皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らし...
皆さま、はじめまして。わたくし、『小説ヨミタイ』編集長の「ふくちい」と申します。夜の森で獲物を見つけるように、わたしの鋭い目で、世に埋もれた素晴らしい物語たちを見つけ出し、皆さまにお届けするのが仕事です。星の数ほどある物語の中から、あなたの心を照らす一編を見つけ出すお手伝いをさせてください。これからどうぞ、よろしくお見知りおきを。
芦沢央(あしざわ よう)さんは、2012年に『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビューした、今注目のミステリー作家です。デビュー以来、人間の心理に潜む闇を巧みに描き出す作風で多くの読者を魅了しています。
芦沢さんの作品は、読者の予想を裏切る衝撃的な結末が特徴で、特に後味の悪い結末を迎える「イヤミス」作品で高く評価されています。しかし、その魅力はイヤミスだけにとどまりません。ホラーミステリーから青春小説、社会派ミステリーまで、幅広いジャンルの作品を手がけており、そのどれもが緻密な構成と心理描写で読者を引き込みます。本記事では、そんな芦沢央さんの数ある名作の中から、特におすすめの作品をランキング形式でご紹介します。初心者の方から熱心なファンまで、きっとお気に入りの一冊が見つかるはずです。
ここからは、いよいよ芦沢央さんのおすすめ小説をランキング形式で発表します。イヤミス、ホラー、感動ミステリーまで、多彩な作品がランクインしました。
各作品のあらすじや読みどころも詳しく解説していきますので、あなたの好みにぴったりの一冊を見つける参考にしてくださいね。
堂々の1位は、2019年本屋大賞にもノミネートされた『火のないところに煙は』です。作家である「私」が、「神楽坂を舞台に怪談を」という依頼を受けたことから、過去の凄惨な体験と向き合うことになる物語です。
本作は、一見すると無関係に見える5つの怪談が、最終章で一つの真実へと繋がっていく連作短編集の形式をとっています。ドキュメンタリーのようにリアルな手法でフィクションを描く「モキュメンタリー」形式が採用されており、読者は虚実の境目が曖昧になるような独特の恐怖を味わうことができます。ホラーとミステリーが見事に融合した、まさに芦沢央さんの真骨頂ともいえる一冊です。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 新潮社 |
発売日 | 2018年6月22日(単行本) |
本作における虚実を曖昧にする筆致は、読者の日常感覚を静かに侵食する。怪異の正体よりも、それを語る人間の心の闇こそが恐怖の本質であることを突きつけてくるんだ。
2位は、人間の心に潜む闇を鮮やかに描き出した5編を収録した短編集『許されようとは思いません』です。いわゆる「イヤミス」として高く評価されています。
表題作「許されようとは思いません」では、ある青年が結婚を前に、過去に殺人を犯した祖母の罪と向き合うことになります。どの短編も、日常に潜む些細な悪意や心の揺れが、取り返しのつかない事態へと繋がっていく様が描かれており、読後にはずっしりとした余韻が残ります。どんでん返しも鮮やかで、ミステリーの醍醐味を存分に味わえる一冊です。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 新潮社 |
発売日 | 2016年6月22日(単行本) |
人間の心の脆さや狡猾さが、これでもかってくらい描かれていてゾクゾクするよ。後味は悪いけど、なぜかまた読み返したくなる魅力があるんだよね。
第164回直木賞候補作にもなった『汚れた手をそこで拭かない』が3位にランクイン。日常の中に潜む人間の小さな秘密や欲望が、やがて大きな事件へと繋がっていく様を描いた5編からなるミステリー短編集です。
登場するのは、小学校教諭や認知症の妻を介護する夫など、ごく平凡な人々。しかし、彼らが抱えるささやかな秘密や見栄が、お金を介して思わぬ方向へと転がっていきます。平凡な日常が静かに狂っていく恐怖と、洗練されたミステリーが楽しめる作品で、2020年代の新しいミステリーを読みたい方におすすめです。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 文藝春秋 |
発売日 | 2020年9月25日 |
日常に潜む悪意って、すごくリアルで怖いよね。この本を読むと、自分の周りの人も何か隠してるんじゃないかって思っちゃうかも。
第76回日本推理作家協会賞を受賞した社会派ミステリー『夜の道標』。1996年に起きた塾経営者殺害事件を軸に、指名手配犯を匿う女、事件を追い続ける刑事、そして虐待を受ける少年、それぞれの視点から物語が描かれます。
本作は、虐待、貧困、障害といった重いテーマを扱いながらも、登場人物たちの守りたいものへの強い想いが絡み合い、読者の心を揺さぶります。バラバラに見えた物語が一つに繋がっていく構成は見事で、明かされる真実には衝撃と切なさがこみ上げます。2025年9月よりテレビドラマが放送されており、今注目の作品です。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 中央公論新社 |
発売日 | 2025年4月22日(文庫版) |
重いテーマだけど、すごく引き込まれたよ。それぞれの正義がぶつかり合う中で、本当の救いは何なのか考えさせられる作品だったな…。
5位は、再読必至のヒューマンミステリーと評される『悪いものが、来ませんように』です。物語は、ある女性の不審な死をきっかけに、彼女の過去を知る4人の女性たちの独白形式で進んでいきます。
それぞれの視点から語られることで、亡くなった女性の人物像が多角的に浮かび上がり、同時に語り手たちの隠された本性も明らかになっていきます。人間の嫉妬や見栄、思い込みといった負の感情が巧みに描かれており、ページをめくる手が止まらなくなるでしょう。最後に明かされる真実は、きっとあなたの心をざわつかせるはずです。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | KADOKAWA |
発売日 | 2016年8月25日(文庫版) |
女性同士の複雑な関係性がリアルだったな。誰を信じていいのか分からなくなる感じが、まさに芦沢作品って感じ!
芦沢央さんのデビュー作にして、第3回野性時代フロンティア文学賞受賞作である『罪の余白』。高校生の娘・加奈を転落死で失った父・安藤聡が、娘の死の真相を探るうちに、クラスメイトの木場咲の存在に行き着きます。
行動心理学の講師である安藤と、人の心を操ることに長けた少女・咲との間で繰り広げられる、息詰まる心理戦が見どころです。娘の復讐を誓う父と、証拠隠滅を図る少女の対決は、ページをめくる手を止めさせません。2015年には内野聖陽さん主演で映画化もされた、衝撃のサスペンスです。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | KADOKAWA |
デビュー作とは思えない完成度だ。父の愛情と咲の狡猾さがぶつかり合う心理描写からは、人間の情念の深淵を覗き見るような感覚を覚える。
第173回直木賞候補作にもなった『嘘と隣人』は、定年退職した元刑事・平良正太郎が主人公の連作短編ミステリーです。穏やかな隠居生活を送るはずだった平良の周りで、ストーカーやマタハラ、SNSでの誹謗中傷といった現代的な事件が次々と起こります。
捜査権限を持たない元刑事が、身近な人間の些細な嘘や悪意を見抜き、事件の真相に迫っていく姿が描かれます。大きな殺人事件ではなく、日常に潜むトラブルを扱うことで、誰の身にも起こりうる「隣にある地獄」を浮き彫りにしています。日常の怖さを味わいたい方におすすめの一冊です。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 文藝春秋 |
発売日 | 2025年4月23日 |
日常に潜む悪意って、じわじわくる怖さがあるよね。元刑事のおじいちゃんが、どうやって事件を解決するのか気になっちゃうな。
小学生の「僕」と、同級生で「神さま」と呼ばれる名探偵・水谷くんのコンビが、日常に潜む謎に挑む連作ミステリー『僕の神さま』。「川上さん、親に殺されたらしいよ」という噂話から、物語は思わぬ方向へと展開していきます。
子どもたちの視点で描かれるため、最初は微笑ましい謎解きのように思えますが、物語が進むにつれて切なく残酷な真実が明らかになります。大人が見過ごしてしまうような子どもたちの世界の残酷さと、それに向き合う少年たちの姿が胸を打つ作品です。ラストに明かされる事実は、きっとあなたの心に深い余韻を残すでしょう。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | KADOKAWA |
小学生が主人公だからって油断してたらダメだよ。子どもならではの純粋さと残酷さが描かれていて、最後は切なくて泣いちゃった…。
9位は、新生児の「取り違え」ではなく「取り替え」をテーマにした衝撃作『貘の耳たぶ』です。帝王切開で出産した繭子は、衝動的に我が子を、同じ日に生まれた別の新生児と取り替えてしまいます。
罪の意識に苛まれながらも、取り替えた子を「航太」と名付け育てていく繭子。一方、我が子を取り替えられたとは知らずに子育てをする郁絵。血の繋がりか、共に過ごした時間か、母性とは何かを問いかける、切なくも慟哭の物語です。当初はミステリーとして構想されていたものを、母親の心理を正面から描く形に書き直したという本作は、読者の心を強く揺さぶります。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 幻冬舎 |
発売日 | 2017年7月27日 |
母親の衝動的な行動が、こんなにも大きな悲劇を生むなんて…。血の繋がりだけが全てじゃないって考えさせられる、すごく深い話だったな。
将棋の世界を舞台に、人間の業や才能を巡るドラマを描いた5編を収録した短編集『神の悪手』。本作で芦沢さんは、第33回将棋ペンクラブ大賞の文芸部門優秀賞を受賞しています。
将棋を知らない読者でも楽しめるように、棋士たちの心理描写や人間ドラマに重点が置かれています。勝負の世界に生きる人々の喜び、苦悩、そして狂気が、手に汗握る展開で描かれます。悪人とは言い切れない人々が、心の弱さや狡猾さから罪を犯してしまう様は、まさに芦沢作品の真骨頂。将棋という盤上の宇宙で繰り広げられる、濃密なミステリーを堪能できる一冊です。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 新潮社 |
発売日 | 2021年5月20日 |
わたし、将棋は全然分からないけど、プロ棋士たちのプライドと葛藤がすごくて面白かった!勝負の世界って厳しいんだね。
『今だけのあの子』は、ある家族の秘密と再生を描いた感動のミステリーです。物語は、ある日突然、父親が5歳の女の子を「新しい妹だ」と連れてくるところから始まります。
血の繋がらない妹との生活に戸惑いながらも、次第に絆を深めていく姉弟。しかし、その裏には家族が抱える大きな秘密が隠されていました。過去の事件と現在の家族の姿が交錯しながら、少しずつ真相が明らかになっていきます。ミステリーとしての面白さはもちろん、家族の愛とは何かを考えさせられる、温かくも切ない物語です。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 東京創元社 |
発売日 | 2015年10月29日 |
最初はバラバラだった家族が、秘密を乗り越えて一つになっていく姿に感動したな。ミステリーだけど、読んだ後に心が温かくなったよ。
幼い頃に誘拐事件に巻き込まれ失明した少女・宮下愛子。12年後、彼女は再び何者かに誘拐されてしまいます。一方、人気漫画家の江間礼遠は、突然失踪した妻・優奈の行方を追っていました。彼女は、12年前の誘拐事件の加害者の娘だったのです。
過去の事件の「被害者」と「加害者」の家族が、時を経て再び事件に巻き込まれていくサスペンス・ミステリー。偶然か、それとも必然か。二つの事件が複雑に絡み合い、読者を驚愕のラストへと導きます。圧巻の展開が待ち受ける、大注目の作品です。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | KADOKAWA |
発売日 | 2018年2月24日(文庫版) |
過去の事件が現在に繋がっていく展開がすごかった!誰が本当のことを言ってるのか、最後まで分からなくてハラハラしたよ。
『バック・ステージ』は、これまでの芦沢作品とは一味違う、コミカルな要素が魅力の痛快ミステリーです。新入社員の松尾は、夜の会社で先輩の康子がパワハラ上司の不正の証拠を探している場面に遭遇し、片棒を担ぐことになります。
一方、彼らの会社がプロモーションを手がける人気演出家の舞台周辺では、4つの事件が同時多発的に発生。バラバラに見えた事件のピースが、松尾と康子の凸凹コンビの行動によって一つに繋がっていく連作短編集です。全ての伏線が回収されるラストは爽快で、読後にはスッキリとした気持ちになれるでしょう。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | KADOKAWA |
発売日 | 2017年8月31日 |
イヤミスだけじゃないんだね!コミカルで読みやすくて、最後は「おおっ!」ってなったよ。こういう作品ももっと読んでみたいな。
『カインは言わなかった』は、ある一家に起きた悲劇と、そこに隠された秘密を描く長編ミステリーです。物語は、高校生の迅が、かつて家族を襲った放火事件の真相を探るところから始まります。
事件の唯一の生存者である迅は、記憶の一部を失っていました。彼は、事件の鍵を握ると思われる姉の恋人・副島に話を聞きに行きますが、そこから事態は思わぬ方向へと展開していきます。家族の愛憎、嫉妬、そして罪が複雑に絡み合い、読者を物語の世界へと深く引き込みます。重厚な人間ドラマと、巧みなミステリーが融合した読み応えのある一冊です。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 文藝春秋 |
発売日 | 2017年10月11日 |
家族の秘密って、知らなければ幸せなこともあるのかな…。すごく重い話だったけど、人間の複雑な感情がリアルに描かれていて考えさせられたよ。
2025年9月18日に発売された最新作『おまえレベルの話はしてない』は、夢に青春を捧げた二人の青年の嫉妬や羨望、侮蔑を描いた”アンチ青春小説”です。将棋の奨励会で少年時代を共にした芝と大島。プロ棋士になったものの成績不振に悩む芝と、夢を諦め弁護士になった大島。
対照的な道を歩む二人が、互いへの複雑な感情を抱きながらそれぞれの人生を歩む姿が描かれます。夢を叶えた者の焦燥感と、夢を捨てた者の執着が激しく交差する様は、読む者の胸を締め付けます。刊行前から書店員などから「泣きながら読んだ」「人生観に影響を与える」といった声が寄せられるなど、大きな注目を集めている作品です。
著者 | 芦沢央 |
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出版社 | 河出書房新社 |
発売日 | 2025年9月18日 |
夢を追いかけるって、キラキラしたことばかりじゃないんだね。二人の関係性がすごくリアルで、自分のことみたいに胸が痛くなったよ。
ここまで芦沢央さんのおすすめ小説をランキング形式でご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。「イヤミスの女王」というイメージが強いかもしれませんが、その作風は非常に多彩です。
人間の心の闇を抉るようなイヤミスから、背筋が凍るホラーミステリー、そして心が温まるようなヒューマンミステリーまで、幅広いジャンルで読者を楽しませてくれます。どの作品にも共通しているのは、緻密なプロットと、登場人物のリアルな心理描写です。今回のランキングを参考に、ぜひ気になった一冊を手に取って、芦沢央さんの世界の奥深さに触れてみてください。