皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
吉村萬壱(よしむら まんいち)は、1961年生まれの日本の小説家です。愛媛県松山市で生まれ、大阪府で育ちました。京都教育大学を卒業後、高校の教諭などを務めながら執筆活動を続け、現在は専業作家として活動しています。
2001年に『クチュクチュバーン』で第92回文學界新人賞を受賞してデビュー。そして2003年には、『ハリガネムシ』で第129回芥川龍之介賞を受賞し、その名を広く知られることとなりました。吉村萬壱の作品は、人間の内面に潜む狂気やグロテスクな側面、不条理な世界観を、退廃的かつ破壊的な筆致で描くのが特徴です。その唯一無二の世界観は、読む者を引きずり込むような重い力があり、多くの文学ファンを魅了しています。
ここからは、奇想天外な発想と独特の世界観で読者を魅了する吉村萬壱のおすすめ小説を、ランキング形式で15作品ご紹介します。
デビュー作の衝撃、芥川賞受賞作の戦慄、そして社会の歪みや人間の本質をえぐる意欲作まで、多彩なラインナップが揃いました。人間の根源的な部分を容赦なく描き出す吉村萬壱ワールドに、あなたも足を踏み入れてみませんか?
ランキングの頂点に輝いたのは、2016年に第22回島清恋愛文学賞を受賞した『臣女』です。物語は、主人公の女性が夫からある日突然「お前は臣女だ」と告げられるところから始まります。臣女とは、夫に絶対服従する存在。そこから、支配と服従をめぐる奇妙な夫婦生活が描かれます。
突飛な設定の中に、現代の夫婦が抱える問題や人間の尊厳といった普遍的なテーマが巧みに織り込まれています。吉村萬壱らしいグロテスクさと不気味さを漂わせながらも、愛や関係性の本質を問いかける傑作です。
夫婦ってなんだろうって考えさせられちゃうね。ちょっと怖いけど、目が離せないよ。
2位は、日常が狂気に侵食されていく様を描いた『ボラード病』。街中に設置されているボラード(車止め)が、人間や動物に見えてしまう奇妙な病「ボラード病」にかかった男が主人公です。
彼の視界は次第に歪み、現実と妄想の境界線が曖昧になっていきます。都市に潜む孤独や狂気を、ユーモラスかつ不気味に描き出した本作は、東日本大震災後に盛んに叫ばれた「絆」という言葉への違和感が創作の原点にあるといいます。吉村萬壱の奇想が光る一冊です。
街のポールが人に見えるなんて、すごい発想だよね!わたしも散歩しながら探しちゃうかも。
吉村萬壱の名を世に知らしめた第129回芥川龍之介賞受賞作『ハリガネムシ』が3位にランクインしました。主人公は、ある日出会ったソープ嬢との奇妙な共同生活の中で、自らの内なる暴力性に目覚めていく高校教師です。
タイトルにもなっている「ハリガネムシ」という寄生虫の生態が、人間の本能的な衝動や狂気と巧みに結びつけられています。選考委員から「読む者を辟易させながら引きずっていく重い力がある」と評されたように、グロテスクな描写と心理描写が読者に強烈なインパクトを与える、まさに吉村萬壱の代表作です。
寄生虫の生態と人間の内なる狂気を結びつける着想、そしてそれを描き切る筆力には戦慄を覚える。
4位は、2001年に第92回文學界新人賞を受賞した衝撃のデビュー作『クチュクチュバーン』です。妻の出産をきっかけに、主人公の男は赤ん坊の体液や排泄物といったものに倒錯的な愛情を抱き始めます。
生命の誕生という神秘的な出来事と、それに伴うグロテスクな現実を真正面から描き、選考委員からも絶賛されました。人間の根源的な部分をえぐるようなその内容は、まさに吉村萬壱ワールドの原点と言えるでしょう。デビュー作にして、その後の作風を決定づけた一冊です。
生命誕生の神聖さと、それに付随する生理的な現象への倒錯的執着。この対比構造が人間の深淵を抉り出している。
5位は、東日本大震災後の日本を舞台にした『死者にこそふさわしいその場所』。被災地でボランティア活動をする男の視点を通して、死と再生、そして人間の偽善やエゴといった重いテーマに切り込んでいます。
物語の着想の一つに、フランスの詩人ヴァレリーの『テスト氏』があったと作者は語っています。震災という題材を扱いながらも、吉村萬壱らしいブラックユーモアを交え、人間の本質を鋭く描き出した作品です。
震災という大きな出来事の前で、人がどうなっちゃうのかが描かれてるんだ。色々考えさせられる話だったな…。
6位には、SF的な設定が光る『CF』がランクインしました。『CF』とは「コンティニュード・ファミリー」の略。物語の舞台は、特殊な技術によって死者を蘇らせ、ペットとして共に暮らすことが可能になった社会です。
主人公は亡くなった妻を蘇らせることを決意しますが、そこから愛や記憶、そして人間の尊厳とは何かという根源的な問いに直面することになります。奇抜な設定を通して、倫理的なテーマに深く切り込んだ意欲作です。
死んだ人がペットになる世界ってすごい発想だよね。愛する人を失ったら、わたしもそうしちゃうかも…。
7位は、現代人の心の空虚さを描いた『虚ろまんてぃっく』です。主人公は、何事にも満たされない虚無感を抱えながら日々を生きる男。彼は様々な女性と関係を結びますが、その心が満たされることはありません。
現代社会に生きる人々が抱える孤独や疎外感を、吉村萬壱ならではの独特の文体でリアルに描き出しています。どこか物悲しくも、心に深く残る一冊です。
なんだか心が空っぽになっちゃう時ってあるよね。この主人公の気持ち、ちょっとわかるかも。
8位は、近未来の日本社会を風刺的に描いた『みんなのお墓』。少子高齢化が極度に進み、個人で墓を維持することが困難になった社会で生まれた巨大な共同墓地「みんなのお墓」をめぐる人々の人間模様を描いた作品です。
裸になる快感を求める主婦や引きこもりの男性など、様々な事情を抱えた人々が登場します。家族のあり方や死との向き合い方といった社会的なテーマを、ユーモアとペーソスを交えて描き出しています。
お墓の問題って、これからもっとリアルになるんだろうな。家族の形が変わっていくのを感じるよ。
9位にランクインしたのは、不条理で奇想天外な設定が特徴の『流卵』です。主人公の男は、ある日突然、自分の体から卵のような奇妙な物体が排出されるという不可解な現象に見舞われます。
自らの身体が変容していく恐怖と戸惑いの中で、彼の日常は少しずつ狂い始めます。アイデンティティの揺らぎをテーマにした、カフカの『変身』をも彷彿とさせる、吉村萬壱の真骨頂ともいえる不条理文学です。
体から卵が…!?想像しただけでゾワゾワするよ。でも、どうなっちゃうのか気になって読んじゃうんだよね。
10位は、ユニークな設定が魅力の『前世は兎』。主人公は、自分は前世で兎だったと固く信じている男。彼は人間社会のルールに馴染むことができず、兎としての本能に従って生きようとします。
どこかユーモラスで愛らしい物語の中に、現代社会で生きづらさを感じている人々の孤独や苦悩が描き出されています。他の作品とは一味違った、優しさと切なさを感じさせる一冊です。
前世が兎ってかわいい!わたしも前世はフクロウだったりして…。仲間意識を感じちゃうな。
11位は、芥川賞受賞後第一作となった長編小説『バースト・ゾーン―爆裂地区―』です。物語の舞台は、原因不明の爆発が日常的に頻発する「爆裂地区」。住民たちは常に死の危険と隣り合わせの生活を送っています。
そんな極限状態に置かれた人々が見せる、たくましさや狂気を生々しく描いたディストピア小説です。暴力と死が日常と化した世界で、人間の生の本質とは何かを問いかけます。
爆発が日常と化した世界における人間の精神構造の変化。極限状況下での倫理の変容を冷徹な視点で観察している。
12位は、現代社会の闇に切り込んだ『独居45』。45歳、独身、そして引きこもりという、社会から孤立した男性の日常を淡々と描いた作品です。
彼の閉鎖された世界の中での思考や葛藤が、リアルな筆致で綴られていきます。社会との断絶や中年の危機といったテーマを扱い、孤独とは何か、生きるとは何かを静かに、しかし鋭く問いかける一冊です。
一人でいる時間って大切だよね。でも、ずっと一人は寂しいのかな…。色々考えちゃうな。
13位は、連作短編集の『出来事』です。主人公である小説家の周りで、次々と奇妙で不条理な「出来事」が起こります。化け物のような弟、色情狂の妻、奇妙な隣人たちに囲まれ、彼は現実と虚構の境界を見失っていきます。
作者の吉村萬壱はインタビューで「この世界そのものに罅(ひび)が入ってるんじゃないか」と語っており、その世界に対する違和感が作品の根底に流れています。吉村萬壱らしい奇妙な世界観が凝縮された、癖になる一冊です。
なんでこうなるの!?って展開ばっかりなんだ。でも、それが癖になっちゃうんだよね。
14位には、現代の高齢者が抱える問題を静かに描いた『回遊人』がランクイン。定年退職し、特に目的もなく街をさまよい続ける老人「回遊人」。彼の視点を通して、現代社会の風景や、老いや孤独、そして自らの居場所を失った人々の姿が映し出されます。
社会とのつながりを失った人間の心象風景を、静かな筆致で丁寧に描いた作品。超高齢社会を迎えた日本で、多くの人が共感し、また考えさせられる物語です。
毎日がお散歩って考えたら楽しそうだけど、目的がないのは寂しいかも。わたしも物語を探して回遊してるから、ちょっと似てるかな。
ランキングの最後を飾るのは、人間の倒錯した欲望を描いた初期の衝撃作『ヤイトスエッド』です。主人公は、自分の身体に灸(やいと)を据えることで得られる痛みに、倒錯した快感を見出す男。
彼のマゾヒスティックな欲望は次第にエスカレートし、周囲との関係も歪なものへと変わっていきます。痛みと快楽という、人間の感覚の根源に迫るテーマを扱った、吉村萬壱のグロテスクな世界観が存分に味わえる一冊です。
肉体的な痛みを通じて精神的な快楽を得るという倒錯。人間の感覚の不可解さを突きつけられる作品だ。
吉村萬壱のおすすめ小説ランキングTOP15、いかがでしたでしょうか。人間の内面に潜む暴力性や狂気、グロテスクな側面を、奇想天外な設定と唯一無二の世界観で描き出すのが吉村萬壱作品の大きな特徴です。
その作風は時に読者を選びますが、一度ハマると抜け出せない強烈な魅力を持っています。もし、どの作品から読めばいいか迷ったら、比較的読みやすい『ボラード病』や『前世は兎』から手に取ってみるのがおすすめです。もちろん、代表作である芥川賞受賞作『ハリガネムシ』から、その戦慄の世界に飛び込んでみるのも良いでしょう。ぜひ、この機会に吉村萬壱ワールドの深淵に触れてみてください。