【2025年最新】山口瞳のおすすめ小説・エッセイ人気ランキングTOP20

はじめに：山口瞳の文学世界へ

「トリスを飲んでHawaiiへ行こう！」という有名なキャッチコピーを生み出した作家、山口瞳（やまぐち ひとみ）。 彼は、サラリーマンの日常の哀愁をユーモラスに描いた小説から、人生の機微に触れる深いエッセイまで、多彩な作品で多くの読者を魅了してきました。

もともとは壽屋（現在のサントリー）の宣伝部に勤め、コピーライターやPR雑誌「洋酒天国」の編集者として活躍していました。 その後、1963年に『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞を受賞し、作家としての地位を確立します。 また、「週刊新潮」で31年間一度も休まず連載を続けた『男性自身』シリーズなど、エッセイストとしても高く評価されています。 本記事では、そんな山口瞳の数ある名作の中から、特におすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

山口瞳のおすすめ人気ランキングTOP20

ここからは、山口瞳のおすすめ人気ランキングTOP20をご紹介します。サラリーマン小説の金字塔から、家族の歴史を綴った重厚な物語、そしてお酒や食事、競馬といった趣味の世界を深く掘り下げたエッセイまで、幅広いラインナップとなりました。

山口瞳の作品は、昭和という時代を背景にしながらも、現代に生きる私たちの心にも響く普遍的なテーマを扱っています。ユーモアとペーソス、そしてダンディズムに溢れた山口瞳の世界を、このランキングをきっかけにぜひ旅してみてください。

1位『江分利満氏の優雅な生活』

山口瞳の代表作であり、第48回直木賞を受賞した不朽の名作が『江分利満氏の優雅な生活』です。 主人公は、洋酒メーカーに勤めるサラリーマン・江分利満（えぶりまん）。彼の平凡な日常、家庭でのささやかな出来事、そして会社員としての悲喜こもごもが、ユーモアと哀愁たっぷりに描かれています。

高度経済成長期の日本のサラリーマンの姿を映し出しながらも、その物語は時代を超えて多くの読者の共感を呼んでいます。山口瞳自身のサラリーマン経験が色濃く反映されており、そのリアルな描写が作品に深みを与えています。山口瞳入門の最初の一冊として、まず間違いのない作品です。

2位『血族』

自身の両親の生い立ちを題材に、山口家の歴史を克明に描き出した自伝的長編小説が『血族』です。 この作品で山口瞳は第27回菊池寛賞を受賞しました。 物語は、横須賀の遊郭を経営する家に生まれた母と、実業家の父の出会いから始まり、一族の複雑な人間模様が赤裸々に綴られていきます。

これまで隠されてきた家族の秘密に迫る内容は、作家としての山口瞳の覚悟を感じさせます。単なる家族史にとどまらず、血とは何か、人間とは何かを問いかける重厚な物語であり、多くの読者に衝撃と感動を与えました。

3位『居酒屋兆治』

高倉健主演で映画化もされたことで知られる、人情味あふれる小説が『居酒屋兆治』です。 物語の舞台は、元船乗りの藤野伝吉が営む小さな居酒屋「兆治」。そこに集う常連客たちが織りなす人間模様と、伝吉のかつての恋人さよとの切ない関係が描かれています。

派手な事件が起こるわけではありませんが、登場人物一人ひとりの心の機微が丁寧に描写されており、読後はじんわりと温かい気持ちに包まれます。美味しいお酒と料理、そして人々のふれあいが恋しくなるような、味わい深い一冊です。

4位『礼儀作法入門』

山口瞳流のダンディズムが詰まった、実用エッセイのロングセラーが『礼儀作法入門』です。 冠婚葬祭での振る舞いから、手紙の書き方、食事のマナー、言葉遣いに至るまで、社会人として知っておきたい礼儀作法が網羅されています。

しかし、単なるマニュアル本ではありません。山口瞳自身の経験に基づいた、ユーモアと少しの毒舌を交えた語り口が特徴です。「なぜそうするべきなのか」という本質的な部分に触れているため、時代が変わっても色褪せない説得力があります。社会人になりたての方からベテランまで、あらゆる世代の男性におすすめの一冊です。

5位『男性自身』シリーズ

1963年から31年間、週刊新潮で一度も休むことなく連載された伝説的なコラム、それが『男性自身』シリーズです。 その回数は実に1614回にものぼります。 日々の出来事、時事問題、家族の話、趣味の競馬や将棋についてなど、その内容は多岐にわたります。

山口瞳の鋭い観察眼と、ユーモアと皮肉が効いた文章は多くの読者を惹きつけました。この長期連載は、まさに山口瞳のライフワークそのものであり、昭和から平成にかけての世相を映す貴重な記録でもあります。どの巻から読んでも楽しめるので、気軽に手に取ってみてください。

6位『やってみなはれ みとくんなはれ』

山口瞳がかつて勤務したサントリーの創業者、鳥井信治郎の生涯を描いた評伝小説です。タイトルは鳥井信治郎の口癖であり、彼のチャレンジ精神を象徴する言葉として知られています。

元社員である山口瞳だからこそ書ける、鳥井信治郎という人物の魅力や、サントリーという企業の草創期の熱気が生き生きと伝わってきます。単なる成功物語ではなく、事業の困難や人間的な葛藤も描かれており、ビジネスパーソンにとって多くの学びと勇気を与えてくれる作品です。

7位『酒呑みの自己弁護』

お酒をこよなく愛した山口瞳による、酒にまつわるエッセイ集です。酒のうまい飲み方、酒場での作法、酒の肴についてなど、酒飲みならば思わず膝を打つような話が満載です。

山口瞳はただ酔うためではなく、酒を通じて人生を豊かにすることを追求していました。彼の酒に対する深い愛情と哲学が感じられる文章は、お酒が好きな人にとってはたまらない一冊でしょう。「自己弁護」というタイトルが示す通り、ユーモアたっぷりに酒飲みの言い分を代弁してくれます。

8位『草競馬流浪記』

競馬愛好家としても知られる山口瞳が、日本全国の草競馬を巡る旅を描いたエッセイ集です。 中央競馬の華やかさとはまた違う、地方の素朴で熱気あふれる草競馬の世界が、旅情豊かに綴られています。

競馬場の風景、そこに集う人々、そして馬たちの姿が目に浮かぶような巧みな文章で描かれています。競馬ファンはもちろんのこと、旅好きな人や、日本の原風景に触れたい人にもおすすめできる作品です。山口瞳の温かい眼差しが感じられる一冊です。

9位『行きつけの店』

食通としても知られた山口瞳が、足しげく通った「行きつけの店」を紹介するグルメエッセイです。高級料亭から街の小さな洋食屋まで、様々なお店が登場します。

単なる店の紹介にとどまらず、店の雰囲気、店主のこだわり、そしてそこで過ごす時間そのものを味わう山口瞳の姿勢が描かれています。彼の文章を読んでいると、美味しいものを食べることの喜びがひしひしと伝わってきます。お店選びの参考にするのはもちろん、読むだけで幸せな気分になれる一冊です。

10位『人殺し』

普段のユーモラスな作風とは一線を画し、人間の心の闇や狂気を描いた短編小説集です。表題作の「人殺し」は、平凡な男がふとしたきっかけで殺人を犯してしまう物語で、その淡々とした筆致が逆に恐ろしさを際立たせています。

この作品集では、日常に潜む人間の業や悪意といったテーマが冷徹な視点で描かれています。山口瞳の持つ作家としての別の側面を垣間見ることができる、衝撃的な一冊です。明るい作品のイメージが強い人ほど、そのギャップに驚かされるかもしれません。

11位『梔子の花』

家族との何気ない日常を、愛情あふれる筆致で描いた私小説的な作品です。妻や二人の息子たちとの会話、家庭での出来事が、ユーモアを交えて温かく綴られています。

特に、妻・治子さんへの深い愛情と感謝が随所に感じられ、読者の心を打ちます。家族を持つことの喜びや、時には悩ましさが、等身大の視点で描かれており、多くの共感を呼ぶでしょう。山口瞳の家庭人としての一面が垣間見える、心温まる一冊です。

12位『新入社員諸君!』

サントリーの宣伝部で活躍した山口瞳が、自身のサラリーマン経験を基に、新社会人へ向けてエールを贈る一冊です。仕事への心構え、上司や同僚との付き合い方、お金の使い方まで、社会人として生き抜くための具体的なアドバイスが満載です。

厳しいながらも愛情のこもったメッセージは、時代を超えて新入社員たちの心に響きます。毎年4月1日のサントリーの新聞広告に掲載されていた新社会人へのメッセージも有名で、山口瞳の言葉は多くのビジネスパーソンの指針となってきました。

13位『温泉へ行こう』

旅好き、温泉好きの山口瞳が日本各地の温泉を巡り、その魅力を綴った紀行エッセイです。泉質や効能といった情報だけでなく、温泉地の風情、宿の佇まい、地元の人々とのふれあいが生き生きと描かれています。

山口瞳の文章を読んでいると、まるで一緒に旅をしているかのような気分になります。ページをめくるたびに、温泉の湯気と硫黄の香りが立ち上ってくるようです。次の休みにどこへ行こうか、と思いを馳せながら読むのも楽しい一冊です。

14位『私本歳時記』

日本の美しい四季の移ろいを、山口瞳ならではの視点で切り取ったエッセイ集です。正月、節分、花見、七夕、月見といった年中行事や、季節ごとの自然の変化、旬の食べ物などが、豊かな感性で描かれています。

忙しい毎日の中で見過ごしてしまいがちな、季節の小さな変化に気づかせてくれる作品です。日本の文化や暮らしの豊かさを再発見できるでしょう。季節の節目節目で読み返したくなる、手元に置いておきたい一冊です。

15位『旦那の意見』

家庭における夫のあり方、夫婦関係について、山口瞳が持論を展開するエッセイ集です。亭主関白を自認する山口瞳が、ユーモアと少しの照れを交えながら「旦那」としての意見を堂々と述べます。

昭和の家庭観がベースになっているため、現代の感覚からすると驚くような部分もあるかもしれません。しかし、その根底にあるのは妻や家族への深い愛情であり、夫婦とは何かを考えるきっかけを与えてくれます。山口瞳のユニークな家族論が楽しめる作品です。

16位『世相講談』

その時々の時事問題や社会の風潮に対し、山口瞳が鋭い切れ味で切り込む時評エッセイ集です。 テレビ、政治、若者文化など、テーマは多岐にわたりますが、一貫しているのは物事の本質を見抜こうとする厳しい視線です。

普段の作品で見せるユーモラスな表情とは異なり、批評家としての山口瞳の真骨頂が発揮されています。彼の社会を見る眼の確かさと、安易な風潮に流されない骨太な精神に触れることができます。少し昔の日本の世相を知る上でも興味深い一冊です。

17位『酒食生活』

タイトル通り、酒と食事にまつわるエッセイを集めた一冊です。『行きつけの店』や『酒呑みの自己弁護』とテーマは共通しますが、より日常的な食生活に焦点が当てられています。

家庭での晩酌の楽しみ方、旬の食材の味わい方、美味しいお店の見つけ方など、日々の食生活を豊かにするヒントが満載です。山口瞳の食に対する並々ならぬこだわりと美学が感じられ、食いしん坊にはたまらない内容となっています。読むとお腹が空いてくること間違いなしです。

18位『血涙十番勝負』

将棋に造詣が深かった山口瞳が、当代一流のプロ棋士たちに「角落ち」で挑んだ真剣勝負の観戦記です。 対戦相手には、中原誠や米長邦雄といった名人クラスの棋士も名を連ねています。

素人である山口瞳が、プロを相手にどのような戦いを繰り広げるのか。勝負の緊迫感はもちろん、対局を通じて垣間見える棋士たちの人間性や、将棋というゲームの奥深さが伝わってきます。将棋ファンならずとも、一つのことに真剣に取り組む男たちのドラマとして楽しめる作品です。

19位『新東京百景』

山口瞳が生まれ育った街、東京の様々な場所を巡り、その風景と歴史、そしてそこに暮らす人々を描いたエッセイ集です。銀座や浅草といった名所から、何気ない路地裏まで、作家の愛着ある視点で切り取られています。

開発によって変わりゆく昭和の東京の姿が記録されており、今となっては失われてしまった風景に思いを馳せることができます。東京に住んでいる人も、そうでない人も、この街が持つ独特の魅力に改めて気づかされるでしょう。地図を片手に、エッセイの舞台を訪ねてみるのも一興です。

20位『山本さんのいいつけ』

山口瞳が師と仰いだ編集者であり、辛口コラムニストとしても知られる山本夏彦との交流を描いたエッセイです。山口瞳が山本夏彦から受けた数々の「いいつけ」（教え）が、具体的なエピソードと共に紹介されています。

文章の書き方から、人との付き合い方、物事の考え方まで、その教えは多岐にわたります。師弟の厳しくも温かい関係性が伝わってくると同時に、山口瞳という作家がどのようにして形成されたのかを知ることができます。物書きを目指す人にとっては、特に示唆に富む一冊です。

まとめ：ランキングを参考に山口瞳作品を読んでみよう

山口瞳のおすすめ小説・エッセイランキングTOP20をご紹介しました。サラリーマンの日常を描いた『江分利満氏の優雅な生活』から、自身のルーツに迫った『血族』、そして食や酒、趣味をテーマにした数々のエッセイまで、その作品世界の幅広さを感じていただけたのではないでしょうか。

どの作品にも共通しているのは、人間に対する温かい眼差しと、人生を豊かに味わおうとする姿勢です。今回のランキングで気になった作品があれば、ぜひ手に取って、ダンディでユーモアあふれる山口瞳の世界に触れてみてください。きっと、あなたの日常を少しだけ豊かにしてくれる一冊に出会えるはずです。