【2025年最新】芥川賞の歴代おすすめランキングTOP39

はじめに：芥川賞とは？歴代の名作からあなたに合う一冊を見つけよう

芥川賞は、純文学の新人作家に贈られる、日本で最も権威のある文学賞の一つです。

直木賞が大衆文学を対象としているのに対し、芥川賞は芸術性を重視した作品に与えられます。

	芥川龍之介賞 (芥川賞)	直木三十五賞 (直木賞)
対象	純文学	大衆文学（エンターテインメント作品）
作家	新人作家	新人・中堅作家
作品	雑誌などに発表された短編・中編	長編作品や短編集も対象
重視される点	芸術性、文章の巧みさ、テーマの深さ	物語の面白さ、エンターテインメント性

そのため、しばしば「難しい」というイメージを持たれがちですが、人間の内面を深く描いた作品や、斬新な表現方法で時代を切り拓いてきた名作が数多く存在します。

この記事では、数ある芥川賞受賞作の中から、小説ヨミタイ編集部が厳選したおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

初心者でも読みやすい作品から、文学の奥深さに触れられる玄人向けの作品まで幅広くピックアップしました。あなたにぴったりの一冊を見つけるための、最高のガイドになるはずです。

芥川賞作品のおすすめな選び方

芥川賞受賞作は多岐にわたるため、どれから読めば良いか迷ってしまう方も多いでしょう。

そこで、自分に合った作品を見つけるための選び方をいくつかご紹介します。

初心者でも読みやすい作品から選ぶ

まずは、ストーリーが分かりやすく、登場人物に共感しやすい作品から手に取ってみるのがおすすめです。会話文が多く、テンポの良い作品や、現代を舞台にした身近なテーマの作品は、純文学に馴染みのない方でも楽しめます。

又吉直樹さんの『火花』や村田沙耶香さんの『コンビニ人間』などは、読みやすさと文学的な深さを両立しており、入門編として最適です。

話題になった年代やメディア化作品から選ぶ

受賞当時に社会現象を巻き起こした作品や、映画化・ドラマ化された作品から選ぶのも一つの手です。例えば、石原慎太郎さんの『太陽の季節』は、当時の若者文化に大きな影響を与えました。

また、又吉直樹さんの『火花』はドラマ化され、大きな話題となりました。映像作品を観てから原作を読むと、より深く物語を理解できるかもしれません。

純文学の世界に深く浸れる玄人向けの作品を選ぶ

ある程度純文学を読み慣れている方であれば、文体や構成に実験的な試みがなされている作品や、哲学的なテーマを扱った作品に挑戦してみるのも良いでしょう。

安部公房さんの『壁』や大江健三郎さんの『飼育』などは、独特の世界観と深い思索に満ちており、じっくりと味わいたい作品です。

芥川賞の歴代おすすめランキングTOP39

ここからは、小説ヨミタイ編集部が厳選した芥川賞の歴代おすすめランキングTOP39を発表します。

果たして1位に輝くのはどの作品でしょうか。

1位：火花 (又吉直樹)

お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんによる、第153回芥川賞受賞作です。売れない芸人・徳永が、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、その強烈な生き様に惹かれながら、芸人として、人間として成長していく姿を描いた物語です。

夢を追いかけることの切なさや、才能への嫉妬、そして人との繋がりの尊さが、胸に迫る作品です。

2位：コンビニ人間 (村田沙耶香)

36歳未婚、コンビニのアルバイト歴18年の古倉恵子。彼女は、普通とは何か、正常とは何かという社会の圧力に疑問を抱きながら、コンビニというマニュアル化された世界で、自分らしく生きようとします。

現代社会の生きづらさや、多様な価値観について考えさせられる、衝撃的な作品です。

3位：蹴りたい背中 (綿矢りさ)

高校生の男女の、ぎこちなくも切実な心の交流を描いた作品です。孤独感を抱える女子高生ハツと、クラスで浮いた存在のにながわ、二人の距離が縮まりそうで縮まらない、もどかしい関係性がリアルに描かれています。

思春期特有の繊細な感情が、鮮やかに表現された青春小説の金字塔です。

4位：推し、燃ゆ (宇佐見りん)

アイドルを「推す」ことが生きるすべてである女子高生・あかり。彼女の日常は、推しの言動に一喜一憂し、すべてを捧げることで成り立っていました。

しかし、推しがファンを殴り炎上したことで、彼女の世界は大きく揺らぎ始めます。現代の「推し活」文化を背景に、生きることの意味を問う、衝撃作です。

5位：限りなく透明に近いブルー (村上龍)

米軍基地の街・福生を舞台に、ドラッグとセックスと暴力に明け暮れる若者たちの、退廃的で刹那的な日常を描いた作品です。衝撃的な内容と乾いた文体で、発表当時に大きな議論を巻き起こしました。

社会の虚無感や、若者のやるせないエネルギーが、鮮烈に描き出されています。

6位：苦役列車 (西村賢太)

作者自身の経験を基にした私小説です。19歳の北町貫多は、日雇い労働で食いつなぎながら、自堕落な日々を送っていました。

学も金もなく、他人を妬み、世の中を呪う貫多の姿は、滑稽でありながらも、どこか憎めない愛おしさがあります。人間のダメな部分を、ここまで赤裸々に描いた作品は他にありません。

7位：蛇にピアス (金原ひとみ)

第130回芥川賞を、当時20歳で受賞した金原ひとみさんのデビュー作です。同じく19歳で受賞した綿矢りささんの『蹴りたい背中』との同時受賞は、社会現象にもなりました。

身体改造に魅せられた少女ルイが、スプリットタンの男アマと出会い、痛みと快楽の世界に足を踏み入れていく物語です。若者の刹那的な生き様と、身体を通して自己を確かめようとする姿が、鮮烈な印象を残します。

8位：太陽の季節 (石原慎太郎)

戦後の若者たちの、無軌道なエネルギーと享楽的な生き方を描き、社会に大きな衝撃を与えた作品です。ボクシングに熱中する高校生・竜哉と、彼の周りの裕福な家庭の若者たちの、ルール無用の青春が描かれています。

既存の道徳観に反発する「太陽族」という言葉を生み出した、記念碑的な一作です。

9位：壁 (安部公房)

ある日突然、自分の名前を失い、壁になってしまった男の物語です。名前を失ったことで、社会的な存在意義をなくし、周囲から認識されなくなっていく主人公の姿を通して、現代社会における個人の存在とは何かを問いかけます。

不条理で、幻想的な世界観が魅力の、安部公房の代表作です。

10位：飼育 (大江健三郎)

戦争中の山村を舞台に、墜落した黒人兵士と村の子供たちとの交流と、その悲劇的な結末を描いた物語です。無垢な子供たちの視点を通して、戦争がもたらす狂気や、人間の残酷さが浮き彫りにされていきます。

ノーベル文学賞作家・大江健三郎の、初期の代表作です。

11位：むらさきのスカートの女 (今村夏子)

近所に住む「むらさきのスカートの女」に興味を持った「わたし」が、彼女と友達になるために、奇妙な計画を実行していく物語です。

語り手である「わたし」の視点から描かれる日常は、どこか歪んでいて、不穏な空気に満ちています。人間の孤独や、コミュニケーションの不確かさを描いた、独特のユーモアと毒気に満ちた一作です。

12位：スクラップ・アンド・ビルド (羽田圭介)

介護をテーマに、現代の家族が抱える問題を、ユーモアと皮肉を交えて描いた作品です。祖父の介護に奮闘する青年・健斗の視点を通して、「生きること」と「死ぬこと」の意味を問いかけます。

重いテーマを扱いながらも、軽快な筆致で読ませる、新しい形の介護小説です。

13位：乳と卵 (川上未映子)

豊胸手術のために大阪から上京してきた姉の巻子と、思春期を迎え、言葉を発することをやめてしまった娘の緑子。そして、二人を迎える主人公の夏子。

女性の身体や性、そして「女として生きること」をテーマに、三人の女性が過ごす三日間を、独特の文体で描いた作品です。

14位：おらおらでひとりいぐも (若竹千佐子)

74歳の桃子さんが、夫に先立たれた後、一人でたくましく生きていく日々を、ユーモラスに、そして力強く描いた物語です。

東北弁でつづられる桃子さんの心の声は、孤独や老いに対する不安を、笑いと元気で吹き飛ばしてくれます。高齢化社会を生きる私たちに、勇気を与えてくれる一作です。

15位：おいしいごはんが食べられますように (高瀬隼子)

職場の人間関係の機微を、「食」を通して描いた作品です。食べることにあまり興味がない二谷と、料理上手で、手作りのお菓子を配ることで、周囲からの評価を得ようとする押尾。

二人の関係性を軸に、現代社会におけるコミュニケーションの難しさや、承認欲求について考えさせられます。

16位：破局 (遠野遥)

公務員試験を目指す大学4年生の陽介が、ラグビー、筋トレ、そして二人の女性との恋愛を通して、自己とは何かを模索していく物語です。

ストイックに自分を鍛え上げ、他者との関係性の中で、自らの存在を確かめようとする陽介の姿は、現代の若者の抱える空虚さを映し出しているかのようです。

17位：共喰い (田中慎弥)

川辺の町を舞台に、父から受け継いだ暴力の血に抗いながら生きる高校生・遠馬の、荒々しい性と生を描いた物語です。

昭和の雰囲気が色濃く残る町で、父と同じように、女を殴り、性を貪る遠馬の姿は、衝撃的でありながらも、どこか切なさを感じさせます。人間の業の深さを、強烈に描き出した一作です。

18位：蛇を踏む (川上弘美)

ある日突然、主人公の足元に現れた蛇が、人間の女性に変身し、奇妙な共同生活が始まるという、幻想的な物語です。

日常の中に、非日常が紛れ込む、不思議な世界観が魅力。人間と、人間ならざるものとの交流を通して、生きることの不思議さや、温かさを描いた、ファンタジー小説の傑作です。

19位：終の住処 (磯崎憲一郎)

40代の男が、かつて共に暮らした女性との記憶をたどりながら、自らの過去と現在を見つめ直す物語です。

失われた時間への郷愁と、ままならない現実との間で揺れ動く、主人公の心情が、静かな筆致で丁寧に描かれています。大人のための、ほろ苦い恋愛小説です。

20位：ポトスライムの舟 (津村記久子)

29歳、非正規雇用のナガセは、工場で働きながら、淡々とした毎日を送っています。特別なことは何もないけれど、日々の暮らしの中に、ささやかな喜びや、人との繋がりを見出していくナガセの姿は、現代を生きる多くの人々の共感を呼ぶでしょう。

何気ない日常の愛おしさを、丁寧に描き出した作品です。

21位：穴 (小山田浩子)

夫の転勤で、見知らぬ田舎町に引っ越してきた主人公のあさひ。ある日、奇妙な黒い獣を追いかけているうちに、穴に落ちてしまいます。

そこから、彼女の周りで、不可解な出来事が次々と起こり始めます。日常に潜む非日常を、静謐な筆致で描き出した、不穏で美しい物語です。

22位：爪と目 (藤野可織)

3歳の娘を持つ主人公の「わたし」と、亡くなった夫の愛人だった「あなた」との、奇妙な同居生活を描いた物語です。

娘の視点を通して語られる二人の女性の関係は、どこか歪んでいて、不気味な緊張感に満ちています。人間の心の奥底に潜む、嫉妬や執着といった感情を、巧みに描き出した心理サスペンスです。

23位：abさんご (黒田夏子)

横書き、ひらがな、カタカナのみで書かれた、実験的な小説です。固有名詞を排し、抽象的な言葉で綴られる物語は、読む人によって、様々な解釈を可能にします。

文学の新たな可能性を切り拓いた、挑戦的な一作です。

24位：パーク・ライフ (吉田修一)

日比谷公園を舞台に、偶然出会った男女の、淡い恋の始まりを描いた物語です。特別な事件が起こるわけではないけれど、二人の間で交わされる何気ない会話や、心の機微が、丁寧に描かれています。

都会の喧騒の中で、ふと立ち止まり、人との出会いの大切さを感じさせてくれる、爽やかな一作です。

25位：妊娠カレンダー (小川洋子)

妊娠中の姉を、妹の視点から描いた日記形式の小説です。新しい命の誕生を喜びながらも、姉の身体の変化や、精神的な不安定さに、戸惑いと不安を感じる妹の心情が、繊細な筆致で描かれています。

妊娠という、神秘的で、時に残酷な現象を、独自の視点で切り取った作品です。

26位：されどわれらが日々―― (柴田翔)

1964年に発表され、第51回芥川賞を受賞した作品です。1960年代の学生運動を背景に、理想と現実の間で揺れ動く若者たちの、青春群像劇が描かれています。

恋愛、友情、そして社会への反発。様々な想いを抱えながら、時代を駆け抜けた若者たちの姿が、鮮やかに描き出されています。全共闘世代の、熱気と挫折を記録した、記念碑的な一作です。

27位：赤頭巾ちゃん気をつけて (庄司薫)

1960年代末の、学生運動が盛んだった時代を背景に、一人の高校生の視点から、世の中の出来事を、シニカルかつユーモラスに描いた作品です。

大人たちの建前や、社会の矛盾を、軽妙な語り口で、鋭く風刺しています。今なお色褪せない、青春小説の古典です。

28位：螢川 (宮本輝)

昭和37年の富山を舞台に、14歳の少年の、淡い初恋と、家族との絆を描いた物語です。父の死や、貧しい暮らしといった、厳しい現実の中で、少年が、ささやかな幸せを見つけ、成長していく姿が、美しい文章で綴られています。

ノスタルジックな雰囲気に満ちた、感動的な一作です。

29位：送り火 (高橋弘希)

青森の架空の農村を舞台に、閉鎖的な共同体の中で生きる人々の、愛憎と狂気を描いた物語です。

伝統的な祭りを背景に、人間の心の闇が、じわじわと炙り出されていく様は、圧巻の一言。土着的な因習と、現代的な感性が融合した、新しい形の文学です。

30位：蒼氓 (石川達三)

記念すべき第1回芥川賞受賞作です。1930年代、政府の政策により、ブラジルへの移民を余儀なくされた農民たちの、過酷な運命を描いています。

新天地を夢見て、神戸の移民収容所に集まった人々の、不安と希望が、リアルな筆致で描き出されています。日本の近代史の、知られざる一面を伝える、貴重な記録文学です。

31位：普賢 (石川淳)

中世フランスの女流詩人、クリスティーヌ・ド・ピザンの伝記を執筆しようとする主人公「わたし」の周りで繰り広げられる、堕落した知識人たちの人間模様を描いた作品です。

観念的な世界に生きる彼らの、滑稽で、哀れな姿を通して、絶望からの再生を描き出します。

32位：糞尿譚 (火野葦平)

九州の、とある市で糞尿回収業を営む男・彦太郎が、市の利権を巡る争いに巻き込まれていく物語です。

人間の欲望や、社会の矛盾を、ユーモアと風刺を交えて、痛快に描き出しています。タイトルのインパクトに負けない、力強い物語です。

33位：劉廣福 (八木義徳)

満州を舞台に、一人の日本人と、中国人との間に芽生えた、不思議な友情を描いた物語です。

戦争という、極限状況の中で、国籍や民族を超えて、心を通わせる二人の姿は、深く胸を打ちます。人間の善意と、良心を信じさせてくれる、感動的な一作です。

34位：山塔 (斯波四郎)

山奥の、隔離された療養所を舞台に、結核を患う人々の、絶望と、かすかな希望を描いた物語です。

死と隣り合わせの日常の中で、生きることの意味を問い続ける、登場人物たちの姿が、静かな感動を呼びます。閉ざされた世界の中で、人間の尊厳とは何かを、深く考えさせられる作品です。

35位：裸の王様 (開高健)

知的障害児の施設を舞台に、子供たちの純粋な心と、大人たちの偽善を、痛烈に描き出した作品です。

子供たちの、無垢な視点を通して、社会の欺瞞が、次々と暴かれていきます。人間の、美しさと醜さを、同時に描き出した、衝撃的な一作です。

36位：白い人 (遠藤周作)

フランスの、片田舎の町を舞台に、一人の日本人留学生が、信仰と、人間の罪について、深く思索していく物語です。

キリスト教をテーマに、神の存在や、人間の原罪といった、普遍的な問いを、読者に投げかけます。遠藤周作の、初期の代表作であり、その後の、文学的テーマの、原点ともいえる作品です。

37位：ニムロッド (上田岳弘)

第160回芥川賞受賞作です。仮想通貨のマイニングを題材に、現代社会における価値とは何か、そして、人間の欲望の果てにあるものを描いた、SF的な小説です。

ビットコイン採掘に没頭する主人公と、彼を取り巻く人々の、虚ろな人間関係を通して、情報化社会の、不確かさを描き出します。

38位：百年泥 (石井遊佳)

インドを舞台に、百年に一度の大洪水によって、街が泥に沈んでいく様を、幻想的な筆致で描いた物語です。

混沌とした、インドの日常と、非日常的な、大災害が交錯する中で、生きることの、根源的な意味を問いかけます。壮大なスケールと、緻密な描写が、圧倒的な読書体験をもたらします。

39位：ブラックボックス (砂川文次)

自転車便のメッセンジャーとして働く、主人公の日常を通して、現代社会の、過酷な労働環境と、若者の閉塞感を、リアルに描き出した作品です。

肉体を酷使し、常に、危険と隣り合わせの仕事の中で、主人公が、何を思い、何を感じるのか。その、内なる声が、静かに、しかし、力強く、読者に迫ります。

まとめ：芥川賞の歴代おすすめランキングを参考に、新たな読書体験を

芥川賞の歴代おすすめランキング、いかがでしたでしょうか。

時代を映し出す鏡のような作品から、普遍的な人間の姿を描いた作品まで、多種多様な小説が、芥川賞の歴史を彩ってきました。

今回ご紹介した作品は、どれも、あなたの心を揺さぶり、新たな視点を与えてくれる、力強い物語ばかりです。

このランキングを参考に、ぜひ、あなたにとっての、特別な一冊を見つけてみてください。そして、純文学の、奥深い世界の扉を、開いてみてはいかがでしょうか。