皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
辺見庸は、元新聞記者という異色の経歴を持つ芥川賞作家です。
1944年に宮城県石巻市で生まれ、大学卒業後は共同通信社で記者として活躍しました。 北京特派員時代には、中国の機密文書をスクープして国外退去処分を受けるなど、ジャーナリストとして激動の現場を経験しています。
その傍らで執筆した小説『自動起床装置』が1991年に芥川賞を受賞し、作家としての地位を確立しました。 記者を退社した後は、小説だけでなく、世界各地の「食」をテーマにしたルポルタージュ『もの食う人びと』や、詩集など、幅広い分野で執筆活動を続けています。
彼の作品の魅力は、ジャーナリストとして培われた鋭い視点と、人間の内面に深く切り込む文学性にあります。 生と死、社会の矛盾といった重いテーマを扱いながらも、読者を引き込む力強い筆致が特徴です。
元新聞記者という異色の経歴を持つ辺見庸。 その作品は、鋭い視点で社会や人間の本質をえぐる、骨太な小説がそろっています。
今回は、数ある辺見作品の中から、特に読んでおきたいおすすめの小説をランキング形式で5作品ご紹介します。 デビュー作にして芥川賞を受賞した名作から、社会に衝撃を与えた問題作まで、辺見庸の世界にどっぷり浸れるラインナップです。
輝かしいランキングの1位は、辺見庸の作家としての地位を確立した芥川賞受賞作『自動起床装置』です。
物語の舞台は、とある通信社の仮眠室。 主人公は、宿直者を時間通りに起こす「起こし屋」という少し変わったアルバイトをしています。 そこに、人間の仕事を奪うかのように「自動起床装置」という機械が導入されることに。 人間の聖域ともいえる\”眠り\”を機械に委ねることへの抵抗や葛藤を通して、現代社会の効率化や人間性の喪失という普遍的なテーマを鋭く描き出しています。
「眠り」という誰もが経験する日常的な行為を、これほど深く文学的なテーマに昇華させた手腕は圧巻の一言。 辺見庸文学の原点ともいえるこの作品は、初めて彼の小説を読む方にこそおすすめです。
人間の「眠り」を機械が管理するって、ちょっと怖い話だよね。でも、すごく引き込まれる世界観なんだ。
第2位は、社会に大きな衝撃を与えた問題作『月』です。
この小説は、2016年に実際に起きた障害者施設殺傷事件をモチーフにしています。物語は、重度障害者施設を舞台に、職員たちの葛藤や、歪んだ正義感が暴走していく様を克明に描いています。
辺見庸は、事件そのものの残虐性だけでなく、その背景にある社会の偽善や無関心といった問題に鋭く切り込みます。読者は、人間の尊厳とは何か、善と悪の境界線はどこにあるのか、という重い問いを突きつけられることになるでしょう。
2023年には宮沢りえ主演、石井裕也監督で映画化もされ、その衝撃的な内容が大きな話題となりました。 読むには覚悟が必要ですが、現代社会を生きる私たちにとって必読の書と言えるかもしれません。
本作における、事実を基にした無機質なまでの語り口からは、作者の並々ならぬ覚悟をひしひしと感じざるを得ない。
第3位には、幻想的な世界観が魅力の『赤い橋の下のぬるい水』がランクインしました。
リストラされ、すべてを失った中年男・陽介。彼は、亡き恩人の言葉を頼りに能登半島の小さな港町を訪れます。 そこで彼が出会ったのは、体に水が溜まると万引きをしたくなるという、不思議な体質を持つ女性・サエコでした。
この物語は、「水」をモチーフに、人間の性や生命の根源的なエネルギーをファンタジックに描いています。 少し変わった設定ですが、どこかユーモラスで、おおらかな生命力に満ちた物語は、読者を不思議な読後感で包んでくれるでしょう。
巨匠・今村昌平監督、役所広司主演で映画化もされ、その独特の世界観が高く評価されました。
わたし、こういう不思議な設定大好き!生命のエネルギーって感じがしてワクワクするよ。
第4位は、表題作「ゆで卵」をはじめとする21篇の物語が詰まった短編集です。
本書の核となる「ゆde卵」は、著者自身が遭遇した地下鉄サリン事件の実体験がベースになっています。 人が死んだ夜に、なぜか無性に固ゆで卵が食べたくなる主人公。 日常と非日常が交錯する中で、死と性、記憶が不穏に絡み合います。
他にも「くずきり」「プリン」「ゲンゴロウ」など、食べ物をモチーフにした妖しくも美しい短編が多数収録されています。 食という身近なテーマから、人間の業やエロティシズムをあぶり出す、辺見庸の真骨頂ともいえる一冊です。
食べ物の話かと思ったら、人間の深い部分が描かれていてドキッとしちゃう。一杯やりながら読みたいかも。
ランキングの最後を飾るのは、詩的な文章で現代社会を鋭く批評した『水の透視画法』です。
本書は厳密には小説ではなく、著者が2008年4月から2011年3月までの3年間にわたって新聞に連載したエッセイをまとめたものです。日常の些細な出来事から世界情勢まで、あらゆる事象を独自の視点で切り取り、その根底に流れる問題をあぶり出していきます。
特に、東日本大震災が発生する直前まで書かれた文章には、まるで未来を予見していたかのような緊張感が漂っており、読む者に衝撃を与えます。 脳出血の後遺症やがんと闘いながら紡がれた言葉は、一つひとつが重く、魂を揺さぶります。
辺見庸の思想の核心に触れることができる、黙示録的な一冊です。
これは小説じゃないけど、すごく心に響く言葉がたくさんあったよ。辺見さんの覚悟みたいなものを感じて、泣きそうになっちゃった。
辺見庸のおすすめ小説ランキング、いかがでしたでしょうか。
元新聞記者という経歴を持つ彼の作品は、社会の矛盾や人間の業といった重いテーマを、鋭い視点と詩的な筆致で描き出しているのが大きな特徴です。
実際の事件や自身の体験をベースにした作品も多く、その圧倒的なリアリティは読む者の心を激しく揺さぶります。 日常に潜む狂気や、見て見ぬふりをしている社会のタブーを突きつけられるような読書体験は、きっとあなたの価値観に大きな影響を与えるはずです。
今回ご紹介した作品は、どれも一筋縄ではいかないものばかりですが、だからこそ読む価値があります。ぜひ、辺見庸が仕掛ける言葉の世界に、どっぷりと浸ってみてください。