の港町を舞台にした連作短編集です。これまでの作品で描かれてきた長崎の島だけでなく、様々な場所を舞台に、そこに生きる人々の営みが描かれています。
それぞれの短編は独立した物語でありながら、どこかで緩やかにつながりを感じさせます。「移動」や「定住」をテーマに、土地と人の関係性を描き続けてきた古川さんの、新たな境地を感じさせる一冊です。これまで古川作品を読んできたファンはもちろん、初めて読む方にも入りやすい作品と言えるでしょう。
いろんな港町の風景が目に浮かぶようで、旅気分を味わえるんだ。どの話も個性的で、古川さんの新しい一面が見えるよ!
古川真人さんのおすすめ小説ランキング、いかがでしたでしょうか。気になる作品は見つかりましたか。
古川さんの作品の多くは、デビュー作『縫わんばならん』から始まり、長崎の離島に暮らす「吉川家」一族の物語として、ゆるやかにつながっています。これは「吉川家サーガ」とも呼ばれ、作品を横断して読むことで、登場人物たちの人生や島の歴史をより深く味わうことができます。
もちろん、ランキングで紹介したどの作品から読んでも楽しめますが、もし古川さんの世界に深く浸りたいなら、「吉川家サーガ」を意識して読んでみるのもおすすめです。ぜひ、この機会に古川真人の濃密な小説世界に触れてみてください。